太田愛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「犯罪者」もそうだったが、いきなり事件解決!という訳にはならず、着実に事件を読みといていくという過程を隔ててのラストは読み終わった後に心にぐっとくるものがあった。
相馬の思い出のシーンでは、なんだか自分自身が経験したように映像が鮮やかに浮かび上がった。
すごい楽しかった幼少期の大切な思い出なんだなと思ったし、今の捜査のシーンに結びついてくるところはかなりじっくりと読んだ。
描かれていた記号の意味がわかった時は、なるほどと感動すらした。
ラストシーンでした相馬の行動も、なぜだか経験してないのに、尚と拓と3人でいた時のシーンが脳内に流れ、心に響いた。
尚と拓にとっても大事な思い出であって欲しい -
Posted by ブクログ
前作である犯罪者の印象が強く残っていたため、本作も迷わず手に取りました。人が犯した罪は正しく裁かれ、正しく償われるのかという問いが全体を通して重く響きます。物語は複雑に張り巡らされた伏線が次々と回収されていく構成で、何気ない違和感すらも後に意味を持って繋がっていく点が印象的でした。三人の登場人物がそれぞれの視点と能力で真相に迫っていく過程は読み応えがあり、互いの関係性も魅力的です。また司法の構造や冤罪の問題にも踏み込み、正義とは何かを考えさせられました。読後にはすぐに答えが出せない重さが残り、物語のテーマについて考え続けてしまう作品でした。天上の葦も読みたいと思います。
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Posted by ブクログ
物語はクマゼミが鳴く、陽射しの強い夏の日から始まる。でも、終始どこか冷たい氷のような張り詰めた空気に、読むこちらの心までが冴え渡るような、独特の緊張感が作品全体を貫いている。
作中、時系列が頻繁に切り替わるが、全く違和感なく、即座にその場面の空気や情景が浮かび上がってくる構成の妙は流石の一言。だからこそ、あの「黄金に輝いていた少年時代」の瑞々しさと、大人の理不尽によってそれが崩壊していく残酷さが、鮮烈なコントラストとなって胸に迫る。
ほんの少しのボタンのかけ違いによって生じてしまった父親との、あの悲しい再会。
その瞬間に、あの利発で母親思いだった男の子の未来は決定的に歪められてしまった。彼 -
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ネタバレ「人がよりよい世界を願い、それを実現しようとする時、そこには長く困難な歳月が横たわっている。
力を持つ者から迫害を受けることもあれば、今ある現実につき従う者から誹誘され、心を打ち据えられることもあるだろう。けれども、細い水の流れが集まって小川となり、それが河となり、やがて太く力強い大河となってついには海に至るように、それが実現する時には、かつて奇跡として願われたものは、あたかも自然とそうなるべくして成就したかのように見える。
人のなし得る奇跡、力ない者たちの奇跡とはそういうものなのだ。」
天上の葦以降の太田愛作品
これまでの社会派ものと違い、ファンタジー色のあるものかなと思っていたけど、 -
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再読です。前回は電子書籍、今回は文庫本。前回読んでから1年半、状況はますます悪化しています…
→前回の感想
解説のとおり恐るべき傑作だと思います。読み終わって茫然自失、溜息すら出ませんでした。久しぶりの太田さんでしたので大いに期待して手に取りましたが、冒頭いままでと全く異なるトーンに驚きました。それでも読み進めるにつれ根底はは同じと気付き、長い物語ですが一気に読まされました。感想や思いがたくさんありすぎて書ききれませんが、私は風刺というよりも反省のない人類への警告と読みました。ナチスドイツ、日本陸軍、そして極右勢力に牛耳られた今の日本と、人間は性悪で経験を生かすことも反省することもできない動 -
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冒頭警視庁の捜査員が、追っていた容疑者に逃げられる所から始まります。
どんな犯罪を犯したのだろうと思いながら、読んでいくと今度は追われる側の4人の若者が、捜査員に追われるまでの物語が展開されていきます。
自動車工場で過酷な環境下で働かれている非正規労働者の4人。彼らのことを知れば知るほど、応援せずにはいられなくなります。
そして彼らを支えてくれる人達も、魅力的な人達が多かった。
この本を読むことで、勉強になることも多かったです。現政権、警察、検察のやることに疑問を持つことが多い中、このタイミングでこの本に出会えて良かったです。
結構な分厚さに読むのに気後れしてしまうかもしれませんが、若い人や非 -
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北方謙三『水滸伝』を想起した。
非正規労働者、だけでなく、自分のことを「普通」と思い込んでいる我々弱者に光を灯す、まさに現代版『水滸伝』。そう断言して差し支えない。
著者の小説は本作が初めてだが、その生き様をこれでもかと登場人物の台詞から殴打されたような感覚。
最初の400ページはあまり物語が動かず、苦しい場面も多いことも相まって、こりゃ駄作かなぁと思っていた。失礼ながら早く作業的に読み終えて次の本に移りたかった。
ところが、である。400ページを過ぎると物語が急加速していく。
闘う者たちの魂の叫びとでも言うべきか。こちらの心を熱く捉えて放さない。水滸伝ばりの名言連発。
現実には勝たなきゃ意 -
Posted by ブクログ
⭐︎6 。
素晴らしい。最初何のテーマの話なのか分からないまま一気に引きこまれその勢いのまま最後までずっとおもしろかった。
600頁の物語は、自分もユシマの派遣労働者達を間近で見てるようなリアリティある気分にさせられる。
自動車期間工として働く派遣労働者達の過酷な環境、それを取り巻く経営側、繋がる政府、警察、、
現実でも契約社員と社員の待遇の差をうめるため同一賃金同一労働の声が上がったことを思い出した。社員の休暇日数を契約社員に合わせることで合意がされ不満の声が上がったが、そんなレベルではない奴隷のような働き方をしてる人達もいることを知り悲しくなった。
4人に人権や労働について教えてくれる、