井手英策のレビュー一覧
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戦前の日本やドイツがいかにしてファシズムに飲まれていったかを振り返り、ファシズムの芽となる社会の分断と財政危機を如何に乗り越えていくかを語っていて、読み応えがあった。ただ、振り返りパートが前段にしては長く、ちゃんと語るにはページが足らなすぎて中途半端に感じられた。
日本人、経済が行き詰まる度に高橋是清をありがたがる傾向があるけど、彼個人への評価はともかく、あれをありがたがっちゃ駄目じゃない?財政の危機は社会の危機だよ。
選挙前だから…って読んだけど何とも居た堪れない。選挙を前に、どこも財政健全化を語れずバラマキを競い、煽動者が小さな指導者となり極端な政策を主張していく中で、やぶれかぶれにならずに粘り強く社会の連帯を求め続けたい -
Posted by ブクログ
【読もうと思ったきっかけ】
格差について何かできることがないのかと思い、こちらを手に取った
【感想】
ベーシックサービス自体の内容は調べていただけたらと思う。
筆者の熱い気持ちが伝わる書籍。作中でも述べられているが、生い立ちに関わるところが強いのだと感じた。厳しい環境にいてからの東大となると、思うところがあるのだろうなと思う。自分も似たような境遇なのでこの「ベーシックサービス」については同意。ちなみに賛否はあるが私も北欧的な制度設計はいいと思っている。
ただ筆者の思想自体には全て賛成というわけではない。健康・幸福・人間観というところを重視すべきという考え方には同意しつつも、コロナの政府のやり方にかなり強い反対意見を述べていたが、私は全てが反対とは思わない。結構後半はコロナ対策について政府に苦言を呈している。行き過ぎた同調圧力への警告についても同意。
リベラル的な思想が行き過ぎるとそれは逆に排他になるという皮肉(リベラルな思想を許さないという思想)に陥らないように気を付けつつ、中庸であり続けたいと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本は現役世代への暮らしの保障がとても弱く、「自分だけの力」で生きていくことをとりわけ大切にしてきた国である。
生活保護は「救われる人間の心には屈辱が刻み込まれる」もので、日本では「他人様の厄介になるくらいなら」と不況時には自殺者が急増する。また「救済してくれる人たちの気分一つで未来が左右されるため、他者への服従が強いられる」性質をもつものである。
お金はサービスと異なり、誰もが欲しがってしまい、「もらえる人=受給者」と「もらえない人=負担者」の間に分断が生まれてしまう。よって、だれもが受給者になるしかない。そこで、不正受給できず、必要な人しかサービスを使わないからコストを大幅に減らせるベーシック・サービスが有効である。
みんなが受給者の社会では、自分もサービスをもらえるから貧しい人の苦労に思いをはせ、彼らの立場に立って応戦するようになる。これにより、他者への信頼度が高くなる。
日本国憲法27条の「勤労の権利と義務」の「勤労」は、ただの「労働」ではなく、勤勉に働くという働き方まで憲法が指図しており、「働かざる者は食うべからず」式の考えである。 -
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・タイトル通り、働く大人が社会の問題点を考えるときの土台を教えてくれる本でした。
多分学生時代に社会で習ったことも多くあると思いますが、ピンときていないから覚えていないんですよね。
同じことを学んでも社会に出て経験を重ねることによって「あれは、こういうことだったんだな」と理解出来ることが多くあると思います。
そういうことが学べる本です。
・「労働の義務」ではなく憲法27条「勤労の義務」(まじめに労働にいそしむ)
を定めているのは日本だけ。
勤労の義務は25条「すべての国民は文化的で最低限度の生活を営む権利を有する(生存権)」と結びついている。
勤労の義務を果たしていなければ、生存権は保障されない(働かざる者食うべからず)
・経済成長していれば勤労国家・日本はうまくまわるが、停滞すれば不安定になる。自己責任論、生きづらさ。
・多数決は万能ではない。
選挙などの多数決をうまく使うためには、「私たち」にとって望ましい選択をするということを有権者の目的として共有することが必要。「私」にとってではダメ。
しかし、現在の日本では問題が個別化し、私たちが不在になってしまっている。
・多数決が万能ではないため、ずれが生じる。
それを埋めるために運動はなくてはならない。
・日本はアメリカと比べて、他人を信頼しない。
日本は歴史的に「安心社会」だったのが原因。
安心社会は、個人が特定の集団に長期にわたって関与し、集団のメンバーとして認知される社会。終身雇用など。
メンバー内は信頼するが、メンバー外は信頼しない。
アメリカは自分の目で信頼できるか判断していく「信頼社会」
ある程度信頼しないと新たな行動できないので、信頼しやすい社会。
日本の安心社会はなくなりつつあるが、信頼社会にはうまく適応できずにいる。
個人主義的な生き方をしたいと思っているが、まわりが依然として集団に対する同調志向を維持しているため、自分だけが突出するわけにもいかないと思っている人が多い。
・他の国との比較、なぜそうなったかが歴史からひもとかれていてがおもしろかった。
・高度成長期をへて、ある程度豊かになり停滞している現代日本。
日本人共通の目標がなくなってきているので、「私たち」の共通のニーズがなくなり、「私」が個別化し、民主主義がうまくいかなくなってきているというのがよく分かりました。 -
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現金を支給するベーシック・インカムとは違って、教育や医療、介護などの社会保障へのサービスを分厚くするベーシック・サービス。読んでいて確かにこれが実現するのなら、現在の日本が持つ問題が大部分が解決されそうに思える。
財源は消費税から。現在の10%から16%まで上げる。そう聞くと怯んでしまうが、それでここまで社会保障が充実されるのならばやっても良いと思えた。
刺激的なアイデアだし、これが機能するならば多くの人が助けられるだろう。
ただ、どうしても現在の日本でこのベーシックサービスが機能するとは思えなかった。
現状の消費税の10%から6%引き上げただけでここまでの社会保障が行き渡るだろうか?
それは現在の10%が正しく機能しているならそう思えるかもしれない。だが実際は格差は広がる一方で、学費も上がり、年金も受給年齢は引き上げられ、受給額も減っている。
オリンピックと万博、そして軍事費だけが膨らみ、政治家たちの裏金問題も解決されない。
そんな日本で更に税率を上げてベーシックサービスが正しく機能するとは到底思えなかった。
読み物としては刺激的で面白いが、夢物語のように思えてならなかった。 -
Posted by ブクログ
教育・医療・介護・障害者福祉をベーシックサービスとして無償化する。加えて、品位ある最低保障を実現して「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会を実現する。その理論と、実際の方法論を提供する。財源は消費税。16〜20%にすれば、ベーシックサービスを無償で提供できる社会が実現する。そうすると、将来の不安から解放され、将来のために貯蓄に回っていたお金が今を生きる、楽しむために使うことができるようになり、経済も活性化する。
実際、北欧社会はそれを実現している。将来の不安、長生きするのがリスクの社会、チャレンジするのがリスクでしかない社会、息が詰まりそうな社会を変える処方箋。
具体的な行動に移そう、というのが著者の提言。具体的な行動は簡単。政治を監視し、投票に行こう、ということ。 -
Posted by ブクログ
ブックカフェにて流し読み
富山市在住です。
歴史的変遷や、統計の数字を並べながら、富山の住み心地の良さを分析している本。
そうだったのかー!とか、(他との比較で)そうなの?とか、色々な発見がありました。
スウェーデンは世にしれた高福祉国ですが、富山の在り方をスウェーデンと比して書いてあるのは、なんだか目から鱗な気分でした。
なーん、そんなことないちゃ
(いやいや、そんなことはないですよ)
と、自己肯定感が低めの県民性ですが、外側から客観的に見た豊かさの指摘は、なるほど!と思わされると共に、自信や心のゆとりにも繋がりました。ありがとうございます。