井手英策のレビュー一覧
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1.なんで富山がスウェーデンなの?どういうこと?と思ったので読みました。
2.富山県は県民の幸福度や女性の正社員比率が高いという数値が出ており、日本の中でも住みやすい県となっております。寒い気候だからとか、東京からのアクセスが悪いからと言って敬遠されがちですが、侮れません。富山県は「このゆとーまれ」という事業を起こしたのですが、これは「金は出さないが口も出さない」という内容で、どこの行政も行っていないことです。このように、ユニークなアイデアが出せる行政と、共同体の名残が残り、人との繋がりを実感できる環境であることが住みやすさを生み出しています。このほかにも、富山県の魅力について本書は書かれています。
3.富山県の実収入や幸福度が高いことは衝撃でした。昔、日当たりが悪い地域ほど鬱病になりやすいという都市伝説のような話を聴いたことがあります。これはあながち間違いではないと思っていたので、信じていたのですが、この考えはすぐに捨てようと思いました。
そして、富山県は今、めちゃくちゃ発展した県になっていることが興味深かったです。現在、スマートシティ事業を推進している代表的な県で、行政の取り組み方が積極的な姿勢です。このようなに行政と民間が頑張っている姿を他にも示していることが本人たちのやる気も誘発しているのだと感じました。 -
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日本の財政の特徴や問題点をデータに基づいて解説しており、よくまとまっている印象だった。ただし、提示された疑問点に対する回答が少し曖昧だったり、解決策として提示されたものが今一つ根拠に乏しかったので-1点。
主だった問題点として、以下の3点が印象に残ったので、寄付や選挙、仕事を通じてこのような社会課題を解決していきたい。
①社会保障が高齢者に偏っており、現役世代や若年層への支出が低い
②公的な教育支出が低く、私的な教育支出を含めてもOECD平均に届かない
③実際の租税負担割合25%と低いため財政赤字が多額になっているにも関わらず、国民の税負担感が強い -
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「公」「共」「私」の新しい関係を提案し続けける財政学者、井手英策。「経済の時代の終焉」からずっと気になる論者でしたが、最新刊は、こどもたちに向けた本です。毎日小学生新聞の2018年4月から2020年3月までの連載をまとめたもの、ということでコロナ禍の小学生ライフには触れていませんが、アンダーコロナでの「ふつうに生きる」という視点も知りたかった。って、自分で考えなくちゃいけないんですけど…ずっと彼が語って来たことを、こども向けにわかりやすく落とし込んだ良書です。主人公の倫太郎が、あまりにいい子なのでこども的にはどうなの?とも思いますが、あとがきに書かれているように、著者が「なりたかった子ども」ということで、そこはしょうがないか、です。そのあとがきで語られる、勉強ばかりしてきて、そして大学の先生になるという「なりたい大人」になって、しかし事故で生死の境目をさまよった時、こども時代の思い出がすっからかんで病院のベッドで布団を被って涙を流した、というカミングアウトから本書に至る想いに納得してしまいます。ただ「将来」より「いま」、それって難しいテーマですよね。しかし、いつもこの著者は個人的体験が学術的主張に繋がっています。まだ夏休み、この本に触れる子どもが増えますように。
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ネタバレ第一章〈生活困窮者を絶え間なく生む社会〉
①終身雇用と年功賃金による日本型雇用の崩壊、非正規雇用の拡大、ブラック企業の台頭etc.
→貯蓄困難
→病気などのリスク回避が出来なくなった。
→困窮者が生まれる
②生活ギリギリの世帯に対する社会福祉が不十分
→選別型社会福祉…条件を満たさないと救済無し
③こうした状況改善を訴えた際の風当たり強い
→改善されず。
第二章〈引き裂かれる日本社会〉
税金からなる選別型社会福祉は、「みんなの利益」から「誰かの利益」となっている。
→財政事情が厳しい
→何処を削るかの争い勃発
→世代間、性別などで引き裂かれる。
第三章〈日本の「労働」はなぜこれほど苦しいのか?〉
非正規雇用
・正規と同じ残業、フルタイム労働→昇給 無
▶︎労働条件
・間接雇用による福利厚生 無
▶︎雇用問題
・社会保障制度が不十分
正規雇用
・非正規雇用とは違い終身雇用、年功賃金が保障
→一生涯「貢献度」競わされる
→過酷な労働
共通
・単身赴任や長時間労働
→夫婦関係、親子関係の崩壊
・高度マニアル、人員削減
→使い潰し型雇用
▶︎ブラック企業、アルバイトの台頭
第四章〈身近な世界を政策につなぐために〉
・身近な世界
→「くらしの場」と「はたらく場」の両方で共通して必要だと判断された事に税わ投入する社会を作ろう
・ベーシックインカム×
→ベーシックサービスの提唱
▶︎お金や衣類、食料ではなく、教育や医療などのサービスを全ての人達に保障しよう
第五章〈限定的で狭小な社会福祉からの脱却〉
選別型社会福祉からの脱却
▶︎・他社の足を引っ張らない
→不幸自慢やどっちがより不幸かを争うー不毛な議論
→何も改善しないで、不幸者どうしの対立発生
・税や保険料を払った分、還元される実感
・具体的な行動と組織的結束
が必要
第六章〈「職場の再建」で分断を乗り越える〉
非正規雇用労働者と日年功賃金型正社員からなる一般労働者の働き方改善
→持続可能な普通の働き方への転換
▶︎同じ職業で連帯感を作り経営者に対抗…職業再建
第七章〈未来を再建せよ〉
ベーシックサービスの実現
幼稚園、保育園、大学教育、医療、介護、障害者福祉
▶︎総額9・5兆円(自己負担額 一年分)
+大学、専門学校の無償化、0〜2歳児の教育費無償化
▶︎必要財源約13兆円
消費税1%は2.8兆円(社会保障・税一体改革のデータ)
▶︎11%くらいの範囲で引き上げ必要
▶︎「自己責任の勤労国家」→「福祉国家」へ
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ネタバレ新自由主義って何?「私は新自由主義です」って言う人あまり聞いたことない。1937年にアメリカの評論家ウォルター・リップマンが著者「善き社会」で企業が利益を独占する古典的な自由主義を民主主義に反するものとして批判したのが始まり。企業や富裕層への負担を増やすことや鉄道の国有化など「大きな政府」を提唱する。しかし今言う「新自由主義」は、シカゴ学派の経済学者ミルトン・フリードマン。財政を小さくし、規制を緩和すればよいという単純な主張。序章、ややまぎらわしく、新自由主義が広がって格差が広がったかのように書くが、1980年代~90年代、イギリスでもアメリカでも日本でも所得減税を行って消費税のような付加価値税を増やし、富裕層の負担を低所得層に付け替えるような政策が取られた。さらに非正規雇用の増加による労働組合の弱体化や株式資本主義で純利益至上主義が横行し、人件費を削ってでも純利益を水増しして株価を上げる動機が経営者に植え付けられた。
政府規模の対GDP比(政府の大きさ)をジニ係数で割ると、小さな政府は格差を広げるのがわかる。(113ページグラフ)アメリカの経済学者ロバートライシュによると、自由な市場は幻想。規制緩和は自由な市場を目指すものではなく、ルールを変えて誰かが得をするためのもの。
池田勇人は皆保険が実施された時の首相だが、福祉行政に国費を使うよ売り、経済を安定させ、高度の雇用を持続することのほうが重要だと考えていた。教育、住宅、病院などの現役世代への政府支出が日本はヨーロッパ諸国、アメリカと比べても低い(P136グラフ)
消費税を19%にして(詳細は割愛)ベーシックインカムを全国民に支給すれば分断がなくなる。自助努力で倹約に励む自己責任社会から税によって頼り会える社会になる。消費税は富裕層の方がたくさん払うし、ベーシックインカムが例えば月15万円なら富裕層にとっては収入にしめる割合は少ないが、貧困層には50%にも及ぶ。
所得制限は事務作業と分断を生む。
ホモサピエンス(知性人)に対してホモパティエンス(苦悩人)。人は合理的に生きるほどズルをしただ乗りし、人を出し抜く。そうではなく、理想を高く持ち苦悩する存在こそ人なのだ。 -
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ネタバレSNSでは年収マウントを取ったり、弱者を見下したり踏み台にする論調を展開する人が散見されて、悲しくなっていた。しかし日本は日本国憲法の「勤労の義務」、「納税の義務」のもとの自己責任社会、強者の理論がベースになっているので、「働かざる者食うべからず」の思想が根底にあり、不公平感に嫉妬するのは当然の感情なのだ。社会構造が要因であり、彼らを一概に否定できないと本書で気付かされた。そして人口減少と経済衰退が既定路線の日本では、助けを求めたくても求められず貧しさから絶望の淵に立たされる人がますます増える。この構造に本書で気付かされ、強い危機感を覚えた。
「成長は成長でいいんだけれど、成長が止まったら絶望するしかない社会は変えるという発想がほしい。」足りないのはシンプルにこれだと感じる。年収制限を設けるなどして下流階級だけを救済するのではなく、中流階級も対象とすることで不公平感を与えないという論理には納得感があった。
現に、幼児教育・保育の無償化やコロナ禍での特別定額給付金、持続化給付金など公平な政策も増えている。
著者の井手先生はもともと民進党・前原氏のブレーンで、自民党はこの思想をパクったと批判しているが…(本書に感銘を受けて映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を見た。井手先生本人がスピーチでそうはっきり言っている)
民主党の経済政策の失敗によって、もう今後50年は政権交代は起きないと言われていた。しかし自民党の元でも経済衰退に歯止めがかからず、経済を立て直す見通しが立たなくなって貧しく暗い雰囲気が日本を覆う将来には、また野党リベラルに白羽の矢が立つのだろうと思った。それはもしかするとそんなに遠くない未来なのかもしれない。その際には経済成長だけを目指すのが解ではないという本書を思い出して再読したい。 -
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日本の平成を、政治・経済・地方自治・社会保障・教育・情報化・移民政策・ナショナリズムの観点からまとめた本。
総じて言うなれば、日本の平成とは、変化するさまざまな環境に対して、昭和の枠組みをその場しのぎで改変することで対応してきた時代であり、その綻びがあらわになってきた時代といえる。
重要な観点は、ポスト工業化における個人化。昭和はある意味一定のライフコースしか想定しておらず、そこから漏れ落ちた人々に対しては想定をしていなかった。だからこそ、こうしてそれぞれの観点からまとめてみると、ちぐはぐな対応に見えてしまう。
システムは入れた途端陳腐化するが、それは全ての精度に対しても言えるのかもしれない。ビジョンを持ったアップデートが求められるが、それも簡単な話ではない。