高瀬隼子のレビュー一覧
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風変わりなタイトルに惹かれ、読み始めましたが…。
初めから25ページくらいまでの感想は、なんなん?意味わからん!
前情報も帯すら見ずに読んだので、「芥川賞作家が書く芥川賞作家のデビューの裏側的な作品」と言うことに気づくまでそれくらいかかりました。
主人公の生真面目さと自信のなさと相反する万能感全てがないまぜになり、他人に迎合するのを厭うのにしてしまう自分を嫌悪しつつも許容する。
人間って複雑な生き物ですね。
共感する部分があったり、それは違うなと思ったり。主人公の内面を100%ではないにしろ、詳らかに書いてある作品だなと、思いました。
ほとんどの人間が、自分が傷つくことにはものすごく過 -
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『夫が風呂に入っていない』そんな一文から始まる物語は、鬱病を描いた作品かと思いきや、もっと繊細で、簡単には言葉にできないものだった。
地方出身の妻と、生まれも育ちも東京の夫。20代半ばで結婚し、子どもには恵まれなかったものの、穏やかに暮らしていた二人。ところがある日、夫は飲み会で後輩に水をかけられたことをきっかけに、水道水を受けつけなくなってしまう。
風呂には入れない。でも、ご飯は食べられるし、テレビも観る。会社にも行ける。だから単純に病気と片づけられるものでもない。その絶妙な違和感が、物語に静かな不穏さを漂わせていた。
変わっていく夫を前に、原因を追及せず、無理に変えようともしない妻。 -
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何よりタイトルが好きです。
口に出して言いたくなるテンポの題名。
別に実際に出しはしないけど。
と、ちょっとだけこの本の主人公の思考に寄っています。
果たしてうるさいのは、周囲の人々の声か、それらを含んだ職場の雑音か、主人公が想像しているだけの相手の声か、頭の中で乱反射する思考による自分の声なのか。
きっと全部なんでしょう。
この文章の中の全てでなくとも一部分は、作者に起こった実際の出来事なのかなとか、心の叫びなのかなと思う時点で、私も主人公の周りにいる雑音を発する人間と同類なんだなと。
この作者の、性悪説に基づいたような人の見方だったり、どこへ踏み出す訳でもないような行き場のない思考が心 -
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花束の夜の、「ミスで納品が遅れた取引先の中学校に対してよりも、目の前でビールを飲む倉岡にかけた迷惑の方が水本の心には重たかった」というところに共感した。自分も目の前の人の顔色を必要以上に伺うところがある。自分の心を素直に整理できるきっかけになった言葉。
あと、蛙化現象って言い換えると、41ページの「自分が好きだと思った人の仕事上の他者評価を耳にして、それは自分が直接感じていることではないのにそう思っている他者がいる事実だけでほんのり好きが削られていく。」という表現になるのか。表現が素敵。
あしたの待ち合わせの、「これは不安になるところだ、これは怖いと思うところだ、筋が通らないと外部に設定され -
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夫婦関係における妻から夫への距離の取り方とか、妻と義母との関係とか、壊れていく人に対する向き合い方とか、逸脱に対する社会の不寛容性とか、様々なテーマが内包された作品だと思うけど、自分はそのあたりの難しいところからはいったん離れて、「夫が風呂に入っていない。」というパワーワードで始まる、「臭い」という多くの人が生理的に嫌悪感を抱く要素に対して、周囲の人々が苦悩する様子がシンプルに面白かった。
全体的に何ともいえない息苦しさを感じるのだけど、それがあのラストシーンで一気に解放されるのだとしたら、実はこれ結構怖い小説だったんじゃないかという気がしている。 -
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ネタバレ「おいしいご飯が食べられますように」「いい子のあくび」の作家さんの小説で他に何かないかなぁと思ってこれを読むことにしました。タイトルだけで印象に残ります。2話の短編が入った短編集なのですが、2話目は1話目の続きのような感じで実質1話のみの長編小説でした。
・うるさいこの音の全部
自分は、朝陽がゲームセンターの従業員のアルバイトをしながら小説家デビューする話が面白かったです。
・明日、ここは静か
1話目の続きで、小説家デビューした朝陽が芥川賞を取る話でした。
印象に残っているシーンがあります。朝陽が友達の帆奈美と会う所があるのですが、そのなかで帆奈美が「推し」の気持ちが分からないっ -
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ネタバレ編集者さんが自分の親指でもう片方の親指の爪をさすっていた。という文章で終わるのが印象的だった。
この行為にどんな意味が込められているのか考えたくなって調べてみたら
1.不安や緊張の暖和
2.退屈しのぎ
3.神経質・完璧主義
4.無意識のリラックス
この4つの意味合いがでてきた。
主人公自身はどう捉えたのだろう
この主人公というより、高瀬さんが書く人物って
相手の様子を伺いすぎて生きるのがしんどそうだなと感じる人物が多い気がする。
そして、自分の思考を人に伝える事が苦手で求められた言動を常に意識してしまう人という印象。
求められた自分でいようとする事で本当の自分ってなんなんだろう。
自分の本当の -
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ネタバレyoutubeで紹介されてて気になってたので初めて文芸誌なるものを買ってみた。
思った以上にボリュームあってこれで510円!?大丈夫か?と思ってしまった。
これで好きな作家見つけて長編を読むのが良さそう。
文芸誌って連載ものがほとんどでいきなり読み始めてもついていけないことが多そうなイメージだったけど、ほぼ全部読み切りで楽しめた。
読んだ順でメモ。記号の意味は以下の通り。
◎=めっちゃよかった
〇=結構面白かった
×=途中で読むのやめた
◎永井紗耶子/そとばこまちの夜
一応近代よりだけど時代小説。横浜にいるジャズシンガーの話。
木挽町のあだ討ちのイメージがあったからカタカナがたくさん並んで -
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ネタバレ【あらすじ】
昔飼っていた犬を愛していた。
どうしたら愛を証明できるんだろう。犬を愛していると確信する、あの強さで――。
間橋薫、30歳。恋人の田中郁也と半同棲のような生活を送っていた。21歳の時に卵巣の手術をして以来、男性とは付き合ってしばらくたつと性交渉を拒むようになった。郁也と付き合い始めた時も、そのうちセックスしなくなると宣言した薫だが「好きだから大丈夫」だと彼は言った。普段と変らない日々を過ごしていたある日、郁也に呼び出されコーヒーショップに赴くと、彼の隣にはミナシロと名乗る見知らぬ女性が座っていた。大学時代の同級生で、郁也がお金を払ってセックスした相手だという。そんなミナシロ -
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高瀬隼子だし、そりゃあ素敵な恋愛小説を期待していたわけじゃないけれど、もうほんとうにブレなくて、さすがすぎて、やっぱり癖になる。特に「いくつも数える」は強かったな〜。高瀬隼子作品を読むといつもそうなのだけど、共感して読んでいる自分が絶対どこかにいて、ひでえやつだなと自嘲して笑ってしまう。だってこんなこと友だちにも言わないし、言ったら引かれるかもしれないし、それどころか場合によっては相手を傷つけることもあるだろうし、だから口に出さない。そういう種類のことを、どうしてこうもきちんと言語化できるのか。もう笑っちゃうだろ。高瀬隼子、天才だなと思う。