カンバンファのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
韓国の警察小説。
22年前の事件を追う3人の刑事の動向と、犯人の独白が交互に続く。
この巻の後半、被害者が所属していたドフトエフスキー小説を読む読書会のメンバーへの刑事のインタビューが始まるあたりから、犯人に近づいているような雰囲気が出始めるが、まだわからない。
下巻を読むのが待ちきれない。
内容とは別に、韓国語を勉強しているので、登場人物の名前や、ところどころに出てくる韓国語もとても興味深かった。
・アイゴ---女刑事ヨン・ジヘの口癖 「ああ、まあ、はあ」という意味の感嘆詞
・ノ・ナ・シロ---被害者の口癖 「あなた、わたしのこと、嫌いでしょ」の意 -
Posted by ブクログ
韓国文学にハマり、色々読み漁っていますが、短編集でこんなに好みだったのは久しぶりです。
ホラー作品とありますが、ホラーが苦手な私でも読める、ホラー要素控えめな作品です。
どの作品も登場人物の心理描写が切なく、それぞれの回想エピソードがエモさを引き立てています。
表題作の『カクテル、ラブ、ゾンビ』は、父親が飲んで帰って来た次の日にゾンビになったというお話。主人公のジュヨンは、しばらくゾンビになった父親を家で匿いますが、今後どうしていくべきか、色々な思いと葛藤する様子に、面白みと切なさを感じました。
『オーバーラップナイフ、ナイフ』はネタバレなしで読んでもらいたい作品です。 -
Posted by ブクログ
今時点で今年一だなと思う「わたしたちが光の速さで進めないなら」の著者の二つ目の長編。これもサイコウだった。
今回は人と人じゃないものの共生がテーマ。
氾濫体ってなに!?振動はなんなの!?テリンとイゼフ、ソノの関係は!?
世界の状況はすぐわかるのだけど、主人公のテリンを取り巻く状況がなかなか理解できず、読みがノってくるまでに少し時間がかかった。
ソールが覚醒したところあたりから、段々とページを捲る手が止まらなくなる。
テリンの生い立ちの謎。初ミッションで出会った沼人の正体。地下にもいる仲間たち。そして何よりイゼフの計画に自問自答する。
果たして自分だったら、イゼフのように考えるのではないか。見た目が違う、感じ方や伝え方が違うものへの畏怖、そこから生まれる差別的言動。
自分というのは、自我のある一つ個体で他から完全に独立したもの、ではなく他とゆるく繋がった存在である、というのがこの作品の構想にあるようだけど、そのように考えるならばイゼフのような考えには至らない。
2020年以降の世界への提言にも思えた。
あぁ、そしてテリンのイゼフへの愛と訣別。イゼフはテリンに世界を教え、テリンはイゼフに未来を見せた。両者とも愛が故に行動していたのに、最後は氾濫体への考え方の違いにより、悲しい結果になった。
SF度はめちゃくちゃ高い…けど、私がイメージしてた少年・男性っぽいSFとはまた違った優しい作品だから、ぜひたくさんの人に読んでみて欲しいと思った。 -
Posted by ブクログ
純文学っぽい文体で綴られたホラーは初めてかも。すごく新鮮だった。ストーリーの展開やいかに怖がらせるかのエンタメ要素の強い日本のホラーと違って、心情描写多め。面白かった。
『韓国で10万部突破の話題作、ついに日本上陸』との触れ込みで、2年連続年間ベストセラーに選ばれているらしい。デビュー作で海外に翻訳されるとか羨ましい限りである。
特に好きだったのは『湿地の愛』と『カクテル、ラブ、ゾンビ』
「湿地の愛」は、地縛霊である水辺の幽霊「ムル」が主人公。川で退屈な日々を送っていたとき、林のなかを歩いていた「スプ」に出会う。その後、二人はしばしば会いながら静かに心を通わせる。
「カクテル、ラブ、ゾンビ」の主人公は塾で講師をしている女性。ある日、いつものように会社の仲間たちとお酒を飲んで帰ってきた父が、ゾンビになってしまった。ニュースを見ると、ゾンビウイルスの一次感染者はすべて殺されてしまうことがわかる。家では家庭を顧みず偉そうに振る舞ってきた父だけれど、母と共になんとか匿おうとする。
普通ゾンビ作品ってもっとスケールが大きくて、人類やその土地に住む全員がゾンビ化するのを防ぐために戦ったりなんとか逃げたり、製薬会社に乗り込んで原因を突き止めたりするけれど、こんなにミニマムな「家族」という単位で描いていて、なおかつ面白いのはすごい。家族愛だけじゃなく、愛憎、父への憎しみも確かに心に抱きながら、それでも人生を前に進めようとする葛藤が良かった。 -
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キム・チョヨプさんの長編です。
この作品の舞台は、宇宙から飛来した外来種である「氾濫体」に覆われた地球。人類は氾濫体に触れると錯乱症を発現するため、これを恐れて地下へ潜って生活をしています。いつか地球を自分たちの手に奪還するため、地上の探査をしており、その危険な任務を担うのが派遣者と呼ばれる選び抜かれた人たちです。物語は、派遣者になることを夢見る主人公のテリンを中心に描かれています。
この設定に惹かれて手に取りましたが、めちゃくちゃ面白くて一気読みでした。
キム・チョヨプさんの作品は、一貫して他者理解と共生がテーマにあります。今作も、人間と氾濫体がいかにして共存していくか、テリンが葛藤を抱えながらも不可能に立ち向かい、その方法を模索していく姿に感動しました。
私たちが生きているこの世界では、他の存在と関係を結ばなければ生きられないこと。すでに異質な他者と繋がりあって存在していることに気付かされた作品でした。 -
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2024年年末、夫と喧嘩?(信頼できなくなった)時に居てもたってもいられなくなって、手に取った本。
私が私らしくあるために、必要な本だった。「これは私の性格の問題かもしれない」「こういうことを考えてしまうのは私だけだろう」そういう孤独感や自分を責める気持ちから、解放してくれた本。
本の中にたくさんの私がいた。
誰かにいつかわかってほしい、可哀想な怯えてる私がいた。
でも、読んでいると1人では無いんだと理解できた。
そして、私はありたい私で生きるべきだし、それを邪魔してくる人が居ようもんなら、逃げていいし、関わらなくていいんだと納得できた。
少しマイペースを取り戻せたような気分。
辛くなったらまたこの本を開こう。 -
Posted by ブクログ
児童小説ですが泣きながら読みました。
著者のルリ氏は2018年に地上最後のキタシロサイのオスが死亡したニュースを知り、本作を描いたそうです。
この物語にもオスのシロサイが登場します。
一人称を主人公とするなら、それはこのシロサイ・ノードンに育てられたペンギンとなるわけですが私にとっての主人公はノードンでした。
ノードンの最も古い記憶は、自分を囲むゾウ達の長い鼻。ゾウの保護施設にシロサイのノードンはいた。
ゾウ達に助けられ愛されて育ったノードンは、保護施設の人間たちによって外の世界に戻されることとなる。やがて妻となるサイと出会い最愛の娘を授かり幸せな日々を送るも、密猟者達により突然家族を失ってしまう。
生き延びたノードンは動物園に運ばれ、サイのアンガブーと出会うがー。
ここからなぜ、このノードンがペンギンを育てることになるのかは伏せておくとして。
読んでいる途中から涙をこらえるのに苦労しました。
怒り、憎しみ、諦め、慈しみ、愛、希望など我々が持ち得る様々な感情の全てがこの作品には詰め込まれており、その表現(翻訳)が秀逸。
時に鋭く、時に柔らかく読み手の心を刺激し続け心が震えるとはまさにこういうことかという思いです。
「いいか、わたしを信じろ。名前をもっていいことなど一つもない。わたしだって、名前のないころのほうがずっと幸せだった。第一、サイが育てたペンギンなんだぞ。名前なんかなぬても、おまえのにおい、話し方、歩き方だけでも、じゅうぶんに見分けられる。心配いらないよ。」
これは名前を欲しがったペンギンにノードンが向けた言葉です。
名前や所属、そんなもの(レッテル)ではなくノードンがペンギンそのものを見ていることがしっかりと伝わるこの言葉。現代を生きる私たちが胸に刻むべきものだと感じました。
本作はルリ氏が生み出したストーリーのみならず、美しいイラストも魅力の1つです。
作品の長さ、漢字の難易度からして我が子が読めるようになるのは暫く先になりそうですが、その時がきたら是非読んでほしいです。
また広く大人の方にも手に取ってほしいと思いました。
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Posted by ブクログ
これまで苦手なKポップや韓流ドラマのイメージが強くて、どうしても手が出なかった韓国の作家さんの本。初めて読んでみました。
翻訳ものでもびっくりするほど読みやすかったです。翻訳物によくある、壮大な視野からの長い長い情景描写もなく、それぞれの動物の主観的視野で、感情を丁寧に描いていて、日本文学に近いけれど、言葉には上手く表せないけれどまた違った感覚もあって…
すごく、すごく良かったです。
〜 一つの小さなたまごに すべてをかけた
生きものたちの命の物語〜
と書かれています。
◯僕には名前がない。
でも、ぼくは自分が誰なのか知っている。
名前を持つってことよりも、ずっと大切なことを教えてくれたのは、3人の父さんたちだ。
ページ毎に色々な感情が溢れてきて、上手く感想を書くことができません。大切なもののために懸命に生きた、生きものたちの想いに、ひどく心を揺さぶられました。何度も読み返したくなる、大切な場面がたくさんある、素敵な一冊でした。