御厨貴のレビュー一覧
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ネタバレ本当なら、全61巻、12000ページあるという「実録」そのものを読みたいところではありますが、さすがに躊躇してしまうので、とりあえず昭和史の研究家の何人かが語っているこの本で概略をつかんでおこうと思いました。
・そもそも「実録」を残すというのは、古代中国の皇帝が亡くなった時に編纂する伝統が生まれ、その後朝鮮やベトナムにも広がったものだそうで、それでも平安時代には世界中で途絶え、復活したのは「孝明天皇紀」。その後「明治天皇紀」が編纂され、今や日本にしか残っていない伝統とのこと。
・特に昭和天皇は、世界を相手に戦争を行った昭和という時代の帝であるということから、その時天皇はどう判断し、どう行動 -
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Posted by ブクログ
2014年に刊行された昭和天皇実録についての対談集。少年時代の遊びや叱られたこと、乃木希典への敬慕。欧州遊学。摂政として国の舵取り。熱河作戦の阻止失敗。2.26事件への対応と石原莞爾への不信。三国同盟と松岡洋右。開戦への気持ちの変化と軍部への不信。嘘の上奏ばかりで短波放送を聞いて情報を得る。終戦工作と陸軍への説得。大元帥と天皇と大天皇。マッカーサーとの信頼。沖縄基地問題。A級戦犯の靖国合祀問題。実録は後世への歴史責任を果たす為、かなり中立に抑制的に書いてある。また天皇の生の感情も抑制的に書いてある。六国史に連なる国紀が書かれていることの重要性。24年掛けた大作に感謝。
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政治史の御厨教授の最終講義6回分のまとめ。
政治史を、オーラルヒストリー、文献、建築など色々な角度から見ていること、メディアにもテレビや書評を通じて露出していることから、政治史そのものではなくそれぞれの切り口がどういうものかについて6回の講義を行っている。
オーラルヒストリーについては、西欧からの導入であるが、日本に広まって来た感があり、インタビュイーもこなれて来ている。が一方メディアの出方も多様になっているため真の姿を見極めるのはやはり難しいのかもしれない。御厨教授は元々は官僚を相手に戦後の高度成長を裏付ける政策に取り組んでいたが、近年はより政治家より担って来ている。
旧来のテレビ新聞といっ -
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日本政治史を専攻されている氏の最終講義をまとめた本。各回最初に御厨氏が、テーマについて語り、それへのリアクションをゲストスピーカーが語り、御厨氏がこれに対してコメントするという形式。
語り手の力量が、かなり問われる形式であると思われるが、語り手もゲストスピーカーもかなりの実力者であるので、かなり内容はしっかりしているし、面白い。個人的に興味深かった点は、公共政策のところで、ある政策をめぐり反対派と賛成派が激しくやり合うが、議論の場を離れると両者の仲が良いケースもあるというところである。このような状況からいかにして公共政策が実現するのか見てみたい気がした。 -
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本書は歴史上活躍した過去の多くの著名人の「日記」を取り上げた紹介書である。
普通は公開を前提としない個人的な「日記」が「発掘」されるということは、「歴史の再発見」につながる場合もあるし、日本の過去の歴史的出来事の「周辺事情」を深く探求することにもつながる。
本書は明治維新から、昭和後期までの多くの著名人の「日記」とその内容を紹介しているが、発見にドラマがあるものもあるし、その内容を読んで、それまで一般に語られていた人物のイメージが一変した場合もある。
そして何よりも、読むことにより、過ぎ去った日本のそれぞれの時代を立体的に鳥瞰するように見ることは、本書で言及しているように「ともかく歴史 -
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明治維新〜戦後までの政治家らの日記を取り上げ、解説している。
「大久保利通日記」から「富田メモ」まで、という副題にあるように日本近現代史の一級史料を取り上げて、それについて其々の項目の著者が詳しく解説を行っているため、非常に読みやすい。
有名所では「大久保利通」、「木戸孝允」、「原敬」らの日記が取り上げられている。
また、高校日本史では名前を聞いただけ、若しくは名前すらも出てこなかったような人物が、当時はこのような日々を過ごし、考えを持っていた(考えを文章に出さない人物もいたようだ)のは非常に興味深かった。
特に軍部台頭の時代の軍人の日記の項目からは、当時の軍部にもさまざまな考えの人物がいたの