高瀬隼子のレビュー一覧

  • おいしいごはんが食べられますように

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    自分は今新卒だけど、これからこうゆうことが起こっていくんだろうなという絶望感とどこでも一定数芦川さんみたいな人はいるんだろうなと思った。だからといって他の人が素晴らしくいい人か、と言われればそうではないところが妙に現実的だった。共感と嫌悪感の嵐のような一冊。

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    2026年06月04日
  • 水たまりで息をする

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    ”普通”に生きる事の圧力に耐えながら生きる事の難しさ、現代社会では誰しもがその圧力の中に生きていて、何かをきっかけに人は簡単に狂ってしまう、そういった怖さを感じる小説だった。

    東京に住むどこにでもいそうな中年の夫婦の夫がある日職場での些細な出来事をきっかけに風呂へ入らなくなる。
    次第に体臭も尋常ではないほどのものとなり、仕事を辞めざるを得なくなり、地方へ移住することとなるが・・・という話。

    社会では"普通"に生きる事を求められる。
    例えば、ある程度の年齢になったら結婚をして、結婚をしたら子供を持つもの、それが当然だと言うように。

    そこからずれてしまうと異端扱いで生き辛

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    2026年06月03日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    タイトルからは食を絡めたハートフルな物語を想像しましたが、その真逆でした。
    会社内というコミュニティの中で生じる人間関係の湿っぽさが丁寧に描かれていて、自分自身が関わったことはないけれど「こういう人いそうだな」と妙に納得しながら読み進めました。
    なかでも、主要な人物でありながら視点描写がなかった芦川さんが印象的でした。ある意味で強くて、社会を生き抜くための確固たる術を持っているなと感じます。それが無意識のものなのか、芦川さんの目論見通りなのかは分からないけれど。

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    2026年06月01日
  • いい子のあくび

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    冒頭から終始不穏なムードが続く、高瀬さんの作品がどうも癖になってしまう。
    割に合わないと感じる日常で、心の中で思っているけどとてもじゃないけど口にはできない、と掻き消した感情をストレートに言葉で表してくれる。高瀬さんの次回作品も楽しみ。

    「自分の中には心が本当に二つあるのだと思う。裏と表、という単純なものではなくて。悪く言う方が裏で、裏が本当というのは違うだろう、という確信。」(P.66)

    『お供え』のわたしと後輩Aとの関係性も面白く、願わくば長篇で読みたかった。

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    2026年06月01日
  • GOAT Winter 2026

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    私は紙の本も電子書籍も読む。
    媒体にあんまりこだわりはない。
    でもこの文芸誌を作る過程の様子をYouTubeで見て、いまだに紙の本好きが一定数いる理由がわかった。
    私にとって読書は文字を情報として捉えるだけだった。でも本当に本が好きな人は、ページをめくるという行為そのものも読書体験の中に含んでいる。
    作り手はそこをいちばんわかっていて、こだわり抜いてできたのがこの文芸誌。
    本屋で見つけて手に取ったらすぐに理解できた。

    内容も、普段本をあまり読まない層にも届かせようと完結型の短編にしている。
    派手な展開はなくとも日常の中でじわじわ人の心理に訴えかける話が多くて楽しめた。
    ミステリー好きとしては

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    2026年05月28日
  • 新しい恋愛

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    どの作品も愛の形は違うけどどこかプラトニックさを感じた。
    高瀬さんは「おいしいごはんが食べられますように」で初めて読んだが、淡々と物語が進んでいく作風が個人的にとても好きで面白い。
    村田沙耶香さんが好きな人は高瀬さんも好きになると思う。
    一番好きな話は新しい恋愛で、いつかこの物語も手かがれているような恋愛をしている未来が来そうだと読んでいて感じた。

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    2026年05月28日
  • 犬のかたちをしているもの

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    ネタバレ

    年々積み重なっていく、うっすら抱いている違和感や不快感を全部言い表してくれていて驚いた。
    色んな方の感想を見ていると、共感の程度はあれど、これもしかすると同世代のそこそこ多くの女性が感じていることなのかなと思う。
    それにしても私は、そんなやつさっさと別れてその人たちと関わるのやめたほうがいいよ…と思ってしまう。

    きっと女性の読者が多そうだけど、男性が読んだら何を感じるのかなと気になった。
    女性が選択を迫られるたくさんのこと、身体にかかる負担のこと、それによって諦めたり、諦めることで他人と比べてしまうこと、それらについて少しでも考えを深めてもらえたらと思った。

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    2026年05月22日
  • 新しい恋愛

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    多分、お初作家。
    分かるような分からないような恋愛観。
    何故、分かるような分からないようなのかが分からないのをそのままにしておきたくなるのが恋愛なのかもしれない。

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    2026年05月20日
  • 水たまりで息をする

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    高瀬さんの文章は本当に人間を捉える力がすさまじいなと思う。
    世の中のいろいろな小説を読んでいると、登場人物は大抵、悪人以外はまともな人間に描かれることが多く、私はたまにうっすら白けてしまうことがあるのだが、高瀬さんの作品の登場人物は誰もがみんなまともではなく、でも人間ってみんなそれぞれどっか変なんだよなと思わされる。
    高瀬さんの紡ぐ文章がどこまでも冷静でシビアなところが好きだ。

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    2026年05月17日
  • 水たまりで息をする

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    文章を読んでいて何か掴めそうって思えたりもしたけど、結局何も分からないまま終わってしまった。いつかこの感情の答えが見つかるようになるのだろうか。不思議な読後感を味わえた。白黒をつけすぎないことも、きっと人間には必要なことだ。

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    2026年05月15日
  • 水たまりで息をする

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    一年以上積読にしてた本。最近父にお風呂に3日以上入らないのはちょっと…って話をしたばかりだった。この本を読んだあと父はもしかしたら…と思ってちょっと怖くなった。読むタイミングがバッチリすぎてちょっとから更に怖くなった〜

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    2026年05月14日
  • 犬のかたちをしているもの

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    高瀬さんの作品を読むのは2回目だが、本当に文章が生々しくて大好き。同じ女性として経験しているものがそのまま載っているのでスイスイ読める。
    性行為と愛の繋がりは切っても切れない関係であるが、愛の伝え方が必ずしも性行為にはならない。でもそれ以外でどう愛を伝えればいいのか。自分も同じような考えを持っていたので共感しながら読めた。

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    2026年05月09日
  • 水たまりで息をする

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    『おいしいごはんが食べられますように』がとても良かったので読んだ。
    神の視点から描いた『おいしいごはん〜』に対して、衣津実の主観のみで描いた本作は思考の転換についていくのがしんどくて、テイストがちょっと違った。
    読後感は良い。愛だけで片付けられない社会の欠陥を描き出すのがうめえ。

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    2026年05月05日
  • うるさいこの音の全部

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    最初は長井朝陽も早見有日もしっかり分かれていてそれぞれの物語だったはずなのに、いつの間にかふたりが混ざり合って、でも完全に同一化するのではなくて頭の中でこっちの意見とこっちの意見がどっちの言葉が分からなくなって…。
    読んでいると、あれ、今って現実の話だっけ?それとも虚構だっけ?が分からなくなる。どっちの「登場人物」にもハッキリ嫌なやつといえないモヤモヤした感情を抱いたままで、なんか終始息苦しい。

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    2026年05月05日
  • 水たまりで息をする

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    そこが物語のメインじゃないとわかっているのに、もうお風呂のことしか考えられん。お風呂に入っていない夫の描写が生々しくて強烈で、お風呂嫌いのワイもさすがにお風呂の大切さを痛感。途中までは他の高瀬作品に比べていまいちかなァと思って読んでいたのが正直なところなんだけど、物語の終わり方が個人的にすきだったのと、あとは解説を読んで納得した部分もあった。やっぱり刺さるところが必ずあって、相手を心配して必死になることを「愛の証明のような気がして安心する」って表現できるところとか、ほんとこの作家は…(褒め)ってなった。けど、やっぱりお風呂だ。お風呂嫌いなのに、こんなにお風呂のこと考えたことないよ。うあああ。

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    2026年04月29日
  • うるさいこの音の全部

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    最初はなんのことか?と思ったけど、読めば読むほど味が出る(笑)

    普通は言わないこと、でも思っていること。
    そしてそれはある意味とても共感できたりする。
    そんなことがたくさん書かれている。
    有名になるにつれて、苦しくなっていく朝陽の心の叫びは気の毒に感じる。

    私は言いたいんじゃなくて描きたいんです。

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    2026年04月28日
  • うるさいこの音の全部

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    風変わりなタイトルに惹かれ、読み始めましたが…。

    初めから25ページくらいまでの感想は、なんなん?意味わからん!
    前情報も帯すら見ずに読んだので、「芥川賞作家が書く芥川賞作家のデビューの裏側的な作品」と言うことに気づくまでそれくらいかかりました。

    主人公の生真面目さと自信のなさと相反する万能感全てがないまぜになり、他人に迎合するのを厭うのにしてしまう自分を嫌悪しつつも許容する。
    人間って複雑な生き物ですね。

    共感する部分があったり、それは違うなと思ったり。主人公の内面を100%ではないにしろ、詳らかに書いてある作品だなと、思いました。

    ほとんどの人間が、自分が傷つくことにはものすごく過

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    2026年04月26日
  • 水たまりで息をする

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    『夫が風呂に入っていない』そんな一文から始まる物語は、鬱病を描いた作品かと思いきや、もっと繊細で、簡単には言葉にできないものだった。

    地方出身の妻と、生まれも育ちも東京の夫。20代半ばで結婚し、子どもには恵まれなかったものの、穏やかに暮らしていた二人。ところがある日、夫は飲み会で後輩に水をかけられたことをきっかけに、水道水を受けつけなくなってしまう。

    風呂には入れない。でも、ご飯は食べられるし、テレビも観る。会社にも行ける。だから単純に病気と片づけられるものでもない。その絶妙な違和感が、物語に静かな不穏さを漂わせていた。

    変わっていく夫を前に、原因を追及せず、無理に変えようともしない妻。

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    2026年04月25日
  • うるさいこの音の全部

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    何よりタイトルが好きです。
    口に出して言いたくなるテンポの題名。
    別に実際に出しはしないけど。
    と、ちょっとだけこの本の主人公の思考に寄っています。

    果たしてうるさいのは、周囲の人々の声か、それらを含んだ職場の雑音か、主人公が想像しているだけの相手の声か、頭の中で乱反射する思考による自分の声なのか。
    きっと全部なんでしょう。
    この文章の中の全てでなくとも一部分は、作者に起こった実際の出来事なのかなとか、心の叫びなのかなと思う時点で、私も主人公の周りにいる雑音を発する人間と同類なんだなと。

    この作者の、性悪説に基づいたような人の見方だったり、どこへ踏み出す訳でもないような行き場のない思考が心

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    2026年04月23日
  • 水たまりで息をする

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    夫婦仲も良く話し合いもできるのに、「その方が良いから」だけで選択していく2人の成れの果て。
    弱い夫にイラつき共感は出来なかった。が、想像できる上で一番残酷なラストシーンは好き。高瀬隼子さんの筆力はやっぱり素敵。

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    2026年04月20日