井手英策のレビュー一覧
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今、日本ファーストという言葉が、横行している。本書は、今の時代を切り取ってみせる。
自民党と公明党の連立が解消され日本維新の会が連立し、保守の左派と言われる高市早苗が首相になった。こういう時代にこそ、民主主義と自由を破壊するファシズムについて考えることは重要だ。本書を読みながら、ファシズムと全体主義は違い、日本の戦前の天皇制ファシズムについても、正確につかむ必要がある。なぜ、日本は戦争に向かい、なぜヒトラーはユダヤ人を600万人も虐殺したのか?歴史はそのような残酷な道を歩んできた。
本書は、「令和期の日本社会に立ちこめる不安の輪郭をうかびあがらせようとするこころみ」を目的としている。 -
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正に、目うろこ本。
減税だけが正義ではない。
日頃僕が感じている、今の日本の状況や未来の日本に対する漠然とした不安を的確に分析して、将来の日本を明るいものにする為の財政政策(税のあり方)を提言している。
個人的には著者が言う「ベーシックサービス」の概念は素晴らしいものだと思うし、財政再建のために増税するのではないと言う著者の説明には衝撃すら受けた。
ただし日本人に植え付けられている勤労に対する感覚や租税抵抗感はそう簡単に変えられるとは思わないが。でも変えていかないとますます日本社会はギスギスした居心地の悪い社会になってしまう。
昨今の政治状況も大変心配だが、おそらく著者の考えていることは -
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ネタバレかなり刺さった。
小学生でも読める本だが、大人が読んだ方が考えさせられる部分は多いと思う。
自分が子どもだったときに「ふつう」だったことが、今や「ふつう」ではない。何が「ふつう」なのか、その「ふつう」を自分や他者に押し付けてないか。そういうことを一度立ち止まって考える時間が必要だと感じた。大人になるにつれて、そういうことにずいぶん鈍くなってしまったな、と……
そして筆者の後書き、「小学生の主人公は自分がなりたかった姿だ」というのは、何ともえぐられるものがあった。
・たとえ、大切な人がすっかり別人のようになっても、愛するその人の幸せを願う気持ちは、心の同じ場所にずっとあり続けます。それなのに -
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いままで存在を漠然とは知りながらもそのままにしていたソーシャルワーカーというものに最近になって興味・関心をもつようになり、知るための最初の一冊として読んでみた。読後感として、本書がソーシャルワーカーあるいはソーシャルワークを知る1冊目になったのはとてもよかったと思う。
そもそものところでは、ソーシャルワーカーの仕事の具体が事例などと一緒に紹介されることで仕事のイメージがつけば御の字くらいの期待だったんだけど、資格上の「社会福祉士」や「精神保健福祉士」と本来のソーシャルワーカーは違い、そもそもソーシャルワーカーとは社会に働きかける人たちであり、社会を変革させていくことに骨頂があるのだと知った。そ -
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1989年に始まった平成時代は、30年後の2019年に幕を閉じた。本書は平成が終わり、令和が始まった2019年に、平成史を書くという試みのもとに編まれた本である。編者は小熊英二、それ以外に7人の執筆者が参加している。最初に小熊英二が、「総説」を書き、以降、政治・経済・地方と中央・社会保障・教育・情報化・外国人/移民・国際環境とナショナリズムというテーマで、それぞれの専門家が執筆している。
小熊英二は、「総説」の中で、平成について下記のように述べている。
【引用】
「平成」とは、1975年前後に確立した日本型工業社会が機能不全になるなかで、状況認識と価値観の転換を拒み、問題の「先延ばし」のため -
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衰退していく日本。
「経済、経済」と言うわりに、バブル崩壊後の25年間で平均0.9%の実質成長率しか達成できない日本。
子育て、教育にかかる家計の負担が大きく、子供を持つことを諦める。
働いても働いても貯蓄は増えず(ピーク時の貯蓄率を維持できていれば、麻生太郎には及ばないものの、労働者は1500万円の貯蓄ができているはずだった)老後の生活は不安。
障害を持った人への支援は皆無。
中間層は税を取られるだけ。
こうした日本は、あらかじめ天井が決められた予算からパイを奪い合う財政、互いの無駄を監視し合う不信感に満ちた社会、福祉のために増税できない政治、さまざまなファクターが絡んで生まれた。
筆者が -
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財政の構造的な問題点がよく理解できた。少子高齢化が急速に進み、従来の成長を前提としたやり方では立ちゆかなくなるのは明白なのに、転換できない。なにか、戦争に突き進んだかつての日本と同じように感じてしまう。徹底的に打ちのめされないと変えられない。破滅が待ち受けていようとも、突き進むしかないと・・・我々日本人は政府に何を期待するのか、自助努力で何とかなる時代ではない。安心して暮らせる社会の実現のために、財政はどうあるべきなのか、増税は回避できないと思うが、財政破綻は回避できるのだろうか・・・著者の「何が必要かでなく、何がいらないかをきそいあう。他者の長所ではなく、欠点をさがすことに一生懸命になる。批
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本書を読むと、経済・政治ともにどん詰まりの日本において、何をすれば現状を抜け出すことができるのかの「解」がようやく仄見える思いを持つ。やや硬い内容だが、パンドラの箱に残った「希望」に見えた。少なくとも現状の経済無策の自民党政治への対抗軸には充分なるだろう。
2000年代の自民党や民主党が改革を競って主張した時代を思い起こすが、小泉旋風と新自由主義が世の中を席巻した時代があった。しかし改革と既得権攻撃をしても経済は成長しなかった。それらの状況の経済史的な位置と意味が本書では俯瞰できる。
また、日本の都市部と地方の相反する利益と中央の政策の構造をリアルに解剖したり、日銀の政策の現実的な結果をはっき