カンバンファのレビュー一覧
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児童小説ですが泣きながら読みました。
著者のルリ氏は2018年に地上最後のキタシロサイのオスが死亡したニュースを知り、本作を描いたそうです。
この物語にもオスのシロサイが登場します。
一人称を主人公とするなら、それはこのシロサイ・ノードンに育てられたペンギンとなるわけですが私にとっての主人公はノードンでした。
ノードンの最も古い記憶は、自分を囲むゾウ達の長い鼻。ゾウの保護施設にシロサイのノードンはいた。
ゾウ達に助けられ愛されて育ったノードンは、保護施設の人間たちによって外の世界に戻されることとなる。やがて妻となるサイと出会い最愛の娘を授かり幸せな日々を送るも、密猟者達により突然家族を失っ -
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これまで苦手なKポップや韓流ドラマのイメージが強くて、どうしても手が出なかった韓国の作家さんの本。初めて読んでみました。
翻訳ものでもびっくりするほど読みやすかったです。翻訳物によくある、壮大な視野からの長い長い情景描写もなく、それぞれの動物の主観的視野で、感情を丁寧に描いていて、日本文学に近いけれど、言葉には上手く表せないけれどまた違った感覚もあって…
すごく、すごく良かったです。
〜 一つの小さなたまごに すべてをかけた
生きものたちの命の物語〜
と書かれています。
◯僕には名前がない。
でも、ぼくは自分が誰なのか知っている。
名前を持つってことよりも、ずっと大切なことを教え -
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ネタバレ韓国の新鋭作家、チョ・イェウンのデビュー作で本邦初訳作品。
ホラーというより、ホラー的な要素が含まれる四つの短編。
幻想味の強い「インビテーション」。ホラー的な怖さは一番かも。
幽霊からの視点「湿地の愛」。友情もの。
表題作でゾンビもの「カクテル、ラブ、ゾンビ」。コメディ要素マシマシ。父、腐る。
デビュー短編かつドラマ化されている「オーバーラップナイフ、ナイフ」。SF。
特に最後の「オーバーラップナイフ、ナイフ」は本当に傑作。この短さに、あるジャンルの全てが入っている。
他の作品も読みやすく、ホラーといって嫌厭せず読んでもらいたい作品集。
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これは、長い長い夜のお話。
シロサイが、ペンギンたちが過ごしたいくつもの長い長い夜。
彼らには名前があった。
ノードン、チク、ウィンボ。
一頭と二羽の「お父さん」が繋いだ、いのち。
そう、その、いのち。「ぼく」と「お父さん」たちのお話。
「ぼく」は動物園のペンギン舎で見捨てられた卵だった。
ペンギンたちも飼育員たちも遠巻きに見ていた。
そこに、ふたりの「お父さん」チクとウィンボがやってきて、代わる代わる「ぼく
」を温めはじめた。
「ぼく」はチクとウィンボの愛情を受け止めて卵の中ですくすくと育った。
そこに「戦争」がやってくる───そして、「ぼく」は、シロサイのノードンと出会う───。
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ネタバレめちゃくちゃ面白い小説だった……!!!
翻訳小説は独特の文体があると思うのだけど、韓国語は文法が似ているからかこの作品ではその感じもおぼえず、本当に読みやすい文体でするする読めた。
するする読み進めたのはもちろん内容がめちゃくちゃよかったのもあって、SFって謎が解けたり時空を超えて何かが繋がったときに自分の脳内で小爆発が起きて面白さが加速する瞬間が好きなんだけど、そういう瞬間を1回だけでなく味わえた作品だった。
植物がキーとなるディストピアの舞台も魅力的だったけど、個人的に魅力的だったのはキャラクターの描き方で、アヨンの周りの人間関係もよかったし、後半核心に迫って描かれたジスとレイチェルが -
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ネタバレ感涙必須。
まず、人間、動物の生きている・幸せであることをその振動で感じるヒューマノイドというのが自分にとって新しい見方で興味をひかれて。
そのコリーの素直な質問や意表をつく切返し、空を見上げるシーンや馬のトゥデイを想っての行動、すべてが愛しく感じられ、最期は彼らしいと思うぐらい優しい存在。
止まった時間・止められてしまいそうな時間を流れさせるためにはどうすればいい?
"ゆっくり走る練習が必要だ"
馬のことだけでなく登場人物すべてにかかることで、劇的ではないけれど停滞していた状態から動き出す様に、きらきら輝くもの(コリー風にいうと振動があるってことかな)を感じました。 -
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ダストフォールという地球規模での災害が発生した後の世界。ドームに逃げ込むことができた人と、耐性を持っていた人が生き残って、世界を再建した。ダストの時期に、地球を覆っていた植物、モスバナが、今頃になって再発生したことから始まった調査だが、主人公アヨンの思い出につながる点があり詳しく調べていく中で、ダスト時代の人々の行動が明らかになっていく。
序文で作者本人が書いているのだが、この本の執筆時期がCOVID-19が最も深刻だった時期に重なっていたとのこと。小説の中のダストフォールが、現実のパンデミックと重なる部分もある。
とても面白かった。おすすめです。 -
Posted by ブクログ
自分は内向的な人間だと思っていたけど、やっぱりそうだった。
本の最初にある内向的チェックで10個以上チェックがはいった。
家にいる事が好きだし、パーティー等ざわざわする場所も苦手。
大勢でいるよりも一人の方が楽しい。
等々、完全なる内向的人間のようだ。
本に登場する旅行が苦手問題、、、。これは私も一緒で。
(他人は喜ばしいことがストレスだったりする)
精神的負荷が結構かかる。
毎日をルーティンで過ごすことが心地いいので、イレギュラーな事(それが例え旅行等、他人が羨ましがるような事でも)がものすごくストレスになるのです。
「旅行が好きじゃない」とか、外ではあまり言えないよなぁ。
他人に言いずら