太田愛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ディストピア小説。でも『大きな鳥にさらわれないよう』や『密やかな結晶』みたいな美しさとか抒情的な世界観を味わうディストピアでなく、もっと現実的で血なまぐさくて刺激的な方向性の恐さの(強い言葉でいえば悪趣味な)作品だった。
まぁ・・テレビドラマの脚本家さんだし。そういう恐さが真骨頂の作家さんなのかもしれないけれど。
最近出逢った若松英輔さんの文章の影響で、「静かで美しい言葉ほど、自然と悲しみがにじみ出てくるし記憶に残る」と思っており。そういう意味ではこの作品は、悲しみにひたったり自分の生き方を悔いたりする文学ではなく、シンプルに恐さを味わうためのエンタメだったなという読後感。(でも、若者にはこのくらいわかりやすいディストピアのほうが刺さるのかな。) -
Posted by ブクログ
ネタバレ天上の葦や犯罪者がとても面白かったので、期待して購入。労組潰しのために共謀罪を使う権力者の横暴という、他の作品と通底するテーマ。ただ、あれだけ団体交渉が進んでいて、ネットに副社長と団交した時の画像まで上がっているのに、全て無かったことにしようとするのは、現代の炎上の状況からして、権力者側としては、やや杜撰な戦法ではないかと感じた。また、矢上達が文庫の本で啓蒙されることが本作における重大な契機であるが、現実の矢上のような境遇にある人が同じ状況になったとしても、夏休みを満喫するだけで、おそらく文庫の本は読まないのではないかなと感じた。そういう意味で、少々野暮な感想ではあるが、リアリティに欠くなと感じた。
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Posted by ブクログ
ネタバレかなりのボリュームでかなりの大作!
これ働く人、選挙権のある人は皆読んだ方が良いのでは?と思うほど。
地元を支配下に置く大手自動車メーカーの非正規労働者の4人があることをきっかけに自分たちの世界に疑問を持ち闘いを挑むというお話。
いやね、もう病院も葬儀屋もあって警察もグルで地元民はみんなユシマの恩恵の上、生活が成り立ってるのならそら、声をあげるのも疑問に思うのも無理だよ。
読んでいて矢上たちを応援する気持ちが大半なんだけど、この国の在り方に、衰退途上国ということに愕然とした。
もー本当にクソだなという感じ。
言葉悪いけど。
こんなことが許されるのかとびっくりした。
でも本工、期間工、派遣工がひとつになってストライキを起こすところは泣いてしまった。
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Posted by ブクログ
太田愛さんの小説はいつも勉強になる!
企業についての法律とか全然知らないし、決まってると思ってることがただの経営者に都合いいルールとか、わたしやその他大勢みたいに知らない側は搾取されちゃうよなと改めて思った。
自分の責任だとか転職すればいいとか、もとから恵まれた環境の人は言うけど幼少期からの環境の悪さに想像がつかないわけで、この4人みたいな働き方で環境変えるのはだいぶ難しいとわかった。
今の時代に合わなくなった憲法を変えて時代に合うようにするんじゃなくて、理想に近づけるように努力して今を変えるのが大切。たしかに!変えようとすると上の人のいいように変えられちゃうよね〜。
天上の葦でも戦争は気付いたら始まってたとかいう話があったし、憲法改正についてとか、今回の選挙に関係してて怖くなってる。
相変わらずのハラハラドキドキで終盤とても楽しかった! -
Posted by ブクログ
ネタバレ私が今まで読んだ太田愛さんの作品は重厚で社会派、それとは全く違うタイプで、
太田愛さん初の短編集。
結論、やっぱり太田愛さんすごいな〜と、
うなってしまう独特な短編集でした✨
一、遊戯室 十月の子供たち
架空の国のファンタジーかと思って読んでいたら
全然違う、ある日突然ミサイルで幸福な日常が
奪われ、親を失う子どもたちの戦争の話だった。
自国が攻撃されている事をインターネットの報道で見る子供達、そして次の話題はどこかの国のスポーツの結果… 考えさせられる重い余韻。
二、中庭 サイレン
語り手を勘違いしてしまうトリックのような文章に
混乱(?_?)
2回読んですべて合点がいく。 家族の歴史が
団地という懐かしい風景とともに穏やかに描かれていたけれど、最後でまた(?_?)
三、舞踏室 夏を刈る 四、書斎 鯉
の2編はミステリー
これも懐かしい風景のような
横溝正史シリーズのような空気感で
少し恐ろしくもある。
半自伝的小説の
五、階段 給水塔 とエッセイ
読みながら
放課後、校庭で遊ぶ自分の姿を思い起こす
なんともノスタルジックな余韻に浸る作品でした。
そして、謎めいていて、
素敵なこの本の題名について考えを巡らせる。