太田愛のレビュー一覧

  • 未明の砦

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    第26回大藪春彦賞受賞作! 希望と成長の社会派青春群像劇。

    その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった―

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    2025年02月05日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    面白く、悲しい話でした。最初は??って内容だったけど、読み進めていくと紐解かれていった。ファンタジーな世界の話だけではなくて、現実世界をぎゅっと濃縮したそんな物語だと思う。

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    2025年02月01日
  • 天上の葦 上

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    ネタバレ

    10月10日土曜日、いつもと変わらないスクランブル交差点の中央で何も無い空を指さしながら死んでいく老人がいた。老人の名前は正光秀夫。その後、興信所を営んでいる鑓水と修司のもとに元与党の重鎮である磯部満忠の私設秘書、服部裕之が「1000万を支払うので正光が何を指したのかを調べろ」という依頼をされる。ほぼ同時に、警察官を停職中の相馬のもとに警視庁公安部の前島から部下の山波が行方不明になったので探せという命令を受ける。正光と山波を調べるうちに2人は繋がっており、正光は山波の逃亡を手助けしたのではないかという線が浮上する。3人は正光の旧友であると考えられる白狐を追って岡山県の離島、曳舟島へと向かう。

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    2025年01月04日
  • 犯罪者 下

    QM

    購入済み

    おもしろかったー!!あの人の真意とか、あの人の決意とか、あの人の最期とか、疑惑とか謎とか悪とか正義とか……あぁもう、ぐわぁー!ってなる。読んでいる間中、熱い塊を心臓にぐりぐり押しつけられているみたいだった。

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    2024年10月29日
  • 犯罪者 上

    QM

    購入済み

    物語がテンポ良く尚且つ謎が解けたら謎をよぶ先が気になる展開の連続で上だけでも素晴らしいエンタメ小説です

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    2024年10月29日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    どこかの街の物語、でもどこにでも起こってきたし、今も起こっているとても哀しい美しい物語でした。

    最後の部分で、「人がより良い世界を願い、それを実現しようとする時、そこには長く困難な歳月が横たわっている。(中略)細い水の流れが集まって小川となり、それが河となり、やがて力強い大河となってついには海に至るように、それが実現する時には かつて奇跡として願われたものは、あたかも自然とそうなるべくして成就されたかのように見える。」

    いまこうして暮らせているのは、百年以上前の人たちにとっては奇跡なんだろう。
    当たり前に思って感謝も忘れてる私たちをみたら、彼らはなんと思うだろう。
    でもきっと、アレンカやマ

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    2024年10月04日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    太田さんの他作品を知っていると、この小説はおや?いつもと様子が違うな?と思ってしまうのだけれど、これは架空のヨーロッパを舞台に現在過去未来この世の中にあった/あるだろう歴史の出来事を描いているな、とわかってくる。同じ町に住む4人の人物の視点で語られていくけれど、話が進むにつれてこの町と人と世界のありようがだんだんリアルに浮き上がってくる感じがすごかった。

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    2024年10月02日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    ネタバレ

    「これは過去でも未来でもない、今だ。
    目の前にあるのにあなたが見ようとしない現実だ。」

    設定はファンタジーだけれど、「ファンタジー小説」でもなく「幻想文学」でもなく、現代をあてこすった、まさに「風刺文学」で、読んでいてひたすらに切実で、耳の痛い、寒々と恐ろしい内容だった。太田愛が小説を通じて投げかけてくるのは常に、「考えることを放棄してはいけない」ということ。

    「戦争は結果にしか過ぎない。夥しい死は無数の人々の選択の結果、あるいは選択を放棄した結果、または、選択と思わずに同調した結果なのだ。」

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    2024年09月17日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    最初、現代日本が舞台じゃないのか…と敬遠していたが、読み始めると、さすが太田愛さんだ!ってなりました。オーディブルで先に『未明の砦』を聴いていて、それがちょっと合わなかったので、あまり社会派すぎるのも…と思っていたけど、多分『未明の砦』が合わなかったのは自分の問題に近すぎて、耳を塞ぎたい話題だったからかも知れない。民選が廃止されても、中央府に芸術や文化を統制されても声を上げなかった多くの人々と同じように。
    他の方のレビューに「一冊かけて道徳の授業をされた気分」という言葉があったが、確かに説教じみているところはある。しかし過去も未来にも、現在にも通じる話であり、この作品が鳴らす警鐘に耳を傾けるべ

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    2024年08月13日
  • 未明の砦

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    これはすごかった。
    最後までずっとすごい。とても面白かった。
    どうにかこうにか映像化してほしい。
    国家権力、大企業の圧力、一国民の小ささ。

    派遣社員、期間工、正社員…いろんなくくりがあるけれど、そもそも法律の定義する社員と従業員、労働者との違いについては初めて知り、驚いてしまった。

    大手自動車会社ユシマの工場労働者の悲惨な労働体制を改善すべくどうにかこうにか奮闘する派遣、期間工の4人。
    構造的なしんどさが続く中、最後までどうなるんだと、気になってしょうがなかった。自分の知識の無さも実感できたし、社会派小説としてもただの小説としても万人におすすめ。
    登場人物は多いが頑張って読んでほしい。

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    2025年02月27日
  • 天上の葦 上

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    『犯罪者』『幻夏』に活躍した、鑓水・修司・相馬の3人がまたまた登場。
    渋谷のスクランブル交差点で空を指差して亡くなった正光秀雄。その意味を突き止めるため辿り着いた岡山の小さな島で上巻は終わりました。
    この3人が大好きなのと、太田さんの描くストーリーは本当に面白い。
    感想は下巻で。
    上巻から面白かったので下巻を読むのが楽しみすぎる。

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    2024年07月12日
  • 天上の葦 上

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    太田愛氏の魂を込めた大作。読み応えずっしりな社会派ミステリーが好きな人におすすめ。
    著者が伝えたいテーマは明確なのだが、ストーリーは極めて複雑である。上下巻2冊と思えないほど濃く、長く感じる。よくここまで書き広げて収拾するな、と感心してしまう。登場人物が多く男ばかりなので、誰が誰か分からなくならないように時間のある時に一気読みしていただきたい。
    ストーリーは、ある老人が渋谷のスクランブル交差点で天を指さして絶命した。その姿は誰に見せたくて、どういうメッセージがあったのか。その謎を解くべく依頼された探偵事務所のメンバーたちと、警察組織に使い倒される人々が、瀬戸内海の小島に導かれ物語が展開する。不

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    2024年06月24日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    巧みな状況設定のもと、一貫した理念のようなものが貫かれた素晴らしい作品だと思う。序盤は比較的静かに進行する物語も、中盤からレンジを広げジワジワとうねりを上げて迫る。架空の国、架空の町の出来事。だがそれは過去の、そしてすぐ先の日本の姿かも。差別が増幅し差別する側される側に二極化する社会。そして戦争へと向かい支配を強める国に対し、諦め抵抗もせず従順になる事の愚かさ、家族や仲間を失う事の哀しさ、戦争の愚かさを真っ直ぐ訴えかけるラストは見事と言うほかはない。こういう本を読む人々が増えれば、少しは社会も変わるかも。

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    2024年06月08日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    正直ファンタジーっぽいお話って苦手で、途中で無理かもと思ったけどこれはすごい!

    生まれがこの土地でない者を羽虫と呼ぶ
    そんな羽虫を母にもつ男の子
    褐色の肌を持つマリ
    人が吸って捨てた葉巻を集めてタバコを作り貧乏人に売る葉巻屋
    街の人に詐欺師と思われている魔術師

    この4人がそれぞれの目線で語ったとき、なぜか起こっていることが現代のリアルと共通する!

    初めてファンタジーっぽいお話でのめり込むほどおもしろいと思えました!これは好き!

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    2024年06月05日
  • 天上の葦 上

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    鑓水と修司、相馬の3人が活躍するこのシリーズ3作目。上下巻だし、内容はかなり重いものだろうし、覚悟して開いたけど読み始めれば序盤からぐいぐい引き込まれる。鑓水と修司、そして相馬にそれぞれ持ち込まれた2つの依頼を追っていくうちにそれらが少しずつ繋がりを見せていき、公安という危険な敵に追われながらも核心に迫っていく。修司と相馬が「今回の鑓水はいつもと違う」と心配するのがどこかで悪い方に進まないかソワソワするし、とにかくこの3人が無事でいてくれますように、と願いながら下巻へ。

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    2024年06月04日
  • 天上の葦 上

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    「犯罪者」、「幻夏」にも登場した個性豊かな3人の主人公が、日本中を注目させた、ある奇怪な出来事の謎を解明すべく、またまた大活躍する大作の上巻となります。

    今回の事件では、複数の公安警察官の動きがポイントとなっていますが、先の展開が知りたくてたまらず、「犯罪者」や「幻夏」と同様、ページをめくるのが止まりませんでした。

    そして、後半、物語の舞台はあるキーマンを探しに瀬戸内海のある小島に移るのですが、そのキーマンが誰なのか、必死に頭を回転して推理している自分がいました。
    島の住民はみんなが排他的であり、全員、怪しく思えてきますね。このあたりの人間描写が、著者は本当に上手ですね。

    東京のど真ん中

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    2024年05月26日
  • 天上の葦 上

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    とにかく素晴らしい。犯罪者、幻夏も素晴らしかったですが、本作も大変読み応えがあり一気読みでした。上下巻読み終わりましたので、さらなる感想は下巻の方に記載。

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    2024年04月16日
  • 天上の葦 上

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    『犯罪者』『幻夏』を読んですぐに購入。
    けれどこれだけの大作、ならびに大好きな三部作となれば読むタイミングも大事。少し寝かせてやっと読みました。

    期待どおり壮大で影の部分も織り込んで、まさに『犯罪者』と『幻夏』を足したような作品です。
    他の方のレビューほど、私は戦時下の話に中弛みせずに読めました。下巻が楽しみ。

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    2024年04月15日
  • 天上の葦 上

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    ネタバレ

    犯罪者、幻夏と読み進めてついに三作目の天上の葦。

    犯罪者・上とは打って変わって天上の葦・上を読み終えても謎が多すぎてまだまだ繋がらない部分ばかり。犯罪者・上ではドキドキが止まらず、ミステリー・サスペンス特有の楽しさが全面で下を手にしたが、今回は天上の葦・上を読み終えての感想は「?」。ここからどう転がっていくのか。とにかく上だけでも情報量が多くて一回整理しないと…という気持ちもあるがまずは下を手にしてみようと思う。
    そして全てがつながった時、再読したい。

    犯罪者では繁藤、幻夏では相馬。そして今回は鑓水のバックグラウンドにも触れていて、三作それぞれで登場人物を知れるのもまた良い。

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    2024年04月13日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    著者の「犯罪者」からの3部作は、ミステリ系の極上のエンタメだったが、これは作風が違う。
    異国情緒のある導入部で、ファンタジーなのか何か、最初の40ページほどは物語の全体像が見通せずとまどったが、一人の失踪発生後は物語に引き込まれた。
    ミステリ好き、ファンタジー好きとか関係なく多くの人に読んでほしい。
    登場人物一人ひとりの悲しみが伝わってきて、読んでいて切ない。でもそれだけの話ではない。読者に訴える言葉の力が強い。
    読み終えても長く心に残る物語です。

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    2024年04月04日