鏑木蓮のレビュー一覧
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終戦間際に実際に存在した、馬鹿馬鹿しいほどの作戦。その一つ「人間機雷」を題材にしたドラマ。
老人の孤独死と誰も引き取らない「遺品」から、確かに生きていた証を探っていくうちに、終戦間際に特攻作戦の実験中に起こった事故にたどり着く。
戦闘機によるいわゆる「特攻」、人間ロケット弾「桜花」、人間魚雷「回天」など、有名なもの以外にも、信じられないほど冷静さを失った作戦が実際に計画されていた。
同じ敗戦国のドイツと比べても、実に幼稚な「負け方」で、当時の政治レベルの低さが伺える。
でも、笑えないよ。
今でも「日本人がコロナに強いのは、民度が高いから」なんて、堂々と発言する政治家に、同じ匂いがするのに、それを許しているのは、国民である自覚が無いのも、当時と同じ。
物語は、短い中に沢山のテーマを盛りすぎで、やや残念でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ緻密に淡々と、これぞまさしく
刑事捜査の描写なのだと思った。
その捜査も片岡真子のひらめき抜きでは
成立しなかったわけで、そこが唯一の
フィクションなのだとすら感じた。
ここに描かれた犯人像も、伏線となる
カップ麺のイナゴ混入画像の捏造と拡散も
すべてがノンフィクションであるとしか
思えない…そんな世の中になってしまったのだ。
事実は小説より奇なりというが…確かに
もはや事実を超えるほどの奇想天外を
小説には求められないのだろう。
今の世にない奇想天外…もしかしたらそれは
「穏やかな日々」「幸せに生涯を全うする夫婦」
「大切な人を心から愛おしく思う恋人たち」
…そんなものなのかもしれない。
そう思うと背筋に悪寒が走る。。 -
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ネタバレ東京ダモイ/鏑木蓮:第52回大賞受賞。2006年。
シベリア抑留だというから読んでみた。シベリア抑留の時の中尉殺人事件が現代の殺人事件を呼ぶのだ。ヒントは、元シベリア抑留者の高津が自費出版しようとした句集。
シベリア抑留のことはとても調べてる。何故かシベリアのことは語らない経験者が多いので、こういう本は必要だと思う。で、その部分はやはり心を打たれる。
だのに★が4つなのは、自費出版会社の男女とか、刑事とかいまいちなんだよなぁ。推理は俳句に詳しくないもんで、そんなもんかなぁと思ったり。
ちなみに「ダモイ」とは、ロシア語で「帰郷」のこと。抑留者は「トーキョーダモイ」と言われてたのに、シベリアに連れてかれたのだ。 -
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ネタバレ病院のコンビニに求められるサービスは、他と違うのか。
キャメルマートのスーパーバイザー小山田昌司はその手腕を買われて京洛病院に入っている系列のコンビニの店長となる。前店長の経営方針を疑い、POSによる徹底管理を信条とする昌司が京洛病院の日々で気付いたことは。
お仕事モノだが、ポイントは病院の中のコンビニであること。そこの常連客は病院関係者、売れるものは何だろう、と考えるところから始まった。突然の入院で必要なものが売れるのじゃないか、怪我で入院して暇な人がいるから雑誌とかはどうだろう、それくらいしか考えられなかった。しかし、話は色々な方向に転がり、コンビニや病院の常識からいったん離れてみるような、そんな売れ筋商品のストーリーが展開されていく。経営目線で読んでも面白いかもしれない。
悪役かと思ったスーパーバイザーの平や霧島先生にも信念があり、それを知れば憎めない。とにかく悪役がいないのも読後感がよい。別に遠くからアドバイスを送って大活躍するわけでもない奥さんと息子も、なかなかの距離感で、どうして登場したのかと思いつつ、やはりいないと味わいが足りないだろう。
なんとなく、モデルの病院というか、ここなら合致するのではと思う病院がありますが、どうだろう。 -
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作家デビュー10周年記念出版、幻のデビュー作から最近のものまでを厳選した10作品。
怨憎会苦:黒い鶴/ライカの証言
愛別離苦:大切なひと/雲へ歩む/魚の時間
求不得苦:京都ねこカフェ推理日記/あめっこ
五蘊盛苦:誓い/水の泡~死を受け入れるまで~/花はこころ
幻のデビュー作#黒い鶴をはじめ、愛別離苦の三作、
お能の舞台の裏側と、世阿弥の「風姿花伝」の新しい解釈など、全部面白かった。
帯の「純文学ミステリー」に納得です。
一番好きだったのは、#京都ねこカフェ推理日記
慢性的にネコちゃん足りない病の私ですが、猫カフェには行きたくないのです。
でも、このカフェに限っては行ってみたいなぁ
お店に入ったら、奥の母屋からその家の飼い猫ちゃんが顔出ししてくれるような雰囲気で…
みろく、ブッチー、カータン、ぶこつ…
お客さんの心を理解し、反応する賢さ!
仕草がたまらなく可愛い♪。
猫好きだからというのもありますが、これ、シリーズ化して欲しいです。
いつか読みたいと思っていた『白砂』のスピンオフとのこと。
あぁ、読みたい本がありすぎて、追いつかない…。 -
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知らずに読み始めたけど、どうやら「見えない鎖」の続編
らしい。文庫化した時にタイトルが変更になっており、モヤモヤしたまま、最後まで読んでしまった。
前作の内容は全く覚えてなく、いきなり主人公の大橋砂生の流産シーンから始まり、意味不明だったけど、話が進むに連れ、事件の真相、冒頭の流産シーンがタイトルに繋がっていくことが分かり、納得。
不動産会社の社長の妻が自宅の階段から転落死し、その真相に迫ると言う派手さのない事件の中にいろんなメッセージが詰まっていて、奥深さを感じていただけに、ラストの落とし所が残念。
最後の最後に「見えない鎖」の内容を思い出した…
文庫買ってしまったよ〜 -
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ネタバレ鏑木連氏の刑事ものは久々な気がします。率直な感想としては……悪くはなかったのですが、過去の刑事ものに比べるとやや物足りなさを感じてしまいました。
主人公は流産を経験した女刑事という設定ですが、この設定が本作の展開に効果的に作用しているという印象が薄かったのがその要因でしょうか。母親を失った瑠美と、お互い喪失したものを補い合う関係を強めるための要素だったのかもですが、流産という設定がなくても成り立ったのではないかと思ってしまったので……
過去作と比較するなら、被害者やその他登場人物にさほど感情移入できなかったことが、物足りなさの要因に挙げられるかもしれません。「白砂」「時限」などは被害者に強く同情したのですが、本作の真鍋父娘には同情できる部分もありますが自分勝手さの方を強く感じました。
とはいえ、大橋刑事の出来る女感溢れる振る舞いや無駄に声の大きい望月くん、そして娘との関係や会社の状況に悩む真鍋社長など、キャラクターは生き生きとしていて「物語を紡ぐためのただの駒」という感がないのは流石に思います。次回の刑事ものに期待したいです。