鏑木蓮のレビュー一覧
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鏑木蓮『見習医ワトソンの追究』講談社文庫。
ここ数日、珍しく仕事とプライベートが忙しく、なかなか読書が捗らなかった。
2023年に逝去された鏑木蓮の医療&警察ミステリー小説である。捻りに捻り過ぎたせいか、終盤のくどさが目立った。
プロローグに描かれる事件の迫真描写。和歌山に住む母親の五十嵐菜摘が大阪で一人暮らしをする娘の五十嵐夏帆と電話で会話していると電話の向こうでただならぬ事態が発生する。
何者かに腹部を刺された美容研究家の五十嵐夏帆が大阪の三品病院に緊急搬送された。犯人は夏帆と別れた夫の八杉弘文と思われたが、事件を担当する大阪府警の刑事・成山有佳子の夏帆への聴取で否定される。懸命な -
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鏑木蓮『水葬』徳間文庫。
今年の1月に急逝した鏑木蓮によるサスペンス小説。
宮澤賢治の信奉者で岩手県好きの鏑木蓮らしく、本作にも宮澤賢治と盛岡が登場する。盛岡出身の自分は鏑木蓮の作品を読む度にニンマリしている。
さて、本作である。『水葬』というタイトルからして救いの無い結末が容易に連想出来る。婚約者の女性が失踪した男性の行方を自ら探すというストーリーなのだが、散りばめられた伏線をかき集めれば、その謎も見えて来る。そういう点では少し物足りなさを感じる作品だった。
初井希美は婚約者の千住光一と自分の母親と父親代わりの伯父と面会するために待ち合せをしていたが、光一は時間を過ぎても現れること -
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鏑木蓮の連作ミステリ作品『思い出探偵』を読みました。
ここのところ国内の作家のミステリ作品が続いています。
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もう一度会いたい人が、あなたにはいますか?
小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴…… そんな小さな手がかりから、依頼主の思い出に寄り添うようにして、捜しものを見つけ出していく“思い出探偵”。
京都御所を臨む地で「思い出探偵社」を開いた実相浩二郎は、息子を亡くし、妻がアルコールに溺れていくのを見かねて刑事を辞めたという過去を持つ。
思い出探偵社には、その誠実で温かい人柄にひかれるようにして、元看護師の一ノ瀬由美、役者志望のアルバイト本郷雄 -
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ブク友のNORAxxさんのレビューをみて、興味を持ち読んでみた。
非常に重厚な物語。ミステリーなんだけれども、描かれる人間ドラマの印象が強い。
私の無き祖父がシベリア抑留者だったので、より地続きで内容が心に迫ってくる。親も、私も直接抑留の話を祖父から聞くことができなかった。しかし、唯一、テレビドラマでシベリア抑留の話を再現していたのを一緒に見た時に、「こんなに綺麗な環境じゃなかった」とぼそっと、一言つぶやいたことを思い出す。
本書を読んで、改めてシベリア抑留のことを学んでみたいと思った。
ミステリーという形で、名もなき人物の視点から戦争の惨禍と人間の尊厳を描き切った力作。文学作品とも呼べるかと