井手英策のレビュー一覧
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ネタバレ第一章〈生活困窮者を絶え間なく生む社会〉
①終身雇用と年功賃金による日本型雇用の崩壊、非正規雇用の拡大、ブラック企業の台頭etc.
→貯蓄困難
→病気などのリスク回避が出来なくなった。
→困窮者が生まれる
②生活ギリギリの世帯に対する社会福祉が不十分
→選別型社会福祉…条件を満たさないと救済無し
③こうした状況改善を訴えた際の風当たり強い
→改善されず。
第二章〈引き裂かれる日本社会〉
税金からなる選別型社会福祉は、「みんなの利益」から「誰かの利益」となっている。
→財政事情が厳しい
→何処を削るかの争い勃発
→世代間、性別などで引き裂かれる。
第三章〈日本の「労働」はなぜこれほど苦 -
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ネタバレ新自由主義って何?「私は新自由主義です」って言う人あまり聞いたことない。1937年にアメリカの評論家ウォルター・リップマンが著者「善き社会」で企業が利益を独占する古典的な自由主義を民主主義に反するものとして批判したのが始まり。企業や富裕層への負担を増やすことや鉄道の国有化など「大きな政府」を提唱する。しかし今言う「新自由主義」は、シカゴ学派の経済学者ミルトン・フリードマン。財政を小さくし、規制を緩和すればよいという単純な主張。序章、ややまぎらわしく、新自由主義が広がって格差が広がったかのように書くが、1980年代~90年代、イギリスでもアメリカでも日本でも所得減税を行って消費税のような付加価値
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ネタバレSNSでは年収マウントを取ったり、弱者を見下したり踏み台にする論調を展開する人が散見されて、悲しくなっていた。しかし日本は日本国憲法の「勤労の義務」、「納税の義務」のもとの自己責任社会、強者の理論がベースになっているので、「働かざる者食うべからず」の思想が根底にあり、不公平感に嫉妬するのは当然の感情なのだ。社会構造が要因であり、彼らを一概に否定できないと本書で気付かされた。そして人口減少と経済衰退が既定路線の日本では、助けを求めたくても求められず貧しさから絶望の淵に立たされる人がますます増える。この構造に本書で気付かされ、強い危機感を覚えた。
「成長は成長でいいんだけれど、成長が止まったら絶 -
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日本の平成を、政治・経済・地方自治・社会保障・教育・情報化・移民政策・ナショナリズムの観点からまとめた本。
総じて言うなれば、日本の平成とは、変化するさまざまな環境に対して、昭和の枠組みをその場しのぎで改変することで対応してきた時代であり、その綻びがあらわになってきた時代といえる。
重要な観点は、ポスト工業化における個人化。昭和はある意味一定のライフコースしか想定しておらず、そこから漏れ落ちた人々に対しては想定をしていなかった。だからこそ、こうしてそれぞれの観点からまとめてみると、ちぐはぐな対応に見えてしまう。
システムは入れた途端陳腐化するが、それは全ての精度に対しても言えるのかもし -
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《人を雑に扱う社会を「革命」する》
国家資格である「社会福祉士」を英語で"Social Worker(SW)"、「精神保健福祉士」を"Psychiatric Social Worker(PSW)"と訳しカッコ内を略称として使用する。
では2つの資格を持つものは「ソーシャルワーカー」なのか?
「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」での「ソーシャルワーカー」から『物申す』を引いたものが社会福祉士である。
カリキュラムには政府の都合が良い仕事だけ覚えて仕事しろという意図があり『物申す』が省かれている。
『物申す』ことこそがソーシャルワーカーには必要であ -
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ネタバレ<目次>
はじめに(今野晴貴)
第1章 生活困窮者を絶え間なく生む社会(藤田孝典)
第2章 引き裂かれる日本社会(井出英策)
第3章 日本の「労働」はなぜこれほど苦しいのか?(今野晴貴)
第4章 身近な世界を政策につなぐために~「ベーシック・サービス」の提唱(井出英策)
第5章 限定的で狭小な社会福祉からの脱却(藤田孝典)
第6章 「職業の再建」で分断を乗り越える(今野晴貴)
第7章 未来を再建せよ(井出英策)
あとがき(藤田孝典)
<内容>
日本の現代社会の問題を示した本。この本の優れているところは、3人の知恵者が、彼らなりに解決策を提案していることだ。それも実現不可能な夢物 -
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大学の先生が、大人のために、個人主義とかGDPとか多数決とか公正や信頼などについて解説してくれる本。
多数決は何かを決めるときに必ずしもベストな手段ではないとか、なるほど。
利己主義は昔からあるけれど、個人主義は比較的新しいもので、国によって発生過程が異なり、「フランス革命に反対する勢力が、社会を解体する良くないものだと否定する文脈から登場し、19世紀半ば以降の英国では、個人の自由な経済活動が『小さな政府』とセットで強調されるようになり、哲学と文学が盛んだったドイツでは多様な個性を重んじる個人主義が重んじられ、アメリカでは他人の力を借りず一人でやりとげる『セルフ・メイド・マン』の概念と結び -
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現代社会の抱える課題について、経済学・歴史学・政治学・社会学の視点から考えている作品です。
経済成長の基準とされる「GDP」について、その数値が示すものの意味と、GDP値を上昇させることの意味。
また、日本において根深く残る「勤労」感(働かざる者食うべからず、として貧困層をかれらの努力不足と断じる姿勢など)がどのように醸成されてきたのか。
多数決で物事を決定してゆく民主主義が抱えているシステム的な「課題」や、また「社会福祉」として行われる弱者救済が「人びとのニーズ」に合致しなければならないことなど、「これから先の社会」を考える前提としての「現代の社会」について、どのような仕組みで動いているの