御厨貴のレビュー一覧
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明治維新〜戦後までの政治家らの日記を取り上げ、解説している。
「大久保利通日記」から「富田メモ」まで、という副題にあるように日本近現代史の一級史料を取り上げて、それについて其々の項目の著者が詳しく解説を行っているため、非常に読みやすい。
有名所では「大久保利通」、「木戸孝允」、「原敬」らの日記が取り上げられている。
また、高校日本史では名前を聞いただけ、若しくは名前すらも出てこなかったような人物が、当時はこのような日々を過ごし、考えを持っていた(考えを文章に出さない人物もいたようだ)のは非常に興味深かった。
特に軍部台頭の時代の軍人の日記の項目からは、当時の軍部にもさまざまな考えの人物がいたのだな、という新たな事実を知ることもできた。
新書であるため、一級史料の全てを網羅できるわけではないが、本書に記載されている彼らの記録の一部を辿るだけでも、自分の知らなかった歴史を知ることができるため、非常にオススメできる一冊である。 -
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御厨貴、芹川洋一「令和政権論 今なぜ高市首相なのか」(日経プレミアシリーズ)
政治学者の御厨とジャーナリストの芹川が菅、岸田、石破、高市の各政権について対談している。菅についてはワクチン接種の行動力は評価するが全般的には官房長官の域を脱していなかった、岸田については徹底したリアリストで融通無碍、原発政策や安保政策の大転換も本人にイデオロギーが無いから上手く行ったのではと、石破については「対話ができない人物」で野党との無原則的な妥協が高市政権を呼び込んだという。高市政権自身についての記述は浅いが本書の元になった対談が総選挙直後なので、やむを得ないかもしれない。著者達の年齢もあるのか、高市政権が支持率を維持できている理由がもう少しピンときていないようだ。 -
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参謀総長の梅津が戦後も生き残り敗戦文書の署名もしたのに、なぜ陸相の阿南だけが直後に自決したのか長年よく理解できなかったのだが、クーデター計画を阿南が持ちかけ梅津は同調しなかったという経緯があったとは驚く。半藤も知っていて伏せていたかのような話しぶりでサラッと流されているが、本書を読んで一番の新発見だった。
どうも気になるのはこの対談・鼎談を読んでいると、日米開戦前の天皇は軍部と一人で直接対峙していたように見えてしまう。奈良や本庄ら侍従武官は登場するが、木戸や牧野ら宮中内臣の影響力が全く見えてこない。そのために天皇の態度の揺らぎが「どうお考えだったんでしょうかねぇ」といった個人の内面の迷いとして処理されてしまい、ブレーン達の意見の齟齬や事態の推移に従った彼らの保身も含めた軌道修正等、複雑な事実の蓄積として映らないのだ。
実録自体が本当にそんな書き方になっているのだろうか。大いに疑問であるがこの大著に挑戦する予定は今のところ無い。 -
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興味深く思った点を幾つか列挙。
・実録執筆者の中に“エース”(昭和史の核心を担う執筆者)を想定し、“エース”が昭和天皇の「天皇像」を明確にし、天皇に「プラスに働く材料」(p.128)がない箇所は、記述が少なくなったりするという保阪正康の指摘。
・「軍部にとって天皇とは、最高指揮官などではなく、神殿の壁のようなもの」(p.81)で、それは幕末の長州藩の藩主が“そうせい様”(報告さえすれば、「そうせい」としか言わず、自由に行動させてくれる)で、この長州藩が後の明治政府の担い手となったことで、この「神殿の壁」構造が引き継がれていったのだ、という磯田道史の指摘。
・戦中戦後を通じて、短波放送が昭和天皇にとっての重要な情報源だったという話。(p.253~)
・昭和天皇が、立憲君主である「天皇」、軍を統帥する「大元帥」のほかに、皇祖皇宗に連なる大祭司である「大天皇」という三つの顔を持っていて、開戦・終戦の時期において「天皇」と「大元帥」の間に生じる齟齬に悩む「大天皇」という図式の話(p.100)と、「国体」について軍部と意識が違っていたという話(p.231)。ページは飛んでいるがこの話は一つながりのものと思う。「大天皇」であるところに昭和天皇自身のアイデンティティを置かざるを得なかったがゆえに、終戦時の昭和天皇にとって、国体護持とは、領土や戦争責任よりも「三種の神器をいかに守るか」(p.230)にあった。 -
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面白いんだろうけど、頭がついていかなかった………。
生まれてない頃の政治家の名前と関係性が大量に出てきて、それらとさまざまな関係性を築きながら政治のフィクサーになったということは分かったんだけど、頭に入ってこなかった…。
政治の構成要因としての政治記者。もはや介入してるよね。
あとは昔の政治は金の動き方が今と比べ物にならない。
ナベツネというと、なんとなくお騒がせものというイメージが勝手についているが、「書く」ことへの自負という面では唯一無二としての存在なのか。
確かに、政治に提言するメディアとしての「新聞」はあるべきだと思う。それはあくまで、政権の批判ありきではなく、様々な情勢を見た上で、我が社はこう思う、という上での提言。政治のコンサルタントとしての新聞社??
なんとなくこの本に期待していたのは、政治のフィクサーとしての渡邉恒雄より、新聞記者としての渡邉恒雄だったのかもしれない。 -
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昭和史の研究家・半藤・保阪氏などの対談・鼎談集。昭和天皇の幼少期の意外な話から、摂政時代、そして昭和まで。実に豊富な記録が残っているのは歴史解明において有効だと思い、このような記録が発表されたことへの半藤氏たちの喜びが感じられる。一方であまり書かれなかったマッカーサーとの対談への不満も。戦争勃発後、昭和天皇が母・貞明皇太后に叱責されることに気を遣う様子など、昭和天皇の人となりを感じる一方で、軍・政から実権のない立場に祭り上げられ利用された人生への同情も禁じ得ない。「トラトラトラ」、「日本で一番長い日」などの映画を見た記録が残っているのも実に面白い。やはり戦争との関わりを読み解くことが最関心事であるが、1921年に第1次大戦の激戦地ヴェルダンを訪問し、「戦争は実に悲惨」と感想を漏らされたことも。開戦、逆に終戦を決意するまでの詳細な記録、平和を望んでいた方だとは分る一方で、12/8は大元帥として軍服姿でニュースを聞いたなどとエピソード満載。
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この手の総論的な本の御多分に洩れず、ふんふんと納得できるところと、なんじゃそりゃ的なところが両方ある。
価値観の対立のない日本では二大政党制はそもそも無理だったという指摘は印象的。
牛の育て方は日米で自然観の違いを反映してるのに経済や規制緩和の問題にしてしまうのはおかしい。
これは光ってる。日本では牛は家族、アメリカでは征服すべき自然で、ずっと立たせたまま抗生物質を投与して育てると。
でも、東北の被災地を視察して長い時間海に黙礼する天皇に共感して、天皇制はいいものだ、みたいなのは、中学生でもわかるくらいの短絡ではないか。
海との共存を覚悟する姿が感動的なのは、それが天皇だからでは全くないと思う。
歯に衣着せぬ二人のトークでおもしろかったけど、こんなふうに、びっくりするような大雑把さがのぞくところが時々あって、読んでいてちょっと怖くなったこともたしか。