あらすじ
切なすぎて涙がとまらない…! 失踪した母、殺害された父。そこから悲しみの連鎖が始まった。江戸川乱歩賞作家が贈る人間の業と再生を描いた純文学ミステリー
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Posted by ブクログ
9歳で母が家を出て行ってから、父子家庭ながら仲良く暮らしてきた有子。
そんな最愛の父がある日突然殺され、犯人は自殺。
父の上司の元刑事の中原と共に、事件を追う。
家族の突然の死を経験した者としては、お腹もすかず葬儀の記憶も曖昧で、家の中の何を見ても涙が出てくる気持ちがよくわかる。
何度も出てくる、料理の描写が美味しそうで、あたたかく「食」というのはやはり大切なんだなと感じた。
ただ最後まで母親には共感できなかった。
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警備員の父と、栄養士を目指す娘。
二人の慎ましく穏やかな生活が、
父が何者かに刺殺されたことで一変する。
遺された娘は、
周りの人たちに支えられ、
自分の足で真相を探ろうとする。
見えない鎖の繋がりが見えてきた時、
切なさや やるせなさを飲み込む、
静かな感動が、あった。
ミステリーの謎解きにとどまらない。
食への意識、人を信じきる強さ。
大事なことを教わった気がする、一冊でした。
Posted by ブクログ
大きな謎を引きずりながら、静かに、ゆっくりと進行していくミステリー。
単に犯罪を描いたミステリーというよりも、人びとが背負う過去の連鎖をじっくりと描いた読み応えのあるドラマのようだった。
神戸に父親と二人で暮らす女子短大生の生田有子が帰宅すると、警備員の父親が何者かに刺殺されたという連絡が入る。善良な父親は一体なぜ、何者に刺殺されたのか…有子は知らず知らずのうちに人びとの業の連鎖の渦に巻き込まれていく。
鏑木蓮らしい、優しさと切なさにあふれた作品であり、ミステリーとしての面白さも、しっかりと兼ね備えている。
Posted by ブクログ
父と二人暮らしで、短大で栄養学を学ぶ生田有子。ある日、父親が「知らない男に刺され」て殺された。
父の勤め先だった警備会社の元刑事中原の助けを借りながら、有子は父親がなぜ殺されなければならなかったかを調べていく。
父と有子を捨てて、他の男と失踪した母親との再会、父親の警備中に工事現場で起きた事故の被害者との出会い…
ミステリーとしての謎解きや犯人探しの要因は期待しない方が良いです。
人の優しさ、強さとは何かを考えさせられる作品。
Posted by ブクログ
鏑木蓮さんの作品を読み終えて
ほおっと息をついたのはこれで
何度めだろう。
ミステリーというジャンルの中で
多くの人たちのたくさんの思いを
ここまで丹念に解き明かしてゆく。
その筆力にいつものめり込んでしまう。
作者の代わりにその水先案内を務めた
中原の信念に胸を衝かれる。
人の罪は消えない。誰もが悪であり
なんらかの罪を背負っている。
せめてその罪を積み重ねないように。
そんな中原の正義に その行動の誠実さに
この作品を読むことの価値があると思う。
食と栄養が人の基本にあるなどということ
にまで思い至らせてくれたことに…敬服。
Posted by ブクログ
切なすぎて、涙がとまらない…!
と帯にありましたが、そこまでではありませんでした。
ヒロインは神戸に住む女子短大生の生田有子。ある日、警備員をしている父親が帰宅途中に刺殺されます。
人に恨まれることなんてない父親がなぜ殺害されてしまったのか?
父親の勤め先の警備会社社長で元刑事の中原と共に事件の真相を明らかにしていきます。
そんな中、犯人と思われる人物が自殺!
なぜ、犯人は自殺したのか?
ってこの中原が切れ者!
元刑事ということで、この二人で、どんどん事件の真相に迫っていきます。
そんなことある(笑)?
父親の業務日誌に残された工事現場の事故。
その事故で寝たきりになってしまった女性。
父娘をすて、他の男と失踪した母親。
徐々に明らかになる真相。
といった展開でした。
そして、明らかになった真相は帯にあるとおり「切ない」そして「哀しい」
楽しめました!
Posted by ブクログ
父子家庭に育った女性が父親を失う悲劇に見舞われ、そこから立ち直る過程が描かれる。
あらすじにミステリとあったのでそうなのかと思いきやまるで違っていてそこだけが期待外れ。
文章、章立ては上手いが読み応えと言われるとそこまで、と言ったところ。一人の人間が闇に呑まれ、それでも光を失わない様がもっと見たかった。
Posted by ブクログ
ミステリー要素等はなく、人との繋がりや気持ちとの向き合い方に重心をおいた作品でした。
私も親を亡くしている身です。主人公である有子の悲しみが自身の経験と重なってしまいました。死後間も無い数日(いや数年)は、いつものルーティンや物、思い出は本人以上の存在感を出してしまいます。そんな有子も一人にならずに父の事を懸命に解明しようとしてくれる人たちがいて本当に良かった。まだ若い有子が健気で逞しくて、どうか幸せになって欲しいと思いました。
珠乃さんとの会話の一つにあった、不仕合せの意味に考えさせられました。有子はこの時は同情をされているのか?と解釈していました。
愛情という感情と向き合う覚悟をした有子は、この台詞を今聞くとどう思うのだろう。考えが変わっているのかな?前向きに考えられるといいなと思います。
Posted by ブクログ
ふと、最近話題の100日後に死ぬワニを思い出しました。話の内容からはそれてしまうけど、人間いつ死ぬかわからない。自分もだけど自分の周りも。どこかでそう思って過ごしていかないといけない。例え周りで不幸なことが起きても、そのあとどう生きるのかが問われてるのかな。不仕合せでも不幸ではない。
Posted by ブクログ
父子家庭で、父と娘、支えあって生きてきたのに、突如父は刺されて死んでしまう。
家族や友人との繋がりと、青天の霹靂のようにふりかかる不幸、そして不幸の連鎖。
身近に起こり得るかもしれない事件とそこからの再起。「食」の大切さをところどころで訴えている。
Posted by ブクログ
父親を殺された事件の真相をまわりの助けを受けながら追及していく娘の成長を描いています。
見えない鎖 は家族を失い一人きりになってしまった主人公ではあるけれど決してひとりではないよと教えてくれます。転落事故で寝たきりになってしまった加害者の娘のために食事形態を研究する道を選ぶ主人公の選択はよかったと思います。
人間が最後まで食べようとする力を奮い起たせるものはやはり味覚であり工夫ひとつで命をささえる力に繋がっていくことを教えてもらいました。
ミステリーとしてのハラハラ感に欠けているようで速く読み終わらせたい気持ちが先に立ちました。
Posted by ブクログ
日々、当たり前だと思ってることが本当は当たり前じゃないことの積み重ねなんだな。私たちが知る事件は本当に側面だけで、大なり小なり、罰せられない罪人はたくさんいて、私も意識せずその一人になってることがあるのかもと思うと、怖くなりました。ドラマ化しやすい作品じゃないかと思いました。
Posted by ブクログ
うーん。普通かな。
タイトルにある通り、人は繋がっていて、誰もが誰かにとって大切な誰かということが主題になっていると思うんだけれど、それほど深く、感動するようには伝わってこなかったかな。