あらすじ
猛暑が続く京都市内で、女性の絞殺体が発見された。被害者は藍染作家・由良美津子、39歳。彼女の首には藍の染料が付いていた。同じ頃、別の殺人事件で指名手配されていた男が北九州市で逮捕される。犯人の佐伯は20年前に婦女暴行を重ね、美津子はその被害者のひとりだった。果たして2つの事件に関連はあるのか。京都府警捜査一課の女性準キャリア刑事・大橋砂生は、美津子の周辺で目撃されていた怪しい男を追跡するが……。
※本書は二〇一四年十月に小社より刊行された単行本『殺意の産声』を改題の上、文庫化したものが底本です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
被害者は女性染織作家。以前の事件から20年、その間の生活から生まれてきたそれぞれの時間が今回の事件を呼び込んでしまう。なんて哀しいんだろう。それぞれが懸命に生きていただけなのに。違う道への分岐を選べなかった事を無念に感じる。この事件を乗り越えて少しでも心静かに過ごせる時が来ますように。
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美津子さんを殺害した人は序盤の方で気づいた。しかしその理由は終盤までわからなかった。いざその理由をわかると切ない気持ちに襲われる。そんな一冊。
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京都府警捜査一課の準キャリア刑事・大橋砂生を主人公にしたミステリー小説。鏑木蓮らしくミステリーだけでは終わらずに驚きと感涙の結末が用意されている。
京都市内で発見された染織作家・由良美津子の扼殺死体。犯人と目されたのは別な殺人事件で逮捕された20年前の婦女暴行犯・佐伯だった。自らも人生の岐路に立たされた大橋砂生は事件を解決出来るのか…
こうした表の物語が進行する中、秘かに展開して行くナミエとツバサの物語…果して…ゆっくりと交わって行く二つの物語…
『殺意の産声』の改題、文庫化作品。
Posted by ブクログ
妊娠が発覚し困惑する、敢えて女性らしい服装の三十三歳の警部と、長身でスーツ姿の畏まった新人刑事の女性コンビが殺人事件を追い、夜の店で働く京都弁のナミエが養子であると気付いた恋人に代わり彼の実母を辿る。藍の染織の深みが綺麗。育てられない出産と母性が印象深い。全編通し落ち着いた語り口。婦女暴行が難しい。