レイ・ブラッドベリのレビュー一覧
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『《川の左右に生命の樹ありて十二種の實を結び、その實は月毎に生じ、その樹の葉は諸國の民を醫すなり》 そうだ、これを昼まで大事にとっておこう。昼のために… 街に着いたときのために。』
名著、として知られるこの物語。
本を燃やす男がある1人の少女と出会い…という触りの部分だけ知っていましたが、長年読んでいませんでした。
何故か?だって、難しそうだから…。何十年も前の作品だし、きっと長々と1人の男の内省をダラダラ書き綴った読みにくい小説なんだろうなと思いつつ読み始めると…
おもしろ!!!!!!!!!!!!
いや、めちゃくちゃ面白いんかい。
自らが住む環境、国、自分を取り巻く様々な事に疑問を感じ始 -
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YouTubeとかLINEとかでなんとか昼間はやり過ごせるとして、
夜です、ポカーン…壁と私しか部屋にいませーん…みたいな時に、ふと思い出す一作
好きなので線を引いてずっと引き出しに入れてある。
別に華氏451度になれって訳じゃないけれど、
私は別に人付き合いもチャンネル登録してる人の動画も、本当に好きなものなんて何もないんだった、って思い出すことができるね。あいつらが好きじゃないって気がつくのってポカーンとしてる夜だけだからね。。
本の大事さを説いている本だとは私は思っていなくて、
私だけが華氏451度なんじゃなくて、
皆の中に華氏451度はあったりなかったりするんだよねーと思う。
皆 -
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あまりSF的なガジェットが登場しない22の短編集。面白くて一気読みしてしまった。翻訳のせいかも知れないが以前読んだことのある『よろこびの機械』に比べると難解でよく意味の解らない話というのはなかった。ブラッドベリというとやはりストーリーよりも、何とも言えないブラッドベリ作品ならではの雰囲気が印象的で、アメリカ中西部の農園の風景や、季節の風の匂い、夜の市街地に響く音などの情景や、真夜中に目が覚めて寝付けなくって部屋の窓から外を眺めた時のような、未知の何かに始めて触れた時のような心情の、詩情あふれる描写が唯一無二の魅力だと思う。ポエティックで童話集のような趣の話が多くほのぼのとはしているが、案外全体
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気持ち古めでSFだから読みずらいと警戒してたけどなんてことなかった。
確かに詩的な部分は所々よく分からないのがあったけれど、ストーリーの展開が現代の小説と遜色ないから拒否反応が出なかった。SFだから『ラウンジ』『巻貝』『猟犬』といった固有の物をイメージしずらいっていう問題もある。
それを差し置いても小説の意味や価値とかをもはや著者レイ・ブラッドベリの立場から語ってくれてて凄く感動した。
名言も多い。
「救いに向けて自分のできることをしなさい。そうすれば、たとえ、溺れようとも、少なくとも岸に向かっていると自覚して死んでいける」
薬を服用しながら学校に通っている今の私に刺さりました。
小説は確か -
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新版で再読。旧版では年代が1999~2026年だったが、新版は2030~2057年、31年スライドしている。むかし読んだ時に感じた、SFなのに懐かしい感覚、既知感と未知感の綯い交ぜがよみがえる。
前書きで、ブラッドベリは一種の「種明かし」もしている。12歳の時から、週1作のショートストーリーのノルマを自分に課していたが、これだと長編には至らない。24歳の時に、シャーウッド・アンダーソンの掌篇集『ワインズバーグ、オハイオ』に出会い、そうかこれだと思ったという。オハイオを火星に変えて、掌篇たちを年代順に並べる。すると、アメリカ中西部のエピソードの集合が火星の植民・開拓・消滅のクロニクルになる! さ -
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かのスティーヴン・キングをしてSF界の巨匠レイ・ブラッドベリの最高傑作と言わしめたファンタジーSFの傑作『何かが道をやってくる』です
「新訳」と銘打たれておりますが、むしろ古臭い感じ、しかしこれがいい味を出している
物語はウィルとジムという二人の少年が住む町に夜中にカーニヴァルがやってくるところから始まる
しかしこのカーニヴァルには秘密があり、二人はその秘密を知ることで恐ろしい出来事に巻き込まれていく…というお話し
いや〜面白かった〜
うーん、なんていうか全部が詰まっているお話しでした
生と死、善と悪、恐怖と喜び、愛と憎しみが詰まっている
そしてこの詩的な世界観がほんとに夢のようなん -
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ネタバレ最初どうしてもイメージできない描写がひたすらに続き、これ読み切れるかなと心配していたのだが年代が進むにつれて加速度的に読みやすくなる。でも文明のうつろいを描写で感じることになるとは……。
「優しく雨ぞ降りしきる」のスピード感と「火の玉」における信仰対象への解釈の話がいっとう好き。こういう話、自分で思いつきたかった!というタイプの面白さ。
私にはまだ言語化が難しいところがたくさんあるのだが、先に同作者の華氏451度を読んでいたのでこの辺りは作者のテーマなのかなと思った。たまに殴りかかるような風刺が飛んでくるのでまったく油断できない。
ホラーっぽいなこれ…という描写もちょくちょくあったが、巻末の -
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ネタバレ火星がどんな風に侵略されたか、地球はどんな状況なのか、地球人は何を考え火星へやってきたか、それらをいくつもの短編を読んでいくことで把握できるようになっているのが面白かった。喉元にナイフを突きつけられたような恐怖を味わう話もあったし、心を押しつぶしてくるような話や、詩的で美しい話もある。
目線が変われば見えてくるものも違っていて、それぞれの立場で真実を見せてくれるのが良い。これが一人の主人公の語りであれば偏った情報しか得られないからだ。
いくつか印象的な短編があった。第三探検隊が懐かしさの中で殺された話。地球人の愚かさに抗おうとしたスペンダーの話。火の玉に出会った神父たちの話。死んだ家族を造った -
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地球の人間が火星を訪れ、人間のための世界を作り、去っていく経過を描いた連作短編集。そしてブラッドベリやっぱりすごい、登場人物は皆生き生きと動き回り、情景がくっきり浮かんでくる語り口。時にファンタジー、時にホラー、時にコメディ。滑稽であったり、無常感を纏っていたり、とにかく生々しく感情の色々な部分を揺さぶってくる短編の数々。
特に良かったのは穏やかな夏の夜を楽しむ火星人たちが人間の到来を知らずの間に知覚してしまう『夏の夜』、火星に到着した探検隊の夜を描く『月は今でも明るいが』、大焚書であらゆる本が焼かれた地球を抜け出してきた男が、火星にポーの作品に出てくる陰鬱な館をこしらえる『第二のアッシャー邸