高瀬隼子のレビュー一覧
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主人公の「いい子」でありながら、同時に「やな子」でもある姿がとても印象に残った。
周囲の無頓着さや鈍感さによって、自分ばかりが割を食っているように感じる。なぜ気づいている自分が尻拭いをしなくてはならないのか。なぜちゃんとしている側ばかりが損をするのか。
その静かな怒りや不公平感に、「そうだよな」と何度も共感してしまった。
気づいているのは自分だけ。
鋭いのは自分だけ。
本質を理解しているのも自分だけ。
自分にも、そんなふうに思っていた時期があった。
だからこそ、主人公が世の中に対する報われなさを抱えながら、自分なりのやり方で凌いでいる姿を簡単には責められなかった。
ぶつかりであり、手帳であり、見下しであり。
もちろん、どれも褒められたことではないと思う。それでも、それらは彼女が何とか自分を保つために見つけた方法なのだと感じた。
表題作のほかに収録されている『お供え』『末永い幸せ』の主人公たちもまた、それぞれに生きづらさを抱えながら、自分なりの凌ぎ方を見つけている。
正しいとも、間違っているとも簡単には言えない。
ただ、三者三様に何とか日々をやり過ごし、自分を守りながら生きている。
その姿を読んでいるうちに、彼女たちの今後が少しでも穏やかなものであればいいと、祈らずにはいられなかった。 -
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ネタバレ何ができたらいい子なんだろうかと考えさせられる。自分だけが嫌な思いをするのは割に合わないという考えは非常に捻くれた考えだが、わからないでもない。
ぶつかってくる自転車を避けずにあえてぶつかる。自転車に乗っていた中学生のTwitterを特定して時々リプライする。よろけた中学生に車がぶつかる。車に乗っていた女性が働くスーパーを見つけ出し、アンケートに書こうとする。あまりに陰湿すぎる。でも、それを自分以外に見せることを憚る気持ちは持ち合わせている。
職場の人にも彼にも友達にも話す内容を選ぶ。結婚する相手にもそこまで気を遣っていたら疲れてしまうよな〜と思いつつ読み進めたところで発覚する浮気。本性を見せすぎないようにしていると、人の心は離れてしまうのかなぁ。
誰しも、相手によって自分を使い分けていると思う。友達に話すことと恋人に話すこと、職場で見せる自分と家で見せる自分が違うのは、悪いことではないし、生活していくために必要な配慮でもある。
ただ、相手に合わせて自分を調整することと、相手に嫌われないために自分を抑え込むことは、似ているようで違うということなんだと思う。
前者は、自分の意思で関わり方を選んでいる。後者は、相手からどう見られるかを優先するあまり、自分の感情や欲求を表現できなくなってしまう。
自分を使い分けていても、全員にいい人だと思われることは難しい。自分を守るために選んだ振る舞いが、かえって自分を苦しめ、人とのつながりを損なってしまうこともあるのだろうな。 -
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絶対好きでしょ、と夫が買ってきてくれました。
文芸誌を読んだのは人生初です!
表紙がキラキラでキャラクターもとてもかわいく、所有欲が満たされました♪
内容に関してもベテランから新進気鋭の作家さんまで幅広く、また、芸能人の対談等もあり、お値段以上の読み応えでした。
就寝前にパラパラめくりながら気になるところを拾い読み出来る感じもよかったです。(なので全部読み終えるのに何か月もかかってしまった)
逆に言うと、通勤時には持ち歩けないんだけどね。分厚くて重いし、表紙が高級過ぎてつるつる滑る。
好みの作家さんとの新たな出会いもあって、文芸誌を読むのもいいなあ、と思っちゃいました☆ -
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ネタバレ人間の嫌なとことか思いもよらぬ言動にゾッとする感覚を書くのがうまいな、といつも思う
そんな高瀬節(?)が今回も出てて良かった
どの短編も多分高瀬さん的には完結なんだけど、私はその先が気になるものもあった
心に響いた一節
お返し
「子供の頃って、好きって気持ちの終点が、必ずしも両想いになることじゃなかった気がするんだよね」
「ずっとわたしのことを覚えていてくれるっていう、お返し」
新しい恋愛
「好きを、好き以外の言葉で言い換えてるだけなんじゃないのかなあって、思ったよ。」
特に心に来たのは「新しい恋愛」
14歳の姪があまりにも大人びていて、恋愛の恋も愛も知っているような発言や仕草にこちらまでたじたじしたし、でも的を得ている発言までしてくるもんだからまるで同年代やなんなら年上の方と話しているような錯覚すら覚える
そんな姪に言われるからこそハッとしたり、お父さんの事情を前々から聞かされていたとはいえ飲み込みの速さが怖かった。純粋が故に受け入れれたことなのだろうか。
高瀬さんの作品は思いもよらぬゾッとする言動も妙に好きだけど、改めて物事を考えさせてくれるところも好き
今回は年の差婚について読みながら「自分ならどうだろう」と考えた
たしかに私も好きになった人が一回りも下でも周りからの視線に耐えれなくて結婚はできない気がする
そんな視線よりもまっすぐ相手を見て、あなたがいればそれだけでいい、と私は言えない
でも結婚をした年齢が成人していれば周りで年の差婚があっても私は躊躇いなく心から祝福出来ると思う
でもやっぱり気持ち悪いって思う人もいるよなあ、といろいろ考えながら読むのが楽しかった -
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ネタバレ書かれてないところを深掘りすればそんな簡単なことではないのかもだけど、あえて簡単に言ってしまうと心に傷を負ってしまった夫をもつ妻のお話なんだろう。
正直、最終的にこうはならないでしょっていう感想にはなってしまったのだけど、心理描写の表現が共感できる部分があったり、いやそうじゃないだろっていうところがあったり、自分だったらとか、今の生活で同じようなことがあったらとか考えながら読めた。
途中ちょいちょい出てくる「おままごと」、これはいわれても仕方がないでしょ。とも思った。
最後は、無理やり終わらせた感があるが、逆にこの終わりかたがいちばんリアルなのかもとも思った。
終始、違和感を感じさせられたことで、一気に最後までページをめくらされたのかもしれない。
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高瀬先生の作品は、日々の中で当たり前に流れていくことを流さず、むしろそれらに対して、もし、なんで、を掬うのが秀逸だなぁと思います。
ある日突然、お風呂に入らなくなった旦那の隣にいる奥さんが見ている日々のお話で、さっぱりしているように感じる部分もあれば、生々しいほど人間らしさを感じる部分もあって、淡々とした文体にはきちんとした温度と、厚みが感じられました。
お風呂に入らなくなったからこそ、今まで見えてこなかった旦那の全てが綻んでくるようになった、と解釈するのは安直かもしれませんが、「許したくてしんどい」とこぼした一文に、夫婦の在り方や、自身の在り方や、当たり前に芽吹いては消えていく感情の濃度を感じられて、読めてよかったなぁと思えたお話でした。 -
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ネタバレなんというか結構、しんどかった、薫の気持ちが分からんでもない部分と分からん部分が入り混じって読むのがしんどかった、欲しいのは子どもではなく子どものかたちをしているもの、なるほど、、
女性だからと言ってみんながみんな子どもが好きなわけでもなく、男性も同様で、ただカップルにはそれぞれの考えがあり、一致していなかった場合の事故なんだろうか、、、周囲からノープレッシャーな身で生きているから、きっと私はミナシロさんの提案は受け入れられないしきっと郁也と別れるけど、なんか自分の気持ちだけでなく環境が大きく影響するよな〜など思っていた、もう一度読むのはきっとしんどい、でも読めてよかったな、すごい作家さんだ、、、 -
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初の高瀬先生作品でした。
柔らかい表紙デザインに惹かれて読もうと思ったら、「ぶつかったる」という衝撃的な書き出しから始まり、一気に惹き込まれました。どこまでも人間らしく生きている(でもそれを周りには悟らせない)お話でした。自分という存在が、コミュティが変わると存在自体も変わることを、裏表と例えずに、むしろ裏なんてものはなく、全て表だ。と理解した上で生きている主人公は逞しくて、でもその中にきちんと弱さもあるような気がしました。
感情の奥底を抉るような描写が当たり前に出てくるのに、汚さは一切感じられず、むしろ淀みがなく潔さすら感じるそれには綺麗さすらあって、一気に最後まで駆け抜けた作品でした。 -
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短編3作。
表題のいい子のあくびについて
まず皆さん感じることだろうけど、書き出しがめっちゃ良いです。これから読む方、乞うご期待。
主人公の女性、直子はいわゆる良い子なんですが、自分が良い子だと分かっている小賢しいタイプの良い子です。それが悪いとかではなく、恐らく直子の様に誰だって多かれ少なかれ計算して生きている。ただ行動に出さないだけで日々薄っすらと苛立ちを積もらせているんだと思う。爆発するような激しい感情ではないけど澱みたいに心に溜まっていく何か。その言い表せないどうしようもなさっていうものを、主人公が代弁してくれた気がする。
続編読みたいです。 -
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ネタバレこの方の作品、後味悪いことが多いけど、これは平気だった。設定がぶっ飛んでいるから?
自分は許されるとわかっている人の振る舞い。
割に合わない気持ち。
子供を自分で育てなくても産めば、バツがついても一度結婚して失敗すれば何も言われなくなるって気持ち。
子供は自分たちだけの範囲を超えているから、無責任に他人にあげるという選択はよくわからなかった。
あなた達、子供の気持ち、人生は考えた?自分たちのことだけ考えてない?
というか、結局自分で育てたくなるのね。
子なし・ちょっと前まで独身だったものとしては共感できる主張もあったのになんだったんだ…。
郁也、バカなところが可愛い?の気持ちがわかるような。でも、最後にどうしようって狼狽えてたのは、想像力がなさ過ぎでは…そうなる可能性も十分に考えられたでしょう…。 -
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『GOAT』第3号(特集は「美」)です。この表紙のキラキラ度合いのこだわり! 「美」の特集にちなみ、虹色の輝きを放つ特殊加工(コールドフォイル)が施されています。また毎号ですが、部分的に質感の異なる紙を使用し、視覚+触感こだわりも見事です。
今回の特集が「美」ということで、小説、エッセイ、対談・鼎談、インタビュー、コラムなどで、多彩な作家陣が多様な解釈の「美」のテーマ作品を寄稿しています。多視点から「美」と感じる、人の心理描写が読みどころと捉えました。
また、気のせいでしょうか慣れたのでしょうか、文字ポイントが若干大きくなったような…。5段組がなくなったし、4段組も許容範囲と感じました。これは目に優しいです。改良ポイントに視認性向上もあることに拍手!
ジャンルや執筆陣の多様さは文芸誌ならではですし、だからこそ普段読まない方の文章にふれるよさがあります。もちろんそこに好みは分かれるわけですが、意識して負担にならない程度に読もうと思ってます。新たな気付きや発見を期待して…。
大手の出版社にゆとりがあるからなのか、「採算度外視の熱量」は持続可能なのか!?が気がかりです。ゴート(510円)が発酵して納豆(710円)になったり、存続危機で苦闘(910円)に陥ったりしないよう願いながら、読者として応援を続けたいと思います。