太田愛のレビュー一覧

  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    トゥーレがずっとヤヤトゥーレで、アフリカの話か? 全然違った、社会風刺強めのダーク・ファンタジー。ある町に蔓延る感情を、被差別者(羽虫たち)がそれぞれの立場から情緒たっぷりに描く。失われた記憶を追い求めた者、変革を試みて死んだ者、使命のために出て行く者がおり、最後には町全体が崩壊に至る。語り口は皆生き生きとしているのに、ぽつぽつと灯る希望の光が容赦なく消え失せていく展開は絶望そのもの。狂人と見做された女はひっそりと息絶え、母は自分の死と引き換えに息子の尊厳を守り、全てを見てきた魔術師は死者と会話する。戦争や人の悪意で多くの移民が死に、生き残った者がその業を背負う、そんな構図が常にある。

    トゥ

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    2025年06月09日
  • 未明の砦

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    大手自動車会社の製造ラインで働く非正規の若い4人の男性。劣悪な労働環境を当たり前のように受け入れて日々を生きてきた。そんな彼らが共謀罪の疑いで逮捕されようとしている。何があったの⁈と引き込まれ読み進めたら、労働者を低コストに抑えることに余念のない大企業と、それに都合良く法律を作っていく政治、それに従った報道をするマスコミの姿が展開される。
    ボリュームのある本だけど視点が変わりハラハラしながら読み進められました。無関心でいること、おかしい思っても黙っていることは、権力を握っている側にとても都合が良いことなのだと思い知らされました。

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    2025年05月17日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    今年も面白かった〜。お気に入りは、似鳥鶏「名探偵名前が適当」と宮内悠介「最後のひと仕事」。どちらも読み応え抜群!
    「どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう」は東川篤哉楽して良き。

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    2025年04月30日
  • 天上の葦 上

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    太田愛さん。渋谷のスクランブル交差点で老人が白昼亡くなり、それがテレビ中継された。鑓水のもとにその老人が最後に指差したものは何かと
    いう依頼が舞い込む。また相馬は失踪した公安刑事の捜査を任される。その刑事は最後に母親のいる施設に来ており、そこは渋谷で死亡した老人のいた施設だった。鑓水と相馬と修司は捜査を進める。
    上下巻で長いが一気に読んでしまった。老人のエピソードから鑓水のエピソードまで描写されており、登場人物の背景がしっかりしているのでとても共感できる。言論統制を軸にエンタメ感を損なうことなく書いてありとても考えさせられる本でもあった。三部作と聞いているのでこれが最後なのか、まだまだ読みたい

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    2025年04月17日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    推しの太田愛が書いていたので買った本。300ページほどなのに1200円+税。高え!
    6人の作家の書き下ろしミステリー、半分は読んだことがない。楽しみだ。
    まずは太田愛から。うーんいつもと違う。お嬢さまだのなんだのセレブなお屋敷舞台のミステリー。好みではない。
    東川、逸木、宮内の作は面白かった。
    アンソロジーは次に読む本の入り口になる。

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    2025年04月01日
  • 未明の砦

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    サスペンス小説としてページを捲る手が止まらないだけでなく、労働とは?規則、法律とは何か?、そして現代社会での生き方を考えさせられる一冊。

    後半につれての怒涛の展開、膨大な下調べが支える社会課題の記述、ささやかな希望を感じるラスト、全てが素晴らしかった。
    現代の日本人が読むべき一冊。

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    2025年03月22日
  • 天上の葦 上

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    鑓水シリーズの3作目。鑓水が主役。
    分厚いけど相変わらず一気に読める。
    修司が鑓水に金がないんじゃないかと心配しているのが面白いし、しかも伏線なのは流石。

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    2025年03月09日
  • 天上の葦 上

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    おじいさんが渋谷のスクランブル交差点で空を指さして死んだ。この好奇心を煽る謎から始まる過去に繋がる深い話がおもしろい。次々とページをめくる手が止まらない。三部作のうちの「犯罪者」、「幻夏」を既読した上で私は、自分の中の何かを隠すようなおちゃらけた鑓水に惹かれていたのだけども、ついに彼に焦点が当てられ霧が少しずつ晴れていく感じがものすごくわくわくさせられる。この物語の着地点も今の鑓水を作り上げてきたものも書かれるであろう下巻が楽しみだ。

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    2025年02月16日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    面白く、悲しい話でした。最初は??って内容だったけど、読み進めていくと紐解かれていった。ファンタジーな世界の話だけではなくて、現実世界をぎゅっと濃縮したそんな物語だと思う。

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    2025年02月01日
  • 天上の葦 上

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    ネタバレ

    10月10日土曜日、いつもと変わらないスクランブル交差点の中央で何も無い空を指さしながら死んでいく老人がいた。老人の名前は正光秀夫。その後、興信所を営んでいる鑓水と修司のもとに元与党の重鎮である磯部満忠の私設秘書、服部裕之が「1000万を支払うので正光が何を指したのかを調べろ」という依頼をされる。ほぼ同時に、警察官を停職中の相馬のもとに警視庁公安部の前島から部下の山波が行方不明になったので探せという命令を受ける。正光と山波を調べるうちに2人は繋がっており、正光は山波の逃亡を手助けしたのではないかという線が浮上する。3人は正光の旧友であると考えられる白狐を追って岡山県の離島、曳舟島へと向かう。

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    2025年01月04日
  • 犯罪者 下

    QM

    購入済み

    おもしろかったー!!あの人の真意とか、あの人の決意とか、あの人の最期とか、疑惑とか謎とか悪とか正義とか……あぁもう、ぐわぁー!ってなる。読んでいる間中、熱い塊を心臓にぐりぐり押しつけられているみたいだった。

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    2024年10月29日
  • 犯罪者 上

    QM

    購入済み

    物語がテンポ良く尚且つ謎が解けたら謎をよぶ先が気になる展開の連続で上だけでも素晴らしいエンタメ小説です

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    2024年10月29日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    どこかの街の物語、でもどこにでも起こってきたし、今も起こっているとても哀しい美しい物語でした。

    最後の部分で、「人がより良い世界を願い、それを実現しようとする時、そこには長く困難な歳月が横たわっている。(中略)細い水の流れが集まって小川となり、それが河となり、やがて力強い大河となってついには海に至るように、それが実現する時には かつて奇跡として願われたものは、あたかも自然とそうなるべくして成就されたかのように見える。」

    いまこうして暮らせているのは、百年以上前の人たちにとっては奇跡なんだろう。
    当たり前に思って感謝も忘れてる私たちをみたら、彼らはなんと思うだろう。
    でもきっと、アレンカやマ

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    2024年10月04日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    太田さんの他作品を知っていると、この小説はおや?いつもと様子が違うな?と思ってしまうのだけれど、これは架空のヨーロッパを舞台に現在過去未来この世の中にあった/あるだろう歴史の出来事を描いているな、とわかってくる。同じ町に住む4人の人物の視点で語られていくけれど、話が進むにつれてこの町と人と世界のありようがだんだんリアルに浮き上がってくる感じがすごかった。

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    2024年10月02日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    ネタバレ

    「これは過去でも未来でもない、今だ。
    目の前にあるのにあなたが見ようとしない現実だ。」

    設定はファンタジーだけれど、「ファンタジー小説」でもなく「幻想文学」でもなく、現代をあてこすった、まさに「風刺文学」で、読んでいてひたすらに切実で、耳の痛い、寒々と恐ろしい内容だった。太田愛が小説を通じて投げかけてくるのは常に、「考えることを放棄してはいけない」ということ。

    「戦争は結果にしか過ぎない。夥しい死は無数の人々の選択の結果、あるいは選択を放棄した結果、または、選択と思わずに同調した結果なのだ。」

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    2024年09月17日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    最初、現代日本が舞台じゃないのか…と敬遠していたが、読み始めると、さすが太田愛さんだ!ってなりました。オーディブルで先に『未明の砦』を聴いていて、それがちょっと合わなかったので、あまり社会派すぎるのも…と思っていたけど、多分『未明の砦』が合わなかったのは自分の問題に近すぎて、耳を塞ぎたい話題だったからかも知れない。民選が廃止されても、中央府に芸術や文化を統制されても声を上げなかった多くの人々と同じように。
    他の方のレビューに「一冊かけて道徳の授業をされた気分」という言葉があったが、確かに説教じみているところはある。しかし過去も未来にも、現在にも通じる話であり、この作品が鳴らす警鐘に耳を傾けるべ

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    2024年08月13日
  • 天上の葦 上

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    『犯罪者』『幻夏』に活躍した、鑓水・修司・相馬の3人がまたまた登場。
    渋谷のスクランブル交差点で空を指差して亡くなった正光秀雄。その意味を突き止めるため辿り着いた岡山の小さな島で上巻は終わりました。
    この3人が大好きなのと、太田さんの描くストーリーは本当に面白い。
    感想は下巻で。
    上巻から面白かったので下巻を読むのが楽しみすぎる。

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    2024年07月12日
  • 天上の葦 上

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    太田愛氏の魂を込めた大作。読み応えずっしりな社会派ミステリーが好きな人におすすめ。
    著者が伝えたいテーマは明確なのだが、ストーリーは極めて複雑である。上下巻2冊と思えないほど濃く、長く感じる。よくここまで書き広げて収拾するな、と感心してしまう。登場人物が多く男ばかりなので、誰が誰か分からなくならないように時間のある時に一気読みしていただきたい。
    ストーリーは、ある老人が渋谷のスクランブル交差点で天を指さして絶命した。その姿は誰に見せたくて、どういうメッセージがあったのか。その謎を解くべく依頼された探偵事務所のメンバーたちと、警察組織に使い倒される人々が、瀬戸内海の小島に導かれ物語が展開する。不

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    2024年06月24日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    巧みな状況設定のもと、一貫した理念のようなものが貫かれた素晴らしい作品だと思う。序盤は比較的静かに進行する物語も、中盤からレンジを広げジワジワとうねりを上げて迫る。架空の国、架空の町の出来事。だがそれは過去の、そしてすぐ先の日本の姿かも。差別が増幅し差別する側される側に二極化する社会。そして戦争へと向かい支配を強める国に対し、諦め抵抗もせず従順になる事の愚かさ、家族や仲間を失う事の哀しさ、戦争の愚かさを真っ直ぐ訴えかけるラストは見事と言うほかはない。こういう本を読む人々が増えれば、少しは社会も変わるかも。

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    2024年06月08日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    正直ファンタジーっぽいお話って苦手で、途中で無理かもと思ったけどこれはすごい!

    生まれがこの土地でない者を羽虫と呼ぶ
    そんな羽虫を母にもつ男の子
    褐色の肌を持つマリ
    人が吸って捨てた葉巻を集めてタバコを作り貧乏人に売る葉巻屋
    街の人に詐欺師と思われている魔術師

    この4人がそれぞれの目線で語ったとき、なぜか起こっていることが現代のリアルと共通する!

    初めてファンタジーっぽいお話でのめり込むほどおもしろいと思えました!これは好き!

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    2024年06月05日