あらすじ
カネと運しだいの自己責任社会を変える本。
教育費・医療費・介護費・障がい者福祉がタダになり、
将来の不安におびえて今の望みをあきらめなくてもいい、衝撃の方法があった!
本書では、そんな社会を実現する方法「ベーシックサービス」について、
財源、ベーシックインカムとの違い、しくみ、実現への道筋をひもといていきます。
日本では、将来の「必要」に「貯蓄」でそなえなければなりません。
私たちは生活を守るために、子どもを減らし、欲しいものをあきらめ、人並みの暮らしをなんとか維持しようと必死になって生きています。
運がよければいいんです。でも、運が悪ければ、どんなにキャリアを積んでも、ちょっとしたきっかけで奈落の底に突き落とされます。貧しい人に無関心で冷淡な社会は、いつ、自分や子どもたちに牙をむくかわからないのです。
あなたは、そんな社会を子どもたちに残したいですか?
「運が悪く」極貧の母子家庭で育った財政学者が、壮絶な自身の過去とともに、社会を変えるシステムを解き明かします。
*2021年刊行の『どうせ社会は変えられないなんてだれが言った?』に最新状況を加筆、再編集して新書化したものです。
(底本 2024年4月発売作品)
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Posted by ブクログ
井手先生が仰る通りの社会が実現するならば、消費税が20%になっても誰もが安心して暮らせる社会が実現できるのではないかと思わされた。
ベーシックインカムを実現させるために年180兆円の予算が必要。
ライフセキュリティの視点。
真のライフセキュリティに必要なもの。
・ベーシックサービス
・品位ある最低保障
・ソーシャルワーク
日本国内でも静かに分断か起こってきていることを示唆している。
人任せにせず、自分事として社会について考えなきゃいけないと気づかされた。
Posted by ブクログ
生活保護だと受給者への屈辱がある。
サービスは、ベーシックインカム(BI)と比べ、 必要なサービスは限定されるためBIよりはるかに低コストという利点があり、自民党の少子化対策はまさに著者の施策を取り込んでいっている。
一方、どのサービスがベーシックなのか、業者の見直しなどのレビューのコスト妥当性が問われるし、意見がまとまらないところだろう。
Posted by ブクログ
【読もうと思ったきっかけ】
格差について何かできることがないのかと思い、こちらを手に取った
【感想】
ベーシックサービス自体の内容は調べていただけたらと思う。
筆者の熱い気持ちが伝わる書籍。作中でも述べられているが、生い立ちに関わるところが強いのだと感じた。厳しい環境にいてからの東大となると、思うところがあるのだろうなと思う。自分も似たような境遇なのでこの「ベーシックサービス」については同意。ちなみに賛否はあるが私も北欧的な制度設計はいいと思っている。
ただ筆者の思想自体には全て賛成というわけではない。健康・幸福・人間観というところを重視すべきという考え方には同意しつつも、コロナの政府のやり方にかなり強い反対意見を述べていたが、私は全てが反対とは思わない。結構後半はコロナ対策について政府に苦言を呈している。行き過ぎた同調圧力への警告についても同意。
リベラル的な思想が行き過ぎるとそれは逆に排他になるという皮肉(リベラルな思想を許さないという思想)に陥らないように気を付けつつ、中庸であり続けたいと感じた。
Posted by ブクログ
文章がカクカクしていてところどころつっかえるというか、読みやすい本ではなかったけど、内容にはなるほどと思った。
消費税を「暮らしの会費」と捉えることや、貧しい人や外国の人も平等に払うからこそ、困ったときに尊厳を傷つけられることなく国からサービスを受けられるということ。著者の言うとおりに消費税を増やすことでこれだけのサービスと安心が本当に手に入るなら、減税を訴える議員に手放しで賛成するのは、踏みとどまった方がいいかもしれない。
Posted by ブクログ
日本は現役世代への暮らしの保障がとても弱く、「自分だけの力」で生きていくことをとりわけ大切にしてきた国である。
生活保護は「救われる人間の心には屈辱が刻み込まれる」もので、日本では「他人様の厄介になるくらいなら」と不況時には自殺者が急増する。また「救済してくれる人たちの気分一つで未来が左右されるため、他者への服従が強いられる」性質をもつものである。
お金はサービスと異なり、誰もが欲しがってしまい、「もらえる人=受給者」と「もらえない人=負担者」の間に分断が生まれてしまう。よって、だれもが受給者になるしかない。そこで、不正受給できず、必要な人しかサービスを使わないからコストを大幅に減らせるベーシック・サービスが有効である。
みんなが受給者の社会では、自分もサービスをもらえるから貧しい人の苦労に思いをはせ、彼らの立場に立って応戦するようになる。これにより、他者への信頼度が高くなる。
日本国憲法27条の「勤労の権利と義務」の「勤労」は、ただの「労働」ではなく、勤勉に働くという働き方まで憲法が指図しており、「働かざる者は食うべからず」式の考えである。
Posted by ブクログ
現金を支給するベーシック・インカムとは違って、教育や医療、介護などの社会保障へのサービスを分厚くするベーシック・サービス。読んでいて確かにこれが実現するのなら、現在の日本が持つ問題が大部分が解決されそうに思える。
財源は消費税から。現在の10%から16%まで上げる。そう聞くと怯んでしまうが、それでここまで社会保障が充実されるのならばやっても良いと思えた。
刺激的なアイデアだし、これが機能するならば多くの人が助けられるだろう。
ただ、どうしても現在の日本でこのベーシックサービスが機能するとは思えなかった。
現状の消費税の10%から6%引き上げただけでここまでの社会保障が行き渡るだろうか?
それは現在の10%が正しく機能しているならそう思えるかもしれない。だが実際は格差は広がる一方で、学費も上がり、年金も受給年齢は引き上げられ、受給額も減っている。
オリンピックと万博、そして軍事費だけが膨らみ、政治家たちの裏金問題も解決されない。
そんな日本で更に税率を上げてベーシックサービスが正しく機能するとは到底思えなかった。
読み物としては刺激的で面白いが、夢物語のように思えてならなかった。
Posted by ブクログ
教育・医療・介護・障害者福祉をベーシックサービスとして無償化する。加えて、品位ある最低保障を実現して「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会を実現する。その理論と、実際の方法論を提供する。財源は消費税。16〜20%にすれば、ベーシックサービスを無償で提供できる社会が実現する。そうすると、将来の不安から解放され、将来のために貯蓄に回っていたお金が今を生きる、楽しむために使うことができるようになり、経済も活性化する。
実際、北欧社会はそれを実現している。将来の不安、長生きするのがリスクの社会、チャレンジするのがリスクでしかない社会、息が詰まりそうな社会を変える処方箋。
具体的な行動に移そう、というのが著者の提言。具体的な行動は簡単。政治を監視し、投票に行こう、ということ。
Posted by ブクログ
アベノミクスのおかげで円安になり株価のほうは調子がいいみたいです。ドル資産を持っていた人は円安で円換算の資産はきっと増えたことでしょう。一方フツーの人にとっては実質賃金は下がり続け将来への不安は増えるばかりです。不安があるので結婚できない、教育費も心配で子どもも作れない(そもそも子育て中の収入減が不安)、小金を貯め込んだ団塊世代も老後が心配でお金を使わない・・ デフレマインドはそう簡単には消えそうもありません。
確かに基本的なサービスが低価格・無償になれば人生のオプションは増えるでしょうし、経済も回り始めるように思います。実感できるメリットがあれば消費税も我慢の範囲でしょうか。実際にはメリットと負担とのバランスを取ることが難しそうですが・・ 個人的には地方に住めば相対的にベーシックサービスが低価格で受けられるようにすれば一極集中も改善すると思うんですけどね。もちろん、GDPを上げるには一極集中の方がいいんでしょうけど、借金抱えて経済を回すのに馬車馬のように働かされるのは勘弁してほしいです。