高瀬隼子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレはじめに表紙とタイトルから、
ご飯もののエッセイかな〜と思って裏を読むと
なんだか嫌な気持ちになりそうな予感、
買うのをやめた。
少し経ってまた、あれっこれどんなお話だっけ?
とあらすじを読んで、あぁ〜そうだった、、
と平積みに戻す。
という流れを何度か繰り返し、
もう読んでしまえ、と諦めて?手に取った。
表紙が無害そうなのが良くない。笑
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二谷は食べる行為をとても嫌っている。
だから自炊なんて、食事に時間をかけるような行為も
当然理解できない。
芦川さんは弱い存在で、周りに可愛がられ
守られている。芦川さんの仕事のしわ寄せは、
近いポジションの押尾さんへ向かう。
二谷は芦川さんと流れで付き合い始める。
芦川さんは自炊だけでなく、手作りのお菓子を
職場に持ってくるほど料理が好きで得意だ。
一見、相性が悪そうな二人、
二谷は「ちゃんとした飯を食え、
自分の体を大切にしろって言う、
それがおれにとっては攻撃だって、
どうしたら伝わるんだろう。」と、
芦川さんにいらいらしながらも関係は続く。
押尾さんも二谷さんも、
芦川さんの存在によって追い詰められていく。
でも本人は嫌がらせされても、愚痴も言わないし、
いつもニコニコして、側から見たらとても良い子だ。
みんな芦川さんの味方だ、芦川さんを攻撃すればそれは
「弱い者イジメ」になってしまう。
ずっと不穏な気配があった。
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押尾さんの言葉が印象に残った。
「二谷さんは
目の前にある食べ物の話をほとんどしないから、
わたしもいちいち言わないで済む。
おいしくても、
自分がおいしいって思うだけでいいっていうのが、
すごく良かった」
↑ 宇多田ヒカルさんのpink blood の歌詞を思い出す。
『誰にも見せなくても キレイなものはキレイ
もう知ってるから
誰にも聞かなくても キレイなものはキレイ
もう言ってるから』
———
二谷は市販のクッキーに対して思う。
「パティシエが帽子とマスクとエプロンを着けて、
調理室で焼いたのだろう。
そういうのを想像するとほっとする。
食べる者の顔など分からない人が作った、正確な食べ物」
↑
自分のために作ってくれた、という状況は
嬉しいと思う人が多いだろう。
だけど、絶対に喜ばなければいけない、
美味しいと言わなければいけないプレッシャーがあり、
まして目の前に作った人がいる場合、
煩わしいと思う気持ちは分かる。
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送別会で出されたケーキに乗った
〈二谷さん、押尾さんありがとう〉のプレートが出たとき
なぜか涙が出た。
妬み嫉みという感情が世界に存在しなければ、
もしくは押尾さんがもっと弱ければ(強ければ?)、
芦川さんと仲良くなれたのかな。なんでこんなに切ない。
やっぱり、気持ちが沈むお話だった。
でも読んで良かった。 -
Posted by ブクログ
これがデビュー作とは、、
やっぱり高瀬さんの書く文章は綺麗で意地悪で好きだなあ。
犬への愛情と恋人への愛情を比べるシーンがあったけどそれはとても酷だと思った。
犬に対しては基本的には見返りを求めず無条件の愛を注げるけど、人間だと言葉も喋れるしどうしても期待してしまうから。
好きという感情だけで間橋の隣にいる郁也はすごいのかもしれないし、でもお金でミナシロとしてしまったのだからすごくないのかもしれない。
ミナシロは終始おかしなこと言ってるけど、堂々としてて不思議だったな。子供に興味がなくても、10月10日も自分の中に居たものだと愛着が湧くものなのかもしれないな。
最後子供を引き取ることにした間橋の決断にはびっくりしたけど、自分だけの気持ちというか
居たら周りが喜ぶだろうなって言う他者視点での理由が多くて、自分のお腹が大きくなってないんだから当たり前だけど、自分事としてあまり考えてなかったんだろうなあと思った。
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Posted by ブクログ
ネタバレなんかもう主人公の性格が悪すぎて、読んでいて具合悪くなりながら読みました。
悪意なく搾取されていることに文句を言わず笑顔で振る舞いながら、その出来事を書き記して相手が不幸になるようにと呪いのような言葉を書く。
自分も人から奪っておいて、自分が搾取されることには敏感に騒ぎ立てる。
嫌なやつすぎる。笑
ただ、自分の中にもいい子でいないといけないって気持ちに縛られていい子ではない行動をする人を見ると腹が立つこともあったりするので、嫌なんだけど共感してしまう部分もあって、隠している内側を暴かれるようなそんな気分になって具合が悪くなったのかも。
あと、最後の結婚式の話。
わたしは人の結婚式がエンタメとして好きな人間であまり深く考えたこともなかったけど、確かにと思う部分もあった。
結婚式が好きな人がいるように、苦手な人がいたっていいじゃない。
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Posted by ブクログ
臭いのは耐えられない!!!
この人の描く物語は妙にリアルで、現代においての生きにくさという点にフォーカスしているのが、読んでいて何度も納得してしまう。言い回しも独特で読んでて飽きさせない。
「風呂には入らない」ある夜、夫がそう告げた。
問うと、水が臭くて体につくと痒くなると言う。何日経っても風呂に入らない夫は、やがて雨が降るたびに外に出ては、雨に打たれて帰ってくるようになる。
共感はできないが納得はできる。
文字から伝わってくる気持ち悪さが本当に不快感が満載なのに嫌いじゃない。主軸となる夫婦とは異なる、読者を含めた第三者の視点から、どのように夫婦を捉えているのか。
夫のことをそこまで気遣う衣津美の真意について、2人の問題なのだと受け入れてるように見えるが、周りの反応を受けて気づかされる衣津美にもまた、大きな問題を抱えているように思えてしまう。風呂の件は程々にして、他人からどう映ろうと範疇を超えなければ、いちいち気を揉むこともないのかもしれない。いろんな人間がいるのだから。読後のモヤモヤ感は嫌いじゃない。
「おいしいごはんが食べられますように」でもそうだったが、高瀬隼子さんの描く人間くささ、人間を違う視点から捉える描写力が頭ひとつ抜けている!社会から隔絶されたような不思議すぎる物語なのに、何故か読む手が止まらない。
この人の純文学は癖になるなぁ〜! -
Posted by ブクログ
数年前に某Podcastで話題になったのを聞いて以来、気にはなっていたけど今まで手に取ることはなかったこちらの本。
高瀬隼子さん著「おいしいごはんが食べられますように」。
装丁とタイトルの雰囲気からは裏切られる読後感ですよ、という感想と、おおまかなあらすじは知っていた。
芥川賞受賞作なんだね。自分の中の偏見だけど、めっちゃ芥川賞っぽいと思った。
とりあえず、実際に自分が読んで感じたことなどを中心に内容には詳しく触れずに残しておこう。
終始「身も蓋もないなぁ…」と、思いながら読んでいた。
人間関係の面倒くさいところを、ひとつひとつ挙げていく。
しかも、モヤモヤっとした感覚まで、クリアに研ぎ澄ました言語化能力で。
それなのに、薄く削ぐ感じではなく粗々しく叩き切る感じであらわにしていく。
そのいちいちに対して私なりに0、100で考えてみたり、この場合はそうかもしれんけど、タイミングや状況でグラデーションがあるわいな、と、思ったりもする。
たとえば冒頭の、支店長補佐の藤さんが、デスクに不在の女性社員のペットボトルお茶を勝手に飲むところ。
それを知ったうえで、その女性社員、芦川さんは明るく許すどころか、自らそのお茶に口をつけて、「気にしてませんよ」をアピールするところ。
こういうの、私はグラデーションなく完全に無理だ。
…え、こういうコミュニケーションが成り立つ職場って本当にあるの?
できれば小説の世界だけのことであってほしい。
主な登場人物は、誰もが自分以外の人のリアクションをめちゃくちゃ気にして生きていて、確かに社会性ってそういうことだし、その言動に至る思考ひとつひとつが面倒だったりもする。受け応え、自分のリアクションがどう映っているのか、まあ、気になるし、それを見越して自分に嘘をつくこともあるってのは、身に覚えがありすぎるし、登場人物に大いに共感するところもある。
先日読んだ能町みね子さんの「結婚の奴」でも考えたんだが、「結婚」とか「食」とか、わりと皆んなが同じような感覚…良いものだ、とか、めでたいとか、好きだとか…そういう、人類に均されたスタンスを、もう一度軽くでも疑ってみるという良い機会になった。
みんなで美味しいごはん食べるのって、最高じゃない?
その感覚を0、100にせず、バランス良く疑うって健全な気がする。
他者とのコミュニケーションの中で、どこからが本心でどこからが自己欺瞞なのか。
普段からそんなことを考えて生活していては負荷が高すぎて外に出たくなくなりそうだが、ノリと勢いで突っ走るでも、まわりも自分も俯瞰しすぎてシニカルな思考に落ち込むでもなく、中道を行くためには、こういうザラっとする読書って大事だな、と思った。
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Posted by ブクログ
自分自身どちらかというと押尾側の人間だけど、心のどこかで社会で生きていくには芦川のように振る舞う方が生きやすいってのも分かる、そう行動するかは別として。
ただ、芦川のような人間にいちいち反応していくと押尾のようなまっすぐな人は疲弊し自滅していく。
「私たちは助け合う能力をなくしていってると思うんですよね。昔、多分持っていたものを、手放していってる。その方が生きやすいから。成長として。誰かと食べるごはんより、一人で食べるごはんがおいしいのも、そのひとつで。力強く生きていくために、みんなで食べるごはんがおいしいって感じる能力は、必要じゃない気がして」
芦川には出会ったことがある気もするし、今後出会いたくない。 -
Posted by ブクログ
いろんなプロの文章に触れたくて、冒頭の『ふたえ』の書き出しに惹かれて買ってみた。
これまで知らなかった作家さんに出会える!好みな話も好みじゃない話も色々あったけど、総じて面白かった。『ルリ色のハね』のストーリーがすごくて……ちょっと読んでて衝撃が一番強い作品だった。どうしたらこんな話を思いつくんだろうか?
個人的なは蝉谷めぐ美の『蜻蛉の衣』が一番好きかも。読んでる途中で「あっこれは道綱母の話か…!」と気付き、あの時代の女としては仕方ないけれども、他の女の家に好きな男を送り出す惨めさ悔しさを強く感じるお話で、それを道綱母から直接語らせるのではなく衣紋者という従者の立場で語る。うーん見事だし面白い。久しぶりに蜻蛉日記を読み返したくなった。蝉谷めぐ美さんにはもっと平安時代のお話を書いてほしいなと思いました。