石井桃子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ児童書の読書会仲間のおすすめで再読。最初に読んだのはずいぶん前で、内容はほぼ忘れていましたが前回と同じくとっても不思議な感覚になりました。14の小さなおとぎ話が収められています。
その中から気になった物語は
『ムギと王さま』
タイトルにもなっているのでどんなに面白いかと思いきや衝撃の書き出しです。
「村に、ひとりのばかがおりました」
お父さんは校長先生で、主人公につめこみ教育をしたらしいのです。そのことが原因なのでしょうか、このようになってしまったのは…
『金魚』
むかしむかし、魚はすべて海に住んでたそうで、金魚も海に住んでいた頃のお話です。
『貧しい島の奇跡』
タイトル通りの物語で、結末もめでたしめでたし。
『西の森』
この短編集の中では比較的長いお話。アクセク王(若くて未婚)がお妃を探しに出かける物語。予想通りの結末に安心させられます。
『手まわしオルガン』
6ページしかありません。まるで『遠野物語』を読んでるみたいな不思議なお話です。私はこのお話が一番好きです。
ファージョンはお話作りの名手として知られていますが、実は正規の学校には行かず、両親に教育をうけて成長しました。
彼女の本を読んだことがないとしても「雨に濡れた朝」(原題 "Morning Has Broken"というスタンダードナンバーを知っている人は多いのではないでしょうか。
元々は賛美歌だったそうですが、その美しい曲にファージョンが美しい詩をつけています。
キャット・スティーブンスが歌い世界中でヒットしました。
ぜひ曲も聴いてみてください。心洗われます。 -
Posted by ブクログ
海賊遊びや戦争ごっこに明け暮れる少年、トムはある日墓場で殺人の現場を目撃してしまい、犯人のインジャンジョーとの運命の糸がもつれる。
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日本人なら誰もが知っていそうな世界的名著の児童文学ですが、これは著者が願った通り、大人向けのお話のように思いました。
まあ、阿呆を煮詰めて濃縮したようなトムや取り巻きの男の子のキャラクター造形は子どもというよりかつて子どもだった大人たちが顔を赤くして読んで共感を示すものでしょうし、いたずらや冒険そのものも自分が子どもの頃にできなかった奔放な遊びを描いているようで憧憬を感じます。
一方でところどころに社会を鋭くえぐる文章が入っていたり、白人メインの南部の小さな町を舞台にした無邪気ながらも深く根付いた差別を織り込んだりしているところに著者の思いが見て取れるようです。
また、悪役のインジャン・ジョーの死に様は切なく悲惨で、しかも丁寧に描写され、そこに寄せられる白人たちの憐憫も非常に嘘くさく描写されていたりするのも痛烈です。特にインジャンの出自については最後の方でちらりと触れられるのだけなのですが、その背景についてあらゆる考察を迫られる、非常に手の込んだ構成だと思いました(ところで、「インジャン」という言葉はそのままネイティブの蔑称として扱われていたのか、そのあたりがよくわからないのですが)。ハックの最後の独白にも説得力があり、この物語の本当の主人公はハックとインジャンなのかな、と感じました。実に迫力ある児童書でした。さっそく「ハックルベリーフィンの冒険」も読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
童話でもない。昔話でもない。おとぎ話ともちょっと違う。ファンタジーというほどの現実離れでもない。ものがたりという感じでしょうか。独特の、味わい深い世界観。宮崎駿さんが好んで読んだというのも頷けます。
著者自身が子どもの頃からいろんな本を読んでいたようで、そのときに著者の血肉となったものが熟成されこのものがたりに昇華され、今度はそれを読んだ自分の血肉となって、そして娘たちに読み聞かせて、彼女たちが自分のなかの世界をつくる素材になって、というふうに続いていくと思うとワクワクします。
ペン画の挿絵も想像が広がる絶妙なセンスで、いいものを読んでいるなという満足感を味わえる本でした。