高瀬隼子のレビュー一覧
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面白かった!いや、面白かったというより、「興味深かった」。
ストーリーとして劇的な何かが起こる訳でもなく、淡々と主人公の日常が描かれていくのだが、「いい子」でありながら内面に黒いものを持つ主人公の心理描写が秀逸。1人の人間を観察するような興味深さで読み進めた。
つまらない接待の帰りに、会社の人に「すこし酔っていて無邪気に素直に言ってますよ(引用)」、という風を装って「勉強になりました、呼んで貰ってありがとうございました(引用)」とお礼を言うシーンなど、絶妙に面白い。
これが分かる気がするということは、自分にもそんな一面があるということで、そんな自分の発見もまた面白い。 -
Posted by ブクログ
ナツイチで購入したもの。高瀬隼子さんは芥川賞受賞作『おいしいごはんが食べられますように』に続いての二作目です。受賞作は毎回読むようにしているけど、その後別の作品にまで実際に手が伸びる作家は多くない中、この方が他にどんなものをどんな風に書くのかどうしても気になって読んでみました。
本作は3遍収録されていますが、どれも良かったですね。『おいしいごはんが食べられますように』とも共通する、日常の人間関係や社会の動きの中で感じる違和感を描いているのですが、焦点の当て方が絶妙ですよね。誰しも多かれ少なかれ感じたことのあるような感情や違和感も多いのですが、なかなか言語化されたり表出化されにくい暗かったり攻 -
Posted by ブクログ
中途半端な正義感が、いちばんタチが悪い。そう自分に言い聞かせたくなった。
共感したあらすじから、想像した通りの主人公の心の内側を見て謎に安心してしまった自分がいた。実在しないのに、わたしより怖い。わたしより黒い。そんな気持ちを抱いて、わたしはまだ、少しマシなのでは。とか。
でも「割に合わない」「わたしは悪くない」これらはわたしが日常で頻繁に感じるものであり、それがいつの間にか自分の中で「わたしは正しい。だから許される」に変化していってひとつの怪物的感情になっているのも理解している。だから、この作品が妙に面白く、主人公の味方をしたくなり、一歩引いたところから「それはやりすぎじゃん?」とか思い -
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夫が突然お風呂に入らなくなることから物語が始まる。私は割と最後の方まで、なぜお風呂に入らなくなったのか、何がそんなに嫌なのか、どこかで明らかにされると思っていた、がそんなことはなくて。
衣津実も、お風呂今日も入らないの?と促したり、病院を探しはするもののそれ以上はしなかった。でも、私が衣津実の立場だったら、お風呂今日も入らないの?と何度か促しても断られたり、本人の強い意志を感じればそれ以上は多分言わない。彼がそうしたいならそれでもいいか、と思ったり、彼に嫌われたくないと思ってしまうから。
お風呂に入らないなんてたしかに普通では無いけど、精神系の病院に連れていくことが正しいのか、は分からない -
Posted by ブクログ
なんて底意地の悪い文章なの!ってびっくりした。ちなみに、褒めてるつもり。「うおぉ、すご。人の不満をこの解像度で覗き見れるのおもしろ」って思っちゃった。
物語の起伏を楽しむのではなく、人間の嫌な部分を的確に描写してくるその筆致を思う存分に味わった。
前読んだのが「ひと」だったから、温度差がすごい。あっかい湯船からいきなり氷水。
私も日々不満があるし、むしゃくしゃもする。それをもらさず言語化できたらこんな感じなのかもしれない。見てないふりしてたストレスに気づかされる感じ。この作品が私の「嫌だった」という気持ちを置いてきぼりにせずに、拾い上げてくれる。
でも、実際自分の嫌なできごとをこの解像度で捉