太田愛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ本放送当時はまだ発表されていなかった(筈)が
今では神戸尊卒業のseasonだと判っているので
『警察官としての神戸尊のアイデンティティ』だったり、その覚悟だったりが
映像で見るより文字で読むほうがよりくっきり浮かび上がっている気がした。
例えば1話目のラスト、神戸くんと大河内監察官とのワインバーの遣り取り。
放送時は単に腐女子心を擽る(爆)シーンに見えていたが
神戸くんが警察庁に戻った今となっては全く違う意味を持つように見えるから不思議だ。
そういうところがノベライズを読む醍醐味だと思うし、
今回はそれを思いっきり堪能させてもらったような気がする。
season9くらいから世相を映した重い話が増えている気がするのだが
今回それにあたっていたのが4話目の『ライフライン』だった。
放映時も思っていたのだが、結末が居たたまれなくて辛かった。
その前の第3話『晩夏』はちょっと毛色が違う話だった。
岸恵子さんゲストの回と似た雰囲気なのはやはり三田佳子さん効果か。
以前のノベライズ本の解説を書かれていた研ナオコさんがゲストの『ラスト・ソング』、
映画第1弾のスピンオフ的な『消えた女』が読めたのは嬉しかった。
本仮屋ユイカさんの解説も裏話的でちょっと得した気分。
この解説を読むまで及川光博さんの職業が王子だったことを忘れていたけど(笑)。
放送当時は見るのが辛かった回が多かったのだが
改めて文章で読んでみると感慨深い。
中巻下巻早いところ読みたいと思うし、
何よりも懸賞で当ててもらったseason10のブルーレイも見なきゃいかんと思った(爆)。 -
Posted by ブクログ
前編に続き、今まで読んだことのない感じの文体というか、とにかく描写が細やかで、とくに色味とか質感とか。1シーンなのに読み進めるほどにそのシーンの輪郭、色彩が豊かになって脳内再生されるのが自己体験として面白かった。
この雑談の描写にこんなにページ数いる?ってくらい長いシーンが多いんだけど、それらが重なり合って、きっとこの作品の登場人物のキャラクターのリアリティが出来上がっていくんだろうな。
3人の掛け合い大好きだし、真崎もすごく魅力的だった。
しかしホテルマンのどの言動も胸糞悪くて人間的にこういうやつ大嫌いってことは残しておこう。お前さえいなければな!! -
Posted by ブクログ
トリックや相棒の脚本を書かれている太田愛さんの作品。
まず、登場人物がしっかりキャラ立ちしているのが良い。主人公となる非正規工や会社関係、警察関係、記者、友人、親族、支援者など登場人物は決して少なくないが、それぞれが魅力的で、それぞれの立場になって気持ちを考えたくなる。
そして、想像しなくても情景を思い描かせてくれる表現。すごいなぁ。本を持つことも、読むこともできないけど続きが気になる、という時はAudibleで聞いた。耳で聞くと、読むのとは比較にならないほど多くの感情や情景が浮かんできた。映像ではなく朗読でこうなのだから、やはり筆者の作品は、読んで楽しく、映像で見たら倍の倍の倍で楽しいんだろうな。大体のケースは「やっぱり映像より本よね!」と思う派なのに不思議。特に笛ヶ浜での夏休みは音や匂いまで感じるようだった。まだ、薮下刑事が文庫で読み明かすシーン。こちらは歴史や法律、実際に起きた事件を盛り込み、本来ならかたーく難しい説明を交えた部分だが、そこにも4人の非正規工員の心の動きと刑事の心情が湧き出てて、まるで自分が文庫にいるような錯覚を覚えた。
と言いつつ、ドラマ化した犯罪者をまだ見れてません。が、いつか未明の砦もぜひドラマ化をお願いします。
PS 文庫のねえさんと脇くんに痺れました。 -
Posted by ブクログ
すごく冤罪について考えさせられた。一方で、少年たちが過ごした幸せな夏や母親と息子のやりとりなど温かい気持ちになる場面もあって、こんな夏いいよなって思ったりとても優しい息子じゃないかと思ったりもした。
冤罪についてニュースで流れていても正直ふーんという気持ちでしかみていなかったし日常で意識することもなかったが、こうやって冤罪をテーマにした物語を読むと、冤罪はやはり社会問題として取り上げるべきテーマであり、冤罪があるとその人だけでなく周りの人の人生の歯車も狂っていく。でも、ないことの証明が難しいように、やっていないことの証明って難しいよなぁと。
読んでよかったです。 -
Posted by ブクログ
犯罪者シリーズ第2弾です。
夏の間に読みたかったので、なんとか8月中に読めて良かったです。相馬の忘れられないある夏の思い出と友人の失踪事件が、現代の誘拐事件と絡み合うサスペンス小説でした。
相馬、修二、鑓水に再び会えて、もうそれだけで嬉しくてニマニマしてしまう。
そして、相変わらず、太田さんの作品はエンタメ性と社会性とのバランスが素晴らしい。
冤罪がテーマなのだが、冤罪がなかなかなくならないのは現行の法律がめちゃくちゃ冤罪を生みやすい仕組みになっているからであり、つまりは社会構造の話なんだよ、ということがよく分かった。
「日本の刑事訴訟法では、弁護側には捜査機関が保有する証拠の全面的な開示を求める権利が認められていない。つまり、捜査機関が集めた証拠のうち、どの証拠を開示するかは検察官が判断する」というのが衝撃的で。全然知らなかったです。
被告に有利な証拠を隠せば、アメリカでは法曹資格を剥奪されるのに、日本ではこんな冤罪作り放題じゃん…と思える法がまかり通っているなんて。
あえて、カタルシスを排したようなラストも良かった。
悪人たちは結局大したダメージなく終わる。そこに物足りなさがあるのだが、結局、社会構造が変わらなければこういう悪人たちがずっとのさばり続けるんだよ、と言われているような気持ちになった。