高瀬隼子のレビュー一覧

  • おいしいごはんが食べられますように

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    ネタバレ

    どこにでもある会社の、どこにでもある人間関係。

    最初は押尾さんが悪いのだと思っていたけど、読み進めていくうちに、芦川さんのような女性を思わずにはいられなかった。
    どんなコミュニティにも、周囲から守られ、甘やかされる人がいる。そして、その人のために、周りの人が仕事や負担を引き受け、後始末をすることになる。
    誰か一人が明確に悪いというわけではない。それでも、そこには確かに不公平さや、言葉にしにくい不満が存在している。

    読後感は最悪。決してハッピーエンドではないし、すっきりする結末でもない。
    モヤモヤした感情を抱えたまま、いがみ合い、何も解決しないまま終わる。それがこの物語にとって1番いい終わりだと思いました。

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    2026年10月27日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    どこにでもあるような会社の一部署の人間関係を食を介して描いていて、面白く読んだのだが、気になったのは「わたし」という人称である。

    押尾さん、芦川さん、二谷さんが主な語り手として出てきて、押尾さんだけが地の文で「わたし」になる箇所がある。

    あまりにも気になるのでkindoleで検索すると地の文に118箇所「わたし」が出てくる。他の人も当然会話の中で「わたし」を用いるが、地の文に出てくるのはすべてが押尾さんなのだ。

    もちろん作者は自覚的にそうしているはずだが、なぜか読み手である「私」は、いつ三人称になった押尾さんが「わたし」に戻るのか、最後まで気になってしかたがなかった。

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    2026年10月26日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    芥川賞受賞作だけど、文章が読みやすく、短いのですぐに読めた。他の本では味わえない、不思議な読書体験だった。

    食べることが好きな私にとって、主人公の食に対する考え方には共感できなかった。ただ、その考え方が丁寧に描かれていたので、理解することはできた。

    一方で、主人公が彼女と付き合っている理由は最後まで分からなかった。しかも、いずれは結婚しようと考えているのも謎だった。でも、こうした理解しきれない部分が残るのも、芥川賞作品らしい気がする。

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    2026年10月26日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    帯に「忙しすぎるあなたに読んでほしい」と書いてあって、タイトルが「おいしいごはんが食べられますように」。
    そこから得られる読後感を勝手に想像していた。
    実際には、真逆の読後感だった。

    かなりくらった。
    1人では抱えられなかった。
    誰かに話して安心したくなる。
    解説の一穂ミチさん、ありがとうございました。

    タイトルからは想像できない物語だったけど、言われてみれば納得もする。
    雨の日の読書にちょうどいい気がする。
    ただ気分が落ちてる時にはおすすめしないかも。

    人間は話しながらいろんなことを考えているものだと思うけど、押尾さんや二谷さんのように、相手の思考の裏や気持ちをこんなに疑ったり、嘘を伝えたりするものなんだろうか。
    仕事以外では、できるだけ会いたい人としか会わない環境を作るようにしているから、ご飯を食べながらこんな会話をしてたら、とてもしんどいと思った。
    こんなふうに会話する相手とご飯を食べないでいられる自分は幸せなんだなぁ。
    押尾さんとも二谷さんとも芦川さんともご飯を食べたくないもの。

    そういえば、マッチングアプリで出会った口下手な彼はとてもいい人だったんだと気づいた。会話に嘘も疑念も見られなかった。
    2度と会わないけど、どこかで幸せになっているといい。

    この本には世にいう「良い人」って出てこない。
    「良い人」であろうとすること、よく生きようとすることはやめたくないと思った。

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    2026年10月25日
  • 新しい恋愛

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    不思議な恋愛小説。少し遠いのにとてもリアル。
    いつから、あなたが好きという感情に自分だけの気持ちだけを信じて溺れられなくなったんだろう。
    好きな人の社会的評価、異性評価、同性評価、、、
    気にしてないって言い切りたいけど、社会的だったり同性から好かれてると誇らしく感じてしまうのは、私も気にしてるから?気にしてないんだけど、存在してる気持ち。気付かされて痛い。矛盾だらけで怖い。

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    2026年10月25日
  • 新しい恋愛

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    こんなにキュンキュンしない恋愛小説はないんじゃないか、高瀬さんらしい…と一つ目のお話を読んで思った
    恋愛と、それを取り巻く社会。どうしても他人からどう思われるか、社会的に見てどうなのか、という目線なしに、恋愛におぼれられない。すごくリアルで面白かった。

    「新しい恋愛」
    恋バナしよう、とウキウキ話す中学生の姪っ子と2そろそろ26になるわたし(主人公26、、)の恋愛に対するギャップが新鮮
    「仕事の愚痴や健康といった別の話題の延長ではなく、くっきりと恋愛だけを分けて話題にするなんて、もう長い間意識していないことだった。
    私も中学生の美寧々との間で違う意味を持つということを頭では理解しているつもりでも、なかなか気持ちが追い付かない。」

    「いくつも数える」
    一番ブスブス刺さったな
    「気持ち悪い」という感情がわからないわけでもない、そんなこと思ってしまう罪悪感も共感する。でもそんなこと、できるだけ話題にしたくないけど、そこを描く高瀬さん…一言で表せない人間のごちゃごちゃの感情、読んでて一緒にごちゃごちゃになった




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    2026年10月24日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    なんだか、モヤモヤしたまま読み終えた。
    でも、実際芦川さんみたいな人が職場にいたら、納得いかないけど嫌な人にはなりたくないからみんなと同じようにするだろう。あの職場の人たちは同調圧力のせいで迷惑と言えないのか本気でそう思って彼女を助けているのか気になる。似たような事は弱者に合わせる風潮がある限りどこでも起こりうる。
    二谷は、一生美味しいって言い続けるんだろう。

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    2026年10月23日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    なかなか面白かった。まさかタイトルとは真反対の内容とは。子供の頃食べるのが苦手だったのでなんとなくお腹がすかなきゃなんでもいいやと思っていましたが、そんな考え方が物語になるとは!しかも、どこにでもあるような人間模様になぞらえて面白い。モヤモヤするけどさらりと読めて良かった。

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    2026年10月21日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    なんかわかるなあって思った瞬間、私は一生芦川さんになれないんだと悟った。

    弱くて可愛い女性って最強よね。
    泣いたり、弱者ムーブすればおじさんが味方になってくれるから。
    芦川さん側の視点はないからホントのことは分からないけど、上手に生きてるなあと思う。
    頭痛で早退したのに翌日立派なケーキを作って登場することが本気でみんなへの償いと思っているところとか、ケーキが捨てられたときに、自分が辛いっていうんじゃなくて世界には食べたくても食べられない人がいるんですよって言うところとか、
    間違ってないんだけど人間味がないというか、モヤモヤするなっておもう。

    もし芦川さんが、本当に心からそう思う人なら、すごく大事にされてきたんだなって思うよ。
    そもそも料理ってすごく儚いもので、それに時間をかけるってすごく贅沢な行為だと思うんだよね。
    それが当たり前と思ってるところとかもそう思う要因かな。

    飲み会でのご飯がまずいのも分かる。というかそもそも味がしない。色んな人に気を使って話周りだし注文したり、そういうことした後って無性にジャンクなものが食べたくなるんだよねー、
    それがいちばん美味しい。

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    2026年10月21日
  • 新しい恋愛

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    高瀬隼子さんが書いている時点で、普通の恋愛短編集を想像していたわけではなかったんだけれど、それでもまったく想定外の角度から書いてくるところが流石です…となった(笑)読むまで自覚できていなかった独特な感覚を引き出してくれる短編ばかりだった。

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    2026年10月20日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    ほんわか系を予想してたら人間のホラーだった。
    通勤電車の数分で読んでいたのにあっという間に読めてしまった。
    表紙とタイトルに対して内容が違いすぎて人に勧めたい本、読む前からの裏切り度⭐️5

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    2026年10月19日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    ​弱い人、それも社会をうまく回すために頑張っている、正しくて強い人を排他する空気感が本当にリアルだった。
    弱い強いの基準に共感した私は、押尾さん寄りの人間なのだが、
    ​私も働いている上で、頑張ってる人が報われない瞬間とかに対して若干イライラするときがある。
    私できないこととか権力・権威がないことを上の人やできる人に押し付けて甘えている中で、なんとか強い自分であろうとする。ありつこうとする。
    その苦しさがあるから、強くない人に対しての差別意識みたいなのが自分の中でも芽生えてきてしまう。
    ​このやりづらさだったり、自分で感じている同調圧力への違和感が、この本を読んでようやく腑に落ちた気がする

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    2026年10月19日
  • 新しい恋愛

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    ひそかに思ってた、
    でもタブーだと思われそうで言えなかった
    気持ちを言葉にしてもらって
    私だけじゃなかったと安堵する
    何が正解かなんて見つからないけれど

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    2026年10月18日
  • 新しい恋愛

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    見たことも体験したこともないのに、あー聞いたことあるなとか自分が経験した事があるかのような気持ちになる
    なんて日常の切り取り方がうまいのだろう
    日常の自分では言葉で言い表せない出来事を素敵な言葉で繋いでいる
    面白い

    私は花束の彼が1番好きでした

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    2026年10月18日
  • いい子のあくび

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    「いい子」だと思ってもらえるように、愛想よくしたり、本音ではないことを言ったり…。
    社会に馴染むためにはある程度必要なスキルなんだろうけど、だんだん苦しくなっていつかは気持ちが壊れてしまいそう。そんな現代人の葛藤をリアルに表現している作品だなと感じました。
    自分も、例えばですが、怒りたくても周りからの印象を気にして怒れず、優しく寛容な人を演じてしまうことがよくあるなーと…。

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    2026年10月18日
  • 新しい恋愛

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    様々な恋愛の形を表現した5つの短編集

    共感できる部分ばかりではないけれど、そういう考え方もあるんだなって感じられる読みやすさがある
    この感覚は以前読んだ「いい子のあくび」や「おいしいごはんが食べられますように」にも共通している

    表題作「新しい恋愛」が個人的には一番好き
    「情だけが残ったのだ。
    感情の中から恋愛が抜けて、わたしが持てる限りの他者への情だけが残った。」

    「いくつも数える」では50歳課長の年の差婚が津野さんに与える心の揺れを見事に描ききっている

    心の一番奥に触れる高瀬隼子さんの作品をもっと読んでみたい

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    2026年10月18日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    人間はみなブラックな部分があって当然だ。これが明るみに出たら社会的に死ぬ、そんな思いを持っている方が人間として自然であるように思う。そんな純度100%の"人間"を描いた作品。二谷の、食べるという行為への嫌悪は、少し触れられていた母への抵抗が主であるだろうが、そこに加えて芦川さんへの、自分とは違う世界にいる人と一緒になってたまるか、という足掻きにも似た感情を感じた。ろくでもない自分で良い、ろくでもない自分だから愛せる。積極的に、昨今の健康の流れから敢えて遠ざかる道を二谷が選んでいるのは、ある意味自分に正直であり続ける選択の結果だろう。

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    2026年10月17日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    ネタバレ

    「食事の際に『美味しい』と評さなければならない圧迫感」という非一般的な主題のもとで、職場の男女関係の生々しさについて皮肉的に表現している作品。

    個人的には作者の食事観が特に印象的だ。食事というのはそもそもが生きるのにかなり前向きな営みであるのに、そこに「美味しい」だの「形が綺麗」だの、余計な価値観まで付与し始めてしまったら、確かにお腹いっぱいになってしまう気がする。

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    2026年10月15日
  • 水たまりで息をする

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    心情描写が丁寧で、生々しくて、いろいろな感情になった。愛するとは、正しいとは。

    もし、自分のパートナーがお風呂に入らなくなったら、わたしはどういう行動をとるのだろう。
    きっと主人公の女性とは違った行動をとるけれど、それも側から見れば生々しいものになるのだろうな。

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    2026年10月15日
  • 新しい恋愛

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    後書きを読んでたしかに!!と思ったけど、恋愛小説なのにほとんど恋愛が成立してない。
    そういう意味でも「新しい恋愛」小説かもしれない。

    どの作品も恋愛が出てくるけど、心からの燃え上がるような恋ではなく、頭で考えて恋をしている感じ、大人で、嫌だなぁと思う。けど、これが実際いちばんリアルだ。そういう意味では学生には読まないで欲しいな。美寧々のようにショックを受けるかもしれない。ま、いまの子たちはませてるから、私なんかより遥かに恋愛経験があるかもしれないが…。

    高瀬さんの嫌な感じの書き方がクセになる。どの作品もちょっと角度が変わってておもしろい。

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    2026年10月13日