鏑木蓮のレビュー一覧

  • エンドロール

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    ネタバレ

     たとえ世間の人が孤独死だと言おうが、わたくしは孤独ではなかったと信じてます。たとえ誰にも看取られなくても、その一瞬、亡くなった状態だけで判断しないでください。
     人は生前いろんな人と出会い、語り、泣いて笑ってきたんです。誰ひとり孤独で亡くなる人なんていません。

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    2026年08月11日
  • 思い出探偵

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    心温まるストーリーでした。うまくいきすぎじゃない?!って思うところもあったけど、物語はこのぐらいスカッとしてもいいかもと思える作品でした。続編があったら読みたいです

    0
    2025年04月30日
  • 見えない鎖

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    9歳で母が家を出て行ってから、父子家庭ながら仲良く暮らしてきた有子。
    そんな最愛の父がある日突然殺され、犯人は自殺。
    父の上司の元刑事の中原と共に、事件を追う。

    家族の突然の死を経験した者としては、お腹もすかず葬儀の記憶も曖昧で、家の中の何を見ても涙が出てくる気持ちがよくわかる。
    何度も出てくる、料理の描写が美味しそうで、あたたかく「食」というのはやはり大切なんだなと感じた。 
    ただ最後まで母親には共感できなかった。

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    2020年09月03日
  • 沈黙の詩 京都思い出探偵ファイル

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    「思い出探偵」シリーズ、第三弾。
    今回は、じっくり書き込む長編。

    物語は、重く暗い、冬の海の轟きを思わせる。
    長年のパートナーとともに大きな居酒屋チェーンを築き上げた、高齢の女性。
    籍を入れようとしなかった彼女を、なさぬ仲の子供たちも慕っている。
    認知の症状が進んでしまったことを残念に思い、過去を思い出すことが脳の刺激になれば、弱ってしまった父共々元気になってくれるのではないか、と沈黙を守る継母の過去探しを依頼される。

    調査は、戦前戦後の過酷な人生を生き続けた「女の一生」を辿るにふさわしい、長い旅路だった。
    傍目には成功者と見える女性の、人に言えない過去の苦難と悲しみ、流転と贖罪の人生。
    それを解き明かすことで、現在の家族を、彼女の安息の地と認めさせ、羽根を休ませてやることができるのか。

    今回は、橘佳菜子が中心になって調査を進めている。
    巻が進むごとに大きく成長する姿が、読者としてもうれしい。
    コミュ障若手医師・平井真も、いい塩梅に気配りのない口調を残しながらも、こちらも成長している。
    探偵社内の関係にいろいろなドラマの発展を孕みながら、次は今回の事案と並行して調査が行われていたらしいお話が語られるのでしょうか?
    次作に期待します。
    本郷さんのその後が気になるなあ…

    0
    2018年06月20日
  • P・O・S──キャメルマート京洛病院店の四季

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    恐らくは他の方とは評価の基準が違うため 参考にはならないとは思いますが 私にとって この一冊が今年最高の一冊となりました。

    表面だけを見ていてもわからない人間の善意。
    日々を暮らす人の数だけ 異なる善意の形があることを この作品から知りました。

    「数値は嘘をつかない。でもそれは過去を示すものとしての正しさであり 大多数のニーズは拾えても ひとりひとりの思いに答えるものではない」

    自分が追い詰められてきた仕事のこととも重なり 大いに励まされた言葉です。

    支えながら支えられる。人を思いながら思われる。
    ここに登場するすべての人の心がつながり お互いに寄り添い寄りかかってゆくのを見ているうちに 心の底から元気が湧いてきました。

    なんて素晴らしい人間讃歌なのでしょう。
    綿密に描かれた作品の完成度とともに もはや脱帽です。

    このところ本を読む時間も心の余裕もなかった私への ひと足早いクリスマスプレゼント。そう思っています。

    この作品の隅々にまで目を配っている作者の視野と包容力に 私の心が舌を巻きました。

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    2017年11月26日
  • 思い出探偵

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    元京都府警の刑事だった実相浩二郎は、京都御苑の近くに「思い出探偵社」を構える。
    依頼人の話を聞き、わずかな手がかりから思い出を探す仕事だ。

    62年前、梅田の闇市で助けてくれた少年にを想い続ける老女。

    43年前、集団就職で出てきて働いた会社がつらくて飛び出したときにコーヒーを飲ませ、諭してくれたお姉さんに、今の自分があることを知ってほしい。

    10年前の忌まわしい事件を乗り越えたい。

    7年前、自殺として処理された、浩二郎自身の息子の死の真相を突き止めたい。

    5日前、清涼寺の境内でなくした愛猫の思い出の品を拾ってくれた人にお礼を言いたい…

    独立した短編集ではなく、いくつもの事件は平行して進み、依頼されたものではなく、スタッフ自身の心に抱えた問題もある。
    思い出はいいものばかりではない。
    相手にとって、どういう形で心に残っているかわからない、人間の心の複雑さもある。

    62年前、43年前という、遠すぎる戦後日本の思い出も、作品の特徴かもしれない。
    わずかな手ががりを追って飛び回る姿は、時効間近の事件に執念を燃やす刑事そのものだ。
    温かい解決、切なく懐かしい解決、苦い解決…いろいろだが、依頼人の気持ちに寄り添いたい、というのが浩二郎の一番の願い。

    第一章 温かな文字を書く男
    第二章 鶴を折る女
    第三章 嘘をつく男
    第四章 少女椿の夢

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    2017年11月03日
  • エンドロール

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    映画監督になる夢が挫折して、アパート管理人のバイトでただ日々を過ごす青年・門川。孤独死の老人の遺品の中に8ミリフィルムを発見し、その映像に惹かれた彼は老人の人生を辿る。
    現代社会の孤独死問題と、日本国家が犯した最大の過ちである戦争。一人の男性の人生を、全く縁のない青年が執念で追うという設定が見事だ。未来の自分自身を重ねた『孤独』という状況を徐々に打ち破る展開が巧みである。自分の人生は自分が主役だ。エンドロールには多くのキャストの名前が連なるが、最初は主役である自分の名前である。

    0
    2016年10月23日
  • 見えない鎖

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    警備員の父と、栄養士を目指す娘。
    二人の慎ましく穏やかな生活が、
    父が何者かに刺殺されたことで一変する。
    遺された娘は、
    周りの人たちに支えられ、
    自分の足で真相を探ろうとする。
    見えない鎖の繋がりが見えてきた時、
    切なさや やるせなさを飲み込む、
    静かな感動が、あった。
    ミステリーの謎解きにとどまらない。
    食への意識、人を信じきる強さ。
    大事なことを教わった気がする、一冊でした。

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    2016年05月14日
  • 思い出探偵

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    ほんのわずかな手がかりを紐解きながら思い出の人にたどり着く、今までありそうでなかったミステリ。たどり着くまでは、探偵目線で、最後は依頼者に感情移入できて、1話で2度おいしい。依頼内容に加えて、メンバのサイドストーリーもうまい具合に絡まっていて秀逸。もう一度読んで見たい。

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    2016年05月11日
  • 転生

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    被害者は女性染織作家。以前の事件から20年、その間の生活から生まれてきたそれぞれの時間が今回の事件を呼び込んでしまう。なんて哀しいんだろう。それぞれが懸命に生きていただけなのに。違う道への分岐を選べなかった事を無念に感じる。この事件を乗り越えて少しでも心静かに過ごせる時が来ますように。

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    2015年11月23日
  • エンドロール

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    私のレビューはいつも語数が多く冗漫だ。
    しかし。今回は特別。

    これは凄い小説だ。

    人の死は
    それだけでとらえられてはいけないのだ。
    生きていることが そのまま死にゆくこと。

    主人公が、自分でも言葉にできない
    自分を行動に駆り立てる衝動の源泉を
    少しずつ少しずつ見つけてゆく。

    人の成長や成熟の過程を
    この作品で目の当たりにした。

    0
    2015年11月04日
  • 時限

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    ミステリーは苦手な人です。
    推理は大好きなのですが、私にとっての読書は
    あくまでも心のオアシスなので、殺伐とした
    シーンが言葉で表現されているのを読むのは
    辛いのです。
    ミステリーは映像として楽しむ方が
    気持ちにあっているのです。

    この作品はしかし。別格でした。すごい。

    かつて殺人事件の公訴時効までの15年は
    たくさんのミステリーで扱われてきたテーマ
    ですが、この作品にこめられた「生きる」こと
    の意味にリンクした事件解決に至る衝撃的な
    展開は予想もしませんでした。
    そうして心の中で喝采を贈りました。

    生きることの意味ではなく
    生きることそのものに既に意味がある。

    高藤警部のこの言葉が秀逸でした。

    鏑木蓮氏の作品を連続して読んでいますが
    これは最高!

    鏑木作品の多くが持つ、深いテーマ性に
    これほどまでに共感したことはありません。

    今年一番の感動作でした。
    この作家に出会えたことは私の読書の歴史を
    大きく動かしました。

    0
    2015年11月01日
  • 思い出探偵

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    どれほどの善意を
    他人に振り向けても
    だからといって幸せな日々を
    過ごすとは限らない。

    穏やかな日々を
    過ごしているように見えていても
    だからといって凄烈な過去を
    持たぬとは限らない。

    人のあたたかな思いが
    それだけで人を幸せにするとも限らず
    善意を振り向けたからといって
    必ずそれが報われるとは限らない。

    人の世のやりきれない矛盾が
    この本には詰め込まれている。

    なのに…どうしてこんなに安らぐのだろう。
    真実を伝えることも伝えないことも
    相手の心のためだけに選択する人たちが
    この探偵社にはいる。

    どの事案もすっきりとは片付かない。
    必ずどこかに翳りを残しながら終わる。
    探偵たちの人生もまた、どこかに何かを
    抱えたまま。だけど、温もりがじんわり。

    昭和の匂い。
    でもそれだけじゃないあたたかみ。
    ちょうど…日暮れ時になるとあちこちの窓に
    灯され、家族の食卓をやわらかく照らした
    白熱灯の温もり。

    鏑木氏の作品は人臭い。それが、とてもいい。

    0
    2015年10月07日
  • エンドロール

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    ネタバレ

    面白くて、一気に読んでしまいました
    一人で生まれ、
     多くの方と縁を作り、
      そして一人で旅立つ。
    自分の人生を人のせいにして
    毎日を過ごしていた若い門川が
    帯屋の死に関わったことで
    知らない間に変わっていく
    それは、自分だけが変わるのではなく
    関わっている周りの人たちとの関係も変わる
    そんな様子や
    戦争での記憶を背負って生きている
    老人たちの苦しみや後悔
    色々なことがギッシリと、
    でもゆるやかに映し出されている
    映画のような小説でした

    0
    2014年07月03日
  • エンドロール

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    久しぶりに「当たり」でした。
    人生の終末を映画のエンドロールに見立て、人生の価値を問い、孤独死と呼ばれる状況がその人の人生を反映している物では無いことを訴える。
    初めての著者の作品を読むというのはちょっとした冒険だけれど、これだけスッキリと自分の胸に入り込む作品を探り当てた時は祝杯をあげたい気分です。

    *本作品は「しらない町」を改題した物だそうです。

    0
    2014年06月17日
  • 東京ダモイ

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    シベリア抑留、俳句、自費出版、老人自活施設と
    団塊の世代以上の読書好き年配者を
    想定読者に据えたかのような骨太の社会派ミステリー。
    たぶんそんな意図はないんだろうけど。

    戦後の動乱期、ふとしたことから大罪を犯したが
    罪が露見せずに数十年が経ち、今では地位もある
    名誉もある自分がやるべき仕事もある身になり
    過去の過ちを隠すためにまた罪を重ねてしまうという作りは
    松本清張の名作、あるいは『飢餓海峡』のそれに近い。

    俳句をトリック解明のキーに据えた試みは
    物理トリックやアリバイなど理詰めの思考とは趣きが違っていて
    575の文字から情景を想像しながら考える面白さがあった。

    イルクーツクの俘虜収容所(ラーゲリ)での過酷な抑留生活に関する
    描写に力が注がれており、タイトルと相まって
    作者の熱量を感じた。

    0
    2014年05月24日
  • ねじれた過去 京都思い出探偵ファイル

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    立て続けに1作目から読んだが、さらに面白かった。真君にムチャ苛付いたが、最後にはなるようになって、ちょっとあっさりしすぎた?

    また、私の住んでる街が登場して、ほんま珍しい~

    私には調べて欲しい思い出はないなあ・・・

    0
    2014年03月09日
  • 救命拒否

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    久しぶりに、買って良かったと思えた小説です。

    心に響いた言葉が沢山あった。「生きる覚悟」なんて考えた事無い。「絶対に勝てない相手を師と仰げば、挫折感を味わわないで済む」には身に覚えがある。

    おとぼけ警部補・倉さんと生真面目刑事岸ちゃんコンビが凄く自然体。まるですぐそこの道をあーでもない、こーでもないと言い合いながら歩いている様。

    人が人の命の選別をする。選別をした瞬間から始まる重圧。私は、自分の命を削りながら生きていく覚悟が出来ないな。

    0
    2013年11月04日
  • 時限

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    ネタバレ

    直前に読んだ「白砂」に近い内容ですが、主役の若手女性刑事と上司の警部のやり取りがシリアスなので、比較的重い雰囲気が全般的に流れているように思います。

    事件の構造は本作のほうが幾分か複雑で、ミステリとしてはこちらのほうが面白いです。特にタイトルの「時限」要素が明確に関連してくる中盤以降はとてもスリリング。クライマックスの絶望感と、そこからの逆転劇は(少し都合よくも感じられましたが)見事だと思いました。

    しかし「白砂」と同じく、被害者の境遇がわびしすぎて泣けてきます。山本妹にも同情しますが、それ以上に夏山千紘の人生が本当にいいとこなしにしか思えなくて、なぜかこっちまで落ち込んできます。

    “イヤミス”というわけではないのですが、妙に凹むミステリな印象でした。

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    2013年08月25日
  • 東京ダモイ

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    ここ最近のベスト1☆

    ストーリーの展開だけじゃなく
    作中の俳句が素敵でした。
    最後の一文には何とも言えない気持ちにさせられる。

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    2010年02月06日