高瀬隼子のレビュー一覧
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短編が3つ。
【いい子のあくび】
気付く、行き届いている、それゆえにそうでない人の分も担っている。周りの人が何も思わないところで独りふと損をした気持ちになって心が砕かれる。でも、たまには自分の思う好ましい行動や言動から逸脱しても良いよね。
そういう日常に転がる理不尽、やるせない気持ち、大人になったから言葉には出来ないけど
心にあるマイナスな感情に寄り添ってくれるような物語だった。
【末永い幸せ】
結婚式に嫌悪感を持つ主人公奏。バージンロード、ファーストバイト、止まらないシャッター、家族への手紙。結婚式の一つ一つに対して、私はここまで考えたこともマイナスの感情が生まれたこともなかったから、こういう感じ方をする人もいるんだなぁ面白いなぁと。
結婚式という儀式には出たくない、でも幼馴染の花嫁姿は見たい、心から祝福している。そんな奏は、結婚式には参加せずに、結婚式会場であるホテルの一部屋に宿泊し陰から友人の晴れ姿を見届ける。本人の目に触れるところで何かしたり与えたりすることだけが愛情の唯一の正解でもない気がした。 -
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人との関わりの中で、自分を後回しにして我慢しているなと思うことがあります。それでも、ここで自分が折れたほうが簡単にことが収まると分かっているから、仕方なく折れる。でも、表面上は収まっていても、自分の中では全然納得していない。そんな誰にでもありそうな、でも口には出しにくい感情が、この作品にはたくさん描かれていました。
人に優しくすることや、相手のために譲ることは、当然のように良いことだと思われています。でも、どうしていつも気づいた側がよけなければいけないのか。どうして優しい側が人の分まで背負わなければいけないのか。そんな疑問を、きれいごとで片付けずに言葉にしてくれたように感じました。
主人公の考え方には、極端だと思うところもあります。それでも、そこに自分と重なる部分があるからこそ、他人事には思えませんでした。普段なら自分でも否定してしまいそうな感情を、そんなふうに思ってもいいんだと肯定してもらえたようで、読んでいて少し救われました。自分の中にある納得できない気持ちに、そっと味方をしてくれるような作品でした。 -
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ネタバレ仕事ができないという話を聞くたびに好意が削がれていく感じがする女性の話。母親の繋がりでずっとバレンタインにチョコをもらっていた男の話。ロマンチックな展開が嫌な女性の話。ずっと自分のことを好きな男がいるという事象によって自己肯定を行っている女性の話。上司が26歳差の年の差婚をしたことにより、「年の差恋愛」に対する自分の価値観を考えさせられる男の話。
どれも恋愛の絶妙な部分を切り取っていて面白かった。自分が好意を抱いている人間が、他者からの評価が低いとなんとなく好意が減っていく感じがする感覚、なんとなくわかるなと思った。
年の差婚によってその人への認識が塗り替わってしまっていくの、気持ちがわかるだけにどうすればいいんだろうなと思った。難しすぎる。 -
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ロマンチック拒絶しながらも相手のために涙流したり、上司の歳の差婚に引きながら自分も歳上といい感じの雰囲気なったりしてなんだかなあ……って感じた。自分も当てはまる節があるから人のこと言えないし、後者はそう思わせるために意図的に書かれていると思いますが
恋愛のあり方(年の差婚、同性愛など)で一括りにせずに相手のことを知る必要がある。自分も芸能人の歳の差婚に無意識に嫌悪感抱いたりしてしまうことがあるので、気をつけようと思った。人の数だけ恋愛の形があって、それを他者が勝手にラベリングしたり、あることないこと憶測で語るのは普通に目には見えないけど立派な暴力だよなあ
しかし、する側も覚悟はしなければいけない。それでも守りたいなら、突き進むのみ 他者がなんと言おうと、貫き通すべし(自戒) -
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恋愛小説ってキュンキュンしたり甘酸っぱかったり幸せな部分が少なからず一つは出てくるから恋愛小説を読む気になれないときがある。この本は恋愛の特殊なあまり良いとされない部分に焦点を当てた本だと思う。だから、恋愛小説が若すぎるなとか苦手かもって思ってる人ほど読んでみてほしい。短編集だから苦手かもって思ったらすぐ読むのを辞められるし!
解説に恋し合い、愛し合う当事者の描写が少ない不思議な小説とあってその通りだなと思った。
特に今の私は「お返し」、「明日の待ち合わせ」が好きだった。それは年齢的にも性格的にも自分と共通するところがあったからだと思う。
最後の物語は歳の差恋愛を描いたものだったけど、自分には未知の世界の話でもっと年を重ねたら共感できるようになるのかなと思ったし、幅広い年代でも読める作品だなと感じた。 -
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星3.2くらいかな。皆がハゲになる世界線って考えたこともなかった視点でこの世界線が自分の周りで起きたらどうだろうって考えてしまって楽しかった。
最初短編っぽくいろんな人の話が出てくるので、どういう話かイメージつかなかったけれどだんだん主人公が明確になってきて、最後は最初に出てきた人が全員再登場してまとまった話だった。
設定が面白かったので、印象的なお話だったけど、文体が好きとか求心力がすごくて夢中で読んでしまうってほど魅力的ではなかったかな?
でもほんとに、髪って顔の半分みたいに思ってるのでその半分の情報が消えたら美醜の価値観も変わるしハゲで悩む人はいなくなるしある意味とてもイーブンなのかな?どんな世界でも少数派はいじめられる。ハゲてない差別は禿げてない。つまりみんなより持ってる側なので自尊心が傷つかないのかな。それは美人が妬まれるような感じなのかな。若くして病気以外でハゲてる人って女性では珍しいので、ハゲとはどんなものなのか考えたことなかったけどどういう扱いされるのかどんな気持ちなのか色々考えさせられた。
「まゆ毛が少ない主人公の派手になるためでも美しくなるためでもない。みんなにはあって自分にはないまゆ毛普通になるためのないものを足すための化粧の何がだめだったんだろう」っていう一文が好きだった。