太田愛のレビュー一覧

  • 未明の砦

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    ネタバレ

    今の日本が抱える問題に正面から斬り込んだ骨太な長編。

    理不尽な社会、労働環境を作ってきた大人たちが手を差しのべてこそ、人生を諦めたかのように生きる若者が志を持ち立ち上がることができる。
    若者に新たな世界を見せてくれた玄羽や文庫の姉さん(かっこよかった!)だけでなく、長いもの、組織に巻かれるように生きてきた大人たちが、社会を変えようとする若者に感情移入していく過程が心動かされました。
    (シチュエーションは違うけれど昔のハリウッド映画「スミス都へ行く」を思い出した)
    特に終盤の二転三転からの公安萩原の行動は、こんな世の中になってほしいという太田愛さんの願いでもあるのかなと。
    自分には何ができるの

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    2025年02月15日
  • 未明の砦

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    日本の労働問題てんこ盛り。
    ユシマってト◯タ?と思ったら参考文献に正解がありました。
    生きるためではなく働くために生かされてる奴隷のような闇があるのかと勉強になりました。
    政治家と警察の癒着、その腐った政治家への資金元であるユシマのような企業のトップ。
    小説だけの話じゃないんだろうなぁ…
    矢上達のような先陣を切ってくれるような若者がいれば、実はみんなが待ってるだけで社会は変わるのかもしれないですね。

    単行本で600ページ!さすがの太田愛さん。
    最後は明るくなる気持ちでウルッとしてしまいました。

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    2025年01月10日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    どこかの国のファンタジーの様なお話しですが、いえいえ、正に近い将来日本はこうなるというお話し。
    選挙なんて行っても何も変わらない。政治家がちゃんとやってくれるだろうし、自分達には関係ない。なんていう大人が読んでも理解出来ないでしょうが、そんな事をしていると自分の子どもや孫が戦争する事になるのです。そして、気付いたら日本が無くなっている。だから選挙に行きましょう。そういうお話しです。
    太田愛さんといえば、社会派!だけど、こちらはファンタジーっぽくなっていて、いつもと雰囲気が違うので、好き嫌いが分かれるかもしれないと思いました。

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    2024年11月13日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    身分差別される移民の子が登場し、ダークなメルヘンという感じで読み始めたけど、実は今のまま目の前のことだけを見て生きていたら、こんなダークな未来がやってくるって寓話のよう。「法律や制度、教育の変更なんて自分には関係ない。偉い人達が上手くやってくれる」って思ってたらいつかそれらに縛られて、自分も大切な人も守られなくなる。今、正にそんな未来に向かっている。読み応えずっしり。

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    2024年10月14日
  • 天上の葦 上

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    上巻ではたった1週間くらいしか進んでいないのに、ものすごく濃厚。

    はじめは、「渋谷スクランブル交差点で天を指差して亡くなったおじいさんは、何を指し示していたのか」というこの本のテーマに感情移入できず、読み進めるのがゆっくりだったが、太平洋戦争のくだりや、公安、興信所、メディアと政治の関係など物語が進んできたら面白く読めた。

    途中読み返さないといけないくらい、伏線が散りばめられているこの本を書ける太田さんがすごい。

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    2024年08月10日
  • 未明の砦

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    非正規雇用の歪んだ法律 オーディブルにて

    非正規雇用者を守るはずの3年ルールのグレーゾーンを利用して搾取している大企業を批判する小説

    非正規雇用を守るはずのルールのせいで、逆に3年経つ前に契約終了になるという日本のメチャクチャな労働法を、エンターテイメントの中で批判している

    帯も読まず、なんの前情報もなく読み始めたので、いつもの太田愛のミステリーかと思いきや、全然そんな話ではなかった

    いろいろ勉強になるエンターテイメントだった

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    2025年12月12日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    太田愛さんのファンで、手に取りました。
    良く練られた話で、思わずウルッとくる物語でした。人物像を肉付けして、長編で読みたい…。

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    2024年06月11日
  • 天上の葦 上

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    いつもの3人組。今回は鑓水の興信所に仇敵の磯辺から依頼が。究極のあっちむいてホイおじさんが、最期に見てた景色は、指差したものは何だったのか?
    相馬には公安から個人的な依頼が。失踪した山波を追いかけていたら、事件は思わぬ方向から鑓水達と繋がる。
    公安と報道がグルになって隠す真相とは何か?
    戦中から繋がる何かを追いかけて、瀬戸内まで向かう3人。
    今回は公安まで敵に回して、相変わらずの逃げまくり生活(笑)

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    2024年04月30日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    羽虫(移民)達がしいたげられる架空の街でおこったことを、4人の目線で語る。

    『レーエンデ物語』の一章かと思うようなお話。
    太田愛さんの鑓水シリーズとはガラリと違うものの、
    現状を楽な方へ選択していくとこうなっていくのだ、という『天上の葦』でのテーマを彷彿とさせた。
    最後は涙が出そうだった。

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    2024年04月27日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    太田愛さんの他作品と作風こそ違えど社会への警鐘という根本は一緒だと感じました

    舞台は始まりの町、1人の流れ者が町から姿を消すことから物語は始まる
    なぜいなくなったのか、消えなければいけない理由があったのか

    「この町は根が傷んでいるんだ、もうずっと以前から。深い所から腐っているのに、みんな気づかないふりをしてそれを認めようとしない。」

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    2024年04月10日
  • 天上の葦 上

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    老人はなぜ空を指して絶命したのか?
    公安警察の山波は何を知り、どこに逃げたのか?ふたつの事件の真相を巡って、今回も3人が活躍。追っては追われ、ハラハラドキドキ。
    戦争、政治、報道についても考えさせられた。下巻へ

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    2024年03月06日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    アンソロジー。
    ほんとは東川篤哉が読みたかったんだけど、他の作家さんも面白いねぇ。
    東川篤哉さんは星4つ。まさかの烏賊川市シリーズの番外編が読めて幸せでした。
    他の作家さんだと、逸木裕さん(いつきひろし かと思ったら いつきゆう だった)、太田愛さん、宮内悠介さんが面白かったです。特に太田さんのは星5つ付けたいくらい。他のも読んでみたいな。

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    2024年03月03日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    有り得ないほどに有り得るかのような物語
    悲しすぎて読むに耐えられない場面もあったが
    それも含めてこの世のどこかで起こりうる現実
    寓話的で引き込まれるストーリー展開は秀逸で
    読み手の視点で考えさせる手法がすごい

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    2024年02月21日
  • 天上の葦 上

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    渋谷の交差点で点を指差し絶命した老人、正光秀雄と瀬戸内海の曳舟島で暮らす老人たちの接点はどこにあるだろうか。
    鑓水・相馬・修司の3人がこの島でどんなことをするのだろう。島の人は穏やかで優しいイメージもあるけど、よそ者を受け入れない文化もあるから、鑓水たちはそこにうまく溶け込んでいけるのだろうか。

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    2024年02月19日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    手にしたことのない作家さんの作品が読めて、楽しみました。新たな作家さんとのであいに感謝ですね。
    このシリーズ、大好きなのでぜひ続けてほしい。

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    2024年02月13日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    テレビドラマの脚本を手がけ、「犯罪者」シリーズのノンストップエンターテイメントで唸らせてくれた太田愛さんによる、これまでの作品とは大きく変わった寓話小説。
    ただし、そこはさすがにこの作者。寓話の根底には、現代社会が抱える課題が描かれています。
    社会派エンターテイメントへと流れていく過程で書かれた作品なのでしょう。
    とっつきにくいけど、2回読むと、この小説のプロットが実に巧みであることに気付かされます。きっと。自分は一回しか読んでませんが(笑)

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    2024年01月13日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    2024-01-05
    こう来たか…ミステリかと読み始め、今とは異なる架空の街でのファンタジーかと思いきや、ガッツリイマココを寓意した風刺小説。
    この小説が炭鉱のカナリアでは無いことを祈るばかりです。嫌だから祈っただけじゃダメなんだってば。

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    2024年01月06日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    この小説の舞台となる国も時代も明らかではないが、その中央集権的な統治が進んでいくところは幾つかの実在の国を思い起こさせる。氏名や地名からは東欧のような感じも匂わせるが、いつの時代だかの日本のようなところもあるし、あるいはこれからの•••
    太田愛の痛快エンタメ作品とは趣きの異なる寓話のようなファンタジックな小説だが、独裁、腐敗、謀略、癒着といった闇の世界が見せて夢か現実がわからないような恐ろしい社会を描いた社会派空想小説といったところ。すでに発刊から数年を経ているが、今だからこそのリアリティーもあってスリリングな展開にドキドキした。政治に無関心だと今にこうなるよ、という警鐘が聞こえてくる。

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    2023年11月15日
  • 彼らは世界にはなればなれに立っている

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    これまで読んだ著者の作品のイメージとは、全く異にする小説なので、戸惑いながら読むことになった。
    序章から始まり、4章で構成され、トゥーリ、マリ、葉巻屋、魔術師と、それぞれ異なる語り手が話を始める。
    彼らの名前からはどこの国とも想像が付かず、彼らの住む町も「始まりの町」と呼ばれ、SFか寓話か、なんとも捉えきれなディストピアの世界が広がる。
    この世界では、中央府の印が入った推薦本一色となり、その他の本は認められず、地下出版した秘密の印刷所は警察に急襲され逮捕されるという。逮捕者は中央府の矯正施設に送られるなんて、まるで北朝鮮か中国を思い起こされるが、この日本でもいつかはあり得るか。
    政党間の憲法改

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    2023年11月06日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    ネタバレ

    2023.10.28
    このアンソロジーはいつも待ち遠しい。
    ただし、さいごの宮内悠介の作品は音楽をプレイしたり、レコーディングの意味を知っている人にはすぐに推察できるネタだとワタシは感じた。ネタバレではないと思いますが念のため。

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    2023年10月28日