御厨貴のレビュー一覧
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【すべての政治課題は等価におかれる。そして解決へむけて一斉に進んでいく。メディアはその断片を捉えながら安倍政治の実態に迫ろうとする。しかしなかなかその実態を把握しえない。なぜか。今やそのメディアも含めて、政治を論じるのではなく、政治を消費するからなのだ】(文中より引用)
実務の分野でも活躍する政治学者の御厨貴が、現在の政治から名編集者との邂逅に至るまでの幅広い分野について記した新聞記事や論考をまとめた作品。平成期に書かれた作品を取り集めることにより、俯瞰して読み進めると平成の政治史に関する輪郭が得られるような作りとなっています。
かちっとした政治評論はもちろん魅力的なのですが、個人的に読ん -
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掛けた歳月24年5カ月、総ページ数12,000ページ。87年に渡った昭和
天皇 の生涯を綴った『昭和天皇実録』の編纂が終了し、今上陛下に
奉呈された のが2014年9月。
そして、今年3月から一般刊行が始まった。早々に予約をしたのは
いいが、 全19巻を5年かけて刊行することを予約語に知って愕然とした。
それまで 何があっても生きていなくちゃ。
既に刊行された2巻は手元にあるのだが、未だ手を付けていない。
読もうと思った矢先に、本書が出版されたからだ。昭和天皇の
崩御後、関連の書籍が多く世に出たので時間のある限り読んだ
のだが、それでも知らないことが多い。
なので、『昭和天皇 -
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生い立ち、従軍、共産党東大細胞の思い出、政治記者として立ち会った権力闘争の修羅場、鳩山一郎、大野伴睦、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘、橋本龍太郎、村山富市、小沢一郎、小渕恵三ら為政者たちの横顔。読売新聞主筆による生々しい証言。(親本は2000年刊、2007年文庫化)
・まえがき
・第一章 恋と哲学と共産党
・第二章 新聞記者への道
・第三章 保守合同と岸政権の裏側
・第四章 六〇年安保と池田政権の核心
・第五章 ワシントン支局長時代と角福戦争の内幕
・第六章 田中角栄とその時代
・第七章 盟友・中曽根康弘
・第八章 平成の九宰相
・終 章 我が実践的ジャーナリズム論
渡邉恒雄は毀誉 -
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日本政治史におけるオーラルヒストリーの第一人者、御厨氏が大学の最終講義を6回に分けて行った様子を新書にまとめたもの。
それぞれのテーマに対しての御厨氏の講義→ゲストのコメント→御厨氏がコメントに対しての釈明と乱取りという流れの6回である。テーマは、オーラル・ヒストリー、公共政策、政治史、(首相官邸や最高裁判所などの)建築と政治、書評と時評、メディアと政治である。
いろいろな裏話、または考えを知ることができたが、特に官房長官だった後藤田氏の「菅直人は統治がわかっていない」という一文は削除してくれというところだった。表には出てこない、いろいろな人間が作り出した歴史を感じることができたような気が -
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オーラル・ヒストリーとして語られることの多い、政治の世界。その際、出来事が起こった現場の場所に関する詳細は、話し手の当事者には空気の如く思われていることが多く、口の端に上らないことも多いと言う。しかし、大きな決断や運命を左右する大きな出来事は、建物が持つ”場”によって規定されることが多いのも事実である。建物の構造がほんの少し違っただけで、その後の未来は大きく変わっていた可能性もあるのだ。本書は、そんな「建築と政治」の関係性に着目した希有な一冊である。
◆本書の目次
序 権力の館 事始め
マッカーサー GHQ跡第一生命感
1:権力の館
吉田茂 大磯御殿
吉田茂 -
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単行本化にあたり、「回顧録」ともっともらしいタイトルにはなっているが、インタビューの内容としては連載時の「政治記者一代記」のタイトルの方がしっくり来るし、何なら「大放談~ナベツネ大いに吠える~」でもいい位だ。ただ読み物としては面白い。
これで終わると中央公論を寝転みながら読んで終わり、となるが、流石に終章の「我が実践的ジャーナリズム論」と御厨教授の解説で話がまとまる。ロングインタビューが苦痛ならこの120ページ余りで十分だと思う。
本書はオーラルヒストリーという歴史研究の手段の一つだが、このインタビューの時点ではまだ試行錯誤の段階だからか、著者の押しの強さからか、「話し手と聞き手」の枠に収 -
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大久保利通日記、原敬日記、倉富勇三郎日記、『西園寺港と政局』、「木戸幸一日記」、「宇垣一成日記」、「富田メモ」など、政治家、軍人、官僚等の日記を中心に日本近現代史の史料四十数点をオムニバス的に紹介・解説。単なる史料ガイドではなく、執筆者陣の歴史研究者各自の〝泳法”とその〝読み”を披露している点が本書の特色だという。
紹介されているどの史料も直に読んだことはないが、名前くらいは知っている史料から存在を知らなかった史料まで、いろんな近現代日本政治史の一級史料を垣間見ることができ、とても興味深い一冊だった。日記の書きぶりから、その筆者たる政治家などの個性が浮かび上がってくるのが面白く感じた。 -
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1)コロナ渦が安倍政権を倒した。手をこまねき、全面的にコロナ対策をしなかった。マックス1年半しか見えない内閣だった。
2)菅の頭にあるのは延命だけ。コロナを使って政権をどう延命させようか考えているのが見えてしまっている。危機を乗り越えるために政治生命をかけるのではなく、危機を使って延命しようとしているので危機を乗り越えられない。思想、イデオロギーよりもウルトラリアリズム。現場最重視の中小企業経営者。国家は中小企業ではない。ものすごく良い虫の目を持っているが鳥の目がない。
3)吸い上げのリーダーシップ(マイクロマネージメント)、下放のマネージメント。危機管理の時は多少汚職があろうが、現場に任せる