カンバンファのレビュー一覧
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ネタバレ初めてSF小説を読んだが、未来技術が多く登場し一見すると私たちとは別世界を描いているように思えた。しかし読み進めるうちに、それらは決して遠い世界の話ではなく、現代の人々が抱える問題について深く考えさせられる内容だと感じた。
「共生仮説」というテーマでは、人間性は他の惑星から来た存在が脳に共生し、働きかけた結果生まれたというアイデアや、7歳を境に幼少期の記憶を失うのは“彼ら”が脳を去るからだという発想に、科学を超えたSF的ロマンを強く感じた。
また、「物性」というテーマも印象に残った。電子書籍やデジタルデータが普及しても紙の本を欲しがる人、コンサートのチケットを捨てずに取っておく人。そうした -
Posted by ブクログ
韓国の警察小説。
22年前の事件を追う3人の刑事の動向と、犯人の独白が交互に続く。
この巻の後半、被害者が所属していたドフトエフスキー小説を読む読書会のメンバーへの刑事のインタビューが始まるあたりから、犯人に近づいているような雰囲気が出始めるが、まだわからない。
下巻を読むのが待ちきれない。
内容とは別に、韓国語を勉強しているので、登場人物の名前や、ところどころに出てくる韓国語もとても興味深かった。
・アイゴ---女刑事ヨン・ジヘの口癖 「ああ、まあ、はあ」という意味の感嘆詞
・ノ・ナ・シロ---被害者の口癖 「あなた、わたしのこと、嫌いでしょ」の意 -
Posted by ブクログ
韓国文学にハマり、色々読み漁っていますが、短編集でこんなに好みだったのは久しぶりです。
ホラー作品とありますが、ホラーが苦手な私でも読める、ホラー要素控えめな作品です。
どの作品も登場人物の心理描写が切なく、それぞれの回想エピソードがエモさを引き立てています。
表題作の『カクテル、ラブ、ゾンビ』は、父親が飲んで帰って来た次の日にゾンビになったというお話。主人公のジュヨンは、しばらくゾンビになった父親を家で匿いますが、今後どうしていくべきか、色々な思いと葛藤する様子に、面白みと切なさを感じました。
『オーバーラップナイフ、ナイフ』はネタバレなしで読んでもらいたい作品です。 -
Posted by ブクログ
今時点で今年一だなと思う「わたしたちが光の速さで進めないなら」の著者の二つ目の長編。これもサイコウだった。
今回は人と人じゃないものの共生がテーマ。
氾濫体ってなに!?振動はなんなの!?テリンとイゼフ、ソノの関係は!?
世界の状況はすぐわかるのだけど、主人公のテリンを取り巻く状況がなかなか理解できず、読みがノってくるまでに少し時間がかかった。
ソールが覚醒したところあたりから、段々とページを捲る手が止まらなくなる。
テリンの生い立ちの謎。初ミッションで出会った沼人の正体。地下にもいる仲間たち。そして何よりイゼフの計画に自問自答する。
果たして自分だったら、イゼフのように考えるのではない -
Posted by ブクログ
純文学っぽい文体で綴られたホラーは初めてかも。すごく新鮮だった。ストーリーの展開やいかに怖がらせるかのエンタメ要素の強い日本のホラーと違って、心情描写多め。面白かった。
『韓国で10万部突破の話題作、ついに日本上陸』との触れ込みで、2年連続年間ベストセラーに選ばれているらしい。デビュー作で海外に翻訳されるとか羨ましい限りである。
特に好きだったのは『湿地の愛』と『カクテル、ラブ、ゾンビ』
「湿地の愛」は、地縛霊である水辺の幽霊「ムル」が主人公。川で退屈な日々を送っていたとき、林のなかを歩いていた「スプ」に出会う。その後、二人はしばしば会いながら静かに心を通わせる。
「カクテル、ラブ、ゾ -
Posted by ブクログ
キム・チョヨプさんの長編です。
この作品の舞台は、宇宙から飛来した外来種である「氾濫体」に覆われた地球。人類は氾濫体に触れると錯乱症を発現するため、これを恐れて地下へ潜って生活をしています。いつか地球を自分たちの手に奪還するため、地上の探査をしており、その危険な任務を担うのが派遣者と呼ばれる選び抜かれた人たちです。物語は、派遣者になることを夢見る主人公のテリンを中心に描かれています。
この設定に惹かれて手に取りましたが、めちゃくちゃ面白くて一気読みでした。
キム・チョヨプさんの作品は、一貫して他者理解と共生がテーマにあります。今作も、人間と氾濫体がいかにして共存していくか、テリンが葛藤を抱えな -
Posted by ブクログ
2024年年末、夫と喧嘩?(信頼できなくなった)時に居てもたってもいられなくなって、手に取った本。
私が私らしくあるために、必要な本だった。「これは私の性格の問題かもしれない」「こういうことを考えてしまうのは私だけだろう」そういう孤独感や自分を責める気持ちから、解放してくれた本。
本の中にたくさんの私がいた。
誰かにいつかわかってほしい、可哀想な怯えてる私がいた。
でも、読んでいると1人では無いんだと理解できた。
そして、私はありたい私で生きるべきだし、それを邪魔してくる人が居ようもんなら、逃げていいし、関わらなくていいんだと納得できた。
少しマイペースを取り戻せたような気分。
辛くな