高瀬隼子のレビュー一覧
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『いい子のあくび』相手が避けるだろうという考えのもと、スマホを見ながら歩いてくる相手に、「よけないでぶつかる」ことを、している主人公。なぜなら、自分がもし長身の男性だったら、相手は避けるに違いなく、自分は見くびられている、そのことに、非常な怒りを感じているから。子供のころから「いい子」に見られていた主人公は、恋人、大学時代からの友人、かつての同僚、親し気にしてくる上司と、それぞれに違った自分で接していて、そのことを内心でディスっている。たとえば上司桐谷さんに、取引先との飲み会に女性がいないからという理由で呼ばれ、愛想よく行きますと答えながら、「桐谷さんが不幸になりますように、と息をするように思
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テーマは「美」。よかったものをいくつか。
『ふたえ』高瀬隼子
子どもの頃からずっと、単身赴任で川崎に住んでいるお父さんと、遊びのため四国から上京して何年かぶりで会ったら、目が二重になっていた。そしてさらに、顎の骨を削る手術をするという。ずっと別居、67歳になって退職しても田舎には帰ってはこない、でも離婚もしていない、両親がケンカしていた感じもない、父の家に行ったが、愛人がいるような感じもない。で、整形。じつに不思議な家族の話。
『ヴィンテージ』井上先斗
古着屋を経営する大学時代の友人に、50万円のデニムジャケットを持って飛んだアルバイトを探して欲しいという依頼を受けた探偵。アルバイトのイン -
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美しさとは
ただ見た目のものだけではなく
その振る舞いであったり
姿勢であったり
言葉であったり
さまざまなものが
絡み合っていると思う
「そとばこまちの夜」
の中で老婆が言う
『そうして私が私と出会えた時、
ずいぶんと小さく縮こまった小娘が
胸の内で泣いていたっけ
華やかで美しいと信じていた美女など
己の中にはいなかった
他人の目によって造られた幻影だった
だからその怯える小娘と
向きあうことにした
その子が本当に好きなものを探して
愛でる
それは人目を気にして
怯えていた日々に比べて
どれほど豊かで満たされたものか』
本当の自分が求めるものは
いったい何か
はたして今、どれくらい
豊か -
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芥川賞作品『おいしい~』はかなり好きでした。著者作品を読んだのは、二回目。
今回はそれほどハマらず。
やはり『おいしい~』の方が、女がよくわからなくて怖かったのかな。
高瀬さんがインタビューで「違和感があることを書き留めている」と語っていた記憶が。
三つ目の短編『末永く幸せ』は、まさに普通は違和感感じないところを違和感感じてしまう話かもな。
でも高瀬さん、疲れないかな。
ルシア•ベルリンの小説に
「あなたはどこにいても、誰にでも、何にでも、醜さと悪を見出した。狂っていたのか、それとも見えすぎていたのか?」
という一節があるが、そんな感じ。
でも、自分も見えすぎる派な気がするから、わかるけど。
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高瀬さんは本作が初めてでした。
文章の表現力、心理描写がとても上手で、そこに1番引き込まれたかな。
特に田舎への複雑な思いの描写。
高瀬さんと同じ四国の田舎(高瀬さんの新居浜と似たようなところ)で生まれた自分には、刺さった。
育ててくれた親や良くしてくれた人たちには感謝しているけど、選択肢が多いところで生まれてたら...人が多いところで生まれてたら...といった都会への羨望と田舎へのうっすらとした失望、かといって地元が嫌いなわけじゃない。
なかなか割り切れない、消化できない地元への思いとか感覚をうまく文章にされていて、高瀬さんに親近感が湧きました。
他の方も書かれているけど、
肉体関係がなく -
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5つの短編集。
恋愛の話なのに、どの話も、なにか
ちょっとひっかかるような、
モヤっとさせるストーリーだった。
面白いなと思ったのは「花束の夜」「お返し」
「新しい恋愛」
【花束の夜】
新人教育係の先輩の送別会、
送別会でもらった花束を、要らないからと押し付けて去っていく先輩。関係を持っている二人だが
付き合っているわけではない。
花束を持ち、深夜を彷徨いながら、自分が
雑に扱われていたことに気付く。
マンションの部屋の前に置いた、花瓶に活けた
花束を、次の日、先輩はどんな顔をするだろう。
ささやかな仕返しと決意。
しかし、深夜に花束を持って彷徨う女。
考えてみたらちょっと怖い。
【お返し】