太田愛のレビュー一覧
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ネタバレやっぱり天才。
最初の2篇はストーリーというよりは構成でうならされる。
十月の子供たち、は、昔の戦争の話だと思って読んでいると、小道具から現代の話とわかる。
戦争が昔のことでなく、まぎれもなく"今"のことだと思い知らされる。
サイレンでは、時間軸に混乱させられつつ読み進めていくと、現在にたどり着く。
環境が、周りが変わっていく中で、自我の中での自分はなぜか変わらない。
同じ場所に留まり続けることでおぼえる無限ループ感。この世に根を張る、という事を「知っていく」ことと「知っているものが失われていく」ことを同等に描くことで、自分がいくら変わらないつもりでいても、否応なしに時間 -
Posted by ブクログ
トゥーレがずっとヤヤトゥーレで、アフリカの話か? 全然違った、社会風刺強めのダーク・ファンタジー。ある町に蔓延る感情を、被差別者(羽虫たち)がそれぞれの立場から情緒たっぷりに描く。失われた記憶を追い求めた者、変革を試みて死んだ者、使命のために出て行く者がおり、最後には町全体が崩壊に至る。語り口は皆生き生きとしているのに、ぽつぽつと灯る希望の光が容赦なく消え失せていく展開は絶望そのもの。狂人と見做された女はひっそりと息絶え、母は自分の死と引き換えに息子の尊厳を守り、全てを見てきた魔術師は死者と会話する。戦争や人の悪意で多くの移民が死に、生き残った者がその業を背負う、そんな構図が常にある。
トゥ -
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太田愛さん。渋谷のスクランブル交差点で老人が白昼亡くなり、それがテレビ中継された。鑓水のもとにその老人が最後に指差したものは何かと
いう依頼が舞い込む。また相馬は失踪した公安刑事の捜査を任される。その刑事は最後に母親のいる施設に来ており、そこは渋谷で死亡した老人のいた施設だった。鑓水と相馬と修司は捜査を進める。
上下巻で長いが一気に読んでしまった。老人のエピソードから鑓水のエピソードまで描写されており、登場人物の背景がしっかりしているのでとても共感できる。言論統制を軸にエンタメ感を損なうことなく書いてありとても考えさせられる本でもあった。三部作と聞いているのでこれが最後なのか、まだまだ読みたい -
Posted by ブクログ
今年こそは読もうと決めていた作品。
長らく読みたいリストに入れていたままだったが、ようやく手に取れた。
白昼の駅前広場で起こった通り魔殺人事件。被害者5人のうち1人の少年が生き残ったが、彼は再び犯人に命を狙われる。なぜ、狙われるのか?彼は刑事とその友人と共に事件の真相を追う。
多々場面の切り替わりがあり、まるでドラマを見ているかのよう。
すごく読みやすいのに、社会問題が盛りだくさん、重厚な物語で読み応えバツグン。
事件の真相を追う3人に容赦なく迫る暗殺者の影、息もつかせぬ展開にドキドキハラハラしっぱなし。
全く関係のなさそうな出来事が読み進むにつれリンクしていく構成も、何気なく読んでいた -
Posted by ブクログ
ネタバレ10月10日土曜日、いつもと変わらないスクランブル交差点の中央で何も無い空を指さしながら死んでいく老人がいた。老人の名前は正光秀夫。その後、興信所を営んでいる鑓水と修司のもとに元与党の重鎮である磯部満忠の私設秘書、服部裕之が「1000万を支払うので正光が何を指したのかを調べろ」という依頼をされる。ほぼ同時に、警察官を停職中の相馬のもとに警視庁公安部の前島から部下の山波が行方不明になったので探せという命令を受ける。正光と山波を調べるうちに2人は繋がっており、正光は山波の逃亡を手助けしたのではないかという線が浮上する。3人は正光の旧友であると考えられる白狐を追って岡山県の離島、曳舟島へと向かう。
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購入済み
おもしろかったー!!あの人の真意とか、あの人の決意とか、あの人の最期とか、疑惑とか謎とか悪とか正義とか……あぁもう、ぐわぁー!ってなる。読んでいる間中、熱い塊を心臓にぐりぐり押しつけられているみたいだった。
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Posted by ブクログ
どこかの街の物語、でもどこにでも起こってきたし、今も起こっているとても哀しい美しい物語でした。
最後の部分で、「人がより良い世界を願い、それを実現しようとする時、そこには長く困難な歳月が横たわっている。(中略)細い水の流れが集まって小川となり、それが河となり、やがて力強い大河となってついには海に至るように、それが実現する時には かつて奇跡として願われたものは、あたかも自然とそうなるべくして成就されたかのように見える。」
いまこうして暮らせているのは、百年以上前の人たちにとっては奇跡なんだろう。
当たり前に思って感謝も忘れてる私たちをみたら、彼らはなんと思うだろう。
でもきっと、アレンカやマ