高瀬隼子のレビュー一覧
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ネタバレ一人の作家をじっくり追う読書も楽しいけれど、『GOAT』の魅力は、短編を通してこれまで知らなかった作家と出会えることにあるのだと思う。目当ての作品から読み始めたはずが、思いがけない一篇に惹かれ、新しい「好き」が増えていく。その偶然の出会いがとても楽しい。
小説だけでなく、対談やインタビューまで充実しているのも嬉しいところ。作品を読むだけでは見えてこない作家や表現者の考えに触れられることで、一冊の中にさまざまな楽しみ方が詰まっている。
そして、この圧倒的なボリュームと内容でこの価格というコスパの良さには素直に驚かされる。美しい装丁や紙の手触りも含め、電子ではなく「本を手に取って読む」喜びを改めて感じさせてくれる一冊だった。 -
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ネタバレ原因不明の伝染病で大人たちの髪が次々と抜け、あっという間に「ハゲ」が普通になった世界。
今まで髪の少なさを気にしていた主人公は、これで堂々と生きられる!と、むしろ快適なハゲ生活を満喫していたのに、ある日突然、髪が「生えてくる」。
この世界では、ハゲが普通。髪の毛がある人は「変な人」だから、カツラをかぶって生えてきた髪を隠して歩く。
いやもう、設定だけで笑ってしまう。
でも笑っているうちに、だんだん笑えなくなってくる。
「普通」が入れ替わっただけで、人は簡単に多数派と少数派をつくり、少数派を笑い、排除する。
って、あれ?
これ、ハゲの話じゃない?
そもそも私たちは、なぜ「ハゲ」を笑っていいものだと思っているんだろう。
「普通だから」「みんながそう思っているから」と、無意識に誰かを笑いものにしている自分たちのほうが、よっぽど怖い。
くだらなくて、へんてこで、最初は笑える。なのに最後には、笑っていた自分のことが笑えなくなる。
高瀬隼子さん、また嫌〜なところを突いてくるなぁ。好きwww -
Posted by ブクログ
ネタバレ作者買いでした
短編の話も素敵。
高瀬さんの作品に出てくる人は本当にちゃんと人間味があって、全員似通ってる人でもなく、ちゃんとそれぞれの人間が人生を生きていて思考していてすごいと思う。
「お返し」
が一番好きだった。とくに最後ユウハの夢を見て終わるところが好き。
最後の「いくつも数える」は、
私が実際に10近く離れた人と結婚したから、なんだかドキリとする話だった。
他の、どの話も誰かに刺さる話かもな。
年の差婚に関しては、たしかに旦那と出会ってなかったころは、こんなに人間が沢山いるのに何でわざわざ10も20も離れた人と結婚するんだろう?と思ってた。
それを、気持ち悪いとまではいかなかったけど、20代くらいの女性が40、50くらいの親子ほど離れてる人と結婚してると今でも、何でだろうって思っちゃう。私も周りに思われてるかもしれないのに。
当事者としては、理由もクソもなく、普通に好きだから一緒にいて結果的に結婚してるだけなんだよな。
年齢だけで好きになることも無ければ、嫌いになることもなかったからそれだけ。
でも、花村のように実際嫌悪感を示す人もいるんだろうな〜とも思う。
思いたくもないのに思っちゃうのも分かるし、嫌悪感を示すことが悪い事だと思うのもよく分かるなあ。
この作品では、年の差婚に嫌悪感を抱く人が悪い!とも、年の差婚をするのは大変に気持ちが悪いこと!ともそんな主張をしているのではなくて、そう思う人もいるし、思わない人もいるし、色んな人がいるという当たり前の世界がちゃんと描かかれていた。
そんな雰囲気をちゃんと文章に落とし込めていて、言語化能力や表現力があるなあと思う。
津野が日菜子さんに抱いていた感情はなんなんだろう。男性ならわかるのかな、、自分よりも年上の人に性欲を向けられて怖かったっていう気持ちだったのかな。
距離を取ろうと思えば取れたし、現に周りからも止められてたし、なんで飲みに行くのを辞めなかったのか、ともおもうけどこういう矛盾感を抱えて生きてるもんよなー。
こんなごちゃごちゃを考えながら読んでいるなかで、天道課長の子どもが生まれて、津野とこの人の年齢差は、三十八歳ある。と終わるのが、なんか「そんなおおごとに考えるなよー」みたいなメッセージが込められてる感じがして良い意味で、腑抜けた終わり方でよかった。 -
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『おいしいごはんが食べられますように』以降、ちょっと気になっていた作家さんで、『いい子のあくび』と『水たまりで息をする』と本書の3冊で、どれを読もうか⁉️と迷って、恋愛小説というフレーズから迷わず手に取った5編の短編集
恋愛をするっていうのは、どんな気持ちだったけっと様々な気持ちを思い出させてくれる作品でした❗️
個人的には、芥川賞受賞作品よりも結構好意的に受け入れられる作品で、面白いというのとは少し違うかも知れませんが、好きな雰囲気の話しでした
印象的なエピソードは、表題作と『花束の夜』、『いくつも数える』の3編です
歳の差婚って気持ち悪いのかなぁ⁉️皆さんはどう思いますか⁉️ -
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まさに新しい恋愛の話。
万人受けするありきたりな恋愛を書いてるわけではないので、共感できておもしろい!というわけではないんだけど、つまらないわけでもなく。
考えさせられた?余韻が残る不思議な読後感。
「新しい恋愛」の姪っ子の恋愛観は素敵だな〜
最後の話はだらだら同じこと繰り返されててつまんなかった。
『おいしいごはんが食べられますように』もそうだけど、高瀬さんの書く文章のどこかにモヤモヤが残る感じがなぜかクセになるんだよね。
「電車のドアガラスに付いた他人の脂にうっかり触れてしまった時のような気持ちになった。」
→なんとも言えないわ。笑
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ネタバレ夫がお風呂に入ってないことに気がついた
ふとしたことから水道水がダメになってしまった夫、お風呂に入ることを強要できない妻。常識で行うことのただひとつのことができなくなった、それだけで社会からは弾き飛ばされてしまう。
「狂うということは、感情の爆発の先にあるのだろうか」(P59)
「許したくてしんどい。夫が弱いことを許したい。夫が狂うことを許したい。」(P115)
水がダメになったというのはただの象徴であって夫は精神的にもう一般社会ではやっていけなかったのかもしれない。
一度読み始めて体がどうしても痒くなって読み進められずにいたけど今回やっと!読み切りました。
私だったらどうするかなぁ…精神は置いといて水だけの問題なら温泉がある土地に引っ越す?(というか、水がどうこうより石鹸がNGだったために退路を断たれてた気がする。)
第165回芥川賞候補作。読み終わってこれで受賞できないのか…と思って165回の他の作品を再確認したところ、この回、レベル高すぎ(汗
日本人は垢がたまりやすいのかな。イギリスのホームステイ先のご主人は一週間で一回くらいしかシャワー浴びてなかったけど全然大丈夫そうだった。 -
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主人公はPALというゲームセンターで働きながら小説を書いている長井朝陽。物語は、そんな朝陽が書いている小説から始まる。(作中作)
主人公が書いている小説と現実の描写が交互に進んでいくんだけど、最初ははっきり分かれていた現実と小説の二つの世界が、いつの間にかぐにゃぐにゃと混ざり合っていって、どっちがどっちかわからなくなっていく感覚が、気持ち悪いけどおもしろかった。 (何度も前のページを読み返して確認したりした(笑))
他人からどう見られるかを異常なくらい気にして、頭の中であれこれ考えすぎる朝陽には「もう、考えすぎだよ〜」と思いつつ、相手を傷つけたくなかったり、訂正するのがめんどくさくなって嘘をついたり、取り繕ったりする姿は、共感はできないけど、わからなくもなくて、どこか愛おしくも感じた。
実際に作家である高瀬隼子さんが「作家」を描いているから、ついつい朝陽と高瀬さんを重ねて読んでしまったけど、それこそがこの作品の仕掛けなのかも。 「小説の登場人物=作者」だと勝手に決めつけないで!って。
読んでいる自分まで試されているようで、最後までなんとも落ち着かない、でも「また読みたいな」と思う読後感だった。
(表紙めくったら『PAL』のコインが。アドさん、残念だったな〜)