高瀬隼子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
カバー・タイトルとのギャップすごい。
芦川さんに苛立ったなあ。でもいるんだろうなあ。加護されて当然という姿勢を貫く、ある意味強い子。押尾さんの「猫を助ける」話の傘が印象的。無邪気にお菓子作りを続けるのも二谷のいう通り「すごい、なんでこんなことができるんだろう」。
私は芦川さんみたいなことは絶対できなくて、どちらかというと押尾さんの感覚で。仕事で、芦川さんタイプじゃないけど「できない人」の分まで背負って自分がひどい時間残業して…っていうことがあったので、押尾さんの気持ちは分かる気がした。配慮という綺麗な布を被せた不平等は蓄積すると「仕方ない」と済ませるには苦しくなってくる。難しいな。
「多様性」が声高に叫ばれて、ハラスメントに厳しくなった今の時代で、それらを守るためにあちこちで生じた歪みや各人が胸の底に抱える薄暗い気持ちを掬い取った小説だから、こんなにも注目されたんだろうな。
そして何より、二谷の食に対する嫌悪感、それに伴う芦川さんのごはんへの姿勢や言葉に対する嫌悪感。こうも上手く伝えるのかあと感心してしまった。
私はごはんが大好きだけど、こうも食への嫌悪感が滲み出る文章を読んでいると、1日3回も食べ続けている自分が滑稽に思える。二谷が人前でケーキを食べなきゃならないときの「嚙みしめる度に、にちゃあ、と下品な音が鳴る。」という表現が衝撃だった。本当にケーキが気持ち悪いものに感じて、ダイエットになりそう。
「あなたはどんなに小さな声で話しても、周りがその声を拾ってくれるところにいるんですね。」
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Posted by ブクログ
きっと芦川さんみたいな人はどんな職場にも1人はいるんだろうな
嫌いと思っている人も
だとしたら救われる
ちゃんと嫌いと思ってていいんだ
罪悪感を抱かなくていいんだ
だって明らかに天秤が合ってないよな
芦川さんにはこの前のお詫びに今日は自分が残業代わりますとかないもんね
お菓子作る余力があるなら仕事しろって思うし
東京行くほどの気力と体力あるなら仕事しろって思うし
お菓子でお詫びとか言って自己顕示欲の塊だろって思ってしまうし感謝を搾取してる
押尾さんの言葉が、自分の言えない思いを代弁してくれた
あまりに的を得ていて物語なのに怒りが爆発しそう感情的になってしまった
せめて芦川さんがチヤホヤされてる時とか
自分のせいで他の人が不利になってる時に
コッソリほくそ笑んでいるような女であって欲しい
正々堂々嫌いでいられる -
Posted by ブクログ
古いしきたりを感じる職場環境が舞台。
弱いものが上の立場の人、またはそれと同格の権力を持つ者に守られる環境にあり、言葉にしてその人を持ち上げないと嫌な雰囲気を感じる。
懸命に残業までして働く人がいる傍ら、普段定時で帰るのに、体調が悪く早退するのにお詫びとしてお菓子を作ってくる人がいる。
確かに体調不良で早退は仕方がない。けど、残業してでも貢献する人がいるのにお菓子を作る時間があるのは、私はイケ好かないと感じた。
そもそも職場環境が悪いのは前提ではあるが、不平等極まりないなと思ってしまう。
何も定時で上がるのは悪くないし、オフの時間に何をするのも構わない。だが、なんか…なんか癪に触る!そんなものを感じながら読ませてもらいました。
色々と考えさせられたし、モヤモヤしながらも読む手は止まらなかったです。
素敵な本です。ありがとう。
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Posted by ブクログ
本屋さんで見た表紙だなと思い拝読
前知識はなかったためおいしいごはんが出てくるのかと思いきや全く違う話だった
ケーキをあんなに美味しくなさそう、というか、ただ口に入ってる異物を飲み込むように書けるのすごい
職場のあるある話だった
仕事ができない人、配慮が必要な人、色んな弱い人が結局は得だし勝者で、周りの人は頑張っても大概損することが多い
芦川さん、ケーキ作る暇あるなら仕事してよって思うし、周りに食べさせるのもやめてって思った
しかも食べたくないのにお金払わされるの罰ゲームかな
とあの場の一人だったらそう思いそうだ
ケーキを捨てたのは私たちかもしれない -
Posted by ブクログ
これは好きなタイプの小説。
リアルに身近にいそうな人を描写している。
面白くて一気読みした。
二谷はどんな気持ちで押尾のいじわるに乗ったのか完全には理解できなかった。可愛くていじらしい芦川を痛めつけたい願望だったのか、食を暗に強要してくることに仕返ししたかったのか、特に意味はなく同調したのか。
女が無能だと思った瞬間から性欲が湧くというような表現から、芦川は結婚相手として最適だし、いやもう家庭の中だけにいてくれと思った。
男性心理を細かく描写するような本はこれまで読んでなかった(印象に残ってない)ので、二谷が等身大の男性なのかと考えさせられた。
最初から最後まで楽しめた。 -
Posted by ブクログ
髪が抜ける謎の感染症が流行し、はげ頭が当たり前になった社会。髪にコンプレックスがあった人はホッとするでしょうね。
抜けちゃった人々は、はげ頭生活に順応してるふうでどこかでモヤモヤも。そのうち「逆に生えてる人ってなんなの?」という空気も漂ってきます。わかるー。
そんな中、皆と同じようにいったんは抜けた髪がなぜか生えてきた主人公・真智加。彼女は髪をウィッグで隠しながら密かに伸ばしていきます。切ったり剃ったりしてのびのびと生活しようとはせず、バレないように苦労してでも隠して伸ばしている、そこがなんか妙にリアル。わかる気がするー。
幼少期に通り魔的に髪を切られた高校生・琢磨も、そこに異様に縛られているのが不憫です。
「当たり前」がいきなり大きく変わった時、そこへの向き合い方も人それぞれで、めっちゃ複雑なんだよなぁ。 -
Posted by ブクログ
読み始めから衝撃的だったけど、読み進めてもまた更に衝撃的で、最後まで読んでもしばらく考えてしまった。
ここまでではないにせよ、自分にもとても刺さる話で…「割に合わない」「不当感」…もやもやとした気持ちをこんな風に言語化できるのか。
心の中では飲み込めない割り切れない気持ちを正直に感じながらも、友達や恋人や同僚などには相手によって言動に気を回し…大人になるほど処世術として身についていくけど、苦しいよね…と思いながら。
読みながら辛くなってしまうこともあったけど、嫌な気持ちのまま読み終わるでもなく…なんとも表現が難しい初めての読後感でした。
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Posted by ブクログ
身近な人が、たぶん大事なはずの人が、
狂っていくのを見ているのは、
どんな気持ちなんだろう。
巻き込まれて、自分も狂ってしまえれば、
ある意味、幸せなのかもしれない。
この人は今、どの程度おかしくなっているのか。
わたしは今、この人をどの程度、愛せるのか。
始めかたも、終わりかたも分からない世界。
外に正解を求められない問いを抱えた物語は、
いつもちょっと、息苦しい気持ちになる。
いったい、どうするつもりなんだろう・・・
そんな風には思うのだけど、どうなったら正解なのかも、どうなって欲しいのかも、わたし自身分からない。
だから、俯瞰的に見ているはずのわたしまで、
一緒に気持ち悪くなったりしてしまう。
この物語もすごかった。
薄くて、簡単に読めると思った。
すぐだなって。
でも、立ち込める空気の密度がとんでもなくて、とてもじゃないけど、一気にさらっとなんて読めない。
三分の一くらい読んで、顔を上げたときには、ぐったりしていた。
濃密な思考と、リアルに迫る描写。
すっかり取り込まれてしまって、吐き気を感じたくらい。
中盤から、少し霧が晴れるような気配を感じて、もつれるように物語は加速する。
加速して、もつれて、止まれない。
そうしてたどり着いた最後に、
なんて言えばいいんだろう。
誰かと語らないとおさまらない気持ちと同じくらい、誰にもぜったいに語りたくない気持ちが残る。
つまりは、そういうすごい作品だったと思うんだけど、うん、たぶん、こんな書き方じゃ、全然ちっとも伝わんないんだな 笑
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Posted by ブクログ
普段、世の中の理不尽さも然り、社会で見せる自分の顔と普段の顔も然り、納得いかないこととそれを表面に出さないことが多くあるため、刺さるかもと思い購入しました。
いざ読んでみると、結婚式や電車についてはとても同意でき、持っていた嫌悪感や負の感情は自分だけじゃないんだ!と、共感しながら読みました。
途中から、主人公・直子の裏の顔に苦しくなり、自分はここまでじゃないなという安心感に似た感情と、こんな子周りにいたら嫌だなという感情になりました。
自分はここまでじゃないという安心感や周りにいるな!と考えている時点で自分も「いい子」に見せかけた人間かもと思いながら…。