石井桃子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第1刷発行が1952年で、1988年の文庫の改版の際に誤りや表現も改めることができたと石井桃子さんが訳者あとがきに書いている。そもそも73年前の翻訳なのだから、現代の読者にはかなり読みにくい。そこがやはり残念だった。
トム・ソーヤーは想像していたよりも正直で、愛情深い少年だった。いたずらをして誰かをいじめたりはしない。退屈を憎み冒険を求めて、自由に街を駆けまわっているのに、歴史や英雄伝説などにも造詣が深い。読書好きとは思えないキャラクターなのだが…。
感情豊かでお調子者で、浮浪児ハックに対しては兄のように愛情深く導くけど、憧れているのは山賊になることだったりする。この後の「ハックルベリー・フィンの冒険」が楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレディズニーランドのプーさんのハニーハントくらいしかプーさんへの知識が無かったため、息子のために作られた物語だと初めて知った。作者は息子のぬいぐるみたちに魂を宿して、ぬいぐるみたちの暮らしぶりや出来事を息子に語り聞かせる形式を取っている。本当にそういった意味での「物」「語」であることを、たまに挟まれる現実パートで思い出した。
プーさん世界に人間は息子のクリストファーしかおらず、しかも主人公は息子がいつも手を引いているくまのぬいぐるみの方で、ぬいぐるみがメインで動いている中にたまに唯一の存在みたいな感じで息子が登場し、みんなで比較的ハートフルにやっている。(当時としては)これまでの教訓ありきの童話とはまったくことなる、子どものための新しい童話だったらしい。そうだと思う。
自分のぬいぐるみが自然豊かな世界でいろいろ生活していて、その世界の住人はみんな自分のことが好きで、自分もその世界の住人のことが好きというのが理解できる(語り手が代弁している?)ため、子どもは嬉しいだろうなと思った。大人でも嬉しい。イギリス?らしい子どもの育てかたの一つぽいな〜と思った。作者の息子への限りない愛が現れていた。最初と最後にクリストファーがくまのぬいぐるみの手を引いて階段を昇り降りする描写があったが、小さい子あるあるなんだろうな、かわいい〜と思った。
最後の、プーの功績に対するお祝い会みたいなやつが終わったあとの、プーとコブタが夕陽の道を一緒に帰るシーンが印象深かった。世界をそのように生きていいことを忘れている気がした。大人になって、色んなことに囚われざるを得ない面もあるが、そんなふうに思える時が来て欲しいなと思った。
古めの翻訳や今日では聞かない日本語も味があってよかった。意外と読めた。岩波少年文庫、少年の心を懐かしませてくれるめちゃくちゃいい文庫 -
Posted by ブクログ
ネタバレあなたも小部屋で物語を読み耽った日を思い出す。
子どもの頃に読んだものの再読。気に入ったお話は覚えていた。それまでに読んでいたグリムやペローの童話と少し違った着地点だったことが印象的で、その印象は今でも変わらない。しかし、今ならばもっと新しい童話が出てくるのではないかと思う。それはきっと本の小部屋でファージョンを読み耽った人が生み出すのだ。
「西ノ森」ちょっとヘタレキャラの若い王さまと、気の強い小間使いのシライナのやりとりが楽しい。思ったことが素直に出てしまった王さまの詩でくすりと笑ってしまう。とても失礼なことを言っているけれど、戦争にはならないところが、またひとつのおとぎ話。
「小さな仕立屋さん」腕の良い仕立屋のロタは若い王さまのお妃選びの仮面舞踏会に出席することになった令嬢たちのドレスを作る。令嬢にドレスの説明をするために、そのドレスを着て王家の馬車に乗る。控えの間で若い従僕と仲良くなり一緒に踊ったロタだったが——。こういうお話は王さまが従僕に変装していたというのが定石だが、従僕は従僕であった。そこがまた味わい深い。