高瀬隼子のレビュー一覧

  • 新しい恋愛

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    確とした輪郭を持たない感情。
    愛だか恋だか欲だか気の迷いだか分からないものを掬い出した物語。
    思い起こせば、そのうちのどれかだったんだろうなあとは思うのかも。

    私は今年56歳になりました。
    愛だか恋だか欲だか気の迷いだか。
    が、あんまり体のなかから湧き上がらない予感がします。残念ながら。

    ところで。
    「いくつも数える」
    歳の差のある関係への違和感。
    いろいろある「差別的な感情」の中で、男性高年齢者に対する差別を、少し相対的に扱っていることに筆者のバランス感覚を感じた。
    進歩的であることと、現代的であること。
    それは決して、生きやすい、より優れた社会になることと同義ではないのだろうと思う。

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    2025年09月28日
  • うるさいこの音の全部

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    最初読み始めた時、主人公が書いている小説の話なのか現実なのかわからなくて戸惑ったけど、この小説自体が、高瀬さんの芥川賞をとった時の実体験を元に書かれたのではと思って読み進めてしまいました
    小説家が顔を出してしまうことが、こんなにも怖いことになるのかと 
    これから賞をとった作家さんたちの裏側を考えてしまいそうです
    担当編集者の瓜原さんがとてもいいひとで、だからこそ最後のシーンはあっと思いました
    あ、他の高瀬さんのエッセイは、この本とは違う、違うと言い聞かせて読めました

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    2025年09月28日
  • 新しい恋愛

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    後味悪さにゾクゾクします!
    いい意味で!

    小説を読むようになってからと言うもの、
    好きなジャンルは優しい物語だったり、
    再生の物語だったり、少しの悲恋が混ざる恋愛小説や、
    歴史小説、ミステリーなど。
    人に薦められたものはどんどん読んでいきたいし
    少しでも自分の中の選ぶ選択肢を増やしたいと思っています。

    遅咲きの読書家であるが故、
    まだまだ知らないものの多さに心が躍る日々ですが、
    高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」
    は、
    いやー人間関係って本当に嫌だなー、と素直に思わせる一方で、
    小説としての読み応えに読む楽しさを味わえるものでありました。
    読み手の心情をこんなにも抉ってく

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    2025年09月25日
  • 犬のかたちをしているもの

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    自分の中にある物差しや常識ではあり得ない内容ですが、そういう世界観もある、と意識しながら読みました。
    思考や心情の分析が怒涛のごとく続くシーンがいくつもあり、次々に読み進めていきました。
    高瀬隼子作品は、文学として本当に面白い。
    現実世界でこんなことが起こったら、自分なら生きていけないとは思いますが。

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    2025年09月16日
  • 犬のかたちをしているもの

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    学生時代に卵巣の手術をしてから、性行為に消極的な薫。彼女の恋人で薫の事情を受け入れて性行為なしの半同棲をしている郁也。しかし郁也は、お金を払って知人のミナシロさんと性行為をした結果ミナシロさんは妊娠。ミナシロさんも郁也をお金の関係と思っていて堕胎したくないけど育児もしたくないからと、薫に「あげる」ことにする。薫はその提案に対して悩み…

    というお話。すばる文学賞受賞作。タイトルは、子どもよりも飼っていた犬のほうがかわいいと感じる薫の心情。婚姻とか出産とか、地方出身の薫にとっては重荷となる人生の選択よりも、単純に飼っていた犬への愛が勝るという。この薫は家族のことも愛していて、でも子どもについては

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    2025年09月16日
  • 新しい恋愛

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    ネタバレ

    これまでの高瀬先生作品で一番癖を感じず読みやすかったなと振り返ってみると、いややっぱり特殊めな設定だなとも感じる。

    ラストの歳の差婚の話は、自身もそう言われる歳の差の夫がいるので、あまり他人事には思えず。
    気持ち悪いって思うのもわかるし、でも私たちは歳の差の部分じゃない所に重きをおいて結婚してるんだよ、というかじゃないと幾ら若くてもこの妻は扱いにくすぎるだろと思う。
    若い子がいいという世の中の風習?が広まりすぎてるからこそ逃れられない呪縛だよな。歳なんて所詮数字で、その歳になるまでどれだけのものを積み重ねてきたかはその人次第なのに、インパクトが強いからそれだけで物事が語れてしまう。

    表題作

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    2025年09月10日
  • 新しい恋愛

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    ネタバレ

    「おいしいごはんが食べられますように」の高瀬隼子さんらしい、恋愛短編集なのにぞくぞくもやりとさせる現実的な描写が面白かった。

    結婚はしたいけどプロポーズはされたくない気持ちの奥にある欲望とか、歳の差恋愛に対する反射反応とか。身近にありそうでない、なさそうである状況なんだろうなあ。
    恋バナは万国共通だけど誰も自分以外の恋愛を本当に知ることはできないんよね。人から聞く恋バナ以上に、この本の5つの恋愛は登場人物の恋愛を深く知ってしまった感覚になった。
    やーーこの人の本いつも感じたことを言葉にするのが難しい。

    あと、他人で関係ないのだから気にしなかったらいいのに勝手に嫌悪してしまったりこれはひどく

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    2025年09月10日
  • 新しい恋愛

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    「お返し」は、年甲斐もなくキュンとなってしまった
    「新しい恋愛」は心の中の動きが、モヤモヤというか、ゾワゾワというか、なんとも言えない感じ

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    2025年09月04日
  • 新しい恋愛

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    ネタバレ

    「花束の夜」ひそかにつきあっていた先輩社員が退職。その送別会の夜に…。
    飲み会終わりの空気感の描写がすごい既視感あり過ぎて面白かった。ようやく帰れると並んだ顔のうちのいくつかが正直に言っているっていう文章好き。

    「お返し」バレンタインデーに渡されたのは、チョコレートだけではないかもしれない。
    好きだった人の記憶に十何年と経っても残り続けることができるのは確かに一番のお返しかもと思った。

    「新しい恋愛」プロポーズされたくない25歳の私と、まっすぐに恋愛を語る中学生の姪の2日間の物語。ロマンチックな言葉でプロポーズされたくないけど結婚はしたい主人公はちょっとワガママと思った。言葉に責任をとって

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    2025年08月17日
  • うるさいこの音の全部

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    作家になることはなくても、他人の中にある自分像の期待に応えようとして自分に嘘をつくことは誰にでもあるのではないかな。虚像の自分を手放しても味方でいる人はいるはずなのに。

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    2025年08月11日
  • 犬のかたちをしているもの

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    すばる文学賞。
    芥川賞を受賞した「おいしいご飯が食べられますように」が好きすぎたのでこちらも。

    人間模様の描写がすごい。
    彼氏が他の女性を妊娠させ、その子が産まれたら貰って欲しいと言われる。殴って断って別れて終わりのシチュエーションなのに、葛藤して気持ちが移り変わっていくのを見ていると、あり得るかも、と思わせられる。
    白と黒じゃない、女性にとってとても大きな結婚妊娠出産というテーマに対するグラデーションの心理が見事に表現されている。

    特に、ラストの複雑な心境の描写はすごい。

    最近の純文学には妊娠や生理やセックスの話が多い気がする。尖った内容にしやすいからだろうか。個人的には暗くなるから好

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    2025年08月11日
  • 犬のかたちをしているもの

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    ネタバレ

    たしかに人間の子供より犬ほうが絶対とてつもなく可愛い。ただ、まだ見ぬ我が子の可愛さは計り知れない。
    彼氏の浮気相手の作った子供を育てて欲しいとお願いされ、浮気相手と何度も会いやり取りを交わし、仕事や彼氏との日々をこなす中で子供を育てる決心をつけたが結局浮気相手は自分で産み育てると決める。彼氏に父親になって欲しいと浮気相手は頼んだが、彼氏は浮気相手と子供を選んだのか、私を選んだのかは明かされていない。

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    2025年08月08日
  • うるさいこの音の全部

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    高瀬隼子さんの小説家になるまでとなってからの周囲の反応に日々頭を悩ませる様子や小説家として生きていくと決意するまでが描かれている。その逡巡があって読んでいて共感できる部分があった。

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    2025年08月05日
  • 新しい恋愛

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    高瀬隼子さん初読みです。
    人に話すと軽蔑されるような本心を描いた作品でした。
    表題作の『新しい恋愛』で、主人公の知星が「ロマンチックは、いらない」という思いに関して、恋人の遥矢に対して醒めたのではなく、情だけが残り、だからこそときめくような言葉や行動に違和感を覚えてしまうところに「なんかわかる」感を感じました。
    どの作品も少しゾワリとするような読み心地でとても面白かったです。

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    2025年08月03日
  • 犬のかたちをしているもの

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    ネタバレ

    自分が女性だったらまた受け取り方が変わるのだろうかと感じた作品。
    私自身、著者と出身が非常に近く、同じく上京して生活しているため、故郷で感じる漠然とした閉塞感やそれでも変わらない家族への感情、変わってしまうことへのやるせなさなど読んでいて苦しい部分もあったがそれもこの著者に望むものでもある。

    この作品の終わらせ方については確かにその後どうなったのかなどのモヤモヤとした感情も少なからずあるが、
    『小説を終わらせる作者の手つきというものはどんな場合でも邪魔に感じられるものなのだ。』
    という奥泉光さんの解説は非常に秀逸であると感じた。

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    2025年07月29日
  • うるさいこの音の全部

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    【読まれたいのに「わたし」を知られたくないなどというのはずるいのだろうか】
    小説家デビューし、テレビに出演したことで、周りの世界が一変する。自分の知らないところで、不特定多数の人間が自分の事を話題にする気味悪さは計り知れない。たとえポジティブな内容だとしてもどこか気持ち悪く鬱陶しい。それは鳴り響いて止まることのない騒音、まるでゲームセンターに閉じ込められているみたいに。読後、以前とある芸名を使用する女優さんが「本当の自分と芸名の自分と演じている役の境目がわからなくなる」と言っていたのを、ふと思い出した。

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    2025年07月28日
  • 犬のかたちをしているもの

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    犬好き、本をフィーリングで選ぶわたし。
    タイトルに惹かれて読みました。

    セックス/子供/家族/愛について女性視点の「問い」が書かれている。
    女性視点といえど、一辺倒ではなくさまざまな感じ方や、考え方があることを2人の女性を通して表現しているのが良かった。

    子供を育てる気がなかったミナシロさんが最終的に親権を求めたのは予想通りだったし、犬に対しての愛情と人に対しての愛情の違いは何か考えるなど、自分でも経験のある内容。なるほど、というよりも「分かる」の連続で強制的に自分と向き合わされる。

    新しい何かを得るというよりは、アラサー子なしの自分が知りうる感覚を言語化されたような小説だった。

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    2025年07月09日
  • うるさいこの音の全部

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    自分の心がわからず、他人の目ばかり気になって、ウケようとして嘘に嘘を塗り重ねたり近所の外国人店員にちょっかいかけたりする主人公のこと、読んでて呆れつつもなんかちょっと分かるなとも思う。普通に会話をしていたのに主人公の中学校時代からの友人(名前を忘れた)の機嫌を急に損ねてしまうところがめちゃくちゃ怖かった。

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    2025年06月23日
  • うるさいこの音の全部

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    どっちの世界の話か分かんなくなってしまった場面がありました、、、読解力鍛えます。
    作家さんのお話興味深かったです。作家の自分と本当の自分と区別がつかなくなってしまうなんて一般人の私は共感はできるはずがないのですが、うんうんとなっていました。ゲームセンターに死人が集まってるところとかサービスエリアで連絡取れなくなってしまうところとか自分で想像しながら解像度高く読めてすごく楽しかったです。

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    2025年06月14日
  • うるさいこの音の全部

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     高瀬隼子さんといえば、現代社会に於けるリアルすぎる程にネチネチとした人間模様や、特殊な設定にしてまでも訴えたい多様性のあり方と、主にこの二つが主要なのではないかと私が思う中、本書はどちらも満遍なく取り入れた意欲作で、これは内容とは裏腹にとても気合いの入った作品なのではないかと感じたのも、私にはまるで高瀬さんが何かと闘っているような印象を受けたからなのだが、その物語は、お世辞にも人間の可能性や素晴らしさを謳ったものではない、寧ろ、その真逆に近いものである点に、また彼女の反抗心を見たような思いがしたのである。

     ゲームセンターで働く小説家「朝陽」の物語は、この設定を見るだけでも特殊性が高いよう

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    2025年05月23日