あらすじ
他人に対して冷淡で不機嫌な社会──。それが今の日本だ。世代間、地域間、性別間、所得階層間それぞれの対立が激化し、私たちは、バラバラな存在へと追いやられている。永続的な経済成長をあてにする勤労国家レジームが、こうした状況を生み出した。本書は分断社会を終わらせるべく、すべての人の基礎的ニーズを満たすという「必要原理」に基づく財政戦略を提唱。暮らしの安心の実現が、格差是正と経済成長を実現させることを説く。来るべき未来を構想する、希望の書である。
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Posted by ブクログ
人種や思想の違い、さらに政治的思惑によって分断が起きる。その結果誰が喜ぶのか?人々が分断で安心する、見下す、そして仲間内で結束する、集団のリーダーや為政者がこの企みで甘い汁を吸う。そこに私たちは気づくべきであろう。民主主義は思想の違いを乗り越えて共存していく過程がイデオロギーとして存続する。痛みが伴う茨の道だが多様性はそれも含んでいる。決して理想郷やバリアフリーな道標ではない。
Posted by ブクログ
なぜ、日本人は増税をこれほどまでに嫌がるのか。
今の日本の閉塞感はどこからきているのか。
研究者らしく分析していて面白かった。
日本の借金返済にはまだ余裕があるから、まずは普遍的な福祉を充実させてから増税につなげるべきという考え方。
どうしたら増税ができるのか、それを考えなくては、財政再建もままならない。
支出を切り詰めるより、収入を増やすことを考える、成長神話は終わってるという考えは至極納得できる。
ただ、じゃあ増税に納得できる福祉ってなんだ、という部分が少し弱い気もした。
そこを考えるのは、また別の人、もしかしたら私たちなのかもしれない。
Posted by ブクログ
2022.17
・日本はOECD諸国の中で、格差解消のための「再分配」「富裕層への課税」両方においてほぼ最下位
・自己防衛と無関心によって社会が分断されている。
・人間を「協働のための単位」から「収益のための単位」に変えてしまった。
Posted by ブクログ
そこそこの生活ができている私も、この社会のあり方に閉塞感どころか、窒息感すらもつ。だから著者たちがいう「必要原理」をてこに納税を納得させ、支出を統制する理念はすごくわかる。実現したらいいと思う。しかし、なにがこれを阻むのだろう。人間が本質的に備えているある性質が阻害要因になっているような気がする。後半、その性質の分析はあるが、これまで見たことのない世界なので、簡単に納得できないのが残念である。
Posted by ブクログ
『幸福の増税論』と続けて読みました。選別的(救済的)な再分配から皆が受益者(共存的)な再分配へ。富める者への分配への疑問が起きそうだが、現に義務教育の無償は後者でありそれが日本の社会を今のような経済大国へと押し上げてきたことは確か。社会に生きる人間の基礎的ニーズは全ての人に提供し課税最低限の引き下げと累進性の強化、税に対する信頼と社会の連帯を取り戻すための大胆な提言です。
Posted by ブクログ
税金の集め方と再分配の方法への提案がわかりやすい。あるとこから集中的に徴収して、必要としている層に分配.....では、皆のコンセンサスを得にくい。