あらすじ
切なすぎて涙がとまらない…! 失踪した母、殺害された父。そこから悲しみの連鎖が始まった。江戸川乱歩賞作家が贈る人間の業と再生を描いた純文学ミステリー
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Posted by ブクログ
鏑木蓮さんの作品を読み終えて
ほおっと息をついたのはこれで
何度めだろう。
ミステリーというジャンルの中で
多くの人たちのたくさんの思いを
ここまで丹念に解き明かしてゆく。
その筆力にいつものめり込んでしまう。
作者の代わりにその水先案内を務めた
中原の信念に胸を衝かれる。
人の罪は消えない。誰もが悪であり
なんらかの罪を背負っている。
せめてその罪を積み重ねないように。
そんな中原の正義に その行動の誠実さに
この作品を読むことの価値があると思う。
食と栄養が人の基本にあるなどということ
にまで思い至らせてくれたことに…敬服。
Posted by ブクログ
ミステリー要素等はなく、人との繋がりや気持ちとの向き合い方に重心をおいた作品でした。
私も親を亡くしている身です。主人公である有子の悲しみが自身の経験と重なってしまいました。死後間も無い数日(いや数年)は、いつものルーティンや物、思い出は本人以上の存在感を出してしまいます。そんな有子も一人にならずに父の事を懸命に解明しようとしてくれる人たちがいて本当に良かった。まだ若い有子が健気で逞しくて、どうか幸せになって欲しいと思いました。
珠乃さんとの会話の一つにあった、不仕合せの意味に考えさせられました。有子はこの時は同情をされているのか?と解釈していました。
愛情という感情と向き合う覚悟をした有子は、この台詞を今聞くとどう思うのだろう。考えが変わっているのかな?前向きに考えられるといいなと思います。