三浦綾子のレビュー一覧
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ネタバレ後年の千利休の妻となった おりき は、キリシタンになったが、千利休は、その教えを一部見た目はするものの、信者にはならなかった。ただ、茶道を極めるために、その考えや作法を取り入れたりした。
千利休は、茶道に一途だったが、秀吉の力には屈することも多かった。黄金の茶室を作らざるを得なかったりしたことに、自分が情けなく思うことが多かった。そんなことがつもり、世間の評判も気にしていたが、最終的には、秀吉に屈するのはいけないと思い、命乞いすることなく、甘んじて切腹を受け入れたかんじである。
随所にキリストの教えは出てくるが、深くはなく、また、歴史小説としても中途半端を感じた。
全2巻 -
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ネタバレ前編、続編含めて、苦難の意味は何かというのがテーマだ。
十勝岳爆発後の泥流地帯で生きていく家族の話。心で物事を考える長男拓一と、頭で考える耕作が様々な苦難に見舞われながら、何が正しい選択なのか考えていく。
耕作の言うことはもっともだ。でも、拓一の言うことには心を動かされる。
泥流にのまれた土地の復興に向けて汗を流す拓一だが、みなはその努力を笑い、無駄なものだと嘲った。ただ、拓一は思うのだ。もし、この努力が報われなくてもそれはそれでいい。自分の生涯に何の報いもない難儀な時間を待つのも、これは大した宝になるかもしれない、と。実りのある苦労なら誰でもする。しかし、全く何の見返りもないと知って、苦労の多い道を歩いてみるのも一つの生き方ではないのか。そう思って、自分は努力しているのだ。
勇気とは、突き詰めれば愛であると思う。愛には恐れがない。その人のために命を捨てる、これより大いなる愛はない。
善因善果、悪因悪果、いわゆる因果応報の考えは、そうあって欲しいという人間の願望に過ぎない。理想に過ぎない。願望と現実は違う。ヨブは、神から見ても当時一番正しい人だったが、それが子どもを一度に失ったり、財産を一挙に奪われたり、死ぬよりも苦しい腫物が体中にできたり大変な苦しみにあった。人間の思い通りにならないところに何か神の深い考えがあるのだろう。大事なのは、苦難にあった時、それを災難と思ってただ嘆くか、試練だと思って奮い立つか、その受け止め方が大事なのだろう。それでも正しい者に災難があるのは納得いかないと思うかもしれないが、苦難を試練だと受け止めて立ち上がった時に、立ち上がった人にだけ、苦難の意味がわかるのではないだろうか。 -
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ネタバレ愛するとは何度も何度も許し続けることである。
人生とは選択である。
小説を通してそれを伝える。
他の人に対しては忍耐深く寛大であれ。あなたも他人が耐え忍ばねばならぬようなものを事実において多く持っているからである、とイミタチオ・クリスチに書いてある。誰も自分の姿には気付かない。人を理解するためには自分自身を先ず正しく理解しなければならない。自分を知ることが人を愛するはじめだ。
そして、最後の章で言う。人間はまことに過失を犯さなければ生きてゆけない存在である故に、われわれは、ただ神と人とにゆるして頂かなければ生きてゆけない者なのであります。 -
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複数巻を平行読破。三浦綾子の最後の長編だったのね。
北海道綴方教育連盟事件に巻き込まれた竜太。わけもわからず退職届を書かされ、見張りがついたまま釈放される。しかし、留置所移送の際にお互い留置中の坂部先生に出会ったことから、気持ちを強くする。その後徴兵で満州に渡り、数々の出会いと偶然が彼を救っていく…。
戦争で、軍隊の記述だから読みにくいかなーと思っていたが、全くそんなことはなく、流れるように読めていくのが三浦綾子。小難しい記述もなければ、血なまぐさい表記もない。
流石に長編小説の女王だけあって、キャラクター設定及び心の拠り所、考え方というものがしっかりあり、あまり増えはしないが、登場人物が数々出てきても全く混乱しない。その中にあって、意識的にか無意識にか竜太を陥れる楠男の存在が異彩を放つ。
ほんとにね、楠男は戦争でひどい目にあってほしいと思いながら読んでいる人がほとんどだと思う。
さて、本人もあとがきで書いているとおり、満州時代と帰還に関しては、それまでの詳細な情景描写がなかったかのようにぼんやりとなってしまっているのは残念。人間同士のドラマで必死につなぎとめているものの、戦地の焦燥感などというものはほとんど描けていない。
また、終盤には回想とはいえ、同じ記述が繰り返し使われるのもいただけない。
留置からの釈放、戦地での敵襲からの回避、帰国のための混乱、それらに伴う葛藤のあたりは、不自然なほどに省略されているので、ちょっと肩透かしを食らった気もするが、連載小説で読まされている人にはちょうどよかったのかもしれない。 -
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複数巻を平行読破、そういや清張を読んでた気がする。それはさておき、長編小説の女王、三浦綾子も行っとこかということで。
昭和の初め、質屋の長男として生まれた竜太は、小学校4年からの担任であった坂部先生の人間性に打たれ、教師を目指す。元々成績優秀であった竜太は、トントン拍子に師範学校を卒業し、炭鉱の町の教師になるが、折しも日本が戦争に突入していく中、教育の難しさに直面していく。
元々、北海道で戦中起こった事件をモチーフにしており、緻密な取材から、全く違和感のない設定担っていることに加え、大河ドラマ風の作品を書かせたら第一人者の三浦綾子であるので、滞りなくストーリーを追うことができる。こういう才能のある作家って、そうそういないよ。
とはいえ、人生なので何もかもスムーズに物事が進むわけはなく、上巻の間は転校生であったり、謎の朝鮮人であったり、ちょっとした事件をうまく繋いでいくことで、竜太の成長を表現している。登場人物も多すぎず少なすぎず。
上巻自体は、テーマとなっている事件の手前くらいで終わるので、これから展開していくのであろうが、シンプルに「巧いね」という程度で、コレというものではなかった。そりゃそうか。
下巻に期待。