岡嶋二人のレビュー一覧
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誘拐ものに定評のある岡嶋二人作品の中でも特に傑作との評判の高い本作なのですが、筋立てとしましてはシンプルな犯人当て推理小説ではなく、割と最初の段階で犯人の正体がそれとなく分かるような書き方がされてまして、いわゆる倒叙スタイルのような感じで話が進んでいきます。とは言いましても犯人が完全に明示されてる訳ではなく、読んでいる内に多分そういうことなんだろうなと思いながらも、でもどうやってこれを実現しているのかというハウダニットの謎が積み重なっていくという岡嶋作品ならではの面白さがあります。また後半の身代金の受け渡しの為に高速道路をひた走ったりスキー場でのアクロバットな活劇シーンは映像化にも向いている感
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Posted by ブクログ
構成に惹かれて手に取った初見の作家さん。
それぞれ別の探偵事務所に持ち込まれた依頼。それらは一見なんの繋がりもなさそうだけど、回を追うごとに場所や人物がリンクしてくるのがわかる。
四半世紀前の作品だから色々と時代を感じるところはあるけど、依頼人の目的や、隠された事件が少しずつ明らかになっていく様は結構リアルに感じた。中でも暗号解読編では丁寧に図で解説もしてくれて、その道の素人でもわくわくしながら読み進められたので1番のお気に入り。
こういう連作短編は初めてで、思わず一気読みしてしまった。最後だけちょっと雑感はあったけど、それでも充分面白かった! -
Posted by ブクログ
過去の作品シリーズ。第27回江戸川乱歩賞を取れなかった作品。
3億2千万という、破格の値段が付けられたサラブレッド「セシア」。
4人の馬主が共同で保有し、将来を楽しみにされていた。
だがある日、そのセシアが誘拐されてしまう。
「我々はセシアを誘拐した」と犯人は脅迫状を送り付け、2億円もの身代金を要求してきた。。。
岡嶋二人氏の事実上のデビュー作とでも言うべきこの作品。
相当に古い(1981年の作品)であるが為に、当然のようにその時代背景は古いのだが
それ補って余りある面白さである。
いわゆる“メイントリック”は今現在では使用出来ないものだそうだが、
それでもその鮮やかさは競馬を知らない人で -
Posted by ブクログ
ネタバレ200万円以上の借金を肩代わりする代わりに殺人を依頼された若夫婦。借金が帳消しになるのならと軽い気持ちで引き受け、ターゲットの身辺調査を行い偶然ターゲットの住むマンションの隣の部屋が空いたことからそこへ引っ越し、徐々に交流を深めていく。
状況が全て揃い、あとは決行するだけとなったが、やはり殺人という事の重大さに気づき実行ができない。準備した後片付けをしに、ターゲットの部屋へ合鍵を使って入ると、そこには依頼者が死んでおり、睡眠薬で眠らせておいたターゲットは消えていた。
パニックになり一度自分たちの部屋に戻り、しばらくしてターゲットの部屋に戻ると、今度は依頼者の死体が消えており、さらにその部屋に閉