カンバンファのレビュー一覧

  • 惑星語書店

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    短編なのでさくさく読める上に、どのお話もしっかりと心にあたたかいおみやげを残してくれる。収録作の『サボテンを抱く』と『惑星語書店』が特に良かった。「痛みを与えないことが愛なのか、はたまた痛みに耐えることが愛なのか」という言葉が印象的。

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    2025年06月20日
  • 惑星語書店

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    「サボテンを抱く」と、表題作「惑星語書店」がとてもよかった。

    特にサボテンを抱くは最初に収録されているお話なのもあって一気に心を掴まれてしまった。

    SFなのでそれぞれに世界観設定のようなものがちゃんとあるわけなのですが、説明的な文章が全然ないのにしっかりその世界に入っていけて、本当にすごい。頭の中がサボテンやらキノコやら謎の菌糸生物やら宇宙の黄色い絶景やらでいっぱいです。

    どうしてこんなに景色が浮かぶんだろう。掌編だけあって色んな世界を見れるので、惑星間旅行から帰ってきましたみたいな顔で本を閉じました。
    ひとつひとつのお話は短いのに、ひとつ終わるごとに色んな景色を頭の中で想像してなかな

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    2025年06月13日
  • 惑星語書店

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    表題作は電脳インプラントの普及した宇宙で、消滅寸前の弱小言語を媒介に心を通わせる話。ほのぼの。かと思えば植物に侵襲された地球でキノコを生やす人たちのブキミな話も。

    自分は宇宙人で、地球人の振りをして暮らしているものの味覚だけは真似ようがなく、食べ物がどうにも美味しくなかったから、研究を重ねて地球の素材で自分も美味しいと思えるものを作れるようになったというダイナーの店主が語る「外から来た居住者たち」が好きだったかな。もうちょっと読ませてくれーという絶妙なところで終わってしまうのが惜しいけど。

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    2025年06月11日
  • +1cmLOVE たった1cmの差があなたの愛をがらりと変える

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    ネタバレ

    私の周りに溢れている愛と幸せを改めて実感。
    色んな人から沢山の愛をもらってる。私もちゃんと伝えたい。言葉でも、行動でも。



    いつも読むのは小説、ビジネス本、自己啓発本が多いけれど、時にはエッセイもいいな。心が軽く優しくなる。

    ---以下、引用
    >幸せが逃げていく3つの言葉
    「今」ではなく「いつか」
    「ここ」ではなく「どこか」
    「あなた」ではなく「だれか」

    >強く押しても、引き戸は開かない。
    相手への充分な理解と関心なくして心の扉は開かない。今、このドキドキが本当に恋なのか
    それとも単にドアを開けてみたいだけなのかじっくり見極めて。

    >いつかだれかの部屋に長居すること

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    2025年06月08日
  • 長い長い夜

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    私たちは繋がっていて支えられて生きているってことが感じられる温かい本です。いろんな家族の形fがあって、家族という形じゃなくても支え合って生きているって改めていいなぁと思います。

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    2025年06月06日
  • 誤解されても放っておく

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    自分を大切にしながら生きていきたいのに、どうすればいいのかわからない。少しでも嫌なことが起きると、何もかもうまくいかないような気になってしまう。
    そんな気持ちに寄り添いながら、優しくも力強く背中を押して、気づきを与えてくれる本。

    ビジネス本のようにわかりやすく答えが書いてある本ではないので、それを求めている人は注意。
    とにかく誰かにわかってほしい、暗闇から抜け出すための手がかりが欲しいという人は、どうか焦らずにゆっくり読んでみてほしい。

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    2025年05月25日
  • 地球の果ての温室で

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    ダストという毒物の蔓延時代を生き抜いた人々と、アマラとナオミの姉妹、レイチェルとジスの物語、そしてダストと謎の蔓草モスバナがたどる道。

    滅亡寸前の悲惨な時代から、ようやく復興した地球。あのとき世界を救った、二人と二人の真実とは…。

    コロナを彷彿させる描写ですが、私は最初なかなか読み進められなかった。第一章(100ページ)が終わってから段々と物語は加速しだすんだけどゆっくり語られていくような感じ。第二章のアマラとナオミの話が面白かった。第三章のレイチェルとジスの関係性には興味深かった。

    ダスト終息はテクノロジーと全人類的な協力による勝利と受け止められてきたけど、本当はそれだけではなかった。

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    2025年05月16日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    サイケデリックな装丁の表紙が示すように、表現されている物語には少し血の色が濃くて、ゾンビだったり殺人だったり、強烈な展開が含められています。けれど物語はそのけばけばしいエグさばかりでなく、登場する人物のなまなましい感情が描かれていて、表面的なインパクトばかりを狙った作品たちではない、と思います。

    表題作では、突然ゾンビになった父親を前にした、母と娘の葛藤が描かれています。それまでの家族関係の複雑さ、母娘の間の互いへの親愛、ゾンビ化が進む父親に対する最後の決断をしかねる、親子というしがらみ。さばさばとしたようで、絡まる親子の縁に悩まされる娘を、えいやと救ったのは他でもない母親で、その行動と台詞

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    2025年05月11日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    ホラーテイストながら、それは独創的な話の展開のための環境であり、テーマはあくまで愛情な短編集なのかなと思いつつ面白く読みました。
    中でも「湿地の愛」は、夏目友人帳を思わせるような切なさと愛らしさがありとても良かったです。

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    2025年05月07日
  • 地球の果ての温室で

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    ダストという毒物の蔓延により、動植物が死に絶え、滅亡の危機に立たされた時代を生き抜いた幼い姉妹・アマラとナオミ、そして謎の女性・ジスとレイチェルの物語。
    過酷な状況の中、アマラとナオミが辿り着いたフリムビレッジでの生活は、束の間の平穏と、徐々に追い詰められていくことで破綻していく人間関係が上手く描かれていました。そんな中でも、“明日“を迎える希望を胸に、生き抜こうととする力強さがとても良かった。
    ジスとレイチェルは、キム・チョヨプさんが作品のテーマとしている、分かり合えないものだとしても共生したいという関係性を感じました。
    キム・チョヨプさんの、切なく物悲しい世界の中に、かすかな温かさを感じる

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    2025年04月04日
  • 罰と罪 下

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    下巻はドストエフスキーなどの文学の話は減って哲学の話が増えたので、個人的にその点では上巻のほうが面白かった。
    事件と直接関係ない部分でもやたら長く描写しているように感じられてしまう部分もあったりしたけど、犯人にどんどん近づいていく終盤はやっぱりスリルがあって面白いし、先が気になって結果的に一気に読みきれた。

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    2025年03月17日
  • 罰と罪 上

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    たまたま本屋でタイトルと帯をみて、ドストエフスキーが好きな私は読まずにはいられなかった。

    ドストエフスキー作品についてかなり書かれているので同じドストエフスキー好きと語り合っているような気持ちにもなれたし、単純にミステリとしても先が気になる展開で一気に読めた。
    ドストエフスキー作品を読んでいないとちょっととっつきにくいところもあるかもしれないけど、作中である程度の説明はしてくれるので全然ついていけないってことにはならないのじゃないかなと思う。

    下巻も楽しみ。

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    2025年03月12日
  • 罰と罪 下

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    ネタバレ

    コールドケース再捜査ものとしては非常におもしろい。
    チームも優秀でスマートでストレスかかるメンバーもおらず、主人公の成長を見守る姿勢も好感がもて、翻訳ミステリーで韓国警察ものということを忘れるくらい心情が日本に近い。

    しかし頻発する
    「アイゴー、アイゴー」はいただけない。
    この言葉を訳さないのはなぜなのでしょう。
    わたしはアイゴーと言われても意味がわからないのですが、韓流ドラマなどの視聴者ならこの方が良いのでしょうか。

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    2025年03月02日
  • 罰と罪 上

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    ネタバレ

    まさか韓国ミステリで『デミアン(デーミアン)』の痛烈な批判が読めるとは…痛快でした。

    ドストエフスキー好きなわたしとしてはまさかの韓国警察小説との融合を楽しんでいますが、そうでない人は戸惑うかもと心配になります。

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    2025年03月02日
  • 地球の果ての温室で

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    SFストーリーで、人の温かさを感じられる一作
    読みやすく、理解しやすいが
    専門的な話もあり、未来のものも出てきておもしろい

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    2025年01月25日
  • 地球の果ての温室で

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    SFのいいところを凝縮した、素晴らしい作品でした。著者のキム・チョヨプさんは、作家ともう一つ物理学者という側面も持っているので、作品の
    中にも化学用語とかがよく文章に投影されています。未来の世界を舞台に、ダストという毒物が蔓延された世界で、人々は外に出られない状況で、ドームシティーを創り出し密閉された世界で生きている。そんな蔓延された外の世界に、憧れを抱き、生きれる場所を探す姉妹がいた。
    森の奥にダストに対応できる環境があると、植物の持つ再生と破壊が鮮やかな目線で描かれています。

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    2024年12月21日
  • 誤解されても放っておく

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    タイトルと表紙の柄に惹かれて購入。

    心に残った項目は
    ・完結してほしくないときと、完結して欲しいとき
    ・「海が見たい」という心のSOS
    ・ひとりで耐え忍ばねばならない感情
    ・恋心が芽生える時差
    ・「言葉を選ぶ人」から伝わってくる真心
    ・興味本位の人、関心を寄せてくれる人
    ・「あなたのためを思って」という干渉
    あたり。

    いろんな気持ちが比喩的に表されていて、自分では言語化できなかったモヤモヤした気持ちが整理された気がした。作詞家だと知って納得。

    低レビューもあったので覚悟して読んだが、低レビューをしている人こそが、この本を必要としている人たちが"放っておくべき人"な気が

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    2024年12月21日
  • +1cmLOVE たった1cmの差があなたの愛をがらりと変える

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    かわいい本。
    でもかわいいだけじゃない。
    縛られている過去を振り解くための
    凛としたアドバイスがあったり、
    今ある愛に気づかせてくれたり、
    気持ちの後押しをしてくれる。

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    2024年12月17日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    「湿地の恋」「オーバーラップ ナイフ、ナイフ」が特に良かった。表紙の印象で身構えたけど、新感覚な感じでサクサク読めた。(韓国版の表紙の方が好みかな)作者さんの他の本も読んでみたい!

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    2024年12月05日
  • 地球の果ての温室で

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    ネタバレ

    これは、著者あとがきのことばで言うと、「とうてい愛せそうにない世界を前にしながらも、最後にはそれを建てなおそうと決心する人々」の存在を発掘していく物語だ。世界の中心を占める利己主義から逃れて生きることは困難だ。しかし、その外で生きようとする共同体も存在する。共同体では、連帯、利他主義が人々の間で大きく働いているものの、意外なことに、その根底では、片方によって調整された"女"同士の愛憎が存在し、また外からは敵が迫る。共同体は内外から必然的に崩壊していくが、「場所を移す」ことで世界は救われる。って感じかな。
    全体としておもしろいけれど、第三章で論証が長いところは退屈だった。

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    2024年11月22日