高瀬隼子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
序盤と終盤で不可解さや違和感の対象が移ろっていく、心に残る作品だった。
序盤は、突如お風呂に入れなくなった夫の言動が分かりかねず、かつ最後までその背景や心理的描写がないまま、読者は疑問を抱きながら読み進める事になる。
しかし中盤から終盤にかけて、次第に主人公である妻へと疑問の対象が移ろっていく。義母に嫌悪感を示し、夫を頑なに病院に連れて行こうとしない。というより、病院に連れていくという発想が浮かんでいない。
妻が最後まで拘り続けているのは、「普通」の生活を送るということ。程々で普通からの逸脱を逃れるためなら、何だってやってしまいそうな危うさを所々から感じ取ることになる。
私は個人的に、 -
Posted by ブクログ
か弱い芦川はみんなに理解されていて、本人も謙遜しつつでも当たり前だと思ってる、ように見えて心根から優しい人ではありそうな気もするからタチが悪い。残業はしない休日出勤もしない、かわりにおいしいお菓子を作ってわざわざ持ってくる。
そんな存在に苦しめられる人だっているのだ。出来る人が肩代わりをしなければいけない。そうしないと会社が回らないから。二谷や押尾の頭の中をありありと書かれると、実はちょっと共感してることにハッとする。自分は思ってることかき消してたんだなーって。そんな表立っては言えないし。しかし、二谷は芦川のことかわいいって思うんだもんな、人間わからないな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔就職する前に文藝春秋で読んで衝撃的に面白かったんだよなぁ。社会人になって見方が変わったかなと思って文庫買ってもう一回読んだ。二谷が芦川さんのお菓子をぐちゃぐちゃにして捨てる理由、本当にわからなかったけど今は少しわかる。
芦川さんは「弱き者」で、正社員なのに残業も周りに労わられながら回避して、少し面倒だったり大変な仕事は他の人にやってもらって、可哀想とかどうしようとかは言うけど何もしない、というか出来ないから見ている。可視化や明文化されていない暗黙のルールの中で、芦川さんは芦川さんらしく弱く生きられるように守られている。でも芦川さんは弱い者に与えられた権利の上に胡座をかかない。残業続きの同僚に -
Posted by ブクログ
こういう自分迷走系・周りを俯瞰系の話大好き。
薫の彼氏の郁也はある日、
浮気相手を連れて薫に話があるとドトールに呼び出す。
浮気相手のミナシロさんは、
「郁也との子供ができたから、私が産むので、あなたが育ててくれませんか?」と。
この時点で、は?となるところだが、
薫はそうはならなかった。
もう、頭が回ってないというか、
日頃から考えに考えすぎて、考えられないのだ。
薫自身、病気のことや、世間体に
押しつぶされそうになりながらも、
ミナシロさんの提案が無しよりのあり。にもなっていく。
犬は心から愛せるのに、人は上手に愛せない。
薫の辛さ、生きにくさ、
可能であれば共有したい。
最後の -
Posted by ブクログ
ネタバレ読む本を自分で選ぶとどうしても偏ってしまうので、
こういう形で予想外の作家さんと出会えるのは良いですね。
個人的に好きだった作品↓↓
【ふたえ:高瀬隼子】
→「まあそうだね。ずっと整形したかった。二重の目になりたかったし、違う顔になりたかったよ」
この言葉を発した父親の感情に想いを馳せる。
もしかして、違う顔、じゃなくて違う自分になりたかったんじゃないのかなと。
支配的な両親と自分に依存する気満々の妻に囚われて、今思えば逃げたかったかもしれない、けど、それは自分の中で言葉にもならなかった。
代わりに、違う顔になりたかった、という感情として現れたんじゃないかな。違うかな。
わかんないけどそん -
購入済み
要領良いヤツってどうよ。
凄く読みたかった芥川賞小説だ。文庫化したので、喜んで手に取った。🥘要旨は、職場で要領良く煩瑣事から逃れるどうにもイケ好かない奴とのつきあい方を考えるものだ。🥘そんなヤな奴はイジメて大人しくさせるのか。それは得策でない。要領の良い相手だから当方が悪者になる。🥘実際のところ、上司に可愛がられることも、同僚達に上手く厄介事を振ることも、なかなか難しい。要領良く立ち回るには、才能も努力も必要なのだ。職場では「誰でもみんな自分の働き方が正しいと思ってる」ことを念頭に置きつつ、世渡り上手には、その才能と努力を認めて、つきあうことが正解なのだろう。🥘