鏑木蓮のレビュー一覧
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「ダモイ」とは、ロシア語で「帰国」の意味。
第2次世界大戦でロシアのシベリア、捕虜収容所からの帰還兵が60年の歳月を経て自費出版しようとした句集の原稿を残したまま失踪。
前日に舞鶴港の埠頭で水死体で見つかったロシア人女性と帰還兵には接点があったことが判って、60年前に捕虜収容所で起きた殺人事件が浮かび上がってくる。捜査はこの謎を解くことで、犯人像が浮かび上がってくる・・・というやや複雑な構図。
今は亡き自分の父親もシベリア帰りで、これまで戦争の話はほとんど聞いたことはなかったんですが、本書にあった抑留者の強制労働の世界を経験してきたかもしれないことを思うと、なんと言ったらよいのか・・・ -
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鏑木蓮の連作ミステリ作品『ねじれた過去 京都思い出探偵ファイル』を読みました。
『見えない轍 心療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ』、『喪失』に続き、鏑木蓮の作品です。
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遊園地に残されたカメラ、撮影現場から失踪した斬られ役、喫茶コーナーで倒れた記憶喪失の男――わずかな手がかりから人生の謎を解き明かし、ねじれた過去を修復するのが、思い出探偵社の仕事。
京都府警の刑事だった実相浩二郎、元看護士の一ノ瀬由美、かつて両親を惨殺されたため心に傷を抱える橘佳菜子に、新メンバーを加えた探偵社の面々が繰り広げるハートフル・ミステリ。
シリーズ第二弾。
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思い出探偵の続編
前作同様、短編連作ストーリとなっています。
前作から2年後が描かれています。
前作のエピソードも出てくるので、順番に読みましょう。
本作は、前作に比べて、ちょっと複雑。
イラつく人物も出てきて(笑)、さらに深み?が増してます。
■雨の日の来園者
雨の遊園地で置き忘れた使い捨てカメラに写っていた男の子を探すというもの。
写真の背景から、男の子を探していきます。
明らかになる家族の姿
■大芝居を打つ男
前作で俳優業に専念するために、探偵をやめた雄高。
時代劇の撮影中に失踪した先輩の男の行方を、追います。その真相と、過去にあったものとは..
■歌声の向こう側に
喫茶店を営む男 -
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とても切ない物語。
働きながら予備校に通う二十歳の高村小夜が自宅アパートで殺害されます。
中年男性の目撃情報がありますが、その暮らしぶりとの違和感を覚えた刑事の目黒は、被害者を掘り下げることで事件を捜査していきます。
両親をなくし、苦労して生きてきた彼女。
彼女はなぜ殺されなければならなかったのか?
祖母にあたる人物は遺骨を頑なに遺骨を受け取らない。
彼女の過去にいったい何があったのか?
一方、建設会社社長の吉崎が交通事故死。その妻は海上散骨にこだわっていましたが、ある日、その遺骨が盗まれてしまいます。
誰が遺骨を盗んだのか?
妻は何にこだわっているのか?
この2つのエピソードが語られ -
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4編からなる短編連作ミステリー
設定が面白い。京都府警の元刑事の浩二郎が奥さんのリハビリかねて始めた探偵業。
依頼人の想い出に寄り添いながら、人や物を探していくという展開。
そんなにうまくいくか?というのは置いておいて、じんわりと暖かくなる物語でした。
■温かな文字を書く男
清涼寺の境内で落としてしまった大事な思い出の小瓶のペンダント。
喫茶店で落とし物として届けられ、その届けた人物を探してほしいという依頼。
残されたメモの文字から人物を探し出していきます。
■鶴を折る女
43年前、集団就職で上京し、職場のトラブルで逃げ出したときに、ジャズ喫茶で出会った年上の少女を探してほしいという依頼。 -
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切なすぎて、涙がとまらない…!
と帯にありましたが、そこまでではありませんでした。
ヒロインは神戸に住む女子短大生の生田有子。ある日、警備員をしている父親が帰宅途中に刺殺されます。
人に恨まれることなんてない父親がなぜ殺害されてしまったのか?
父親の勤め先の警備会社社長で元刑事の中原と共に事件の真相を明らかにしていきます。
そんな中、犯人と思われる人物が自殺!
なぜ、犯人は自殺したのか?
ってこの中原が切れ者!
元刑事ということで、この二人で、どんどん事件の真相に迫っていきます。
そんなことある(笑)?
父親の業務日誌に残された工事現場の事故。
その事故で寝たきりになってしまった女性。
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テーマはトリアージ=命の選別
そのタッグは正しかったのか?
緊急医療の現場での苦悩と現実。
重いテーマだと思うのですが、関西弁の会話にいまいち感で、入り込めず(笑)
ホテルの講演会場で、発生した爆破事件。
ターゲットは救命医の若林。死の間際に救急救命士の中杢に残した言葉は、ブラックタッグを付けること。
若林はなぜ、救命を拒否したのか?
そして、誰が、なんの目的で若林を狙ったのか?
大阪弁の二人の刑事がその真相を探っていきます。
犯人を探し出すことも大きなポイントですが、やはり、トリアージの葛藤、命の選択の葛藤が刺さります。
「救われる命のために、捨てる命があってもいいと?」
「人生に無