太田愛のレビュー一覧
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冤罪に狂わされた一家の話。被害者だった筈の兄弟がそれぞれ違う形で追い詰められて行く様はただただ悲しかった。せめて石段の悲劇がなければ一家の未来も違っただろうに。冤罪だけでなくとことん不運だったのが物悲しい。
司法の在り方は難しいと常々思う。作中でも言及された「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ」。これも立場によって得心の行く行かないは変わるだろう。犯人が野放しになっている社会も嫌だし、冤罪で裁かれる社会も嫌だ。最近は街中の監視カメラだけでなく、一般人のドラレコなんかもあるおかげで捜査の精度が上がっているらしい。一方で無人販売が成り立たなくなっているという話も聞く。一人一人が高い倫理観や良心、道徳的観念を持ち、決して犯罪に走らない精神を持つ社会が理想だが、そうできないのならより一層管理された監視社会もやむ無しなのだろうかと思わざるを得ない。恥知らずな人間にはなりたくないと思った -
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理不尽な現実のなかで、「生きること」に向き合おうとする4人の切実な姿に強く惹きつけられ、「どうかうまくいってほしい」と祈るような気持ちで読み進めた。どこか『蟹工船』を思わせる“非正規労働者”の過酷さが描かれるなか、玄羽さんとの“夏休み”の描写から続く展開があまりにも切ない。
4人が立ち上がった動機と、それ以外の登場人物の視点も丁寧に描かれていることで物語に深い奥行きが生まれ、一層引き込まれた。
特に印象的だったのは、個を押し潰し、無を強要する社会の生々しい冷酷さに諦めかけていた若者たちが、前を向き闘いを決意していく姿。太田先生が彼らに注ぐ眼差しはどこまでも温かく、熱く、そして強い期待に満ちている。 -
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シリーズ第2弾。
前作『犯罪者』は、著者のデビュー作らしい熱量でいろいろな社会問題が盛り込まれた大作だったけど、本作はシンプルに法曹界の構造欠陥と冤罪に焦点を絞って展開されていた。尺に関しては、個人的にはこのくらいの方が好みかも。長すぎず短すぎず。
お馴染みのトリオである相馬、鑓水、修司の3人がそれぞれの強みを活かして大活躍。強大な組織に果敢に挑むその様は、今回も痛快だったが、事件の根底にある真相は何とも切ない出来事が絡んでいた。
本作のテーマの一つと思われる冤罪には、ホント考えさせられる。身に覚えのない犯罪に人生を狂わせられる理不尽さ。本人だけではなく、その家族にも影響が及び、やるせない気持ちになった。
少年時代の一夏の思い出と、時を経て明かされる残酷な真実。少年たちの無邪気な生活が暗転していく過程を思うと何とも辛い。
太田先生ならではの骨太な社会派ミステリで、読み応えの充分な作品。スリル満点の緊張感と、切なさが残るラストシーンが印象的だった。 -
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情景が文章からダイナミックに伝わってくる。
まさに目の前で起きていることを俯瞰して覗き込んでいる印象を強く受けた作品です。
開いてすぐに登場人物の説明。
普段は先入観持ちたくないので、誰が演じてるとか事前情報はなるべく入れない主義ですが、今回は上下巻ということもあり想像しやすいよう、プライムビデオのキャストを見てから読み始め。
主要人物の修司、相馬、鑓水が脳内で演技していることを容易に想像できるくらい、私の中ではキャストはドンピシャでした。次が気になって文章をひたすらに追い、一度読むと読む手を止められなくなる、そんな上巻でした。
感想とは関係なく
私はこの本を初版で購入したことを覚えていて、ただ、当時は本を読むことに重きを置かず、積読から押し入れに、そして引っ越しを機に手放してしまった。
あの日の自分の行動に後悔‥。
でも映像化されることを知ってまた手に取った自分。数年の時を経て、作品に触れられた自分。
あの日の行動は許してあげよう!プライムビデオさん再読のきっかけをくれてありがとうございます! -
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audibleで。ストーリーが面白くて、次々起こる出来事に引っ張っていかれる感じ。
交通課の相馬は23年前の夏の短い間、共に過ごした幼馴染の兄弟のことをとてもよく覚えていた。その兄弟の母親が、興信所の鑓水のところに息子のナオを探して欲しいと300万の前金を置いて姿を消した。鑓水と、バイトの修司は母親の素性から探るが、彼女の夫が冤罪で服役し、出所後死亡していることを知る。
一方、相馬は、少女誘拐の現場に残されていた印が、23年前、幼馴染の兄弟の兄の方、ナオが失踪した場所に残されていた印と同じだと気づき、調べ始める。そして鑓水が引き受けた案件のことを知る。二つの印は因果関係があるのか?
少年ナオの苦しく切ない人生と、子どもを思いながらも、どうすることもできなかった母親の悲しみが辛くなる。
どうしようもない権力を傘にきた警察の横暴と、己を振り返りもしない傲慢さに気分が悪くなった。全ては、冤罪から始まったと言うのに、、、、
権力を振るう側と、振るわれる側の人生の対比が酷い。冤罪は他人事じゃない、報道が全てではない、と思うと、信じられるものがとても少ない世の中だな。
いつか、ナオが相馬と笑いあえる日が来て欲しいと願わずにはいられない。
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大手会社の不祥事に、1社員中迫が立ち向かうのはとても勇気がいることだし難しいとおもう。
また、メルトフェイス症候群を患った子の親が、中迫と会った時に御礼を言ったシーンがあったが本来なら、自分なら御礼どころか文句を言うだろうなと感じた。 中迫のおかげで全貌が明かされたにしても、隠蔽に加担しようとしていた事には変わりなく。なにより、我が子は、顔半分が餓死しているので治る事はない。
そのなかで、明るみにしてくれた事で公になったありがたみはあっても、御礼はいえない。
なんか、社会の縮図みたいな作品。
強者は、よほどの証拠がない限り起訴されないし、弱者は辛い思いをしながら勝訴を勝ち取る難しさ。 勝訴をかちととしても、子供の体は帰ってこない理不尽さ。