あらすじ
★☆楽天kobo電子書籍Award2025「小説(海外編)部門」入賞受賞!☆★
★☆韓国で10万部突破の話題作、ついに日本上陸☆★
★☆2年連続年間ベストセラー!(2022~2023年教保文庫調べ)☆★
★☆韓国の大型書店 教保文庫読者レビュー9.67☆★
表題作からデビュー作まで圧巻の全4篇収録
韓国発「世にも奇妙な物語」
この本には初期の短篇小説が四篇収められています。飾られていない生のままの欲望、一途に物語を追う不器用な愛情が凝縮されています。わたしの書いた物語がより多くの方たちに、垣根なく届いてくれたら、そうして見知らぬ世界に、活字と想像力だけで夢中になれる経験をプレゼントできたらと思います。言語の壁を超えて、ここにこめられた未熟ながらも真摯な心が、日本の読者のみなさまに伝わることを願っています。(「日本語版への序文」より)
発売前に先読みした書店員さんから激賞の声、続々!!
ちょっとホラーで、ちゃんとラブ。
愛と狂気のパニックラブホラーに心臓鷲掴みにされた。
――未来屋書店新浦安店 中村衿香
辿り着く結末に立ち尽くした後、もう一度読み返したくなる
不思議で哀しく愛おしい短篇たち。
――文教堂書店赤羽店 三井洋子
幽霊もゾンビもストーカーも出てくる韓国発ノンストップ・ホラー!
でも怖いだけじゃない。彼女たちの怒りや苦しさは、
きっと誰かの心に寄り添う優しさを内包している。
――紀伊國屋書店新宿本店 玉本千幸
読み終えて脳みそがゾッとする。
「痛さ」や「不気味」以上の恐怖を味わうファンタジーホラー小説。
――奈良 蔦屋書店 飯田哲也
ポップなタイトルに騙されてはいけません!
この物語は愛と苦しみと刹那的なパラドックスが渦巻き、
こちら側をうかがっているのですから。
――ジュンク堂書店秋田店 進藤菜美子
おもし!おもしろ!面白いっ!! 再読必須。
この物語の登場人物たちは、日々虐げられる人たちの代弁者であり、
妄想を現実にする希望だ。
――未来屋書店明石店 大田原牧
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
韓国文学にハマり、色々読み漁っていますが、短編集でこんなに好みだったのは久しぶりです。
ホラー作品とありますが、ホラーが苦手な私でも読める、ホラー要素控えめな作品です。
どの作品も登場人物の心理描写が切なく、それぞれの回想エピソードがエモさを引き立てています。
表題作の『カクテル、ラブ、ゾンビ』は、父親が飲んで帰って来た次の日にゾンビになったというお話。主人公のジュヨンは、しばらくゾンビになった父親を家で匿いますが、今後どうしていくべきか、色々な思いと葛藤する様子に、面白みと切なさを感じました。
『オーバーラップナイフ、ナイフ』はネタバレなしで読んでもらいたい作品です。
Posted by ブクログ
純文学っぽい文体で綴られたホラーは初めてかも。すごく新鮮だった。ストーリーの展開やいかに怖がらせるかのエンタメ要素の強い日本のホラーと違って、心情描写多め。面白かった。
『韓国で10万部突破の話題作、ついに日本上陸』との触れ込みで、2年連続年間ベストセラーに選ばれているらしい。デビュー作で海外に翻訳されるとか羨ましい限りである。
特に好きだったのは『湿地の愛』と『カクテル、ラブ、ゾンビ』
「湿地の愛」は、地縛霊である水辺の幽霊「ムル」が主人公。川で退屈な日々を送っていたとき、林のなかを歩いていた「スプ」に出会う。その後、二人はしばしば会いながら静かに心を通わせる。
「カクテル、ラブ、ゾンビ」の主人公は塾で講師をしている女性。ある日、いつものように会社の仲間たちとお酒を飲んで帰ってきた父が、ゾンビになってしまった。ニュースを見ると、ゾンビウイルスの一次感染者はすべて殺されてしまうことがわかる。家では家庭を顧みず偉そうに振る舞ってきた父だけれど、母と共になんとか匿おうとする。
普通ゾンビ作品ってもっとスケールが大きくて、人類やその土地に住む全員がゾンビ化するのを防ぐために戦ったりなんとか逃げたり、製薬会社に乗り込んで原因を突き止めたりするけれど、こんなにミニマムな「家族」という単位で描いていて、なおかつ面白いのはすごい。家族愛だけじゃなく、愛憎、父への憎しみも確かに心に抱きながら、それでも人生を前に進めようとする葛藤が良かった。
Posted by ブクログ
タイトルを含む4編。どれも、インパクト大。特に水辺のほとりに佇む幽霊の女の子の話が印象に残った。幽霊目線で、その心情が描かれており、地縛霊のように同じところで残される孤独感や寂しさ、霊の友達ができたときの喜びに共感的な気持ちになった。
Posted by ブクログ
韓国の新鋭作家、チョ・イェウンのデビュー作で本邦初訳作品。
ホラーというより、ホラー的な要素が含まれる四つの短編。
幻想味の強い「インビテーション」。ホラー的な怖さは一番かも。
幽霊からの視点「湿地の愛」。友情もの。
表題作でゾンビもの「カクテル、ラブ、ゾンビ」。コメディ要素マシマシ。父、腐る。
デビュー短編かつドラマ化されている「オーバーラップナイフ、ナイフ」。SF。
特に最後の「オーバーラップナイフ、ナイフ」は本当に傑作。この短さに、あるジャンルの全てが入っている。
他の作品も読みやすく、ホラーといって嫌厭せず読んでもらいたい作品集。
Posted by ブクログ
わー!このセンス好き好き大好き!
「インビテーション」ではいっしょに黒沢清観よ!ってなるし、「湿地の愛」をテーマにしたコンテンポラリーダンスが観たい。「カクテル、ラブ、ゾンビ」では母や娘と手をつないで家父長制をぶっ壊したくなるし、「オーバーラップナイフ、ナイフ」では世奇妙的な余韻が残響する。
未邦訳の作品もぜひぜひ日本での出版にこぎつけてほしい!
Posted by ブクログ
4作の短編集。
当然のことですが、韓国が舞台なため登場人物の名前だけでは男性なのか女性なのかわからず、読み進めてはじめてわかる、という箇所がありましたが…。
まず設定が興味深いし、そのなかで親子関係や夫婦関係のわだかまり、諦念が描かれていることが面白かった。
Posted by ブクログ
明るすぎず暗すぎず絶妙なトーン。
特に最後の短編はまるで映画を見ているようで、その時間軸の使い方と世界観にかなり引き込まれた。色んな要素がうまく絡み合っていながらも複雑すぎずに読みやすい。
韓国の小説ってゾンビ物が多い気がする。
Posted by ブクログ
サイケデリックな装丁の表紙が示すように、表現されている物語には少し血の色が濃くて、ゾンビだったり殺人だったり、強烈な展開が含められています。けれど物語はそのけばけばしいエグさばかりでなく、登場する人物のなまなましい感情が描かれていて、表面的なインパクトばかりを狙った作品たちではない、と思います。
表題作では、突然ゾンビになった父親を前にした、母と娘の葛藤が描かれています。それまでの家族関係の複雑さ、母娘の間の互いへの親愛、ゾンビ化が進む父親に対する最後の決断をしかねる、親子というしがらみ。さばさばとしたようで、絡まる親子の縁に悩まされる娘を、えいやと救ったのは他でもない母親で、その行動と台詞の気風の良さがとてもすがすがしい。
一方、「オーバーラップナイフ、ナイフ」では泥沼めいた家族関係を打破しようと足掻く人々の、まっすぐな想いと、それが裏腹に出る運命、「起こるべきことは起こる」悲惨を、いっさい救いなく描き切っています。終わりが来るということを「必然」として、それでもそれが哀しく酷いばかりでない、過程の人々の他者へ向けるやさしさや想いは真実だったからと思わせる、やはりすがすがしさが後に残ります。
この作品集は、血や恨みを描きつつも、そういった後腐れのない爽快さがあり、それは作者の個性なんだろうなと思えました。これからも作者の作品を読んでいきたいです。
Posted by ブクログ
ホラーテイストながら、それは独創的な話の展開のための環境であり、テーマはあくまで愛情な短編集なのかなと思いつつ面白く読みました。
中でも「湿地の愛」は、夏目友人帳を思わせるような切なさと愛らしさがありとても良かったです。
Posted by ブクログ
「湿地の恋」「オーバーラップ ナイフ、ナイフ」が特に良かった。表紙の印象で身構えたけど、新感覚な感じでサクサク読めた。(韓国版の表紙の方が好みかな)作者さんの他の本も読んでみたい!
Posted by ブクログ
幻想的な暗闇に吸い込まれちゃう! エモさとセンス抜群の韓国ベストセラーホラー #カクテルラブゾンビ
■きっと読みたくなるレビュー
幻想的で芸術性の高いホラーですね。読んでると深い深い異空間に吸い込まれていきそうです。韓国のホラーでバラエティー富んだ短編四作。切り口もテイストも全部違うので、思いっきり楽しめる一冊です。
どの作品からも物語を紡ぐ愛情を感じるんすよね~。文芸が好きで、人間が好きで、生み出すは苦しいけれどそれでも読者も楽しんで欲しいって気持ちが伝わる。ホラーではありますが、純文のように一文一文噛み締めたくなる作品たちでした。
●インビテーション
幼い頃から喉に何か詰まっている違和感があるチェウォン、彼氏のジョンヒョンとは折り合いが悪くいつも不満を抱いていた。ある日彼氏の携帯から浮気と疑われるメールを見てしまい…
子どもの頃に大人からされる無理強いって、マジでトラウマなんですよ。私も生まれて初めて母に目薬を点眼されたとき、恐怖で慄いていた記憶があります(そのせいで未だにコンタクトレンズが入れられない)。
本作は幼い頃の記憶をきっかけにして、徐々に禍々しい闇の世界へ引きずりこまれていく。我々もいつか経験したことがあるような痴話ゲンカだったはずなのに、こんなことになってしまうなんて… 人間が圧倒的に冷たく描かれんすよ、まったく血が通いが感じられないだよね。こわっ
終盤の強烈なシーンが頭から離れないよ、ぜひ映像で見たいみたいです。
●湿地の愛
川の地縛霊の物語。退屈な日々を過ごしていた川の幽霊ムルは、林の中を歩く幽霊スプに出会う。二人は少しずつ交流を深めていくが、人間がその場所を立ち入るようになってしまい…
こんなにも美しく素朴な幽霊の世界を体験したことがない。なんかキレイ… そして幽霊と幽霊の静かな寄り添いが、じわっと心を温めてくれますね。人間って死んじゃっても、大切な人が近くにいたら幸せなのかしら。少なくとも生きているうちは、幸せであり続けたいな。
●カクテル、ラブ、ゾンビ 【超おススメ】
おもろい、イチ推し! 父、母、娘、家族の物語です。詳しいあらすじは一切言いたくない、ぜひ読んでください。
コミカルでクールでラブリー、最高のホラー! 全編とおして何じゃコレってお話なんですが、心に沁みるこのエモさは何なの? 作家先生のセンスの塊を丸ごと体験できます。
家族の距離感が素晴らしいのよ。仕事ばかりで家庭に甘える父とそれを許せない母、鬱屈な環境に苦しむ娘。腹に溜まった衝動が今にも爆発しちゃいそうで見てらんない、でもどうなるか期待しちゃう。強烈なエネルギーを感じる大好きな作品です!
●オーバーラップナイフ、ナイフ
父が母を殺害する、そして私は父を殺害する。そして私は…、この状況は変えられなかったのか…
ある女子大生がストーカー被害にあっていた。しかし友人に相談しても神経質なだけど言われてしまう。アルバイトの帰り道、ストーキングされていたところを男性の助けてもらい…
まさにトワイライトゾーン、解像度の高い異世界の旅に誘ってくれます。なかなか無茶な展開が繰り広げられるんですが、挑戦的でいいじゃないですか。序盤はおどろおどろしさの粘り気が強いし、後半はどんどんテンポアップして読まされてしまう。
とある謎の真相も、この物語の結末も、それらしくていいんすよ。こわっ
■私とこの物語の対話 ---『カクテル、ラブ、ゾンビ』
全世界が緊急事態だったコロナ禍を思い出す。
手に入らないマスク、ワクチン接種の差別問題、イベントの禁止など、今ではもう忘れがちになってますが、様々な問題がありました。こういう時に一番しわ寄せを受けるのは誰だったでしょうか。政府や行政はどれほど頼りになったのか。
どんなに虐げられた環境、辛い状況であっても、一番重要なのは大切な人を守るという気持ちですよね。今日も息子の幸せそうな寝顔を見て、安心したのでした。
Posted by ブクログ
『韓国の新鋭No.1ホラー作家が誘う、没入感120%短編集』という帯のとおり、チョ•イェウンさんの物語世界に惹き込まれた一冊でした!
とくに好きなのが1本目の『インビテーション』。
招待や勧誘を意味するInvitationの通りでした。イェウンさんの描くありのままの自分を見出した人間のもとへ、読む人を誘うホラー作品でした。
その自分を剥き出しにした人間の愛に対する生々しさに衝撃を受け、そして彼女のストーリーのラストには清々しさを感じ魅力的でした!
その後に続く物語もありふれた人間の愛憎劇を鮮烈かつ過激に描き、読んでいると作者の人が紡ぐ物語に愛をもっていることが伝わってきます。
恋人や家族、社会のなかで人々が抱える愛憎劇が短い話のなかで力強く描かれた短編集でした!