岡嶋二人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ岡嶋二人さんの作品は初めて。(井上夢人さんは読んだが)
なんとなく面白そうかな、ぐらいの軽い気持ちで手に取ったら期待以上だった。
バーチャルリアリティを題材としているが、ミステリ寄りの作品だからかSFは苦手な私でもどっぷり世界観に浸れて楽しめた。
いつの間にか現実と仮想世界との境目が曖昧になり、それに気付いたときの不安と恐怖、落ち着かない感じがすごく怖いのに、でも真実を知りたくて物語に一気に引き込まれた。
最後、えっ結局どっちなの…というオチまで含めて完璧。
ミステリだとすっきり解決してほしい派だが、この本はこの終わり方がめちゃくちゃしっくりきた。
タイトルの「クラインの壺」も初めて聞いたが、この物語を表す一語としてはぴったり。
1989年の作品というのにも驚いた。
この時代ってバーチャルリアリティとか流行ってたのかな?
かなり未来を先取りしていると思うのだが、なんか妙にリアルさもあるというか、40年近くも前の作品とは思えなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった!
題名に惹かれて購入し、一気に読んだ。
序盤は緊張感があり、中盤からは結末がどうなるかわからなくて面白かった。
今だったらAIがあるから登場人物が驚くようなトリックにはならないのだろう。
しかし、パソコンやスマホが普及している昨今に読めて良かった。そうでなかったら話があまり頭に入らなかったかもしれない。
機械音声との会話がうまく行きすぎているからこその間宮の疑念も良かった。
本作は復讐をどのように遂げるのかを描いた作品だと思っていたが、どのようにしてダイヤを回収するのか?という部分を謎にしたミステリーでもあるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
なるほど、これは名作だと思う。
ページを捲る手が止まらない。続きが気になって一気読みだった。
謎の企業イプシロン・プロジェクトにゲームのシナリオを売却した上杉彰彦。そのシナリオを元に制作されたVR型ゲームに制作モニターとして参加するが…。
驚きなのが、これが1989年の作品だということ。今から30年以上も前の段階で、VRの描写がここまで緻密に描ける先見の明が凄い。その一方で、今では当たり前に普及しているスマホだったり、交通系ICカードがない世の中というアンバランス感が、今となっては逆に新鮮だった。公衆電話大活躍w
主人公の上杉が迷い込む、リアルとバーチャルの不安定な世界観がたまらない!もう何が現実なんだか、わけが分からなくなる。この感情に引き込む著者の筆力に脱帽した。
ラストの気持ちをざわつかせる幕引き…虚無感がハンパない。
現実と虚構の境界線を揺さぶる作品。
なるほど、これは名作。 -
Posted by ブクログ
SFは滅多に読まないのに、読み易く、先が気になって一気読みした。
1989年の小説なのに、やってることが現代のVRの近い将来という感じ。
タイトルでオチの方向はなんとなく読めるのに、それでも面白いのがズルい。
現実か仮想か、実験なのかもわからなくなってくる。ずっと黒幕の気配があるのに、最後まで掴めないのが不気味。しかも不思議と混乱しない。ここが上手すぎる。
未来の技術と留守番電話機やウォークマンといった80年代的ガジェットが同時に存在するのも魅力的。
読み終わったあと、アルゴリズムに操られてる今の現実ごと疑いたくなる。
地味に何度も読み返したくなる作品。
-
Posted by ブクログ
ネタバレこれが20年前の作品とは思えないほどの題材だった。自分もK2のごとくこの作品に取り込まれていき、文庫本で450ページあるのに1日で読み切ってしまった。あまり読むのが早くない、かつ集中力が継続しない私にとってはそれほど面白かったということ。これほどまでに読んでいて頭に映像が浮かぶことはないほどの臨場感でした。ぜひ現代版で映画化してほしいとまで思ってしまった。何が本物で偽物で、頭が混乱して堂々巡り。
「クラインの壺」:メビウスの輪は二次元的に捻れているとしたら、これは四次元的に捻れている?表が裏で裏が表。
何が本当で何が嘘か、確かめる方法はひとつしかない、「はじめのところから始めて、終わりにきたらやめればいい」、、、
現代の身近な問題と照らし合わせてみると、SNSでよく見かける生成AIによるフェイク動画やマスコミによる印象操作なんかが近いのかなあと。どこからどこが真実で嘘で、私はまだK2に取り込まれていないはずなので、自分の感覚や知識・経験を信じ判断ができる。しかし、偽物も技術力を高めてきているのは当然。それを見極め、本物を信じるための確固たる「何か」を身につける努力を怠ってはいけないな、なんて感想になりました。非常にツボでした。