岡嶋二人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
☆3.5
元世界ジュニア・ウェルター級チャンピオン最上永吉の生後十ヶ月の息子が誘拐された。
時は最上の義弟である琴川三郎が挑むタイトルマッチの二日前。
試合相手は最上を倒した現在チャンピオンのジャクソンで、ある意味因縁の相手とも言える。
誘拐犯はその試合で三郎に"相手をノックアウトで倒せ。さもなくば子供の命はない"と要求してきたのだ。
警察に知らせるなとは言われているが、なんとか連絡を取り捜査が開始される。
警察の捜査と同時に、ボクシングのタイトルマッチを控えた三郎、そのセコンドにもついている最上の極限な心理状況がこちらの読む手を速めさせる。
このプレッシャー絶対自分耐えられんわと思いつつ、事件に追い詰められてく警察の様子も追いつつ試合当日を迎える。
この作品ですごかったのはボクシングの試合描写。
めちゃくちゃ熱い。
あまりテレビとかで試合見たことなかったけど、飛び散る汗や血まで見えるよう。
正直、犯人とかうっちゃって試合の方に気がいってしまう自分がいた。
それくらい熱い試合だったし、最後の二人のやり取りなんかとても爽やかで良かった。
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Posted by ブクログ
☆3.6
大きなCMも決まっている新人歌手の結城ちひろが、人の出入りの多いテレビ局から誘拐された。
しかも直前にはこの誘拐を密告する電話が警察に入っていたという。
身代金を要求する犯人の指示に従いつつも手かがりを見つけ捜査を続ける警察、ちひろの安否を気遣いながらも犯人に振り回される芸能プロダクションや、思惑を抱え事件を見守るCMのスポンサーと入り乱れて、事件は混迷を極める。
なんか胡散臭くて怪しい!と疑ってしまうような奴がいっぱいで楽しい。
また場面の切り替えが良いテンポを生み、リアルタイム感が出ていたのが良かった。
作中は事件を追う立場の展開が主なので、誘拐されてた側ではどんな時間を過ごすことになったのかちょっと気になる。
警察ってほんと大変な仕事だわ、と可哀想になった場面もあって、刑事さんたちをすごい応援する気持ちで読んでしまった。
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Posted by ブクログ
出会いマッチング、個人情報保護等、まさに現代の社会問題を捉えている35年前のハイテク犯罪ミステリー
結婚相談センターに女性オペレーターとして勤める主人公。ある日、登録している兄の個人データを閲覧したいと会社に飛び込んでくる客がいた。どんな理由であっても見せられないと断るが、その物々しい雰囲気に不穏な空気を感じていた…
コンピュータ犯罪、男女のマッチングシステムをテーマに書かれたミステリー。
なにがスゴイって1986年の作品ですよ、コレ。
1986年っていったら、ファミコンで伝説のクソゲー、たけしの挑戦状が発売されたあの時代です。
にもかかわらず、今まさに現代を予見したかのようなテーマ、課題感を描けているのがマジで驚愕なんですけど。岡嶋二人先生は、いつも未来予測ぶりがスゴイんですけど、今回も強烈です。
ストーリーや展開は、若干昔風ではありますが、いまでも十分面白く読み進められます。真相もよく組み立てられていて、納得感もGOOD。ミステリーとしても上出来。
また主人公の彼女が魅力的に描けていてお見事なんです!
当時の結婚適齢期(懐かしい言い回し)の女性が持つ、仕事や恋愛に対する信条や価値観がとてもよく伝わってくるんです。
そして最後には前向きに未来に歩んでいく姿が超素敵なの。こんな女性惚れちゃう!
本作を読むと、これからの情報社会を憂いじゃいますね~
人との出会い、恋愛はどんどん合理化され、スマホアプリ1つで適正なパートナーが探せます。少子化問題から国の施策としても予算が割り当てられているくらいです。当然データベースには、大量のビッグデータが存在してるんですよ。
一方で個人情報保護法は今年も改正されています。もちろんパーソナルデータの扱いは、これからもどんどん厳しくなっていくでしょう。しかしそれを保護するシステムも維持するにはコスト増やリスク管理も重要です。
これからはさらにAIの時代で、データが支配する世の中になっていくでしょう。単に便利になったと甘えていると、我々はしっぺ返しをもらうかもしれませんね。
35年以上も前のハイテクミステリー、ちょっとレトロゲームをやっているような感覚に陥る本作。大変楽しく読めました! 特に40代50代の人にオススメの作品です。 -
購入済み
誘拐ものに定評のある岡嶋二人作品の中でも特に傑作との評判の高い本作なのですが、筋立てとしましてはシンプルな犯人当て推理小説ではなく、割と最初の段階で犯人の正体がそれとなく分かるような書き方がされてまして、いわゆる倒叙スタイルのような感じで話が進んでいきます。とは言いましても犯人が完全に明示されてる訳ではなく、読んでいる内に多分そういうことなんだろうなと思いながらも、でもどうやってこれを実現しているのかというハウダニットの謎が積み重なっていくという岡嶋作品ならではの面白さがあります。また後半の身代金の受け渡しの為に高速道路をひた走ったりスキー場でのアクロバットな活劇シーンは映像化にも向いている感じです。個人的には犯人の意外性から、この内容で倒叙スタイルではなく、最後にどんでん返しで犯人が明かされるスタイルで読みたかったとも思うのですが、ただそうしますとトリックとして使われている当時としての近未来的なハイテク機器の説明があまりにもマニアック過ぎて、そんなの分かるかよというツッコミが入りそうですが。