久しぶりのブラッドベリです。冒頭の刺青の男との不気味な会話から、怪奇な感じの短編集かと思ったら、柔らかな宇宙SFがほとんど。父親がロケット・パイロットの家族の話などは、お約束と言えど胸が苦しくなってきます。でも、ブラッドベリは長編の方が好きだな。大傑作「何かが道をやってくる」はハロウィンの時に、「タンポポのお酒」は初夏に必ず読みたくなる年中行事本です。特に季節感の表現などは神業ではないでしょうか。ちょっと肌寒くなるあたりの冷たい雨や風の表現がたまりません。宇宙SF短編集としては、「火星年代記」がやっぱり最高。