レイ・ブラッドベリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ本を読むのはもちろん、持っているだけでもダメ、本があるのが見つかったら全て焼かれてしまう、そんな世界を描いたディストピアもの。
ジョージオーウェルの「一九八四年」も同じような世界観だが、読者の掴み方はブラッドベリの方が上では、と思うぐらい一気に引き込まれる。
今のネット社会からすると、禁書の世界はあまり共感できる世界観ではないかもしれない、本好き以外は。
本を焼く側の主人公が本の素晴らしさを知り、追われる身になり、迷う、これにドキドキさせられながら、主人公に気持ちに入り込んでいく。
感情のなかったところに感情が芽生えていく様に心動かされたからだろう。
ただ少し残念だったのは、ラストの -
Posted by ブクログ
SF小説の名作で、ブラッドベリの代表作がこの『火星年代記』です。
その名の通り、火星での様子・出来事を年代順に語る様式の作品。
短編はおおむねそれぞれが独立した形でありながら繋がっていたりもし、
連作短編SF小説と言えそうです。
ネタバレになるので、中身に触れないように説明するのは難しいのですが、
いろいろな要素が詰まった、つまり、いろいろなジャンルの話がありながらも、
どれも火星を舞台にしていて、その時系列で話が進んでいくことによる
統一感、筋の通った感じのある短編集。
僕の読んだバージョンは「定本」というもののようで、
この作品は発刊された時には1999年から始まった物語だったそうなの -
Posted by ブクログ
レイ・ブラッドベリって、寂しい話を書く人だなぁと思っていたけれども、掌編集を読んでみると、その方向性がより際立って感じられた。望むも望まざるにも関わらず、みんな孤独で諦念と焦燥で風邪をこじらせているような、そんな印象を持った。
SFの抒情詩人と言われるけれども、多分それは今からするとかなり古典的な文才だからだと思う。ブラッドベリはテクノロジーに興味はなかったのではないかなぁ。寓話的な物語を飾るための、SFという衣装のように感じられた。というのも、表題の『太陽の黄金の林檎』よりも、サイエンス的な要素の薄い『霧笛』や『目に見えぬ少年』のような話のほうがテンションの高さを感じるからだ。
私の一 -
Posted by ブクログ
風景描写に関して、わかりづらさがあります。
モンターグの心風景なのか、実際の風景なのか曖昧になる部分があります。言い回しなんかは海外小説独特なものがあるので、はっきりいうと読みづらいです。エンタメ小説というよりは、もっと文学的。
「情報」がテーマです。
ベイティーとモンターグの掛け合い部分が1番好きです。
本は何も言ってないぞ!
この一言が痺れますね。数々の意味を持ったベイティーだからこそ言える名台詞です。
ジョージオーウェルの1984年を予言の書と言われるのと同様に、この本も予言の書です。
圧縮された情報、おしゃべりな壁。
思い当たる節にギクリとしました。