高瀬隼子のレビュー一覧
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高瀬隼子っぽい、気持ちはわかるけど、なんかゾワゾワする感じの小説。
歩きスマホの人をよけずにぶつかっていく女性の話。
私もイライラしているとき、混んでいる駅で(歩きスマホの人に限らず)あっちが何も考えず歩いてきて、「なぜこっちが道を譲らなきゃいけないんだ!」と思って、なるべく 道を譲らないことがある。普段は無意識に譲っているのに。
この主人公は体の大きな彼氏といる時はバリアが張っているみたいにあっちが勝手に避けてくれるけど、1人の時は避けてもらえないと言っている。
私は意識したことないけど、そうなのかも。
意識しだしたら余計道を譲りたくなくなってしまうかもしれないな〜。
この小説では歩きス -
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確とした輪郭を持たない感情。
愛だか恋だか欲だか気の迷いだか分からないものを掬い出した物語。
思い起こせば、そのうちのどれかだったんだろうなあとは思うのかも。
私は今年56歳になりました。
愛だか恋だか欲だか気の迷いだか。
が、あんまり体のなかから湧き上がらない予感がします。残念ながら。
ところで。
「いくつも数える」
歳の差のある関係への違和感。
いろいろある「差別的な感情」の中で、男性高年齢者に対する差別を、少し相対的に扱っていることに筆者のバランス感覚を感じた。
進歩的であることと、現代的であること。
それは決して、生きやすい、より優れた社会になることと同義ではないのだろうと思う。 -
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後味悪さにゾクゾクします!
いい意味で!
小説を読むようになってからと言うもの、
好きなジャンルは優しい物語だったり、
再生の物語だったり、少しの悲恋が混ざる恋愛小説や、
歴史小説、ミステリーなど。
人に薦められたものはどんどん読んでいきたいし
少しでも自分の中の選ぶ選択肢を増やしたいと思っています。
遅咲きの読書家であるが故、
まだまだ知らないものの多さに心が躍る日々ですが、
高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」
は、
いやー人間関係って本当に嫌だなー、と素直に思わせる一方で、
小説としての読み応えに読む楽しさを味わえるものでありました。
読み手の心情をこんなにも抉ってく -
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学生時代に卵巣の手術をしてから、性行為に消極的な薫。彼女の恋人で薫の事情を受け入れて性行為なしの半同棲をしている郁也。しかし郁也は、お金を払って知人のミナシロさんと性行為をした結果ミナシロさんは妊娠。ミナシロさんも郁也をお金の関係と思っていて堕胎したくないけど育児もしたくないからと、薫に「あげる」ことにする。薫はその提案に対して悩み…
というお話。すばる文学賞受賞作。タイトルは、子どもよりも飼っていた犬のほうがかわいいと感じる薫の心情。婚姻とか出産とか、地方出身の薫にとっては重荷となる人生の選択よりも、単純に飼っていた犬への愛が勝るという。この薫は家族のことも愛していて、でも子どもについては -
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数々引っかかる箇所があり、覚えておきたい文章が出てくる。が、ラストに驚いてしまって色々忘れてしまった。
解説の水上さんが言っていることも分かるのだけど、個人的な意見としてはちょっとずれる。でもそれをうまく言語化できない。悔しい。人それぞれの感じ方がある本だと思いました。
台風ちゃんと夫、都会と田舎の他人の視線、両親のやりとり、義母の干渉、そして何より衣津実の相反するような思考の仕方。気になる箇所が盛り沢山でした。水たまりの行き場のない閉塞感、タイトルを改めて見て苦しさを感じたり。
高瀬さんの本は色々な方の感想を知りたくなってしまいます。私の解釈をうまく言語化できないからこそ、近い考えの人いてく -
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ネタバレこれまでの高瀬先生作品で一番癖を感じず読みやすかったなと振り返ってみると、いややっぱり特殊めな設定だなとも感じる。
ラストの歳の差婚の話は、自身もそう言われる歳の差の夫がいるので、あまり他人事には思えず。
気持ち悪いって思うのもわかるし、でも私たちは歳の差の部分じゃない所に重きをおいて結婚してるんだよ、というかじゃないと幾ら若くてもこの妻は扱いにくすぎるだろと思う。
若い子がいいという世の中の風習?が広まりすぎてるからこそ逃れられない呪縛だよな。歳なんて所詮数字で、その歳になるまでどれだけのものを積み重ねてきたかはその人次第なのに、インパクトが強いからそれだけで物事が語れてしまう。
表題作 -
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ネタバレ「おいしいごはんが食べられますように」の高瀬隼子さんらしい、恋愛短編集なのにぞくぞくもやりとさせる現実的な描写が面白かった。
結婚はしたいけどプロポーズはされたくない気持ちの奥にある欲望とか、歳の差恋愛に対する反射反応とか。身近にありそうでない、なさそうである状況なんだろうなあ。
恋バナは万国共通だけど誰も自分以外の恋愛を本当に知ることはできないんよね。人から聞く恋バナ以上に、この本の5つの恋愛は登場人物の恋愛を深く知ってしまった感覚になった。
やーーこの人の本いつも感じたことを言葉にするのが難しい。
あと、他人で関係ないのだから気にしなかったらいいのに勝手に嫌悪してしまったりこれはひどく -
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良かった。
私の好きなトーンの小説。
風呂に入らなくなった夫、雨で身体を洗う夫、社会からドロップアウトしついには川で身体を洗い無駄なものをそぎ落としていく夫。
主人公は、彼に寄り添ってはいない。いくつもにある選択肢の中から、そうした方が良い方を選んだだけ。
最終的には、主人公の飼っていた、臭くて気味の悪い魚「台風ちゃん」のように夫を手放した。
持ち堪えてしまう彼女と、狂っていく夫との境界線、その線はいつだって越えられると思っていたが、その一方で、その線が、割れ目が裂けて取り付く島がなくなることを願っていたのではないか。
主体性を持ち、動くことは相当なエネルギーが要る。
最初の時点で夫を病院に -
Posted by ブクログ
ネタバレ「花束の夜」ひそかにつきあっていた先輩社員が退職。その送別会の夜に…。
飲み会終わりの空気感の描写がすごい既視感あり過ぎて面白かった。ようやく帰れると並んだ顔のうちのいくつかが正直に言っているっていう文章好き。
「お返し」バレンタインデーに渡されたのは、チョコレートだけではないかもしれない。
好きだった人の記憶に十何年と経っても残り続けることができるのは確かに一番のお返しかもと思った。
「新しい恋愛」プロポーズされたくない25歳の私と、まっすぐに恋愛を語る中学生の姪の2日間の物語。ロマンチックな言葉でプロポーズされたくないけど結婚はしたい主人公はちょっとワガママと思った。言葉に責任をとって