レイ・ブラッドベリのレビュー一覧
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『華氏四五一度』などが有名なブラッドベリの短編集。表紙に一目惚れしたものだが、これは2024年に出た新装版。
全21篇+文庫版特別収録のエッセイ1。
SFあり、ホラーあり、ミステリーも恋愛も友情も……ととにかく欲張りセットな本だった。ただ、明るい雰囲気の話もあるにはあるが、全体的に悲哀やノスタルジーが漂っているのを感じる。
『華氏四五一度』も読んだことがあるが、そう言えばブラッドベリって良くも悪くもこんな感じの文体だったな〜と思い出した。
個人的に好きな話は「三角関係」「ルート66」「俺の敵はみんなくたばった」辺り。どんな話でもどんでん返し的な展開はほぼ無く、期待した結末が期待通りに訪れる、ある意味安心して読める本と言えそう。1話1話が短いのも読みやすくて良かった。 -
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ネタバレ【あらすじ】
本を法律で禁止された世界。本を燃やす〈昇火士〉のモンターグはある日の仕事終わりにクラリスという少女に出会い、世界のおかしさに気づいていく。
【感想】
冒頭はノリノリで本を燃やしていたモンターグだけど本当はそうじゃなかったんだよね。だから自宅の空調機のグリルに本を隠し持っていたし、後々モンターグの助けとなる老人、フェーバー教授と出会っていたけど報告してなかった。
読んでてハラハラした。モンターグに変わるきっかけを与えたクラリスとのバディで何か始まるかと思いきや、ある日車に轢かれて死んだと妻のミルドレッドからあっさり言われて終わりだし、フェーバー教授と再会して今度こそこのバディでなんとかし始めるかと思いきや色々とモンターグが耐えきれなくて(妻のミルドレッド含め皆が刺激的な娯楽に麻痺して考えることをやめてるのでモンターグがウワーッてなる気持ちはわかる)仕舞いに自宅は燃やされ、〈昇火士〉のベイティー隊長を殺して逃げ回る羽目に。これどう着地するんだ…と思ってたら、都市部でおたずね者となり渡り鳥労働者として漂泊するフェーバー教授の仲間にモンターグが合流したところで話は終わってしまう。
でも現実だって世の中を変えようとしたってすぐには変えられないし、最後、モンターグたちは川を上流に向かって歩き始めるんだけど、これが世界が葬り尽くそうとした〈本〉、先人が蓄積してきた知と記憶を辿り始めたことのメタファーだとしたら。フェーバー教授の仲間の台詞的にも希望をもたせる終わり方のような気がする。
以下、フェーバー教授の仲間の台詞
↓
「昔、キリストより前の時代だが、不死鳥という愚かな鳥がいた。(…)その鳥は、自分を焼くたびに灰のなかから飛びだしてくる。まったくおなじ姿で、ふたたび生まれてくるんだ。われわれも似たようなもので、おなじことを何度も何度もくりかえしているが、われわれにはひとつ、不死鳥が持ちえなかった美点がある。われわれは、自分がいまどんな愚行を演じたか知っているという点だ。われわれは過去一千年のあいだにどんな愚行を重ねてきたか知っているのだから、それをつねに心に留めておけば、いつかは火葬用の積み薪をつくって、そのなかに飛びこむなどという行為を止めることができるはずだ。(…)」
今こうしている間にも戦争や虐殺が世界各地で起きている。ミルドレッドらのように娯楽に目を眩ませ考えることを放棄してしまわぬようにしたい。 -
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ネタバレSF入門企画で紹介されていたので手に取った一冊。
色々と考える所が有りました。
本作での"火星"は言わずもがな、アメリカ人に取ってのアメリカ大陸、火星人はインディアンのメタファーですね。
けっこう早い段階で火星人は滅ぼされてほぼ死滅します。その原因が地球人がもたらした細菌によって、と言うもの。これはヨーロッパ大陸特有の伝染病をもたらした移住者達、と言う構造です。
短編集と言う形を取っていながらもどちらかと言うと連作短編と言うイメージで、火星で移住者達の中で起きたエピソードを時系列順に描きます。
個々のエピソードは個人間の諍いとか家族の話なのですが、背景にある地球-火星の間での出来事(例えば核戦争とか)を絡ませるので、構造的に知る造りです。
科学考証が厳密にあると言う訳でもなく、スター・ウォーズみたいにワクワクする感じの作品では無いのだけれど読んで損は無いと思います。 -
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ネタバレ評価も感想も非常に難しい。とりあえず詩人、幻想みたいな謳い文句に引っ張られると結構具体的な描写をしていて、拍子抜けするかもしれない。
普通に人が死に、殺し、殺される。地味で淡々としているが、かなり無常でダークな作風だ。ダークといっても暗黒ではなく冷たい暗灰色といった感じ。
かなり読むのにコツが必要で、現実的な先入見は捨てなければならない。火星と言っても当然リアルな火星ではない。しかし人の見た夢の中の火星も違う気がする。地球が見た夢の火星みたいなイメージだ。本人が神話と表現するように幽世みたいな。まあよくは分からないが。
最初は捉え所がなくて微妙だと思ったのだが、終盤に進むにつれ文章のキレ味も増してくる。華氏451度のように文章でぶん殴ってくるような衝撃はないが、やはり表現の核も結論も変わってはいない。
最後に収録されている『優しく雨ぞ降りしきる』と『百万年ピクニック』の表現力や抒情性はやっぱり素晴らしい。
短編集ということだが、各話一応連続性があり、この百万年ピクニックで完成し、そういうことだったのかと納得する作りになっている。
そして三体III下などはある意味この作品の改変バージョンであることに気付く。代表作と呼ばれる理由もそこにあると思う。埋め込まれた後続への種子が咲いたのだろう。創作を通した著者の計画は成功しているのかもしれない。
ただ一つ、年代表記は不要だったと思う。あまりに展開が性急すぎる。
瞬発的な面白さは無いが、徐々に良さが浸透してくるタイプで、ある時ふいに読むと波長が合って頭に入ってくる感じだ。しかしそのタイミングは分からず、読めない時は本当に読めない。読める時も作者が序文で宣言している通り、答えが明快に解るとかではなく、何かスッと感じ入り読めてくるとしか自分には表しようが無い。まあこの序文が最も意味が分からないのだが……。だから面白いという観点では評価出来ず、かなり読み手を選ぶと思う。全く読んだことがないので詳細不明だが、確かに星新一が影響を受けたっぽい作風だが、更に掴み所がなく解り難い話だと思う。キノの旅などが好きな人には刺さるかもしれない。 -
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アメリカの作家「レイ・ブラッドベリ」の長篇SF作品『華氏451度(原題:Fahrenheit 451)』を読みました。
ここのところSF作品が続いていますね。
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焚書官「モンターグ」の仕事は、世界が禁じている“本”を見つけて焼き払うことだった。
本は忌むべき禁制品とされていたのだ。
人々は耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビを通して与えられるものを無条件に受けいれ、本なしで満足に暮らしていた。
だが、ふとした拍子に本を手にしたことから、「モンターグ」の人生は大きく変わってゆく―SFの抒情詩人が、持てるかぎりの感受性と叡智をこめて現代文明を諷刺した不朽の名作。
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1953年(昭和28年)に発表され、1966年(昭和41年)に「フランソワ・トリュフォー監督」によって『華氏451』として映画化された作品、、、
本の所持や読書が禁じられた、架空の社会における人間模様が描かれており、タイトルは(本の素材である)紙が燃え始める温度(華氏451度≒摂氏233度)を意味しているそうです。
■第一部 炉床と火トカゲ
■第二部 ふるいと砂
■第三部 火はあかるく燃えて
■解説 佐野眞一
舞台は、情報が全て超小型ラジオや大画面テレビによる画像や音声などの感覚的なものばかりの社会… そこでは本の所持が禁止されており、発見された場合はただちにファイアマン(焚書官)と呼ばれる機関が出動して焼却し、所有者は逮捕されることになっていた、、、
(表向きの)理由は、本によって有害な情報が善良な市民にもたらされ、社会の秩序と安寧が損なわれることを防ぐためだとされていた… 密告が奨励され、市民が相互監視する社会が形成され、表面上は穏やかな社会が築かれていた。
だがその結果、人々は思考力と記憶力を失い、わずか数年前のできごとさえ曖昧な形でしか覚えることができない愚民になっていた… そのファイアマンの一人である「ガイ・モンターグ」は、当初は模範的な隊員だったが、ある日「クラリス」という女性と知り合い、彼女との交友を通じて、それまでの自分の所業に疑問を感じ始めた、、、
「ガイ」は仕事の現場で拾った数々の本を読み始め、社会への疑問が高まっていく… そして、「ガイ」は追われる身となっていく……。
SNSや動画配信サービスにより過去の文化が破壊されつつある現代文明を予見していたような作品でしたね… これが70年近く前に描かれた作品なんですからねー 驚きです、、、
活字が、本が、スマホにより駆逐されつつある社会に警笛を鳴らす作品ですね… 現代文明に対する鋭い批評を秘めた名作でした。
以下、主な登場人物です。
「ガイ・モンターグ」
主人公。焚書の仕事をしているファイアマン(焚書官)
「クラリス・マックルラン」
モンターグ家の隣に引っ越してきた少女。17歳
「ミルドレッド」
モンターグの妻
「ビーティ」
モンターグの上司で署長。
「フェイバー」
元カレッジの英語教師の老教授
「老女」
本を隠し持っていたため、隣人の密告により処罰対象となる
「ストーンマン」
モンターグの同僚のファイアマン
「ブラック」
モンターグの同僚のファイアマン
「フェルプス夫人」
ミルドレッドの友人
「ボウルズ夫人」
ミルドレッドの友人 -
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シャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ・オハイオ』はオハイオの架空の町、ワインズバーグのことを短編小説の連なりから、どんな町なのか浮かび上がってくるという作品だった。
『火星年代記』は序文にも書かれている通り、レイ・ブラッドベリが『ワインズバーグ・オハイオ』から影響を受けて、そのやり方を踏襲、舞台を火星に移した作品だ。
だが描かれている世界はレイ・ブラッドベリらしく非常に幻想的で、不思議な儚さがあった。
時代を感じさせる部分も確かにあるのだが、地球人と火星人という異種族に対する偏見や差別感なども描かれていて、今読んでも強度を感じる部分もある。
個人的な好みとしてはいささか物足りなさも感じるが、名作なのは間違いないだろう。 -
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ネタバレALTER EGOのエスが勧めてくれたので読んでみた。
本が禁止され焚書される世界の話で、紙の発火温度がタイトルになっていることにセンスを感じて読み始めた。
正直物語は面白くない。描写が詩的で仰々しいため進むのが遅い。350ページ近くあるが短編小説でも消化できるほどの物語しかない。しかも最後は戦争がすべてリセットしてぶん投げエンド。
ただ問題提起は凄まじく正しい。現在の人々の殆どが直面している課題に直撃している。
受動的にダラダラとインプットされる情報、思考する暇のない絶え間ない情報とそれに対する中毒、人生において死ぬまでにすべきこととはなにか。
まさしく今私がどうにかすべきと思っていた課題であり、その解決策として本を読むことと記録を付けることが提案されている。
私はまずは読書を始め、簡単なアウトプットを行うこととする。 -
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レイ・ブラッドベリはSF作家なんだと勝手に思っていたけど、実際この短編集の半分以上はSFじゃなかった。ファンタジーであったりヒューマンドラマであったり、ホラーやディストピアや故事のような話もあったり…本当によりどりみどり。SFに特化してた訳ではなかったんだな。
いくつかは面白かったけど、律儀に全部を読まなくても良かったかな、と正直感じた。
訳語が古いせいかかなりとっつきにくかったのもある。文章が読みづらい…でも原文によるところも大きいと思う。すごく詩的な文章。情景描写の分かりやすさよりも文章のリズムや美しさを重視している気がする。
内容自体も、うーんそこで話終わっちゃうのか、、、と感じられる作品がしばしば。
表題作の「太陽の黄金の林檎」「雷の音」「霧笛」あたりは良かった。 -
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本が禁じられた近未来の世界の話。
その世界では、本は焚書官によって焼かれるのです。
「焚書」なんて言葉は、
中国・秦の時代に行われた焚書坑儒を習ったとき以来に
目にしました。
解説によれば、
華氏451度は摂氏233度にあたり、
紙が自然発火する温度だそう。
ある意味、主人公ガイ・モンターグの中で
何かが自然発火することの暗喩のようにも読めたりしそうです。
主人公モンターグは焚書官であり、
本を焼く仕事をしているのですが、
ひょんなきっかけでそれまで見えていた世界がぐらつくんですね。
そして痛みを伴いながら、
個人のあたまのパラダイムがシフトしていく。
そして、あるとき、本を手にしたことで人生が変わっていきます。
本を禁じられた世界で生きている普通の人びとは、
スピード狂で、テレビ狂で、空虚な日常を送っています。
それまるで、この小説が書かれた50年以上前の時代から、
現代を風刺しているかのようでもあります。
本が無いという極端な設定にしたことで、
本があることのメリットがわかるようになっています。
また、本のメリットが意味すること、
たとえば、暇ってものが大事だよ、という問いかけがありました。
ここでの、「暇」は「退屈」とくっつかない「暇」のことです。
考える時間、感じる時間、
いやいや、ぼーっとする時間でもいいでしょう、
それはそれで創造性につながりますから。
そういった「暇」を、
現代の騒がしさやスピードが隅に追いやろうとしている。
そんな時代の相のスケッチのように読めました。
文章は、きっと地の文章が英語的すぎて
翻訳しにくい箇所があるのだと思いました。
ごつごつしていて、読みにくさもありますが、
勢いと、強いイメージに基づいて書かれていますから、
ぐいぐい引っ張っていく、言葉にする以前のパワーがあります。
聖書が引用されていたり、
いろいろな著述を残した偉人達の名前や引用があったりしました。
そういうところ、情報小説としての要素を満たしてもいるんですよね。
僕は書き方を学ぼうとしても読んでいますから、
そういうところ、なるほどなあ、力入れてるなあと感じました。 -
Posted by ブクログ
1953年作品。本の中に50年前のV2ロケットの映画・・・という文章があるところを見ると、舞台はほぼ今の時代ということになる。
著者が想像した現在の姿は、海の貝と呼ばれるイヤホン型ラジオを常時耳にさし(ウォークマン?)、低俗なテレビに一日中見入り、若者は面白くないことがあるとスピードに酔いしれ(暴走族?)、無意味な殺人を行う。見事なほどの現在のカリカチュアである。
その世界を舞台に進められる話は、最初は面白い。しかし、後半になるにつれやや冗長で、時代の古さを感じさせる。また、SF詩人ブラッドベリ特有の文章が鼻についてくる。長篇ではなく、中篇レベルにすればもっと迫力が出るのにとおもえた
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Posted by ブクログ
SF。連作短編集。
ブラッドベリのSFはどこか幻想的。
全体的な印象として、序盤は面白く、中盤は退屈で、終盤はまた面白い。
「地球の人々」での火星人とのコンタクトの結末は、とてもユニーク。
「第三探検隊」も、そう来たか!、という結末の切れ味。
「月は今でも明るいが」では、スペンダーの思考に考えさせられる。
終盤は、「オフ・シーズン」から面白かったと感じる。
「沈黙の町」は、火星に残された人間の哀れな希望が悲しい。
「長の年月」はセンチメンタル。これがベストか。
「優しく雨ぞ降りしきる」は、無人の廃墟で健気に働く機械が虚しい。
「百万年ピクニック」では、最後に僅かな希望があって、少しだけ救われる。