鏑木蓮のレビュー一覧

  • 思い出探偵

    Posted by ブクログ

    心温まるストーリーでした。うまくいきすぎじゃない?!って思うところもあったけど、物語はこのぐらいスカッとしてもいいかもと思える作品でした。続編があったら読みたいです

    0
    2025年04月30日
  • 見えない階 心療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ2

    Posted by ブクログ

    鏑木蓮『見えない階 心療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ2』潮文庫。

    京都という古く落ち着いたしっとりした土地を舞台にした心療内科医が探偵役という異色のミステリーシリーズ第2弾。タイトルにある『階』は『きざはし』と読むようだ。

    患者を第一に考えながら、複雑に絡み合った糸を丹念に解きほぐすかのように難事件を解決に導いていく過程が面白い。スピーディなアクション、サスペンスも好みであるが、このくらいのゆっくりした調子のミステリーも面白いものだ。

    そして、素晴らしい結末。この世もまだまだ捨てたものではない。

    物語は『第一章 現在』と『第二章 過去』と『第三章 未来』の三つの章に加え、『プロローグ

    0
    2022年06月29日
  • 見えない鎖

    Posted by ブクログ

    9歳で母が家を出て行ってから、父子家庭ながら仲良く暮らしてきた有子。
    そんな最愛の父がある日突然殺され、犯人は自殺。
    父の上司の元刑事の中原と共に、事件を追う。

    家族の突然の死を経験した者としては、お腹もすかず葬儀の記憶も曖昧で、家の中の何を見ても涙が出てくる気持ちがよくわかる。
    何度も出てくる、料理の描写が美味しそうで、あたたかく「食」というのはやはり大切なんだなと感じた。 
    ただ最後まで母親には共感できなかった。

    0
    2020年09月03日
  • 沈黙の詩 京都思い出探偵ファイル

    Posted by ブクログ

    「思い出探偵」シリーズ、第三弾。
    今回は、じっくり書き込む長編。

    物語は、重く暗い、冬の海の轟きを思わせる。
    長年のパートナーとともに大きな居酒屋チェーンを築き上げた、高齢の女性。
    籍を入れようとしなかった彼女を、なさぬ仲の子供たちも慕っている。
    認知の症状が進んでしまったことを残念に思い、過去を思い出すことが脳の刺激になれば、弱ってしまった父共々元気になってくれるのではないか、と沈黙を守る継母の過去探しを依頼される。

    調査は、戦前戦後の過酷な人生を生き続けた「女の一生」を辿るにふさわしい、長い旅路だった。
    傍目には成功者と見える女性の、人に言えない過去の苦難と悲しみ、流転と贖罪の人生。

    0
    2018年06月20日
  • P・O・S──キャメルマート京洛病院店の四季

    Posted by ブクログ

    恐らくは他の方とは評価の基準が違うため 参考にはならないとは思いますが 私にとって この一冊が今年最高の一冊となりました。

    表面だけを見ていてもわからない人間の善意。
    日々を暮らす人の数だけ 異なる善意の形があることを この作品から知りました。

    「数値は嘘をつかない。でもそれは過去を示すものとしての正しさであり 大多数のニーズは拾えても ひとりひとりの思いに答えるものではない」

    自分が追い詰められてきた仕事のこととも重なり 大いに励まされた言葉です。

    支えながら支えられる。人を思いながら思われる。
    ここに登場するすべての人の心がつながり お互いに寄り添

    0
    2017年11月26日
  • 思い出探偵

    Posted by ブクログ

    元京都府警の刑事だった実相浩二郎は、京都御苑の近くに「思い出探偵社」を構える。
    依頼人の話を聞き、わずかな手がかりから思い出を探す仕事だ。

    62年前、梅田の闇市で助けてくれた少年にを想い続ける老女。

    43年前、集団就職で出てきて働いた会社がつらくて飛び出したときにコーヒーを飲ませ、諭してくれたお姉さんに、今の自分があることを知ってほしい。

    10年前の忌まわしい事件を乗り越えたい。

    7年前、自殺として処理された、浩二郎自身の息子の死の真相を突き止めたい。

    5日前、清涼寺の境内でなくした愛猫の思い出の品を拾ってくれた人にお礼を言いたい…

    独立した短編集ではなく、いくつもの事件は平行して

    0
    2017年11月03日
  • P・O・S──キャメルマート京洛病院店の四季

    Posted by ブクログ

    鏑木蓮『P・O・S キャメルマート京洛病院店の四季』ハヤカワ文庫。

    書き下ろし作品。正直に言えば、変わったタイトルに若干の不安を感じながらも、珍しく書店に取り寄せてもらい、読み始めたのだが、やはり鏑木蓮らしい良い作品だった。もしも、このタイトルで他の作家の作品だったら読まなかったに違いない。ミステリーの要素もあるハートウォーミングなコンビニ小説。

    コンビニのスーパーバイザーを務めていた主人公の小山田昌司は京都の病院内にあるコンビニの店長を任される。昌司は売上増を目指し、POSデータを活用するが、なかなか思い通りはいかないのが院内コンビニの宿命だった。院内コンビニに訪れる奇妙な客、奇妙な依頼

    0
    2017年06月15日
  • エンドロール

    Posted by ブクログ

    映画監督になる夢が挫折して、アパート管理人のバイトでただ日々を過ごす青年・門川。孤独死の老人の遺品の中に8ミリフィルムを発見し、その映像に惹かれた彼は老人の人生を辿る。
    現代社会の孤独死問題と、日本国家が犯した最大の過ちである戦争。一人の男性の人生を、全く縁のない青年が執念で追うという設定が見事だ。未来の自分自身を重ねた『孤独』という状況を徐々に打ち破る展開が巧みである。自分の人生は自分が主役だ。エンドロールには多くのキャストの名前が連なるが、最初は主役である自分の名前である。

    0
    2016年10月23日
  • 見えない鎖

    Posted by ブクログ

    警備員の父と、栄養士を目指す娘。
    二人の慎ましく穏やかな生活が、
    父が何者かに刺殺されたことで一変する。
    遺された娘は、
    周りの人たちに支えられ、
    自分の足で真相を探ろうとする。
    見えない鎖の繋がりが見えてきた時、
    切なさや やるせなさを飲み込む、
    静かな感動が、あった。
    ミステリーの謎解きにとどまらない。
    食への意識、人を信じきる強さ。
    大事なことを教わった気がする、一冊でした。

    0
    2016年05月14日
  • 思い出探偵

    Posted by ブクログ

    ほんのわずかな手がかりを紐解きながら思い出の人にたどり着く、今までありそうでなかったミステリ。たどり着くまでは、探偵目線で、最後は依頼者に感情移入できて、1話で2度おいしい。依頼内容に加えて、メンバのサイドストーリーもうまい具合に絡まっていて秀逸。もう一度読んで見たい。

    0
    2016年05月11日
  • 見えない鎖

    Posted by ブクログ

    大きな謎を引きずりながら、静かに、ゆっくりと進行していくミステリー。

    単に犯罪を描いたミステリーというよりも、人びとが背負う過去の連鎖をじっくりと描いた読み応えのあるドラマのようだった。

    神戸に父親と二人で暮らす女子短大生の生田有子が帰宅すると、警備員の父親が何者かに刺殺されたという連絡が入る。善良な父親は一体なぜ、何者に刺殺されたのか…有子は知らず知らずのうちに人びとの業の連鎖の渦に巻き込まれていく。

    鏑木蓮らしい、優しさと切なさにあふれた作品であり、ミステリーとしての面白さも、しっかりと兼ね備えている。

    0
    2016年04月15日
  • 転生

    Posted by ブクログ

    被害者は女性染織作家。以前の事件から20年、その間の生活から生まれてきたそれぞれの時間が今回の事件を呼び込んでしまう。なんて哀しいんだろう。それぞれが懸命に生きていただけなのに。違う道への分岐を選べなかった事を無念に感じる。この事件を乗り越えて少しでも心静かに過ごせる時が来ますように。

    0
    2015年11月23日
  • エンドロール

    Posted by ブクログ

    私のレビューはいつも語数が多く冗漫だ。
    しかし。今回は特別。

    これは凄い小説だ。

    人の死は
    それだけでとらえられてはいけないのだ。
    生きていることが そのまま死にゆくこと。

    主人公が、自分でも言葉にできない
    自分を行動に駆り立てる衝動の源泉を
    少しずつ少しずつ見つけてゆく。

    人の成長や成熟の過程を
    この作品で目の当たりにした。

    0
    2015年11月04日
  • 時限

    Posted by ブクログ

    ミステリーは苦手な人です。
    推理は大好きなのですが、私にとっての読書は
    あくまでも心のオアシスなので、殺伐とした
    シーンが言葉で表現されているのを読むのは
    辛いのです。
    ミステリーは映像として楽しむ方が
    気持ちにあっているのです。

    この作品はしかし。別格でした。すごい。

    かつて殺人事件の公訴時効までの15年は
    たくさんのミステリーで扱われてきたテーマ
    ですが、この作品にこめられた「生きる」こと
    の意味にリンクした事件解決に至る衝撃的な
    展開は予想もしませんでした。
    そうして心の中で喝采を贈りました。

    生きることの意味ではなく
    生きることそのものに既に意味がある。

    高藤警部のこの言葉が秀

    0
    2015年11月01日
  • 思い出探偵

    Posted by ブクログ

    どれほどの善意を
    他人に振り向けても
    だからといって幸せな日々を
    過ごすとは限らない。

    穏やかな日々を
    過ごしているように見えていても
    だからといって凄烈な過去を
    持たぬとは限らない。

    人のあたたかな思いが
    それだけで人を幸せにするとも限らず
    善意を振り向けたからといって
    必ずそれが報われるとは限らない。

    人の世のやりきれない矛盾が
    この本には詰め込まれている。

    なのに…どうしてこんなに安らぐのだろう。
    真実を伝えることも伝えないことも
    相手の心のためだけに選択する人たちが
    この探偵社にはいる。

    どの事案もすっきりとは片付かない。
    必ずどこかに翳りを残しながら終わる。
    探偵たちの人生

    0
    2015年10月07日
  • イーハトーブ探偵 ながれたりげにながれたり~賢治の推理手帳I~

    Posted by ブクログ

    宮沢賢治を探偵に見立て、宮沢賢治とその親友・藤原嘉藤治の活躍を描いた連作短編集である。時は大正、舞台はイーハトーブ…岩手県である。これまで鏑木蓮が描いて来た作品にはかなり高い確率で岩手県が登場するのだが、鏑木蓮の出身地は京都であり、非常に不思議に思っていた。ある時、鏑木蓮が宮沢賢治を信奉している事を知り、謎が氷解した。従って、この作品は鏑木蓮の本領が如何無く発揮されるものなのだろう。

    まるで宮沢賢治が目の前に居るかの如く、ワクワクするような短編ばかりである。我が郷土の誇る宮沢賢治が探偵として大活躍を繰り広げるのだから、たまらない。よほど宮沢賢治と岩手県を研究したのか、宮沢賢治の詩とストーリー

    0
    2014年07月30日
  • エンドロール

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白くて、一気に読んでしまいました
    一人で生まれ、
     多くの方と縁を作り、
      そして一人で旅立つ。
    自分の人生を人のせいにして
    毎日を過ごしていた若い門川が
    帯屋の死に関わったことで
    知らない間に変わっていく
    それは、自分だけが変わるのではなく
    関わっている周りの人たちとの関係も変わる
    そんな様子や
    戦争での記憶を背負って生きている
    老人たちの苦しみや後悔
    色々なことがギッシリと、
    でもゆるやかに映し出されている
    映画のような小説でした

    0
    2014年07月03日
  • エンドロール

    Posted by ブクログ

    久しぶりに「当たり」でした。
    人生の終末を映画のエンドロールに見立て、人生の価値を問い、孤独死と呼ばれる状況がその人の人生を反映している物では無いことを訴える。
    初めての著者の作品を読むというのはちょっとした冒険だけれど、これだけスッキリと自分の胸に入り込む作品を探り当てた時は祝杯をあげたい気分です。

    *本作品は「しらない町」を改題した物だそうです。

    0
    2014年06月17日
  • 東京ダモイ

    Posted by ブクログ

    シベリア抑留、俳句、自費出版、老人自活施設と
    団塊の世代以上の読書好き年配者を
    想定読者に据えたかのような骨太の社会派ミステリー。
    たぶんそんな意図はないんだろうけど。

    戦後の動乱期、ふとしたことから大罪を犯したが
    罪が露見せずに数十年が経ち、今では地位もある
    名誉もある自分がやるべき仕事もある身になり
    過去の過ちを隠すためにまた罪を重ねてしまうという作りは
    松本清張の名作、あるいは『飢餓海峡』のそれに近い。

    俳句をトリック解明のキーに据えた試みは
    物理トリックやアリバイなど理詰めの思考とは趣きが違っていて
    575の文字から情景を想像しながら考える面白さがあった。

    イルクーツクの俘虜収容

    0
    2014年05月24日
  • ねじれた過去 京都思い出探偵ファイル

    Posted by ブクログ

    立て続けに1作目から読んだが、さらに面白かった。真君にムチャ苛付いたが、最後にはなるようになって、ちょっとあっさりしすぎた?

    また、私の住んでる街が登場して、ほんま珍しい~

    私には調べて欲しい思い出はないなあ・・・

    0
    2014年03月09日