鏑木蓮のレビュー一覧
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鏑木蓮の長篇ミステリ作品『白砂(はくしゃ)』を読みました。
鏑木蓮の作品は昨年の5月に読んだ『思い出探偵』以来ですね。
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予備校生、高村小夜が一人暮らしのアパートで殺害された。
出入りが目撃された中年男性が捜査線上に浮かぶ。
心の動きに捜査の主眼を置く下谷署の目黒は、小夜を知るにつれ、援助交際の線を捨てて事件に迫った。
小夜が歌に詠んだ故郷、京都府の山村で目黒が掴んだ事実とは。
哀しい真相が隠された、切なさ溢れるミステリー。
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2010年(平成22年)に刊行された作品です。
苦労して働きながら予備校に通う、20歳の高村小夜が自宅アパートで殺害された……中年男性の目撃情報と大金が入金されていることから、援助交際との関わりが捜査線上に浮かぶ、、、
「こんなにつましい暮らしぶりで真面目な彼女がなぜ?」違和感を抱いた下谷署の刑事・目黒一馬は別の角度から捜査を開始する……小夜の両親はすでに亡く、なぜか祖母は頑なに遺骨を受け取らない。
鍵は小夜の故郷にあると見た目黒の執念が、運命に翻弄された女たちの人生を浮き彫りにしていく……最後にたどり着いた、死の裏にある驚愕の真実とは、、、
切なさあふれるミステリー。
働きながら大学入学を目指す20歳の高村小夜が殺害された事件を中心にしつつ、そこに建設会社社長・吉崎の交通事故死に纏わるエピソードが絡められ、ふたつのエピソードが交叉するあたりで表層的な犯罪の動機と犯人は特定できるのですが……逮捕された人物は黙秘、、、
その後、目黒刑事は、犯人の人格形成に影響を与えた特殊な環境下にあった宮崎の山村での生活や出来事を浮き彫りにして、犯人の心理に踏み込み犯行動機に迫る……執念の捜査が印象的でしたね。
社会派ミステリっぽい雰囲気を纏った作品でしたねー 目黒刑事の人柄も良く、感情移入しやすかったですね……それにしても、高村小夜の運命は哀しすぎますね、、、
好みの作風でした……目黒刑事と山名刑事のコンビもイイ感じなので、シリーズ化してたら次も読んでみたいな と思いました。 -
Posted by ブクログ
鏑木蓮『見習医ワトソンの追究』講談社文庫。
ここ数日、珍しく仕事とプライベートが忙しく、なかなか読書が捗らなかった。
2023年に逝去された鏑木蓮の医療&警察ミステリー小説である。捻りに捻り過ぎたせいか、終盤のくどさが目立った。
プロローグに描かれる事件の迫真描写。和歌山に住む母親の五十嵐菜摘が大阪で一人暮らしをする娘の五十嵐夏帆と電話で会話していると電話の向こうでただならぬ事態が発生する。
何者かに腹部を刺された美容研究家の五十嵐夏帆が大阪の三品病院に緊急搬送された。犯人は夏帆と別れた夫の八杉弘文と思われたが、事件を担当する大阪府警の刑事・成山有佳子の夏帆への聴取で否定される。懸命な治療の甲斐もあり、損傷した脾臓を温存したまま夏帆は一命をとりとめたかに思えたが、術後あり得ない速さで容態が急変、命を落としてしまう。
死因は刺傷によるショック死だったのか、或いは医療ミスだったのか。院長から死因の究明を命じられた内科医の家入陽太郎は、成山有佳子の協力を得て調査を開始する。
本体価格900円
★★★★ -
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鏑木蓮『水葬』徳間文庫。
今年の1月に急逝した鏑木蓮によるサスペンス小説。
宮澤賢治の信奉者で岩手県好きの鏑木蓮らしく、本作にも宮澤賢治と盛岡が登場する。盛岡出身の自分は鏑木蓮の作品を読む度にニンマリしている。
さて、本作である。『水葬』というタイトルからして救いの無い結末が容易に連想出来る。婚約者の女性が失踪した男性の行方を自ら探すというストーリーなのだが、散りばめられた伏線をかき集めれば、その謎も見えて来る。そういう点では少し物足りなさを感じる作品だった。
初井希美は婚約者の千住光一と自分の母親と父親代わりの伯父と面会するために待ち合せをしていたが、光一は時間を過ぎても現れることはなかった。
光一はフリーのカメラマンで雑誌に連載する限界集落をテーマにしたフォトエッセイの取材のため、4日間の日程で島根に出張していたが、そのまま行方不明となる。出張先からパソコンに転送された写真を手掛かりに島根に向かった希美に光一の妹の美彩から、美彩の大学の先輩で光一の元交際相手の下槻優子も同じ頃に失踪していることを知らされる。
光一と優子の行方を探す希美と美彩に、優子の車が岩手県八幡平市で発見されたという情報が入る。急遽、岩手県に向う希美と美彩だったが……
本体価格890円
★★★★ -
Posted by ブクログ
鏑木蓮の連作ミステリ作品『思い出探偵』を読みました。
ここのところ国内の作家のミステリ作品が続いています。
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もう一度会いたい人が、あなたにはいますか?
小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴…… そんな小さな手がかりから、依頼主の思い出に寄り添うようにして、捜しものを見つけ出していく“思い出探偵”。
京都御所を臨む地で「思い出探偵社」を開いた実相浩二郎は、息子を亡くし、妻がアルコールに溺れていくのを見かねて刑事を辞めたという過去を持つ。
思い出探偵社には、その誠実で温かい人柄にひかれるようにして、元看護師の一ノ瀬由美、役者志望のアルバイト本郷雄高、10年前に両親を惨殺されて心に傷を負った27歳の橘佳奈子が集まった。
「思い出」は心を豊かにすれば、苦しめもする――乱歩賞作家が紡ぎ出す、せつなさと懐かしさが溢れるミステリー。
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2009年(平成21年)に刊行された京都思い出探偵ファイルシリーズの第1作です。
■第一章 温かな文字を書く男
■第二章 鶴を折る女
■第三章 嘘をつく男
■第四章 少女椿のゆめ
■解説 小梛治宣
人生は「思い出」の積み重ねでしかありえない… 良きにつけ悪しきにつけ、そのひとが生きてきた証なのだ――。
小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴… そんな小さな手がかりから、思い出探偵社の仕事は始まる、、、
「一言お礼が言いたい」 思い出探偵社に持ち込まれた事案を調査する実相浩二郎たちの行く手には…… 。
面白かったです、、、
粗末なペンダントをわざわざ届けてくれた男性を探す『第一章 温かな文字を書く男』、
ジャズ喫茶でのわずかな時間の出会いが人生を変えた『第二章 折り鶴の女』、
車椅子の青年が思い出探偵社を混乱に陥れる『第三章 嘘をつく男』、
戦後の混乱期に命を救ってくれた男性を探す『第四章 少女椿のゆめ』、
の4篇が収録されています… 軽めの物語かと思っていたのですが、意外と深みがあったし、「思い出探偵社」で働く人たちの人生も巧く描いてあったと思います。
『第三章 嘘をつく男』は、ちょっと異質な印象ですが、サスペンス的な展開で愉しめましたね、、、
『第四章 少女椿のゆめ』の結末はちょっと物足りない印象かな… 好みの問題でしょうが、私は再会するところまで描き切って欲しかったな。
京都思い出探偵ファイルシリーズの続篇、ぜひぜひ読みたいですね。