レイ・ブラッドベリのレビュー一覧

  • 火星年代記〔新版〕
    最初どうしてもイメージできない描写がひたすらに続き、これ読み切れるかなと心配していたのだが年代が進むにつれて加速度的に読みやすくなる。でも文明のうつろいを描写で感じることになるとは……。
    「優しく雨ぞ降りしきる」のスピード感と「火の玉」における信仰対象への解釈の話がいっとう好き。こういう話、自分で思...続きを読む
  • 華氏451度〔新訳版〕
    多くのレビューで見受けられた独特の言い回しが個人的には楽しめた作品でした。
    また、焚書を題材にしただけあり本を読む事の大切さなどが学べて良かったです。
    初めて本を読むならまずこれから読んでほしいと思いました。
  • 華氏451度〔新訳版〕
    独特の文体に最初は戸惑ったが読み進めていくうち慣れて楽しんで読めた。
    少女クラリスの問いかけは読者である自分自身に向けたようなものにも聞こえる。

    ちなみに動画サイトで「華氏451度」と調べると作品のネタバレ解説などが出てくる。なんとなく皮肉を感じる…
  • 火星年代記〔新版〕
    火星がどんな風に侵略されたか、地球はどんな状況なのか、地球人は何を考え火星へやってきたか、それらをいくつもの短編を読んでいくことで把握できるようになっているのが面白かった。喉元にナイフを突きつけられたような恐怖を味わう話もあったし、心を押しつぶしてくるような話や、詩的で美しい話もある。
    目線が変われ...続きを読む
  • 華氏451度〔新訳版〕
    暗黒世界を生きる主人公が世界に違和感を覚え、体制に反逆・逃亡するというディストピア小説の典型といえるプロット。現代を生きる我々に対する警鐘ともとらえられる普遍的なテーマのメッセージ性がある。

    私が読み取った二つのメッセージは「無知が愚かであること」「読書の価値は高い」ということだ。無知であればある...続きを読む
  • 華氏451度〔新訳版〕
    SF
    「華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わっ...続きを読む
  • 華氏451度〔新訳版〕
    洗練された文章には、ひとつひとつにメッセージが込められていた。
    最後は胸にグサグサとくる金言がパレードのように押し寄せて、自分の中に染み渡る感覚があった。

    「本を表紙で判断してはいかんぞ」と誰かが言いった。全員が静かに笑い、下流への旅はつづいた
    「ぼくはおじいちゃんのために泣いているんじゃない、お...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    地球の人間が火星を訪れ、人間のための世界を作り、去っていく経過を描いた連作短編集。そしてブラッドベリやっぱりすごい、登場人物は皆生き生きと動き回り、情景がくっきり浮かんでくる語り口。時にファンタジー、時にホラー、時にコメディ。滑稽であったり、無常感を纏っていたり、とにかく生々しく感情の色々な部分を揺...続きを読む
  • 華氏451度〔新訳版〕
    さすがブラッドベリ……。あらゆる本が昇火士(ファイアマン)により焼き尽くされる世界で、自らも焚書を行ってきた主人公モンターグがその行いに疑問を抱くところから始まる物語。設定だけでも面白いのに、生き生きとした人物描写や作中世界のテクノロジーのディストピア感溢れる魅力は見事というほかない。そして直接的な...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    ブラッドベリ的とは

    SF小説は、未来や宇宙世界に対するワクワク感をもたらすものが多いが、この短編集はちょっと異質。
    グリムやアンデルセンが動物を擬人化したように、SF小説においては舞台を未来や宇宙に置いて、時には異星人をモチーフにして、かえって人間の愚かさや面白さを浮き出させている。
    収録作品には...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    話自体は他のSF作品に比べて地味だけど、表現力がすごくて読みやすいし想像しやすくて面白い。
    SFは目新しさが重要だと思ってたけど考えが少し変わった。
  • 華氏451度〔新訳版〕

    焚書の広まったディストピア

    米国のSF巨匠レイ・ブラッドベリ氏の作品。
    本が禁制品となり、本を焼く職業である"昇火士"のモンターグが主人公。
    本を焼く立場である彼だが、とある少女クラリスの出会いからモンターグに心境の変化が生まれる。
    単純な情報統制としての焚書だけでなく、人に処理できない量の情報の氾濫など、
    現代にも通...続きを読む
  • 華氏451度
    「世の中に本がなくても困らない」「本を読まなくても平気」な人がいる(このサイトにはいないだろうけど)。そういう人だって情報はないと困るし、ネットニュースやSNSやTVなどで収集しているだろう。この小説で書かれる「書物」と「TV」は情報を得る媒体として何が違うのだろうか? 一つは読書という行為は受け身...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    いろいろ寄り道しながらも、ここ最近でいちばん夢中になれた本。
    ラストが
    ラストが!
    なーるーほーどー!
    手法としてはもう在り来りなのかもしれないけど、怖〜。

    最初は、謎系のSF感がとても面白くて読ませます。星新一さんみたいに。

    なかなか火星から地球に帰ってこない地球人。だのに、翌月も、また夏にも...続きを読む
  • 華氏451度
    昔のSF小説を読むと、人間社会の行く末を的確に予見した知性の働きに驚く。

    本が禁止された世界で、焚書官モンターグの仕事は、本を焼き払うこと。人々は本を読み、物事の本質を捉えることをやめてしまい、物事を考えるいとまを持つこともなく、「幸せ」に暮らしている。
    しかし、その世界には戦争が迫っている。テレ...続きを読む
  • 華氏451度
    「ご存知かな?書物はすべて、ナツメグのように、異国から招来される香料のにおいがします。わしは子供のとき、書籍のにおいを嗅ぐのが大好きだった....」(p.165) ※この一文、自分がナツメグ好きなこともあって、ドンピシャに刺さった。

    ディストピア小説で名高いだけあって、文句なしに面白かった!唯々諾...続きを読む
  • 猫のパジャマ
    数十ページずつの短編なのにまるで舞台作品を連続して観劇しているかのよう。それも1つごとに全くの別ジャンルや時代観だし、登場人物もシチュエーションも多彩。テンポもよく軽快で、いろんな種類の戯曲を次々読んでいる気持ちになれるしめちゃくちゃ満足度が高い。

    ブラッドベリの作品はじつは絵本の『夜のスイッチ』...続きを読む
  • 華氏451度
    素直に面白かった。物事を考えるのに必要な知識と閑暇(ヒマ)を人間に与えるのは本ではなく、自分以外の人間である他者との関係性なのだろう。
  • 火星年代記〔新版〕
    これは……さすが名作、と言わざるを得ない。
    わたしが生まれるずっと前に書かれてたのか……。すごい。
    だけど地球人って平和ボケしてるというか何というか……歓迎されると信じ切ってるところがヌケてるというか。
    火星人の方が大分上手だ。
  • 華氏451度
    集中力がいる作品だが、今年一ワクワクして面白かった。

    思想の統一 が焚書という非現実的な設定でまとめられているが、遠い未来こうしたことが起こらなくもないかもと思えた。
    ネットで情報が拡散される今の世の中を舞台とした物語も読んでみたい。
    映画版も観ようと思う。