あらすじ
人の心に根深く潜む棘とは何かを、平和への願いもこめながら描く問題小説。
戦争で亡くなった先妻と似ている長男の嫁・夕起子を通して亡き妻を思う康郎。そして夕起子も康郎に理想の男を感じている……。
若い嫁と大学教授の義父との「精神的交流」を元に、人間の心の棘とは何か、愛とは何かを描きながら、戦争問題を真正面から取り上げた作品。
「三浦綾子電子全集」付録として、三浦綾子記念文学館初代館長・高野斗志美氏の「登場人物を読む/康郎――『青い棘』」を収録!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なぎさの夫(名前を忘れた)をはじめ、言動や考え方など時代を感じさせるが、これが当時の当たり前(疑問を持つ人はいたとしても)だったと思うと、私にとっては現代は生きやすい時代である。
康朗が「なぜ戦争に反対しなかったのか?」という質問に対して、当時はそれが当たり前のことで反論できる雰囲気ではなかった、洗脳されていたというようなのとを言っていたが、これは戦争だけではなく、あらゆる価値観に言えることだよなと思わされた。
現代の日本も色々と問題はあるが、それを問題だと考えられているのは言論の自由があるからだと思うと、それが守られている(そう私が感じているだけかもしれないが)ことはとても恵まれた時代に生きていると思った
Posted by ブクログ
彼女の小説を読んでいくと,人間の心の危うさ,頼りなさを感じてしまう。戦争で一人目の奥さんをなくした大学教授が息子の奥さんにその幻影をだぶらせる。その奥さんが義父に憧れている。その危うさがたまらなくて,ずんずんひきこまれていった。2人は何の罪深い行為をするわけではないのだが・・・。やはり愛は意志なのかもしれない。
Posted by ブクログ
面白いとの父からの推薦で読み始めたが・・・さすがは三浦綾子。じわじわと心のうちを丁寧に描いていて、父の薦めた理由はわかるが、今読みたい本ではなかった。全然読みすすまず、読書が2ヶ月も停滞した。目が離せないストーリー展開に一気に読める、そんな作品を求めている人には薦められない。
Posted by ブクログ
本当の私は、意地悪で性格が悪い。
心の中で思ってる事とは反対の事を口に出すことが多々あるし、愛想笑いだってお手のものだ。思ってもない事を言ったり、取り繕ったりすることだって出来る。
そして思う。
いつもニコニコして話を聞いてくれるあの娘の心の中にも、「悩みがあるなら、いつでも言って。私口かたいから。」って言うあの娘の心の中にも(自分で口かたいと言う人ほど信用できないものはないと思うけど)、意地悪や嘘が潜んでるんじゃないかと。
どんな人も心に棘を持っているー
家族だって、夫婦だって、心の中全てを分かり合えるなんてことはありえない。
取り繕ったり、嘘をついたり、後ろめたくなったり。
それでも、家族や夫婦には大切な何かがあって、一緒に生きていくんだ。一緒にいる価値があるんだ。
そう思いたい。
そうじゃないと、心の棘が私を刺して、痛くて痛くてたまらない。
Posted by ブクログ
とある家族が出会う様々な出来事と各人が心の中に持つ棘のお話。日常生活だけでなく、歴史もからんできて、心の中のことも…なので、三浦綾子らしい作品。さっぱり読めるので、三浦綾子作入門にふさわしいと思います。