【感想・ネタバレ】ソーシャルワーカー ──「身近」を革命する人たちのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2019年12月06日

格差社会の現代日本において、多様性と包摂が求められている。「一人ひとりのおかれた状況を理解し、家族や地域も含めた関係者たちの作った環境を受け止め、変えていく、自らの意思を十分に表現できない人たちの暮らし、そして権利を徹底して保証する、そんな仕組みづくりがいま求められている」。その中で大きな役割を果た...続きを読むすのがソーシャルワーカーである。本書はソーシャルワーカーとは何か、日本の資格制度で歪んできたソーシャルワーカーの理論や教育、特に「社会変革」の観点が欠如してしまったことが大きな問題あることを指摘する。社会福祉士や精神保健福祉士と国家資格はできたが、その事によって本来のソーシャルワーカーの働きが見失われている現在、あらためて本来求められる役割を取り戻すには、理解・包摂などにもとづく関係性をとり、連帯して変えていくことが必要であることを一貫して述べられている。様々な現場でソーシャルワークを行っている人達をつないだのが経済学者の井手英策氏というのも興味深かった。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年10月27日

良書。
これからの時代に向けた本当の意味でのソーシャルワーカーについて共感できる一冊です。

(素晴らしい執筆の並ぶ中で、未だに専門職の地位向上と既得権の確保という過去に囚われている日本精神保健福祉士協会の柏木代表の文書が公開処刑のような状況になってしまっている点もなかなか興味深い・・・)

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年05月23日

介護の章が面白かった。危険が起こらないようにとひたすら利用者を管理する活動は、悪い意味での専門分化と同様に、老人福祉法時代の発想だとばっさり。Y問題や、社会福祉士、精神保健福祉士の分断問題ももう一度読み返したい。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年09月24日

《人を雑に扱う社会を「革命」する》

国家資格である「社会福祉士」を英語で"Social Worker(SW)"、「精神保健福祉士」を"Psychiatric Social Worker(PSW)"と訳しカッコ内を略称として使用する。
では2つの資格を持つもの...続きを読むは「ソーシャルワーカー」なのか?
「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」での「ソーシャルワーカー」から『物申す』を引いたものが社会福祉士である。
カリキュラムには政府の都合が良い仕事だけ覚えて仕事しろという意図があり『物申す』が省かれている。

『物申す』ことこそがソーシャルワーカーには必要である。
帯にある【人を雑に扱う社会はもういらない!】というフレーズを心に留めて、「身近な革命する人たち」の一員となる、そのために社会福祉士国家資格を取得しスタートラインに立つ!

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年09月19日

とても読みやすかった。
高校生や大学生などにも読んでもらいたい本だと思った。

しかし、難しい。結局は何を働きかけても本人が変わらなければ事態は好転しない、というケースがある。馬を水辺に連れて行ったところで水を飲ませることができないのと同じだ。いつか変わる、気づく、と信じて伝え続ける必要があるのか。...続きを読むそこまでいくと、相手を救おうと伝え続けることはもはやこちら側のエゴにも思える。その線引きはどうするのか。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年03月28日

いまの社会に必要なものは、ソーシャルワークである。その共通理念をもとに、四人の著者が語る。時代背景としては、経済成長で人々の生活が守られるような時代は終わり、「困りごと」が多様化している。それらを「救済」ではなく「権利」として満たす「ナショナルな改革」の先に、個々の問題を解決していく上で「ローカルな...続きを読む改革」=「ソーシャルワーク」が重要になる。

著者は四人だが、印象的には三人である。日本社会福祉士副会長の中島氏と日本精神保健福祉士協会会長の柏木氏は、制度・資格などのハード面の話が多くを占める。大まかな主張としては、ソーシャルワークの価値の共通理解の必要性、そしてソーシャルワークの資格の一本化である。理由としては、「困りごとの多様化」にもあったように、人間とは総合的であり、総合的なソーシャルワーカーが求められるということだ。

的を得ているとは思いつつも、現場の実情が分からないので何とも言えない。医療、教育、福祉など多領域を扱うので、それぞれの分野での専門性は必要だろうが、ソーシャルワーカーとしての共通の理念、すなわち「社会を変えようとしている者たち」としての共通の自覚も重要なのだろう。

一人浮いていたが最も心を動かす内容であった加藤氏の言うように、専門性に頼っていてはいいケアにならない。そういう意味では、ソーシャルワークの資格の一本化という主張にある程度の理解はできる。必要なのはガチガチの専門性ではなく、さりげない専門性なのだろう。高齢者の「杖」になるという表現はわかりやすいが、これは三好春樹氏の影響だろうか。加藤氏の著書が少ないので、思想のバックグラウンドはわからない。

井手氏の主張からは、北欧の社会民主主義的福祉国家が理想として描かれているように感じた。著書の『富山は日本のスウェーデン』もその方向か。なにかと税金や福祉には敏感な日本国民であるが、一歩引いて「社会」を見渡した時に、本当に必要なものは「安心」とか「信頼」とか目に見えにくいものではないだろうか。いまの自民党政権では、そういう形なきものがないがしろにされている。

本書のキーワードは、ケア/気にかけることであった。ソーシャルワーカーは必ずしも福祉系の資格を持つ人や、福祉系の仕事に就く人に限らない。隣人や地域、社会、将来を気にかけて、人間関係を構築していくこと。なかなかできていないことではあるが、誰にでもできることでもある。専門的な内容でありながら、その対象は普遍的である。

このレビューは参考になりましたか?