レイ・ブラッドベリのレビュー一覧
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素晴らしい本当に
折り目をつけて繰り返し噛み締めたくなるようなフレーズが頻出する
時代に逆らって本を読みたがる全ての現代人たちに捧げたい
1950年代においてもこの状況を危惧していたレイ・ブラッドベリ
現実にはもっとシームレスに、緩やかだが確実に、この未来へと進んでいっていることだろう
写本の時代から、印刷が生まれ、大衆化が進み、映像が生まれ、手軽さが重視される
脳みそで咀嚼することを忘れ、他人が消化したものを噛まずに飲み込んでいる我々は、何か大切なことを忘れてしまっている気がする
じゃあ、一体全体何が大切だったんだろう
それをこの物語を読みながら考える、読んだあと考える、そして死ぬまで考え続けたいな
ベイティーが激烈に印象的な人物だった
「さあ、やれるものならやってみろ、この安受け売りの文学かぶれめ、引き金を引いてみろ」 -
Posted by ブクログ
衝撃的。ぞわっとした。
火を消す「消防士」ではなく、火をつける「昇火士」。
本の所有者を見つけ、家ごと燃やす昇火士のモンターグは、近所に住む少女との会話から、本に興味を持ってしまう。
ディストピア感はジョージオーウェルの「1984」を彷彿とさせる。家にはラウンジと呼ばれる、四方の壁に映像や音楽が映る部屋があり、妻はひたすらそれを見て聞いて楽しむ。
そうやって思考力を奪われた人々。
世の中が加速し、映画、雑誌、本などは短く、すぐに結論が出るものになっていく。それにより思考も浅くなり、せっかち族が増えていく。
まるで予言のようだ。本や映画→テレビ→インターネット→YouTube→TikTok。もはや1分も我慢できない現代人。当時からその傾向は始まっていたのか。
メタファーが多用されていて、いま何のことを語っているのか、現実なのか白昼夢なのか、熟読しないとわからないシーンが多い。読み込むと確かに美しい。でも難しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を焼いて考えることを禁止して
刺激的な娯楽のみを与えることで
幸せを管理する
ただ国は戦争中で
国民はその事についてあまり考えることもなく
空から突然落とされた爆弾で死ぬ
現代とすごく重なってたくさん考えさせられた
ものを知らず
深く考えないことはほんとうに幸せなのか
配慮のいき過ぎで何も話せなくなってしまうことが本当に良いことなのか
前半と後半で炎の意味が奪うだけ、から与えることができる、になるのも印象的
モンターグは普通の人で
正しいことのためだったとしても
そりゃあ人なんか殺したくないよねってかわいそうだった
グレンジャーもフィーバーも言ってた
「正しい種類のあやまち」という言葉は
すごくぴったりで
ああするしかなかったからあやまちではあるけど同時に正しい行いでもあったよね
この後のモンターグ達の人生絶対大変すぎて辛いけど
箱庭で考えることを取り上げられて常に刺激に飢えていた生活よりはましなんだろうか -
Posted by ブクログ
ネタバレ再読、2度目です。前回は宇野氏による旧訳の「早川SF全集13」を読みましたが、今回は伊藤氏による新訳版です。新訳の方が圧倒的に読みやすいと聞いていました。全体的にパキッとした気がします。なんせ前回はハヤカワSF全集とかいうぶっといのだったので…。
まず文章が綺麗。余計な説明0。それでいて頭にフッと画が浮かぶような人物描写。冒頭の「火を燃やすのは愉しかった。」は、旧版でも同じだったと思うんですが、圧倒的に美しい表現だと思います。人間の持つジレンマとか、楽なことに流される表現が上手なんです。2部でいきなりブチギレモンターグに変身するのは何度読んでも「もっと冷静じゃなかったかあんた」って思いますが、自我を獲得したいわゆるイヤイヤ期ってやつなんですかね。
第3章からの鮮やかな急展開、ベイティーは多分モンターグを薄気味悪く思っていたんだろうなと思う。にしても、頭に血が昇って(?ちょっと違うかも)火炎放射器で人を焼くという、この描写になんと心の惹かれること。しかしこれはベイティーの教え。「問題とは向き合うな、燃やしてしまえ」、本の本質に気付いても楽な方に流れてるんですよね。
情報の本質、本というものに気付いてからモンターグは独りよがりになっているような気がします。本を読まぬ人間をどこか見下している。自分もつい先刻までそうであったことを忘れて、逃亡後はそこも鳴りを顰めて、思慮深い所謂知識人のような人間性を獲得しているように見えます。これも本による知性の獲得というやつなんですかね?
水面下でいつの間にやら勃発した戦争、これは今回もよく分かりませんでした、完全に背景描写的なものの一種として見ていました…。次はそこに注目して読みます。
モンターグは、情報の本質、「本」という存在によって命を救われたんだと思います。 -
Posted by ブクログ
新訳も買ってたのに、間違えて古い方で読んでしまいました。が、それはさておき非常に良かった。
複雑なことを考えさせないために、不要な情報の負荷を与え続けることで市井の人を無害化させるというのは、SNSなどで情報の洪水が押し寄せる現代を予見していたようで、読んでいてヒヤッとしました。
まぁ、ただ「辛い状態を麻痺させるため」だと言われると絶対に悪だとも言い切れず、是非の判断は個人にゆだねられるべきだとは思いますけどね。
また、好みのコンパニオン(家族)が画面から派手な映像と共に話しかけてきたり、ストーリーを流したりするのは、AIコンパニオンに依存する人や、今後AIで個人に最適化されたコンテンツが量産される近未来を予見しているようで、こちらもゾクっとしました。
あとは、機械シェパードが怖い。足が多くて蜘蛛のように動く機械が、においを追ってシャカシャカ近づいてきたうえに薬物を打ち込んでくるとか、悪夢以外の何物でもないですよね。
『ゴールデンスランバー』では「お前、オズワルドにされるぞ」と体制のせいで犯罪者に仕立て上げられる人が主人公でしたが、その逆(オズワルド側)からみた、罪の押し付けというのも結構怖いものだなと思いました。
これだけ市井の人の思考力を奪っておきながら、あの機械シェパードが作れたり、終末戦争に至ったりするプロセスは正直よくわからないな、とは思いました。そういった点や、他国が存在する中で、国力を著しく下げる体制を取るという点には大きめの疑問が残りますが、それ以外の未来予想やSF的なディテールで十分に楽しめたので良しとします。
にしても、著者は本好きですよね。本というよりは思索の積み重ねとしてのメディアの大切さと、それを消化し次につなげることの重要性がわかっているのかもしれないですね。 -
Posted by ブクログ
SF作品だけど、描かれていたのは人間。
星新一を思わせるようなユニークな発想やオチだなと思ったら、星新一はこの作品に影響を受けてSF作家の道に進んだそう。
あの面白さはここが源流だったんだと納得。
2030年〜2057年の物語。
ちなみに旧版では1999年〜2026年の物語だったそうで、なんと今年がその最終年だった。
現実が追いついてしまったので、新版では31年ずらしたとのこと。それでも、まだブラッドベリの未来には追いついていない。
個人的には、作品によってかなり好みが分かれた。夢中になって読んだ話もあれば、正直全く理解できなかった話もある。
思い返せば以前読んだ『華氏451度』もよくわからなくて断念した。
どうやら、神や思想などの抽象的なものが苦手で、人間の弱さや愚かさが見える作品には強く惹れるようだ。
【面白かった作品】
『地球の人々』2030年
「地球から来た」と説明するも、火星人たちになぜか冷たくあしらわれる。
そして、地球人が閉じ込められた所はなんと…。
『沈黙の町』2036年
火星に一人取り残された男の行動が、人間臭くて妙にリアル。
『長の年月』2057年
火星での再会の喜びが少しずつ〝奇妙な違和感“へ変わっていく…。切ない…。読んだ後にもじわじわくる1番好きな作品。
『優しく雨ぞ降りしきる』2057年
すべての家事を完璧にこなす家。
しかし、そこにはある重大な違和感が…。
光景が心に刺さった、1番印象に残った作品。
『百万年ピクニック』2057年
最終話の余韻が残る。
それぞれが独立した話なのに、読み終えるとひとつの大きな物語になっている。
Audibleにて。 -
Posted by ブクログ
あまりSF的なガジェットが登場しない22の短編集。面白くて一気読みしてしまった。翻訳のせいかも知れないが以前読んだことのある『よろこびの機械』に比べると難解でよく意味の解らない話というのはなかった。ブラッドベリというとやはりストーリーよりも、何とも言えないブラッドベリ作品ならではの雰囲気が印象的で、アメリカ中西部の農園の風景や、季節の風の匂い、夜の市街地に響く音などの情景や、真夜中に目が覚めて寝付けなくって部屋の窓から外を眺めた時のような、未知の何かに始めて触れた時のような心情の、詩情あふれる描写が唯一無二の魅力だと思う。ポエティックで童話集のような趣の話が多くほのぼのとはしているが、案外全体としては文明批評や風刺の視点を感じる。誰かからの手紙が欲しいと思う山村に住む老婆が、村の外から遊びに来た甥に代筆と代読を頼んで手当たり次第に会社に資料請求する「山のあなたに」や、自分たちの生活が広告の中の書割として消費されることに異を唱える男を描いた「日と影」が好きだが、これらも文明社会への風刺として読めると思うし、「歩行者」「人殺し」なんかはもっと直截的で、『華氏451度』で感じた著者のそういうものに対する嫌悪がよく伝わってくる。
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Posted by ブクログ
新版で再読。旧版では年代が1999~2026年だったが、新版は2030~2057年、31年スライドしている。むかし読んだ時に感じた、SFなのに懐かしい感覚、既知感と未知感の綯い交ぜがよみがえる。
前書きで、ブラッドベリは一種の「種明かし」もしている。12歳の時から、週1作のショートストーリーのノルマを自分に課していたが、これだと長編には至らない。24歳の時に、シャーウッド・アンダーソンの掌篇集『ワインズバーグ、オハイオ』に出会い、そうかこれだと思ったという。オハイオを火星に変えて、掌篇たちを年代順に並べる。すると、アメリカ中西部のエピソードの集合が火星の植民・開拓・消滅のクロニクルになる! さあ、あとは持ち前のイマジネーションと詩的感性の発揮のしどころ。
でも、火星人とはいったいだれのことなのか。それが読者の宿題として残される。 -
Posted by ブクログ
かのスティーヴン・キングをしてSF界の巨匠レイ・ブラッドベリの最高傑作と言わしめたファンタジーSFの傑作『何かが道をやってくる』です
「新訳」と銘打たれておりますが、むしろ古臭い感じ、しかしこれがいい味を出している
物語はウィルとジムという二人の少年が住む町に夜中にカーニヴァルがやってくるところから始まる
しかしこのカーニヴァルには秘密があり、二人はその秘密を知ることで恐ろしい出来事に巻き込まれていく…というお話し
いや〜面白かった〜
うーん、なんていうか全部が詰まっているお話しでした
生と死、善と悪、恐怖と喜び、愛と憎しみが詰まっている
そしてこの詩的な世界観がほんとに夢のようなんよ
ブラッドベリの文体は流れるようで”SFの叙情詩人”なんて言われるんだけど、ほんとだわ〜って思えました
ガビ~ンってこころに響くのよ
SF好きには必読の書であるよ!