太田愛のレビュー一覧

  • 天上の葦 下

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    老人は、渋谷のスクランブル交差点の真ん中で空をふり仰ぎ、蒼穹の1点を指差して絶命した。
    その衝撃的な場面から始まる上巻は、それでもいつもの3人の快活な動きや会話で、クスッと笑えるような楽しさも含まれた。
    けれど下巻で真相が明らかになるにつれ、それは読み進めるのも耐え難いほど、過酷な地獄があった。
    戦争とは、お国の為と戦い抜いた尊い命を奪い、残された家族の命も奪い、そして奪わなければならない立場の人たちの心を奪った。
    今まで生きた70年近くの人生を全て捨ててでも、立ち上がらなければならなかった老人たち。
    その時代を真摯に生き抜いた人たちの壮絶な覚悟がそこにはあった。
    凄すぎて心が震えた。人はなん

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    2025年06月14日
  • 犯罪者 下

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    なんと複雑なストーリー!こういう事だと思っていたことが覆されるし、ここで良心の人になるのか?!とか期待しても変わらずクズだったり、それを見越しての作戦だったり。全然うまく行かない計画だったと見せかけて、結果は目論見通りだったところとかお見事です!一件落着かと思いきや、まだ残りページがあるから、これで終わりませんよねぇ?と思いながら読めるのは紙の本の良いところですね!
    読む手が止まらなかった!

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    2025年06月11日
  • 犯罪者 上

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    何がどう繋がっていくんだ??と全然わからないまま読み進めた。だんだんと概要が繋がっていくと、もう読むのを止められない!1つ1つの事柄が深く描かれていて、色々お調べになったり取材されたりして書かれたのかなぁと思った。

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    2025年06月11日
  • 天上の葦 下

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    やっぱり、このシリーズは面白かったです。
    途中の過去シーンは、ズーンと来るけど、その時代があったということは忘れちゃいけないと。
    ドラマをひとつ見終えたような満足感でした。

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    2025年06月10日
  • 未明の砦

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    ネタバレ

    面白いと評判の太田愛さんの作品。初めて手に取ったのだけど、とても面白かった。
    とても分厚く、非正規や労組などといった内容で読めるか不安だったけれど、思っていた以上に読みやすかった。

    いきなり警察に逮捕されそうになる矢上達。
    何をした罪で?と思って読み進めると、まさかの共謀罪。
    非正規で雇われ夢も希望もなく、日々生きるだけで精一杯の若者が周りの老人達から知識を与えてもらい現状に疑問を覚え、法律に則って労組を作って労働者の権利を行使しようとした事が逮捕に繋がるなんて!

    どのキャラクターも魅力的で、一気に読んでしまった。
    別の本も読んでみたいと思う。

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    2025年06月10日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    トゥーレがずっとヤヤトゥーレで、アフリカの話か? 全然違った、社会風刺強めのダーク・ファンタジー。ある町に蔓延る感情を、被差別者(羽虫たち)がそれぞれの立場から情緒たっぷりに描く。失われた記憶を追い求めた者、変革を試みて死んだ者、使命のために出て行く者がおり、最後には町全体が崩壊に至る。語り口は皆生き生きとしているのに、ぽつぽつと灯る希望の光が容赦なく消え失せていく展開は絶望そのもの。狂人と見做された女はひっそりと息絶え、母は自分の死と引き換えに息子の尊厳を守り、全てを見てきた魔術師は死者と会話する。戦争や人の悪意で多くの移民が死に、生き残った者がその業を背負う、そんな構図が常にある。

    トゥ

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    2025年06月09日
  • 天上の葦 下

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    1作目も2作目も凄かったけど、3作目が一番面白かった…!
    スケールが大き過ぎて、「全貌が全く見えない…謎が深まるばかり、面白い…」が上巻、下巻途中から「なるほど、繋がった!!」と興奮しながら一気読み!お陰で睡眠不足です…
    太平洋戦争の描写が丹念で(参考文献の量がすごかった)、気持ちを揺さぶられるので、心が健やかな時に読むのをお勧めします。

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    2025年05月21日
  • 未明の砦

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    大手自動車会社の製造ラインで働く非正規の若い4人の男性。劣悪な労働環境を当たり前のように受け入れて日々を生きてきた。そんな彼らが共謀罪の疑いで逮捕されようとしている。何があったの⁈と引き込まれ読み進めたら、労働者を低コストに抑えることに余念のない大企業と、それに都合良く法律を作っていく政治、それに従った報道をするマスコミの姿が展開される。
    ボリュームのある本だけど視点が変わりハラハラしながら読み進められました。無関心でいること、おかしい思っても黙っていることは、権力を握っている側にとても都合が良いことなのだと思い知らされました。

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    2025年05月17日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    今年も面白かった〜。お気に入りは、似鳥鶏「名探偵名前が適当」と宮内悠介「最後のひと仕事」。どちらも読み応え抜群!
    「どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう」は東川篤哉楽して良き。

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    2025年04月30日
  • 犯罪者 上

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    サスペンスの神といってもいい!
    またしても、引き込まれてしまった。
    長編作品なので、読んでいて疲れるかなぁと思いきや、面白すぎてワクワク半端ない。
    やっと、真相掴んできた!
    謎解きと宝探しの冒険感覚で上巻読完。
    下巻も二転三転すること楽しみ!

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    2025年04月21日
  • 天上の葦 上

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    太田愛さん。渋谷のスクランブル交差点で老人が白昼亡くなり、それがテレビ中継された。鑓水のもとにその老人が最後に指差したものは何かと
    いう依頼が舞い込む。また相馬は失踪した公安刑事の捜査を任される。その刑事は最後に母親のいる施設に来ており、そこは渋谷で死亡した老人のいた施設だった。鑓水と相馬と修司は捜査を進める。
    上下巻で長いが一気に読んでしまった。老人のエピソードから鑓水のエピソードまで描写されており、登場人物の背景がしっかりしているのでとても共感できる。言論統制を軸にエンタメ感を損なうことなく書いてありとても考えさせられる本でもあった。三部作と聞いているのでこれが最後なのか、まだまだ読みたい

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    2025年04月17日
  • 犯罪者 上

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    読むのに時間がかかってしまったけど、読み進める度にどんどん続きが気になって仕方なかった。
    下巻でどんな結末が待っているのか楽しみ。

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    2025年04月01日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    推しの太田愛が書いていたので買った本。300ページほどなのに1200円+税。高え!
    6人の作家の書き下ろしミステリー、半分は読んだことがない。楽しみだ。
    まずは太田愛から。うーんいつもと違う。お嬢さまだのなんだのセレブなお屋敷舞台のミステリー。好みではない。
    東川、逸木、宮内の作は面白かった。
    アンソロジーは次に読む本の入り口になる。

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    2025年04月01日
  • 犯罪者 上

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    太田愛さんの作品を今回初めて読みましたがとにかく素晴らしい
    ストーリーもテンポ良く登場人物も魅力的
    一番好きな作家さんになりました

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    2025年03月25日
  • 未明の砦

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    サスペンス小説としてページを捲る手が止まらないだけでなく、労働とは?規則、法律とは何か?、そして現代社会での生き方を考えさせられる一冊。

    後半につれての怒涛の展開、膨大な下調べが支える社会課題の記述、ささやかな希望を感じるラスト、全てが素晴らしかった。
    現代の日本人が読むべき一冊。

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    2025年03月22日
  • 未明の砦

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    久々の読書、そして久々の骨太な社会派小説。さすが太田愛。

    労働とは、規則とは。それを当たり前のように受け入れてしまう恐ろしさと、それに気づかせる考えや振る舞いがとても良く表現されていたと思う。
    後半は山崎豊子を思い出させるような書きっぷりで、今の政治や社会に物申す内容にもなっていたと思う。

    ストーリーの流れや結末もスッとするもので、とても勉強になる小説だった。

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    2025年03月22日
  • 未明の砦

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    骨太の社会派ミステリーだった。

    悩ましいテーマを扱ってるだけに
    希望が持てる終わり方だったのが救いと感じた。

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    2025年03月20日
  • 天上の葦 上

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    鑓水シリーズの3作目。鑓水が主役。
    分厚いけど相変わらず一気に読める。
    修司が鑓水に金がないんじゃないかと心配しているのが面白いし、しかも伏線なのは流石。

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    2025年03月09日
  • 未明の砦

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    面白かった。期間工の仕事はかなりきついって聞きますよね。ストライキでいえば競馬の件を思い出しました。

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    2025年02月24日
  • 天上の葦 上

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    おじいさんが渋谷のスクランブル交差点で空を指さして死んだ。この好奇心を煽る謎から始まる過去に繋がる深い話がおもしろい。次々とページをめくる手が止まらない。三部作のうちの「犯罪者」、「幻夏」を既読した上で私は、自分の中の何かを隠すようなおちゃらけた鑓水に惹かれていたのだけども、ついに彼に焦点が当てられ霧が少しずつ晴れていく感じがものすごくわくわくさせられる。この物語の着地点も今の鑓水を作り上げてきたものも書かれるであろう下巻が楽しみだ。

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    2025年02月16日