カンバンファのレビュー一覧

  • 本と偶然

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    だいすきなSF作家キム・チョヨプさんのお仕事エッセイ。独特の抒情性とやわらかな筆致から、文系で感性派の方かと勝手に思っていたら、バリバリの理系(化学科卒)でとてつもない勉強家だった!

    とにかく「ここまで手の内をさらしていいの!?」というほど、ことこまかに創作の過程を明かしてくれている。アイデアの泉などないから、とにかく自分の外にある材料を集め、世界を拡張する、と。

    影響を受けた本についても、作法書や現行韓国SFまで挙げていて、すごくまじめで正直な方だなぁとますます好きになった。最初はオンラインギルドやボードゲームサークルの仲間と書き始めた、というサブカル文脈もすごくいい。

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    2026年02月04日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    遠い未来や宇宙を舞台にしながら、描かれるのは派手な出来事ではなく、誰かを待つ時間や、届かない距離の中で生きる人々の姿。
    SFという枠組みを通して、人の感情や選択を静かに見つめる短編集。

    SFは考えずに楽しむもの、という印象が強かったが、ここまで静かで余白の多い作品は初めてで新鮮だった。
    SFというフィルターを挟んでいるはずなのに、かえって感情が生々しく立ち上がってくるのが不思議だった。
    時間と距離の隔たりが身体感覚として伝わり、説明されない部分に想像が自然と入り込む。
    いまだかつて見たことのない世界に思いをはせる、その時間そのものにロマンを感じる一冊。

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    2026年02月01日
  • 惑星語書店

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    “ネタ帳”感覚のSFショートショート
    未来のほんの一コマの風景を、登場人物たちの会話で柔らかく包んだ、甘くて苦いチョコ詰め合わせ

    この作家独特な面白さで、スッと物語に入っていける。

    頭の中ではどれをとっても長編へ飛躍できる、が、一瞬で刺激の来る超短編だから、これもいい。

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    2026年01月28日
  • 惑星語書店

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    世界観を作り込まなきゃいけないSFにおいて、こんなに短い文章でその世界の想像ができることがすごいなと思った。
    チョヨプさんは堅苦しくないけど現実すぎない、自分にとって心地よいSFを描いてくれるので好き。

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    2026年01月22日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    SFにハマり、昨年末からゆっくりと読んでいました。SFだけれどもどこか懐かしく、優しさに包まれた1冊でした。
    韓国語訳だからか、それとも私がSFに読み慣れていないからかか、はじめは読むリズム?ペースを掴むのが難しかったのですが、集中して読めるようになってからはこの世界観にハマってしまいました。

    「わたしたちが光の速さで進めないなら」と「館内紛失」が好きです。
    今年はたくさんのSFに触れたいので、また他の作品も読みたいと思います。表紙も可愛いので集めたくなりますね。

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    2026年01月20日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    表題作他3篇、どの作品もホラーやスリラーティストの中にも切なさや神秘的な雰囲気がふわりとあってとても楽しめた。父親がゾンビになり葛藤する母娘、幽霊同士の淡い恋、ラストのタイムループもの話もそこでこうなるのか〜など一気読みした。

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    2026年01月20日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    少し切なくあたたかい。SFで近未来的な内容が多いなかで原始的な人とのつながりにフォーカスしているこのバランスが好き。私たちが見る社会や他者を別の角度から捉え、向き合うヒントを与えてくれる作品。

    一番は「スペクトラム」あとは「共生仮説」「館内紛失」あたりが特に好き。

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    2026年01月12日
  • 惑星語書店

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    一作数ページ~数十ページのSF短編集。
    違うもの同士が出会い、ひととき過ごして、また違う道を歩いていくというような、大きな事件はおきないけれど、胸がじんわりするような話が多い。とても好きな感じ。

    自分とは違う相手に触れて、相手のことが理解できるようなできないような、それはそれでいい。
    出会って別れて、それは心に刻まれて。この不寛容な時代に染みる。
    世の中には私の知らない素敵な作家さんがたくさんいるんだなあ。他の本も読みたい。

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    2026年01月09日
  • 地球の果ての温室で

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    読んでてなんとなく『星の王子さま』の言葉を色々と思い出してた。

    〝君が僕のために時間を使ってくれたから〟

    〝君のバラは君にとって特別なんだ〟

    幸福を感じながらも、そこにはたった一人以外には消し去れない寂しさがある。。。

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    2026年01月06日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    Kbookフェスティバルで作者サイン本として出版社の人に薦められたもの。ホラーと聞いて最初敬遠しそうになったけど、そんなに怖くないと聞いて買ってみたけど、想像以上に面白かった。最後のタイムリープ話は最初別々に思えた話が溶け合ってそうなるのか!とおもしろかった

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    2026年01月04日
  • 本と偶然

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    いわゆる〝エッセイ〟と呼ばれるジャンルに手を出したことがなかったのでこれがエッセイなのかとなりつつそれにしたって楽しかった!著者の考えやその基盤がどのように出来ていったのか、膨大な読書記録から生まれていく思考、感じる親しみ、全部興味深かった。この本は翻訳発売されないと思ってたので本屋で見つけたのは嬉しい偶然だったし、おかげで著書をまた読み返したくなったね。
    紹介されてた本でいちばん読んでみたいと思ったやつはどうやら翻訳ないようで残念。

    しかしこうやって一読者らの想像する小説家が出来ていくんだな

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    2026年01月02日
  • +1cmLOVE たった1cmの差があなたの愛をがらりと変える

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    「鳥のように 空を飛べそうな気分」の
    イラストが好き。

    271ページある厚い本です。
    私には後半の文章がメインのページよりも、イラストにちょっと文章が添えられたページの方がストレートに響き伝わりました。

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    2025年12月27日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    他者との繋がり、が7篇に共通したテーマかな。
    人の温もりを感じるようなお話と文体でとても良かった。
    スペクトラム、共生仮説が特に好き。
    館内喪失は自分の母を思い出してグサリときた。

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    2025年12月23日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    韓国SFを読むのはおそらく初めて。
    クローン技術やコールドスリープなんかのSF要素満載で未来的なのに、なぜか懐かしいような不思議な感覚を感じながら読んだ。舞台は未来的SFでも、出てくる人間の孤独や後悔、誰かを思う気持ちは今と変わらないからかな。

    個人的に「スペクトラム」「感情の物性」「わたしのスペースヒーローについて」あたりがとても好きだった。ありそうでなさそうで、でも完全に否定もできない不思議な世界で大切な人との別離を経験し、喪失感を感じながらも日々を生きる人達の人生の機微。その描かれ方がさみしくもあり、やさしくもあり。
    読後泣けるほど悲しいわけじゃないけど、胸がひんやりするような寂しさが

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    2025年12月21日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    韓国の作家さんによるSF短編小説。

    孤独や寂しさといった、どちらかと言うと陰の感情を織り交ぜながら優しく綴られた小説。

    SFなので、異星人との初邂逅!とか、ワープホール通過!とか、壮大な舞台設定があるのだけれど、描かれているのは心情を主軸としたよりミクロなドラマ。なんというか、このギャップの完成度が高くて圧倒されました。作者さんの他の本も読みたいと思わせる作品でした。

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    2025年12月20日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    初の韓国SF。
    名前だけだと性別判断ができず、読んでるいる途中でわかることが多い。思い込みがあることを実感。
    プロジェクトヘイルメアリーや三体を読んだ後だと物足りなく感じるかと思いきや、身近で想像力をかきたてられるよい作品集だった。

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    2025年12月20日
  • カクテル、ラブ、ゾンビ

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    ネタバレ

    所属している読者会の「ゾンビ回」で紹介された作品のひとつ。
    短編集のうち、ゾンビテーマの表題作を取り上げてくださり、大層盛り上がりました。
    初読みの作家さんですが、面白かった〜。他の作品も読みたいです。

    表題作は、「結末は本編でお確かめください!」みたいなご紹介でしたが、こうきたか!と思いました。ウイルスでなく、呪い。韓流サスペンスで韓国の祭祀については想像できるので、あれか…と思うなどしました。
    社会派な作品でとっても良かった。

    他の、「インビテーション」「湿地の愛」「オーバーラップナイフ、ナイフ」も根底にあるのは愛な気がします。
    それが悲劇的な結末になったものもありますが。
    オーバーラ

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    2025年12月16日
  • 罰と罪 下

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    ネタバレ

    『罰と罪(下)』を読み終えて、まず残った感覚は「しまった!」という悔しさだった。物語の中盤、ある証言の食い違いを前にして、私は何も引っかからずに読み進めていた。伏線回収がすでに始まっていたことに、気づかなかったのだ。

    ミステリーを読んでいるとき、私はたいてい何かしらの引っかかりを持ちながら読み進めている。違和感や伏線らしきものを、完全に言語化できなくても、感覚としては掴んでいるつもりでいる。ところがこの作品では、それがすっぽり抜け落ちていた。

    奇数章では犯人キム・サンウンの独白が続き、そこでは啓蒙主義やドストエフスキーといった、いかにも「考えている」ように見える言葉が大量に投下される。私は

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    2025年12月16日
  • 罰と罪 上

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    ネタバレ

    この本を手に取ったきっかけは、正直に言えば軽いものだった。タイトルがドストエフスキーの『罪と罰』を思わせ、ページをぱらぱらとめくると、作中にもドストエフスキー作品への言及が散りばめられている。殺人事件とドストエフスキー。少しひねったエンタメミステリーとして楽しめそうだ、という期待があった。

    けど、読み進めるにつれて、その期待は良い意味で裏切られる。これは、気軽に消費できるタイプのエンタメじゃない!むしろ「ちゃんと本と向き合え」と要求してくる、負荷の高い読書…。

    物語は、22年前に起きた未解決の女子学生殺害事件を軸に進む。現在パートでは、女性警察官ジヘが、被害者の同級生たちに話を聞きながら事

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    2025年12月13日
  • 惑星語書店

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    とても新鮮な読後感だった。ここには、まだ知らなかった価値観と日常が描かれている。

    全部で十四の短編が収録されているが、それらは大きく二つのカテゴリに分けられていた。
    『互いに触れないよう気を付けながら』と銘打ったものが八つ。『ほかの生き方もあることを』と冠されたものが六つである。
    最初のカテゴリにはさまざまな存在同士のコミュニケーションが描かれていた。人とロボットの時もあるし、隣の次元の人間同士の場合もある。
    表題の「惑星語書店」はすべての言語が翻訳できるモジュールが当たり前に使われている宇宙の話。そこでは人々は別の星の言葉を何の苦労もなく読めるし、話せるし、理解できる。ただ一軒、翻訳モジュ

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    2025年12月10日