高瀬隼子のレビュー一覧
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主人公の直子には恋人の大地に見せる顔、職場の先輩の圭さんに見せる顔、友人の望海に見せる顔等様々な顔がある。
それは単純に裏表ということではなく、それぞれに合わせた言動をとることにより「良い子」を演じているということで、どれも表であり裏でもある。
歩きスマホで顔を上げずに歩いてくる人間が許せない直子は、スマホを見ながら自転車を漕ぎこちらに向かってくる中学生と接触する。避けようと思えば簡単に避けれたが、直子はある種の意地でそうせず、結果としてちょっとした事件になる。
直子はそのことを大地に言うことができない。大地は中学校で教師をしていて誰も見ていなくても赤信号を守るような性格だし、大地の前ではお淑 -
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ぶつかったる。
つまり、よけてあげない、ということ。
大抵の人は、ぶつかりたくはない。
しかし、突進してくるのは、相手がよけるだろう、と思って疑わないから。
避けるだろうと思う、根拠は、なにか。
なめてんのか、ってやつ?
そんなこと、思ったことはなかったけど。。
無意識下でやりとりされる、本能的な行動のような。
バインダー持って立っていたとき、ふと、バインダーを避けてあげていた、自分に気付き、今度も同じルートできたら、避けてあげない、と意図して思った。
そしたら、同じルートで、また来たので、避けてあげなかったら、ぶつかりました。
バインダーがぶつかって痛かったでしょうか。でも、ぶつかり -
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『おいしいごはんが食べられますように』を読んでまず感じたのは、これは職場を舞台にした人間ドラマではなく、「優しさ」とは誰のためにあるのかを問い続ける作品だということだった。
物語の舞台は、ごくありふれた職場である。仕事を淡々とこなしながら周囲との距離感に悩む二谷、誰からも気遣われる存在でありながら職場の空気を変えていく芦川、そして二人の間で揺れ動く押尾。大きな事件が起こるわけでも、悪意に満ちた人物が現れるわけでもない。それでも職場で交わされる何気ない会話や食事、配慮や遠慮の積み重ねが、人間関係の歪みを少しずつ浮かび上がらせていく。その息苦しさはあまりにも現実的で、読み進めるほどに自分もその職 -
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夫が突然お風呂に入らなくなることから物語が始まる。私は割と最後の方まで、なぜお風呂に入らなくなったのか、何がそんなに嫌なのか、どこかで明らかにされると思っていた、がそんなことはなくて。
衣津実も、お風呂今日も入らないの?と促したり、病院を探しはするもののそれ以上はしなかった。でも、私が衣津実の立場だったら、お風呂今日も入らないの?と何度か促しても断られたり、本人の強い意志を感じればそれ以上は多分言わない。彼がそうしたいならそれでもいいか、と思ったり、彼に嫌われたくないと思ってしまうから。
お風呂に入らないなんてたしかに普通では無いけど、精神系の病院に連れていくことが正しいのか、は分からない -
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ネタバレ言語化できない、言語化するのが躊躇われることを、こんな面白い話に昇華できるのが凄いなと思った。
大人になってから何度、何度も「どうして私が避けないといけないんだ」「そっちが避けないならこっちも避けずにぶつかってやる」と思ったことか。そしてぶつかるなら肘突き出して痛い思いさせたいとまで考えたりした。横断歩道で、真ん中を普通に走っている自転車もムカつくので避けたくないし、横から蹴り飛ばしてやりたい。実際にはそんなことする勇気出ないけど。しかも避けない人間に限って、チラって私の事確認して避けない選択肢をする中年男性が多いことか。女性を舐めている世代。
そういった不満が言語化されて、確かに私こんなこ -
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タイトルからほのぼのストーリーかと想像してたのに、びっくりするくらい嫌な人しか出てこなかった。それなのに一気に読み終えた。嫌な人だなと思いつつ、今まで言語化してこなかった、自分の中の黒い気持ちに気づいてしまう時間でもあった。ここまでではないけど、芦川さんも藤さんも原田さんも、きっとどの職場にもいる。だからこそ、押尾さんの気持ちが嫌というほど理解できてしまう。体調のこと、育児のこと、介護のこと、皆事情を抱えてる。誰もが働き続けられる未来を目指すのが世間の風潮なのだから、それに適応しなきゃいけないことはわかる。でも時々、ずるいなあ、とは思う。私にも“事情“がないわけではないのに。これを言語化するこ
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自認“いい子ぶっている私”にとって、「共感したくないけれど気持ちが分かってしまうなぁ…。」という瞬間が何度かあった。
「分かってしまうなぁ…。」なのだ。
分かりたくなかった反面、自分と似た腹黒い考えの人間がいることに安心した。正直。
しかも、「ここまで悪どいことは考えていない!共感できないわー!」と思わせてくれる行動があるから、余計に安心するのだろう。
人の悪い部分をみて、自分はまだ大丈夫だと思う私の心…。
作者の策略にまんまとハマっている気がする。
あと、結婚式の捉え方が面白く、そういう見方や考え方もできると、妙に受け入れられた。
内省・内観が好きな私には、なかなか刺さる1冊だった。
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食べること・人とおいしさを分かち合うことがなによりも大好きなわたしなので、このテーマにはまったく共感することはありませんでした。ただ、こういう考え方の人もいるんだな、そりゃいるよな、と勉強にはなった。けど、筆者もちゃんと理解しないままかいているんじゃないの?っておもってしまうくらい、本当に分からなかった。
たしかに、なにも好き嫌いがない人やたくさん食べる人ってえらいっていう風潮ある。わたしも何も好き嫌いがないから、それだけで褒められて、ラッキーってずっと思っていた。
それにしても、芦川さんも好かないけれど、なにより二谷がほんとうにきらい(笑)なんで自分がいつも正しいみたいな顔して、そんなにも -
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ご飯を食べることが大好きな私が、食べることに初めて嫌悪を感じる作品だった。
男主人公が食べることがあまり好きではないから主人公フィルターで見ることで、
食べることに嫌悪を覚えるというのはあるんだけれどもそれ以上に、
食べ物を通して、他人と感想を共有しなければならない煩わしさ
食べ物に感謝、感動しなければならない鬱陶しさ
人から食べることを強要される恐ろしさ、怒り
そういった感覚や描写が秀逸で、自動的に自身の食べるという行為が思い出され嫌悪感を覚えたのだと思う。
タイトルからは想像できないほど、人間関係や人間の内側のドロドロを描いた作品だったけれど、
「おいしいごはんが食べられますように -
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文庫化したタイミングで、ナツイチで話題になっていた作品。
中々に、グサッとくるシーンやセリフが多かった!
ストーリー設定は至ってシンプル。
「夫が突然風呂に入らなくなった」
水道水がカルキ臭く感じてもう無理とのこと。
体を洗うのに使うのが、ミネラルウォーター→雨→川と、次第にエスカレートしていきます。
「夫の体からすえたにおいがしていて、服にいくら消臭スプレーや香りの強い柔軟剤を使っても、もう隠し切れなかった。」
→始めのうちはスルーできていたレベルのにおいも、水で少し流すだけではどんどん誤魔化しの効かないレベルになっていく。
大好きな人がとんでもない異臭を放つ存在となる。
この絶望は凄いのだ -
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高瀬隼子さんの本を読むのは2冊目。こちらがデビュー作ということだけど、デビュー当時から独特の小説全体に漂うモヤモヤとした雰囲気は健在だったのですね。
すっきりとした文章の行間に彼女の持ち味でもある「行き場のないフラストレーション」や「常識から逸脱した考えを持つ難しさ」みたいなものが染み出してきて、読み手を得体の知れない不安感で包む。
夫の浮気相手に「子供もらってください」と言われた主人公の薫が、そんな突飛な願い(そして浮気した夫)にどう向き合うか、というお話。子どもを特別欲しいと思わないという自分の気持ちと、そんなこと言わなかったのに密かに欲しいと思っていた夫の願いを尊重したいという気持ち -
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ネタバレこれまで普通に働いていた夫が、突然お風呂に入らなくなる話。
高瀬隼子さんは、不快感を描くのが抜群に上手い。夫の汚れていく過程がリアルで、嗅覚が過敏なわたしは文字を読むだけでもちょっと気分が悪くなるほど。
そんな夫を否定せず、寄り添う⾐津実は気長というか、こういう愛情もあるな‥と読み進めていくと、だんだんとそんなきれいでシンプルなものじゃないと気付かされる。
幼い頃に雨上がりの川で拾った魚「台風ちゃん」と彼女の関わり方から見えてくる、彼女の本質が怖い。そしてそれを踏まえた上でラストを読むと、本当に狂っているのはもしかして⾐津実なんじゃないかとすら思ってしまう。
ここからネタバレを含むけれ