民進党代表選挙に立候補した前原誠司が掲げたコピーは「All for All」だった。「全ての人が負担をし、全ての人が受益者となることで、分断を乗り越え希望を分かち合える社会」こそ、安倍政権との対立軸となる社会像だと主張した。
「すべての人が受益者」というフレーズには、井手英策の影響が色濃い。保守派と
...続きを読む言われる前原が、税と社会保障の根本的な転換・変革を訴える財政学者に学んでいることがわかり、これはおもしろい展開だと思った。
本書は、まさにその選挙戦最中に出版された。「井手理論」に出会って多くの気付きを得た前原が、「分断社会」の克服を政策の柱に据えた筋道がよく見える。
当選した蓮舫も、選挙中からこれに共感を示した。政調会長に前原を選べばもっと鮮やかだっただろう。学者の理論と政治家の情熱が力強く合体した政策には希望が宿る。その記録として本書は熱い。