長月天音のレビュー一覧
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グッときた2巻でした。思わず涙がこぼれてしまい、人前では読めません。一巻よりよかったです。
お葬式ときくともちろん悲しい印象がついて回るけれど、誰しもが必ずむかえる最期をどう過ごすか、という価値観は尊く、普段元気に生きていると見失いがちな価値観であることに気付かされました。
それでも親より先に子供が亡くなる話や、だんなに先立たれる話、娘に先立たれた母(90歳おばあちゃん)が自殺し娘婿との関係がうまくいっていなかった話など胸が締め付けられます。
しかし、いろんな人生があり、いろんな死があり、生きていくこと、残された人の人生、などに触れ、それらを受け止める漆原さん、清水さんのあたたかさに励まされます。漆原さんの過去も少しずつ明らかに…
清水さんはお姉さんの霊がなくなって、霊感というか、その件はどこにいったのかな、と思いました。(なくはないが1巻ほど役に立ってはなく、本来の彼女の力と素の思いやりのある優しいこころってかんじ、悪くはない) -
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清水美空は葬儀場「坂東会館」でアルバイトをしている。なかなか就活の結果を出せずにいたところに、久しぶりに坂東会館からアルバイトの依頼が入ったところから始まった。美空は葬儀場で働きながら、亡くなった人の思いを繋ぐ葬祭ディレクターの仕事に興味を持つようになる。美空は、自分が亡くなった人を感じることができる特殊な能力があることに気がつく。訳ありな葬儀を担当することの多い漆原や、同じく霊感の強い僧侶の里見と一緒に、亡くなった方や残された人たちの想いを汲み取ったご葬儀や送り出しを心がけるようになる。グリーフケアをテーマにした小説。大切な人を見送ったことのある人には特に心に響くと思う。
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シリーズ第四弾。
東京スカイツリー近くの葬儀場〈坂東会館〉を舞台にした、連作四話(&プロローグとエピローグ)が収録されています。
今回は「コロナ禍」が舞台となっていて、面会制限や葬儀の簡素化など、〈坂東会館〉のスタッフ達もこれまでと勝手が異なる事態に対応せざるを得ない状況が描かれています。
私事ですが、父が他界したのがコロナ禍の中だったので、当時の制限が多い中での見送りだった事を読みながら思い出しました。
そんな制約の多い時世だからこそ、遺族の心にどこまでも寄り添おうとする主人公・美空をはじめ、教育係の漆原さんや僧侶の里見さん、そして最古参スタッフ・水神さんの温かさが、より一層心に染み渡ります。
そして入社四年目を迎えた美空の成長にもご注目。
葬祭ディレクターの資格試験を巡る葛藤を乗り越え、様々な葬儀を経験して着実に前進していく彼女の姿にエールを贈りたくなりますね。
各話、ええ話なのですが特に印象深かったのが、表題作第四話「遠くの空へ」です。
美空の高校時代の美術部の顧問だった先生の葬儀がとても温かくて、こんな風に見送られるのって素敵だな・・と感じました。
終盤に描かれる、美空と夏海が力を合わせた絵の情景が今も鮮明に脳裏に浮かびます。
人の死というシビアなテーマを扱っているものの、重くならず、読み終えた後には遠くの空を見上げたくなるような優しく温かい気持ちに包まれるのも本作の魅力ですね。
漆原さんの過去も明かされて、今後美空との関係も発展するのか気になりますので、これからも続いてほしいシリーズです~♪ -
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ネタバレキッチン常夜灯もいよいよ4作目。そろそろオオイヌ関係者以外も仲間入りするかと思いきや、今度は池袋店の店長・鳥羽いつきが参戦。他の人もレビューに書いていたけど、ほんとにこの店にはオオイヌ関係者がこぞって集まる。
今回の主人公は、これまで推定20代30代だった主人公たちよりも年上となり、40代。いつきは勤続20年を越え、大量採用された同期たちは次々といなくなり、結婚もすることなく独り身。若い人たちのパワーに押され、自分が入職し店長となったばかりの頃とは違い、これからどう仕事と向き合っていくか考え始めていた。私自身もこの先仕事を続けていると、同じように考えるのだろうかとふと思う。
自分の職場でいうと、今年度に入って、ようやく【休憩時間をちゃんと1時間とりましょう】と社内規定が強化されました。これまで、業務の関係で昼食をとったらすぐに業務に戻らなくてはいけなかったのですが、おそらく誰かが物申したのでしょう。これまではなあなあでやっていたことが、次々と「今の時代と合っていない」ことから、変わってきています。
小説「キッチン常夜灯」のすごいところは、まさに今の時代背景を取り入れつつ、今を生きる人たちが直面している悩みに切り込んでいるところ。読んでいて、「あれ?自分の職場のこと言われている?」となりました。
辞める先輩より、辞める後輩のほうが多くなり、新たに新入社員がやってきても「いつまで続くか」と考えるようになったのは、いつからだったか。
自分が新入社員のときに経験したことは当たり前ではなくなり、今の若者にとってはおそらく生きづらい世の中だと思う。(いや、もう少し頑張ってみようよと思うことは多々あるけれど……)
話は戻し……
今回の物語では、前作の【タルトタタン】で登場人物が言っていた
「伝えないと損をする」
を見事に体現した内容だったと思っている。
いつきはいつの間にか、本社に自分の意見を伝えることをせず、店長会議でも若い店長たちが活発に意見を出すなかでただその光景を見ているだけだった。
【言ったところでどうせ……】
【意見を出すなんて……】
とこれまでの(悪しき)慣習をそのまま受け入れていたのだと思う。
人は、一生懸命何かをしたところで、成果を出せない、人に聞いてもらえないと悟ると、その瞬間から自分の意志を伝えることを放棄してしまう。
期待しても無駄だと諦めてしまう。
けれど、「伝えないと損をする」。
「伝えないと何も変えられない」。
いつきはきっと、気づいて勇気を振り絞った。
思いを伝えること。これはとても勇気のいること。
けれど伝えたことで、まわりの人を頼ったことで、いつきのこれからはきっと違うものになる。
つくづく、人は人に助けられていると思う。
その事実を、決して忘れてはいけないと思う。
もうひとつ。
そう、【女性活躍】だけでなく、【男性活躍】もできる世の中でないと。
確かに女性が世界中で、長いこと差別される現実が今も続いている。
けれど、女性ばかりに目を向けるのは違う。
いろいろな人がいるから社会はまわる。いろいろな考えがあるから争いも起こるけれど、わかりあうこともできる。
男性のことにも気づいたいつきは、きっとこの先も年齢や性別にとらわれず、いろんな意見に耳を傾け、気づいて変えていくと思う。次回作もぜひ、いつきの登場を待ちたい。
小説「キッチン常夜灯」はこれからも続くことでしょう。というか続いてくれ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ第4弾。
新型コロナウイルスが猛威を振るって少し後の話。
美空が資格試験に合格するのか(多分するんだろうけど)、美空と漆原の関係はどうなるのか、水神さんのお願いごととは一体…?と思いながら読み進めた。
相変わらず、「葬儀」、「別れ」といった悲しいテーマなのに、全体的に悲壮感をあまり感じさせないのは、筆者の軽やかな文体のおかげだろうか。神式の葬儀の神聖な場面など、神々しさを感じさせ、その後のエピソードも、読む間、爽やかな風が吹き抜けて行くように感じた。
最終話の、葬儀で個展は喪主が楽しそうに準備している様子を想像するだけで私も楽しくなってきた。
そして、エピローグ。
美空と漆原、この先どうなっちゃうの〜〜!?
続編、ありますよね!?ね!? -
Posted by ブクログ
2026 06/24
今回の主人公は四十代半ばのベテラン女性店長のいつき。実力で店長になったいつきは「女性活躍」で店長になった若い女の子たちに対して思うところがある。会議で積極的に発言しているのを見て焦燥や不安も感じる。
人生の不安や老いた両親の健康不安。
今までの主人公たちとは年齢も差があるので、悩みの内容が違うのがリアルだった。がむしゃらに頑張って前進していくのとはまた違って、しなやかに解決していくところに、大人の女性の余裕を感じられた。
今までの若い女性主人公たちも登場して、交流していく。話してみると若い人たちのことを好きになっていく。そして刺激を受ける。
いつきはとても素直で柔軟な人だ。
今回は人生経験豊かな主人公だからか、食事のシーンが今までよりもさらに印象的でした。料理の見た目、味わい方、感想、どれもが美味しそうで読んでてお腹がすいてしまう。こんなに美味しそうな文章なんて、、、ああっ!もう!私も食べたいっ!
今回もシェフの料理と堤さんの包容力に癒されて、温かな気持ちになれました。
みんな悩みながら頑張って生きてるんだ。