カンバンファのレビュー一覧

  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    どんなに時代が進んでも、科学が発達した世界でも、人間の心の柔らかい部分は変わらずにあればいいなと思う。SFでこんなに優しい物語……

    「感情の物性」がおもしろかった。物性はいかにして人の心を捉えるのか。

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    2025年10月15日
  • この世界からは出ていくけれど

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    “わたしたちが光の速さで進めないなら”に続き、またも印象的なタイトルと表紙に惹かれて購入。
    初っ端から最後のライオニに涙腺を緩ませられました。他の短編もやっぱりどこか切ないものばかりでしたが、それだけではなくじんわりあたたかい優しさも持ち合わせた作品ばかりで、読んで良かったです。

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    2025年10月08日
  • 長い長い夜

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    地球で最後のシロサイと、2羽の雄ペンギンに育てられた一つのたまご。彼らがともに歩いた長い旅と、置いてきたものたちと、その間を縫うようにつながれたいのち「ぼく」の物語。

    美しい絵に彩られた美しいお話。素直に読んで、ページいっぱいの絵と色を楽しんで、彼らに心を馳せて、夜を過ごして、一緒に旅をしましょう。それで十分。

    ストーリーが終わったあとの、絵だけが連なる無言のページが好きです。
    彼らの歩んだ足跡が刻まれた一対、そして、最後のページへ。

    …ここまで読んでよかった、と思わせてくれる、よき旅をありがとう、と言いたくなる本です。

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    2025年10月03日
  • 夜間旅行者

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    ネタバレ

    ダガー賞読書会のために読んだ本その2。
    韓国ミステリ小説は初めて読みました。ミステリというより、サスペンスやスリラーかな。

    裏表紙のあらすじでかなりネタバレされているとはいえ、ハラハラしました。
    旅行先で、災害ツアーを保つために、人為的な災害を引き起こそうとする企みに巻き込まれてしまう。
    旅行企画会社の社員でも、「ワニ75」を与えられてしまう…「自分は読者じゃなく、読まれている側」だと思い知ってしまうのはかなり怖いです。

    一人一人にはドラマがあっても、大きな災害となると個人は見えなくなってしまう。
    番号で描かれていく終盤の災害描写、あまり読んだことがない形式で、ほんとに台本みたいでした。こ

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    2025年09月30日
  • この世界からは出ていくけれど

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    『私たちが光の速さで進めないなら』が良かったので期待してこちらも購入。文庫化たすかる。

    たとえ同じ人間という種族であっても違う個体であれば本当に理解し合えない部分というものは存在する。様々な理由からどうしたって一緒にはいられないけれど、あなたはかけがえのない存在で互いの芯の部分に触れ合えたような気がした瞬間や一緒に居れた時間をギュッと抱きしめて、あなたの幸福を祈りつつ私は自分の人生を生きていくよ、といったような寂しさを描くのが本当に上手だなと思う。
    好きだったお話は『ブレスシャドー』と『古の協約』。

    『ブレスシャドー』は全然馴染めなかった故郷と、そんな中でも仲良くしてくれた数少ない友人を思

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    2025年09月25日
  • この世界からは出ていくけれど

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    色んな意味での旅立ちや別れがそれぞれの短編で起きるので、どうしてもものさみしい気持ちになる。
    同じ場所で、あなたと変わらずこのままで、が叶わない世界。
    だけどそれは決して絶望的な別れではなく、互いのことを想いあった上でのままならない別れであったりもするから、読み終わったあとに残る感情は決してネガティブなものではない。

    不思議。
    別れの中でも死別が最も大きなものと私は捉えてしまうけれど、今なら「またね」と言える気がする。もう会えない、交わらない時間のことだけを想って絶望する私ではなくなったような感じがする。

    地球が舞台の短編の方が少ないくらい、あくまでもしっかりSFなんだけど、舞台がどこかな

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    2025年09月22日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    韓国の作家さんのSF短編集。

    SFならではの高度な技術進歩が、人間の不完全さをかえって愛すべきものにしているような矛盾を感じた。

    人間って本当によく分からんところがいいよねっとなる一つ一つが優しく素敵な話。

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    2025年09月20日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    1つひとつの短編に余韻があって、しばらくひたっていたくなる。

    SFだから、未知で私たちの知らない世界のはずなのに、どこか懐かしい郷愁のような感覚がずっとあって、そこにひきつけられたのかもしれない。

    読んでいて優しさと哀しみという絵の具をパレットで混ぜ合わせて、新しい名もない感情を胸に抱いた気持ちになった。
    色があるとしたら、きっと、すごく澄んだ人を育んでくれるような色だ。

    「スペクタル」「わたしたちが光の速さで進めないなら」が好き。

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    2025年09月18日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    「巡礼者たちはなぜ帰らない」の感想。
     なぜ巡礼者たちは帰ってこないのか?その疑問を追うSFストーリー。物語の構成とSF設定、心理描写が面白い。
     序盤から中盤にかけて謎と情報が点のように散らばり、終盤でその点が繋がっていき線になる。語り手の視点を追うような構成。これにミステリーで謎を解いていくような面白さがある。話の中で、資料を見るという形で視点が切り替わる多重構造も面白い。
     SF設定と心理描写については、「科学技術」と「人の思い、葛藤」が関係付けて描かれておりリアリティがある。若者の見えない未来への不安、好奇心、希望がリアルに描かれている。


    追記:
    短編「わたしたちが光の速さで進めな

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    2025年09月07日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    最近あまりSFを読んでなかったが、
    とある動画で紹介されてるのをみて
    タイトルに惹かれて購入してみた。

    調べてみると、同世代の韓国女性の作家さん。

    まずとても読みやすい文体と短編で長過ぎず、短過ぎずな点が、久々にSFに触れるということもあるが素晴しかった。

    取り扱ってるテーマは感情などの普遍的なもので、
    舞台装置としてSF世界に置かれることで、
    その普遍性や特性をさらに炙りだし、
    読者にも考えさせたり、感じさせたりする構造になっていると思った。

    SF世界のようにAIなどのテクノロジーが外界を目まぐるしく変化させていく半ばSF的な今世において、人間性を考えるきっかけにもなったかな。

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    2025年08月30日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    人に対する寂しさや愛おしさを丁寧に丸めて宇宙に放ったような作品だった。

    どんなに科学が進歩しようが、人が人の心を理解するのには時間がかかるし、理解できないまま終わることだってある。それでも、最後まで理解できなかったけどあなたといた時間は忘れないと思うよと、そんなふうに最期に人と別れられたら孤独じゃなくなるのかな。

    どの作品も好きだけど表題の『わたしたちが光の速さで進めないなら』『館内喪失』が特に好き。

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    2025年08月25日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    韓国科学文学賞大賞作品を含むデビュー短篇集。7篇どれもわくわくしながら読んだ。短くてもしっかりSFでしっかりヒューマンドラマなのがスゴい。

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    2025年08月25日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    ネタバレ

    4作の短編集。

    当然のことですが、韓国が舞台なため登場人物の名前だけでは男性なのか女性なのかわからず、読み進めてはじめてわかる、という箇所がありましたが…。

    まず設定が興味深いし、そのなかで親子関係や夫婦関係のわだかまり、諦念が描かれていることが面白かった。

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    2025年08月17日
  • 派遣者たち

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    ネタバレ

    他者との共生とそこで発生する問題についてしっかりと描かれていた。氾濫体に対する嫌悪感の描写が昨今の移民問題や過去の迫害の問題に繋がっていることがすごい。
    確かに個人という意識、国のアイデンティティ、そういうものにずっと囚われていては争いはいつまでたっても終わることがないよな
    人間という生き物をイゼフが象徴していると思う。自分や自分の守りたいものを守るため正義の名の下に他者を傷付ける。

    相変わらず翻訳がとても読みやすい

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    2025年08月05日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    明るすぎず暗すぎず絶妙なトーン。
    特に最後の短編はまるで映画を見ているようで、その時間軸の使い方と世界観にかなり引き込まれた。色んな要素がうまく絡み合っていながらも複雑すぎずに読みやすい。
    韓国の小説ってゾンビ物が多い気がする。

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    2025年07月23日
  • 惑星語書店

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    掌編集でどれも読みやすいし著者自身が序文で語っている通り、掌編だから思い切って細かい設定や背景の描写はすっ飛ばしてる潔さもあって読みやすい。
    過去作同様マイノリティへの優しい視線や普遍的な人生観を扱っているけれど掌編故にメッセージがむき出しで迫ってくるのも良い。
    デイジーとおかしな機械、惑星語書店、とらえられない風景、外から来た居住者たち、が特に好きだった。

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    2025年07月21日
  • 派遣者たち

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    面白かった。SFは苦手だと思ってたけど、恐い描写があるわけではなく、綺麗であたたかい世界の中でストーリーが流れていって、読んでて心地よかった。

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    2025年07月13日
  • 惑星語書店

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    掌篇集ということで、キム・チョヨプさん特有の抒情性は少し薄れるものの、あいかわらずのやわらかな筆致。ワンアイデアで広がる豊かなイマジネーションがすばらしい。
    絵画から着想を得たもの、特殊な五感を持つ人、20年ごとにバラードが流行る謎の調査、アナログへと回帰することで捉えられるもの。
    表題作の『惑星語書店』はふたりのこの先も見てみたくなるようなわくわく感があった。

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    2025年07月07日
  • 惑星語書店

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    『サボテンを抱く』
    皮膚が過敏になり、物質と接触するだけで激しい痛みを伴う障害を患った元建築家のパヒラと、お手伝いロボットの話。

    『#cyborg_positive』
    機械の眼を持つインフルエンサーリジーが、企業のプロモーションを受けるか迷う話。

    『メロン売りとバイオリン弾き』
    万引き常習犯の子供ふたりが出会ったメロン売りとバイオリン弾きの話。

    『デイジーとおかしな機械』
    同じ空間にいるふたりと音声を文字として表示する機械の話。

    『惑星語書店』
    脳内インプラントの言語変換機能を妨害することで、読む能力がなければ読めないようになっている本を売る書店の店員と、努力して惑星語を習得しようとし

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    2025年07月05日
  • 惑星語書店

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    読んだ。薄かったのでサクッと。全体的には「切ない」という言葉なのだが、「切ない」と言い切ってしまうまで「切ない」わけでもない。ふと胸に宿る寂寞のカケラに気が付かされるような。そのカケラに向き合って過ごすにはあまりに小さすぎるような。でもその存在に気がついたなら明日からの私達は同じではいられない。ケン・リュウの時のようなひりつく苦味と切なさでもなくて、地に足をつけた優しさを感じる。
    また、この著者は自らの世界観を広げて小説書くタイプだ。他の本も繋がっている。「派遣者たち」は読みたいし、他も手を広げたい。
    直接内容の感想ではない所だと、翻訳が日本人では無いということが新鮮。勿論相互の言語に堪能なの

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    2025年06月28日