太田愛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
感想
日本の労働環境の悪さが学べる。会社にばかり有利な法改正で人は使い捨て。第二次世界大戦から変わってないな。
安く使われる日本の労働者の改善が進むといいなぁ。世界に比べると相対的貧困になってくるのも近い。
途中で労働史が挟まっててその部分は読むのに苦労した。
あらすじ
ユシマの工場で働いていた矢上、脇、秋山、泉原は警察に逮捕されそうになったが、その直前で火事を契機に逃げられる。
物語は4人がユシマで働き始めた時に遡る。4人が非正規で働いていた自動車工場の班長だった玄羽に夏休みに亡くなった妻の実家に誘われる。最初、4人は純粋に夏休みを楽しんでいた。
話は現在に戻り、4人の行方を追う -
Posted by ブクログ
「我々は住む家も、着る物も、食べる物さえない焼け跡から、歯を食いしばって立ち上がり、ようやっとここまできたのだ。」
奇跡の復興をとげた日本。東京オリンピックの開会式で.日の丸を掲げた選手たちが入場してきた姿を見て、体の底から湧き上がるような感動を覚えたと言う。
その感情は現代を生きる私たちには、一片を想像することはできても、到底及ばない想像でしかない。
この作品の根底にはその私たちが考え及ばない深い深い感情があるのだろう。
下巻でどのような結末に向かうのか。
究極の危機でありながら、飄々と乗り越えていく、お馴染みの3人にまた会えてとても楽しかった! -
Posted by ブクログ
手に汗握る逃走劇と緻密に張り巡らされた伏線に圧倒されました!
クライムノベルというジャンルを初めて聞きましたが、タイトル通り犯罪小説の意味だったみたいです(なお、本作は結構リアルな暴力表現や顔面崩壊の描写を含むので、苦手な方は避けた方が無難かもしれません。)。
犯人から命からがら逃れつつ、真相を探っていく、文字通り命懸けの展開が続くので、ジェットコースターに乗っているような気持ちで、終始心臓バクバクでした笑
何の関係もないような、様々な立場の登場人物達の独白が、一つの事件として繋がっていったところは、驚き、感服しました。伏線回収のとても上手い作者だと思います。
上下合わせるとかなりの文字数があ -
Posted by ブクログ
現実を写したような話だから、ハッピーエンドにはならないよなとドキドキしながら最後まで読んだ。現実を写した話だからこそ、ハッピーエンドにしなければいけないのだと気付かされた。
社会派の小説を読むのは好きだが、あまりにも啓蒙的な小説は好きではない。この小説もちょっとそんな感じかなと思ってたが、終わりに近づくにつれ、グイグイ引っ張られる感じで、そんなことは気にならなくなった。
逆に、感謝というのも変だが、この小説を書いてくれてありがとうと思った。
やられっぱなしではダメなのだ。
我慢ばかりでは何も変わらない。
戦わなくてはダメなのだ。
誰かがやってくれる、変えてくれるなんて甘い考えだ。
弱いもの同士 -
Posted by ブクログ
まるで寓話のような雰囲気の中、とても難しく、美しい世界に浸ることができました。
その教訓も峻厳なもので、人間がいかに易々と流されてしまうものか、集団がいかに残虐になりうるかを説いているような気がします。また、それに抗おうとする知性がどんな目に遭うのかも。
最後に超越した視座から俯瞰してくれるのが唯一の救い。
改めて作者は、なぜこの作品を世に出したのか、巻末に解説もついていますが自分なりに調べてみて、みなさんの感想も読みながらもっと納得したいなと思います。
──人の手でなしうる奇跡は、破壊だけだ。
見事なまでに痛烈な描写です。
そういえば『ザリガニの泣く頃に』にも空気が似てるなー。似