高瀬隼子のレビュー一覧

  • GOAT Winter 2026

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    ネタバレ

    一人の作家をじっくり追う読書も楽しいけれど、『GOAT』の魅力は、短編を通してこれまで知らなかった作家と出会えることにあるのだと思う。目当ての作品から読み始めたはずが、思いがけない一篇に惹かれ、新しい「好き」が増えていく。その偶然の出会いがとても楽しい。

    小説だけでなく、対談やインタビューまで充実しているのも嬉しいところ。作品を読むだけでは見えてこない作家や表現者の考えに触れられることで、一冊の中にさまざまな楽しみ方が詰まっている。

    そして、この圧倒的なボリュームと内容でこの価格というコスパの良さには素直に驚かされる。美しい装丁や紙の手触りも含め、電子ではなく「本を手に取って読む」喜びを改めて感じさせてくれる一冊だった。

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    2026年09月06日
  • 新しい恋愛

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    どの話も人間のドロっとしてる部分を描いていて美しい物語ではない。そこが面白さや共感できる部分なんだと思う。

    他人の目や評価を気にして一歩踏み出せなかったり、逆に思いとどまったり。どんな人も少しは経験のあることで心がチクッとする作品。

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    2026年09月04日
  • め生える

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    ネタバレ

    原因不明の伝染病で大人たちの髪が次々と抜け、あっという間に「ハゲ」が普通になった世界。
    今まで髪の少なさを気にしていた主人公は、これで堂々と生きられる!と、むしろ快適なハゲ生活を満喫していたのに、ある日突然、髪が「生えてくる」。
    この世界では、ハゲが普通。髪の毛がある人は「変な人」だから、カツラをかぶって生えてきた髪を隠して歩く。
    いやもう、設定だけで笑ってしまう。
    でも笑っているうちに、だんだん笑えなくなってくる。
    「普通」が入れ替わっただけで、人は簡単に多数派と少数派をつくり、少数派を笑い、排除する。
    って、あれ?
    これ、ハゲの話じゃない?
    そもそも私たちは、なぜ「ハゲ」を笑っていいものだと思っているんだろう。
    「普通だから」「みんながそう思っているから」と、無意識に誰かを笑いものにしている自分たちのほうが、よっぽど怖い。
    くだらなくて、へんてこで、最初は笑える。なのに最後には、笑っていた自分のことが笑えなくなる。
    高瀬隼子さん、また嫌〜なところを突いてくるなぁ。好きwww

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    2026年09月02日
  • 水たまりで息をする

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    高瀬隼子さんの小説は、いつも私の心の中にある綻びをすーっと引っ張って、きつく縫われていた部分を解放してくれるような感じがする。
    愛していない訳じゃない、大事に思っていないわけじゃない、それでもぬるい水たまりで息をする環境から誰かを助けてあげたいと思うことは別なのだろうか。
    この世におままごとみたいな生活があるわけはないし、弱い人も強い人も本当はいないし、みんな欠陥や悩みを抱えて生きてるに決まってるんだ
    お風呂に入らなくなって夫は汚れていくのに、だんだん穏やかで美しい存在のようにされる描写がなんだか良かった

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    2026年09月01日
  • 新しい恋愛

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    ネタバレ

    作者買いでした
    短編の話も素敵。
    高瀬さんの作品に出てくる人は本当にちゃんと人間味があって、全員似通ってる人でもなく、ちゃんとそれぞれの人間が人生を生きていて思考していてすごいと思う。

    「お返し」
    が一番好きだった。とくに最後ユウハの夢を見て終わるところが好き。

    最後の「いくつも数える」は、
    私が実際に10近く離れた人と結婚したから、なんだかドキリとする話だった。
    他の、どの話も誰かに刺さる話かもな。
    年の差婚に関しては、たしかに旦那と出会ってなかったころは、こんなに人間が沢山いるのに何でわざわざ10も20も離れた人と結婚するんだろう?と思ってた。
    それを、気持ち悪いとまではいかなかったけど、20代くらいの女性が40、50くらいの親子ほど離れてる人と結婚してると今でも、何でだろうって思っちゃう。私も周りに思われてるかもしれないのに。
    当事者としては、理由もクソもなく、普通に好きだから一緒にいて結果的に結婚してるだけなんだよな。
    年齢だけで好きになることも無ければ、嫌いになることもなかったからそれだけ。
    でも、花村のように実際嫌悪感を示す人もいるんだろうな〜とも思う。
    思いたくもないのに思っちゃうのも分かるし、嫌悪感を示すことが悪い事だと思うのもよく分かるなあ。
    この作品では、年の差婚に嫌悪感を抱く人が悪い!とも、年の差婚をするのは大変に気持ちが悪いこと!ともそんな主張をしているのではなくて、そう思う人もいるし、思わない人もいるし、色んな人がいるという当たり前の世界がちゃんと描かかれていた。
    そんな雰囲気をちゃんと文章に落とし込めていて、言語化能力や表現力があるなあと思う。

    津野が日菜子さんに抱いていた感情はなんなんだろう。男性ならわかるのかな、、自分よりも年上の人に性欲を向けられて怖かったっていう気持ちだったのかな。
    距離を取ろうと思えば取れたし、現に周りからも止められてたし、なんで飲みに行くのを辞めなかったのか、ともおもうけどこういう矛盾感を抱えて生きてるもんよなー。

    こんなごちゃごちゃを考えながら読んでいるなかで、天道課長の子どもが生まれて、津野とこの人の年齢差は、三十八歳ある。と終わるのが、なんか「そんなおおごとに考えるなよー」みたいなメッセージが込められてる感じがして良い意味で、腑抜けた終わり方でよかった。

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    2026年09月01日
  • 新しい恋愛

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    『おいしいごはんが食べられますように』以降、ちょっと気になっていた作家さんで、『いい子のあくび』と『水たまりで息をする』と本書の3冊で、どれを読もうか⁉️と迷って、恋愛小説というフレーズから迷わず手に取った5編の短編集

    恋愛をするっていうのは、どんな気持ちだったけっと様々な気持ちを思い出させてくれる作品でした❗️

    個人的には、芥川賞受賞作品よりも結構好意的に受け入れられる作品で、面白いというのとは少し違うかも知れませんが、好きな雰囲気の話しでした

    印象的なエピソードは、表題作と『花束の夜』、『いくつも数える』の3編です
    歳の差婚って気持ち悪いのかなぁ⁉️皆さんはどう思いますか⁉️

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    2026年08月31日
  • 新しい恋愛

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    個人的に「花束の夜」「お返し」が好きだった
    高瀬隼子さんの他の作品読んだ時はあまりにも人間の感情が生々しく書かれていて共感できない部分があったけど今回の短編集では全体的に恋愛においての隠れてた人間の感情と欲が上手く表現されていて共感できる部分が多かった
    これを機に他の作品も気になってる
    自分も少し大人になっていってるのかな

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    2026年08月31日
  • 新しい恋愛

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    改めて読み直したけど、好き。

    好きな人が会社で評価悪いの聞いて冷めたり、長年付き合っているからロマンチックなこと言われるのが嫌だったり、26歳差で結婚する上司を気持ち悪く思ってしまったり。

    どれも何か分かるけど、共感しちゃいけない気分にもなった。

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    2026年08月30日
  • 水たまりで息をする

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    風呂に入らなくなった旦那さんと、その旦那のそばにいる妻の話
    どっちが病んでいるのか
    それともどちらも病んでいるのか
    ただ優しいだけなのか
    心底愛してるからなのか
    これが愛だと疑ってないからか
    わたしならどするか…
    そしてこのラスト
    この作家さん、ほんとおすすめ

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    2026年08月29日
  • 新しい恋愛

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    まさに新しい恋愛の話。
    万人受けするありきたりな恋愛を書いてるわけではないので、共感できておもしろい!というわけではないんだけど、つまらないわけでもなく。
    考えさせられた?余韻が残る不思議な読後感。

    「新しい恋愛」の姪っ子の恋愛観は素敵だな〜
    最後の話はだらだら同じこと繰り返されててつまんなかった。

    『おいしいごはんが食べられますように』もそうだけど、高瀬さんの書く文章のどこかにモヤモヤが残る感じがなぜかクセになるんだよね。

    「電車のドアガラスに付いた他人の脂にうっかり触れてしまった時のような気持ちになった。」
    →なんとも言えないわ。笑

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    2026年08月27日
  • 水たまりで息をする

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    耐えることができてしまっても、おままごとって思われるような生活でも、「あんたに何が分かる?」って言いたい。研志が弱いわけでも衣津実が強いわけでもないしもっと複雑だよ人間って、とわたしは思う。衣津実だって、研志みたいなることもあるはず。ただ自分らしくしあわせに生きていけてたらいいな、二人が。

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    2026年08月23日
  • 犬のかたちをしているもの

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    高瀬隼子の紡ぐ物語の中の主人公はどことなく自分に似ていて、今回もまた(あぁ、自分も思ったことがあるなぁ)という感じだった。

    女に生まれた以上子供を産んで然るべき?

    私は主人公とは違って子供は好き。でも、それと自分の子供を持つことは=にはならない。

    いつか、子供を持ちたいって思えるのかなぁ

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    2026年08月23日
  • 水たまりで息をする

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    ネタバレ

    夫がお風呂に入ってないことに気がついた

    ふとしたことから水道水がダメになってしまった夫、お風呂に入ることを強要できない妻。常識で行うことのただひとつのことができなくなった、それだけで社会からは弾き飛ばされてしまう。

    「狂うということは、感情の爆発の先にあるのだろうか」(P59)
    「許したくてしんどい。夫が弱いことを許したい。夫が狂うことを許したい。」(P115)

    水がダメになったというのはただの象徴であって夫は精神的にもう一般社会ではやっていけなかったのかもしれない。

    一度読み始めて体がどうしても痒くなって読み進められずにいたけど今回やっと!読み切りました。

    私だったらどうするかなぁ…精神は置いといて水だけの問題なら温泉がある土地に引っ越す?(というか、水がどうこうより石鹸がNGだったために退路を断たれてた気がする。)

    第165回芥川賞候補作。読み終わってこれで受賞できないのか…と思って165回の他の作品を再確認したところ、この回、レベル高すぎ(汗

    日本人は垢がたまりやすいのかな。イギリスのホームステイ先のご主人は一週間で一回くらいしかシャワー浴びてなかったけど全然大丈夫そうだった。

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    2026年08月23日
  • うるさいこの音の全部

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    主人公はPALというゲームセンターで働きながら小説を書いている長井朝陽。物語は、そんな朝陽が書いている小説から始まる。(作中作)
    主人公が書いている小説と現実の描写が交互に進んでいくんだけど、最初ははっきり分かれていた現実と小説の二つの世界が、いつの間にかぐにゃぐにゃと混ざり合っていって、どっちがどっちかわからなくなっていく感覚が、気持ち悪いけどおもしろかった。 (何度も前のページを読み返して確認したりした(笑))
    他人からどう見られるかを異常なくらい気にして、頭の中であれこれ考えすぎる朝陽には「もう、考えすぎだよ〜」と思いつつ、相手を傷つけたくなかったり、訂正するのがめんどくさくなって嘘をついたり、取り繕ったりする姿は、共感はできないけど、わからなくもなくて、どこか愛おしくも感じた。
    実際に作家である高瀬隼子さんが「作家」を描いているから、ついつい朝陽と高瀬さんを重ねて読んでしまったけど、それこそがこの作品の仕掛けなのかも。 「小説の登場人物=作者」だと勝手に決めつけないで!って。
    読んでいる自分まで試されているようで、最後までなんとも落ち着かない、でも「また読みたいな」と思う読後感だった。
    (表紙めくったら『PAL』のコインが。アドさん、残念だったな〜)

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    2026年08月20日
  • 水たまりで息をする

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    「ようやく、わたしは夫に怒っているのだ、と気付く。夫の弱さが許せないのだ。」
    自分の夫が 勤務先を退職した頃を思い出す。
    40年 伴走してきた 今となっては客観的に見れるが
    あの頃は 辛かった。
    このとしに成って この作品に出逢って 嬉しく思う。

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    2026年08月18日
  • GOAT Winter 2026

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    買ってから長らく放置し続けてしまった。
    そのくらい読み応えのあるボリュームと値段の安さは素晴らしい!内容も面白いものが多かったけれど、字が細かくて少し見づらさはあった。

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    2026年08月15日
  • 犬のかたちをしているもの

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    話の設定が無茶苦茶すぎてどんどん引き込まれていった。
    でも最後にはミナシロさんが子供を自分で育てたいと言うだろうなと思いながら読んでいたらその通りになったのでそこまでの話が予想外の展開だったばかりに少し残念だった。
    どんなクライマックスが待ってるのだろうとワクワクしていただけにラストにはすこし落胆してしまった。
    でも話の設定が面白くてさすがすばる文学賞受賞作だなと思った。

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    2026年08月14日
  • 犬のかたちをしているもの

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    彼氏の浮気相手の子どもをもらってくれないか、という無茶な提案に対して、常識的に考えれば一蹴して終わりなんだろうけど、主人公が悩んだり思考を冷静に深める部分がおもしろかった。子どもを産む産まないと持つ持たないは同じようで違うなと思った。ラストも何となくもしかしてそうなるかな、と思っていた展開で後味は良くないけど、非常識で新しいようなこのストーリーが、常識な人もどこかにいるかも、、と想像させられた。

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    2026年08月13日
  • 水たまりで息をする

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    現実で起きてる出来事とそれを受けた主人公の頭の中の絶妙な距離感が気味悪かった。理解しきれていないけど好きな作品。

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    2026年08月09日
  • め生える

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    世界中の皆がハゲるという大胆な設定ながら、見た目への価値観や他人の視線、人との距離感を鋭く描いた作品だった。
    「みんな同じ」になれば悩みは消えるわけではなく、新たな優劣や不安が生まれるという皮肉が印象的。
    読み終えた後も、自分は何を基準に人を見ているのかを考えさせられる、静かな衝撃の残る一冊だった。

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    2026年07月31日