レイ・ブラッドベリのレビュー一覧
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ネタバレ読んだのが数年前なのでうろ覚えな部分もあるのですが…。
この作品が書かれた当時は、核兵器というものがともかく驚異(今もそれには変わりませんが)だったのだなという感想を読んだ当時は強く感じました。けれど、緊急事態宣言が出ている今は、火星人が絶滅した原因が感染症だったことの方が気になります。私達もSFの世界だけでなく、病原体を宇宙にばらまいているのかもしれません…。まさに、小松左京のあの小説のような驚異を、異星人に与えるかも。このSFの物語が現実になりませんよう。
また、火星人は悲しい最期を迎えてしまうのですが、彼らの文化がなんだか美しくて好きでした。 -
ネタバレ 購入済み
散文ファンタジー
不意にSF小説が読みたくなり、おすすめをググった結果出会った一冊。散文形式と、あまりに科学考証が乏しいので、読み出してすぐにどうしたものかと悩みましたが、一応読破。そんな読者にとって、SFとはスペース・ファンタジーなのだと思い至らされた一冊でした。架空の世界で、書きたい主題を取り扱うのに、「考証」がどれだけ必要なのか? 必要ありませんよね。
人類に対する悲観的で、不信感をまとった話の運びのなかに、理由はないけど、ヒトはそれでも生き残るのだという、不思議な万能感を示した一冊。
イーロン・マスクは本当に火星を目指すのか?? -
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短編集。SF。ファンタジー。ミステリ。ホラー。幻想。
多様なジャンルの作品を詰め込んだ一冊。
『火星年代記』収録の「イラ」「夜の邂逅」「やさしく雨ぞ降りしきる」は再読。初読のときより楽しめた。
好きな作品も嫌いな作品もあり。やはりSFが好き。ホラーもなかなか。
全体的な満足度は☆3くらいだが、「万華鏡」「霧笛」「やさしく雨ぞ降りしきる」が傑作だと思うので、気持ち甘めに☆4に。
「草原」ヴァーチャルリアリティ。オチが良い。
「歓迎と別離」切ないファンタジー。永遠の少年。
「メランコリイの妙薬」不思議な話。ちょっとイカれてる。
「イラ」火星。とある火星人のファーストコンタクト。
「小ねずみ夫婦」 -
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レイ・ブラッドベリの自選傑作集。
怪奇小説、SF、心温まるようなものまで。たんぽぽのお酒は、選り抜きとはいえ文庫で読めるのはこれくらいなんじゃないでしょうか。
レイ・ブラッドベリの入門に最適な一冊です。
私は今まで二冊程しか読んだことがないので、メキシコものを読んだのは初めてです。
特に気に入ったのは表題作の「万華鏡」です。宇宙船が砕けて、宇宙に放り出された乗員たち。推進器具もないので、全員がどんどん離れて、無線電話で届かなくなるまで会話します。極限の状態で人間としての差を見てしまい、一人っきりで悩みます。自分に何ができるだろう?そんな言葉と、最後のおちの文章でなんともいえない気分になります -
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ネタバレ・レイ・ブラッドベリ「万華鏡」(創元SF文庫)に は「ブラッドベリ自選傑作集」とある。書名通り、表題作を初めとして、作者自選の「草原」「メランコリイの妙薬」「刺青の男」「霧笛」等々の26編を収め る。この中には「たんぽぽのお酒」や「火星年代記」のエピソードも含む。本当に作者選りすぐりの短編集である。特定のジャンルに偏ることもないので、ブ ラッドベリのさまざまな面を知ることができる。おもしろい。本書扉に、「天才作家の幅広い創作活動を俯瞰できる、最大にして最適の一冊。」とある。この先 にも、これだけの内容のブラッドベリの短編集は出ないだらう。たぶんこの一文は正しい。
・巻頭第一作「アンリ・マチスの -
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米国のSF・幻想文学作家のレイ・ブラッドベリによる1953年発表の作品。
ジョージ・オーウェルの『1984年』などと並び、代表的なディストピア小説のひとつと言われる。ディストピア小説とは、SFなどで空想的な未来として、理想郷(=ユートピア)の正反対の社会(=ディストピア)を描いた小説で、その内容は政治的・社会的な様々な課題を背景としている場合が多い。
華氏451度とは、摂氏では233度にあたり、紙が自然発火する温度というが、本作品は本の所有や読書が禁じられた近未来の物語である。
主人公は「焚書官」として、人類の叡智の結晶である本を焼き尽くす仕事をしているが、その一方で人々は超小型ラジオや家の大 -
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ネタバレ華氏451度とは摂氏233度で紙が燃え始める温度。
この物語の主役は昇火士(ファイアマン)ガイ・モンターグ。彼の仕事は政府が禁止した書物を発見し次第焼きつくすこと。しかし、彼は風変わりな少女との出会いや、本とともに自爆してしまう老女を目撃することで、禁止された本の中には何があるのか興味を持ち始め、こっそり本を集めるようになり、ひいては社会のゆがみを認知するに至る。
焚書が公然と行われる世界、というとどんな強権的な政府があるのかと想像するが、この作品世界の興味深いところは、民衆が自ら本のない世界を選んだことになっている点だ。禁止された本の中には聖書すら含まれているのだが、人の心を思索へ向かわせ -
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ネタバレ焚書官ガイ・モンターグは密告をうけて本を焼くことを仕事としていた。ある日、隣に住むクラリスという少女と話をする。そこで問いかけられる。「あんた、幸福なの?」と。それ以降、身の回りの出来事に違和感を感じ始める。テレビに夢中になる妻、本のために自殺する老女、現状を肯定し知性を批判する上司、そして戦争に向かいつつある世界。
老女のもとから本を一冊だけ持ちだしたモンターグは元大学教授フェイバーに会いに行く。フェイバーは過去、政府による焚書に至る経緯におもてだって反対しなかった。結果、現在の状況を激しく後悔していた。そこで、モンターグに協力し焚書係の力を削ぎ、ほんの印刷を始めることに協力することにした