太田愛のレビュー一覧

  • 未明の砦

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    非正規として自動車メーカーの工場で働く四人の若者。寮から離れて過ごした夏休みが、彼らを“使い捨て”の駒から、尊厳と個性を持った逞しい大人に成長させる。
    特攻隊のチョコレートの行に、忘れてはいけない痛みを感じた。未来の日本から、過労死を産み出す構造が消えてほしいと願う。
    ネトフリでドラマ化してほしいな。

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    2025年07月16日
  • 最初の星は最後の家のようだ

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    ネタバレ

    やっぱり天才。
    最初の2篇はストーリーというよりは構成でうならされる。
    十月の子供たち、は、昔の戦争の話だと思って読んでいると、小道具から現代の話とわかる。
    戦争が昔のことでなく、まぎれもなく"今"のことだと思い知らされる。

    サイレンでは、時間軸に混乱させられつつ読み進めていくと、現在にたどり着く。
    環境が、周りが変わっていく中で、自我の中での自分はなぜか変わらない。
    同じ場所に留まり続けることでおぼえる無限ループ感。この世に根を張る、という事を「知っていく」ことと「知っているものが失われていく」ことを同等に描くことで、自分がいくら変わらないつもりでいても、否応なしに時間

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    2025年07月13日
  • 天上の葦 下

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    まさか戦争時代の話とリンクしていくなんて思わなかった!
    鑓水の出生の秘密が戦争と関係があったり。戦時中の理不尽さとか恐ろしさとかと読んでいて辛かった。
    現代の事件と戦時中の後悔が重なり合うお年寄りたちの連携プレイが良かった!
    寿命が尽きてしまい切なかったけど、やり切った感がある!
    相変わらずハラハラドキドキ!
    鑓水、修司、相馬の活躍をもっと読みたい!

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    2025年07月09日
  • 天上の葦 下

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    ネタバレ

    フィクションとしてもちろん面白かったですが、戦時中の話は読んでいて胸が苦しくなりました。そして、この3人のシリーズはどれを読んでも面白いです。

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    2025年07月02日
  • 天上の葦 下

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    ネタバレ

    相変わらず社会派ミステリーとして圧倒的な読み応えと面白さでした。

    報道の自由が奪われていき、弾を補充するように人の命が投入されては消えていった戦時の話の数々を通して、「今現在があの時にどんどん近づいていっていないか?」という警鐘を鳴らす作品。
    社会派作品としてのメッセージ性の強さや素晴らしさはもちろん、ストーリー展開もすごく良い。
    文量がかなりあるけれど、中盤から終盤にかけて頁をめくる手がどんどん早くなるし、止まらなくなる。太田愛先生の作品らしく今回もまるでドラマを見てる時のような、ハラハラドキドキを味わえました。
    やっぱり太田愛先生はすごまじい…『犯罪者』も『幻夏』も良かったけれどこちらの

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    2025年07月02日
  • 未明の砦

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    ネタバレ

    現代の社会構造への鋭い描写です。

    非正規労働者の声が届かない閉塞感
    大企業や権力と結びついた捜査機関の恣意性
    「共謀罪」が普通の労働者をターゲットにする怖さ

    これらがありうる現実として迫ってくるので、胸が締めつけられるような苦しさがあります。

    自分が非正規で搾取されていたら、声を上げられるだろうか?
    仲間と過ごした「砦」のような場所が、自分にはあるだろうか?

    生き方や価値観を揺さぶってくる作品で、でも温かさが残る。静かに力をくれる一冊と思いました。

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    2025年06月29日
  • 天上の葦 下

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    ネタバレ

    戦時中、国民総動員に向かうプロパガンダとして、新聞や放送などジャーナリズムが国家によって操作されていくことの恐ろしさをまざまざと感じた。
    結局、あの大戦はだれが向かわせ誰にとって有益なものだったのだろう。日本中を焼け野原にし数百万人を死に至らしめ、学ぶことも個人の意思もすべて取り上げられ、飢えや病が蔓延した時代。
    加害者も被害者も大きさの違いはあれど・・・
    真実を知りながらも公安という組織が日本中を統制し、声を上げられなかった人々はその罪を抱えながら戦後を生きていく。
    焼け野原に降り立ったのは米人だったが、もしアメリカがこなかったら日本はロシアか中国に支配されていたのだろうかと思うと、空恐ろし

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    2025年06月29日
  • 未明の砦

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    久しぶりに、読み応えのある内容だった。 
    それぞれの人物が丁寧に描かれていて、映像的だった。 
    希望を捨てないことが、人間としての何よりの強さだと思うが、これもまた日本人的、日本の歴史そのものだ。
    文中、「衰退途上国」の文字にしばし固まった。
    魚は頭から腐るの諺通り、組織は頭から腐る。
    日本ばかりではなく、先進国と言われてきた国々も腐り始めているように思う。

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    2025年06月28日
  • 未明の砦

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    ネタバレ

    今作も超大作なのに最高に面白い。
    最後まで読み終わると些細な要求なのに、ここまで叩き潰しにくるのか。陰謀論とかそこまで要求するのは図々しいとか、日本人が嫌がる理由でネチネチ攻撃され、それに対抗する4人がめっちゃかっこいい。
    「お前みたいに自分の目先しか考えないやつが
    上から下までわんさか増えたおかげで、今はな、ほとんどもう戦時中なんだよ!」
    この台詞がめっちゃ刺さった。これだけでもう元取れた。

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    2025年06月25日
  • 天上の葦 下

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    下巻は一気読み。
    満足度の高く、深い読後感をもたらしてくれた社会派ミステリー。戦時中の状況、登場人物の言動など描写が素晴らしく感情が揺さぶられる。凄い。

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    2025年06月23日
  • 未明の砦

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    とても感動的な物語でした。
    大きな組織に立ち向かって行く若者たちの直向きさや、力強さに勇気をもらいました。
    悲しい出来事を乗り越えて、友情を築き上げた彼らの強い絆が、周囲を動かしていったんだなぁと熱くなりました。

    一方で、こう言った現実は確かに自分の側に在るし、折り合いを付けながら、日々生きていくしかないのも事実。
    どこかで諦めに近いものを押し込めている人もたくさんいると思います。私もその一人。
    物語を通して、少しでも何か変わるきっかけを感じられたら良いかなと思いました。

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    2025年06月18日
  • 天上の葦 下

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    (備忘)シリーズ3作目。このシリーズは登場人物も魅力的ながら、序盤から終盤にかけて大きくなる話のスケールが段違いで、先が読めず怒涛の展開に驚かされてばかり。本作のテーマはメディア。情報はなんでも鵜呑みにせず自分で判断することが大事だと改めて思いました。
    それにしても、本シリーズの続編まだ出ないのかなあ。心待ちにしてます。

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    2025年06月15日
  • 未明の砦

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    ネタバレ

    面白いと評判の太田愛さんの作品。初めて手に取ったのだけど、とても面白かった。
    とても分厚く、非正規や労組などといった内容で読めるか不安だったけれど、思っていた以上に読みやすかった。

    いきなり警察に逮捕されそうになる矢上達。
    何をした罪で?と思って読み進めると、まさかの共謀罪。
    非正規で雇われ夢も希望もなく、日々生きるだけで精一杯の若者が周りの老人達から知識を与えてもらい現状に疑問を覚え、法律に則って労組を作って労働者の権利を行使しようとした事が逮捕に繋がるなんて!

    どのキャラクターも魅力的で、一気に読んでしまった。
    別の本も読んでみたいと思う。

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    2025年06月10日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    トゥーレがずっとヤヤトゥーレで、アフリカの話か? 全然違った、社会風刺強めのダーク・ファンタジー。ある町に蔓延る感情を、被差別者(羽虫たち)がそれぞれの立場から情緒たっぷりに描く。失われた記憶を追い求めた者、変革を試みて死んだ者、使命のために出て行く者がおり、最後には町全体が崩壊に至る。語り口は皆生き生きとしているのに、ぽつぽつと灯る希望の光が容赦なく消え失せていく展開は絶望そのもの。狂人と見做された女はひっそりと息絶え、母は自分の死と引き換えに息子の尊厳を守り、全てを見てきた魔術師は死者と会話する。戦争や人の悪意で多くの移民が死に、生き残った者がその業を背負う、そんな構図が常にある。

    トゥ

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    2025年06月09日
  • 未明の砦

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    大手自動車会社の製造ラインで働く非正規の若い4人の男性。劣悪な労働環境を当たり前のように受け入れて日々を生きてきた。そんな彼らが共謀罪の疑いで逮捕されようとしている。何があったの⁈と引き込まれ読み進めたら、労働者を低コストに抑えることに余念のない大企業と、それに都合良く法律を作っていく政治、それに従った報道をするマスコミの姿が展開される。
    ボリュームのある本だけど視点が変わりハラハラしながら読み進められました。無関心でいること、おかしい思っても黙っていることは、権力を握っている側にとても都合が良いことなのだと思い知らされました。

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    2025年05月17日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    今年も面白かった〜。お気に入りは、似鳥鶏「名探偵名前が適当」と宮内悠介「最後のひと仕事」。どちらも読み応え抜群!
    「どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう」は東川篤哉楽して良き。

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    2025年04月30日
  • 天上の葦 上

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    太田愛さん。渋谷のスクランブル交差点で老人が白昼亡くなり、それがテレビ中継された。鑓水のもとにその老人が最後に指差したものは何かと
    いう依頼が舞い込む。また相馬は失踪した公安刑事の捜査を任される。その刑事は最後に母親のいる施設に来ており、そこは渋谷で死亡した老人のいた施設だった。鑓水と相馬と修司は捜査を進める。
    上下巻で長いが一気に読んでしまった。老人のエピソードから鑓水のエピソードまで描写されており、登場人物の背景がしっかりしているのでとても共感できる。言論統制を軸にエンタメ感を損なうことなく書いてありとても考えさせられる本でもあった。三部作と聞いているのでこれが最後なのか、まだまだ読みたい

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    2025年04月17日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    推しの太田愛が書いていたので買った本。300ページほどなのに1200円+税。高え!
    6人の作家の書き下ろしミステリー、半分は読んだことがない。楽しみだ。
    まずは太田愛から。うーんいつもと違う。お嬢さまだのなんだのセレブなお屋敷舞台のミステリー。好みではない。
    東川、逸木、宮内の作は面白かった。
    アンソロジーは次に読む本の入り口になる。

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    2025年04月01日
  • 未明の砦

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    サスペンス小説としてページを捲る手が止まらないだけでなく、労働とは?規則、法律とは何か?、そして現代社会での生き方を考えさせられる一冊。

    後半につれての怒涛の展開、膨大な下調べが支える社会課題の記述、ささやかな希望を感じるラスト、全てが素晴らしかった。
    現代の日本人が読むべき一冊。

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    2025年03月22日
  • 未明の砦

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    久々の読書、そして久々の骨太な社会派小説。さすが太田愛。

    労働とは、規則とは。それを当たり前のように受け入れてしまう恐ろしさと、それに気づかせる考えや振る舞いがとても良く表現されていたと思う。
    後半は山崎豊子を思い出させるような書きっぷりで、今の政治や社会に物申す内容にもなっていたと思う。

    ストーリーの流れや結末もスッとするもので、とても勉強になる小説だった。

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    2025年03月22日