鏑木蓮のレビュー一覧
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ブク友のNORAxxさんのレビューをみて、興味を持ち読んでみた。
非常に重厚な物語。ミステリーなんだけれども、描かれる人間ドラマの印象が強い。
私の無き祖父がシベリア抑留者だったので、より地続きで内容が心に迫ってくる。親も、私も直接抑留の話を祖父から聞くことができなかった。しかし、唯一、テレビドラマでシベリア抑留の話を再現していたのを一緒に見た時に、「こんなに綺麗な環境じゃなかった」とぼそっと、一言つぶやいたことを思い出す。
本書を読んで、改めてシベリア抑留のことを学んでみたいと思った。
ミステリーという形で、名もなき人物の視点から戦争の惨禍と人間の尊厳を描き切った力作。文学作品とも呼べるかと思う。 -
Posted by ブクログ
鏑木蓮『残心』徳間文庫。
久し振りの鏑木蓮。老老介護をテーマにした社会派推理小説。
真犯人とその目的はというミステリーの王道のようなストーリー。しかし、真犯人の正体が二転三転する訳でもなく、冒頭で感じたままの結末だった。ならば、最初から真犯人の正体を明かしておいて、その理由を解明するという展開も面白かったのではなかろうか。
主人公の京都の地元情報誌記者・国吉冬美が岩手県花巻市石鳥谷町の出身というのは鏑木蓮らしい設定だ。
漫画家を目指して岩手県花巻市石鳥谷町から京都の大学に入学した国吉冬美は漫画家になる夢はなかなか叶わず、知人の紹介で京都の地元情報誌の記者となる。
ある時、冬美が尊敬するルポライターの杉作舜一が次回作のテーマとなる老老介護の取材で京都に来ていることを知る。冬美もよく知る医師の三雲が杉作に取材先として、とある老夫婦を紹介したのだった。老夫婦の家で取材を終え、ホテルに戻った杉作は帰り際に認知症の妻を介護する夫の言葉が気になり、再び老夫婦の家に向かうと妻は絞殺され、夫は首吊り自殺を図っていた。
杉作の取材に協力することになった冬美は哀しい真実を知ることに……
本体価格750円
★★★★ -
Posted by ブクログ
ガツンとくる物が読みたくなり手に取った一冊。
過去にソ連の捕虜となりシベリアに抑留された経験を持つ高津は、それを風化させまいと一冊の句集を自費出版しようとする。
試みが実現するその前に、あるロシア人の女性が近くの埠頭で遺体となって発見された。その後高津は行方不明となってしまう。
残された出版担当者槙野は守銭奴の鬼上司に尻を叩かれ大口顧客である高津の行方を追う。可哀想な彼にエールを送りたくなるのは自然の理かろうて...ズズッ…( ՞灬ة旦)
この単純な殺人事件は後に謎が深く複雑に絡み、多くの人間と時空を繋ぐ因縁の物語へと発展して行く。
句集で語られる彼の人生は壮絶だ。
彼ら兵士達はソ連兵の管理課に置かれたとしても「ダモイ(帰郷)」出来る事を信じて疑わなかった。だが、彼等の乗る貨車はシベリアに向かっていた。国は彼等をソ連の労働資源の提供ではなく、奴隷にでも使ってくれと見放した様なものだ。ダモイなど、有り得なかったのだ。過酷な労働と残酷な命のやり取りに額の皺は刻まれるばかりだった。
年月を経て、ある日の中尉殺害事件をきっかけにダモイが叶う事となる。娯楽の俳句を通じて出会った4人の仲間達との友情を心に留め、高津は日本に帰還した。
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60年前を綴る名も無き一兵士の句集
その中で語られた未解決の中尉殺害事件。
そして現代で起きたロシア人女性殺人事件と繋がりを見せるシベリア抑留兵士達の影。
この因果が全て繋がった時、高津の目的と志しが明らかとなり、そしてその瞬間私の心は震え上がり腕には鳥肌が浮かんでいた。
武士だ、もののふだ、SAMURAIだ。
今なら迷わず土産屋に置いてある「侍」の文字がプリントされたTシャツを購入するだろう。
「剣を抜かずに勝つ」
無駄な血を流さず、相手の刀を汚さないことが尊ばれる。彼は最後まで刀を抜かなかったのだ。
420ページにもなる作品に加えて、句集の中で数々の俳句が出てくる。心得の粒子もない私は調べ調べの読書となった。
にも関わらず、付け焼刃の知識と付属する解説により意味を知れば知るほど高津の句集の深みが身に染み渡る様で驚く程夢中になった。あっという間に読み終えてしまった。
しかもただの句集ではない、ミステリなのだ。犯人の情報が隠されているのだ。唆るであろう(含)
私のツルツルの脳では俳句から犯人を特定する事は 勿論 できなかったが、余裕があれば是非隠された真実と繋がりを探し出してみてほしい。
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この作品を手に取り感じた、現実でも起こったであろう壮絶なる兵士の物語がこの世に確実に存在している事。そしてそれを決して風化させるべきではない事を、しっかりと胸に留めておきたいと思いました。
面白かった。 -
Posted by ブクログ
大手コンビニ「キャメルマート」の病院内の店長として単身赴任した小山田。
売り上げの数字がすべてだというコンビニ本部の意向に逆らい、
病院という特殊な場所にあるコンビニの役割とは何かを考え、
患者や医師、そこで働く人々に寄り添い、イベントや新商品の開発に奔走する───
#さびしいサッカーボール
事故で片足をなくして大好きなサッカーをあきらめなくてはならなくなった海斗12歳。
アンプティサッカー(病気や事故で手足を切断した選手が、松葉杖をついてプレーする)の選手と出会い…
「片脚を失くしただけで、両脚を失くした気になるな!」
リハビリで、たった一歩しか進めないなんて悲観しないでほしい。
その一歩がどれだけ大きいことであるかと陽気に語る選手。
絶望の淵から這い上がり、努力し続ける人の言葉は何より重い。
#にがい猫缶
(このお話は、個人的にかなりキツかった…)
どうしても高級な猫缶が欲しいと訴える、認知症の老婦人の悲しい記憶。
何十年経っても消えない後悔と、悲しく深い傷。
戦時中は、軍用犬やお国のためにと飼っていた馬はもちろん犬や猫までが供出させられたという。
戦争は人間ばかりが犠牲になるわけではない。
動物たちは、何もわからないまま、愚かな人間の犠牲になる。
#熱きおまけ
かつて戦隊もののヒーローだった俳優が余命宣告を受けた。
誰か一人でも多くの人に勇気を与えたいと、その最後の命の炎を燃やす。
おぼろげに覚えている「ライダースナック」
サクサクとしてほんのり甘く、やさしい味だったような…。
舞台が病院ということもあって、テーマは重かったです。
でも、不思議と温かな気持ちで読み終えることができました。
※タイトルの「P・O・S」とは、ポイント・オブ・セールシステム。
物品販売の売り上げ実績を、単品単位で集計できるシステムのこと。