レイ・ブラッドベリのレビュー一覧

  • 太陽の黄金の林檎

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    胃の中に蝶々、心臓が早鐘みたいになって、早く次の頁を読みたいのに、読み終わるのが勿体無くて仕方ない気持ちになった。

    色鮮やかで、湿り気のあるブラッドベリの文章を、これまた美しく仄かな湿度を含んだ言葉で紡ぎ訳してくれた小笠原豊樹氏の翻訳が大きかったと思う。

    個人的に翻訳ものは、翻訳者との相性が多分にある質なので、初めてのブラッドベリを小笠原訳で読むことができたのは幸運だったと思う。ドンピシャリだった!

    訳の素晴らしさを噛みしめるためにも、ブラッドベリ自身の言葉を知るためにも、原書にも当たってみたいと思う。

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    2015年10月31日
  • 華氏451度

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     本の所持が禁止された世界を舞台に、見つかった本を焼き払う”焚書官”の仕事をするモンターグの姿を描いたディストピアSF。


     以前NHKの「クローズアップ現代」で読書について取り上げられているのを見ました。その番組の中の実験で普段読書をする学生としない学生でレポート課題に取り組む際どのような違いが見られるか、ということが実験されていたのですが、それがこの本の内容とシンクロしているような気がします。

     モンターグはふとしたきっかけから衝動的に一冊の本を持ち帰り、その本を読み自分の仕事に疑問を持ち始め元大学教授のフェイバーに話を聞きにいきます。

     フェイバーが語る書籍のない社会に欠けているも

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    2015年07月30日
  • 華氏451度

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    書籍を持つことが禁じられた世界。書籍の一切を焼き払う「焚書官」という仕事に就くモンバーグは、近所に越してきた不思議な少女クラリスと出会い、また書籍とともに命を落とす老婆の存在を目の当たりにし、本を忌むこの世界に疑問を持ち始める。

    思考すること・物事に疑問を持つことの重要性、思考の時間を奪われることの恐怖と弊害、さらには人間らしさとは何かを問う作品だと思う。
    耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビから、引っ切り無しに流れてくる情報の海。書籍から知識や思想を学び感じ取ることを禁じられ、物思いにふける時間すら悪とされる。
    徹底的に思考を管理された世界は、確かに人と衝突することなく一見平和かもしれない

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    2015年07月30日
  • 刺青の男

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    「今夜限り世界が」こんなに静かな終末ものを読んだことがない。遠い宇宙を夢見る心と、足元の地球をしっかり踏みしめて愛する心と、ブラッドベリにはその二つの心が難なく共存している。

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    2015年04月03日
  • 華氏451度

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    「火の色は愉しかった」
    この冒頭の一文に惹かれ、一気に読みました。自分から何も考えずただ刺激的な快楽を受け取るだけの未来は、もう現在のことになっている。壁一面のテレビはスマートフォンに、テレビ中の「家族たち」はSNSの繋がりに姿を変えて。

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    2014年09月26日
  • 太陽の黄金の林檎

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    素晴らしい。
    何という美しさ、何という陰鬱さ。

    収録作品の中でも圧倒的に知られていると思われる「霧笛」。声高に作品テーマを語ることのないブラッドベリにしては珍しい、込められた寓意を明確に文章で説明している、ある意味「わかりやすい」作品です。が、だからと言って物語が陳腐化しないのがブラッドベリの底力。最後まで静かな余韻を残す、短いけれど心に残る作品です。

    「サウンド・オブ・サンダー(雷のような音)」も印象的でしたね。フツーのSF作家であれば、タイム・パラドックスが起こった後にどう収拾を付けるのか?という点を前面に押し出して一大スペクタクル巨編を書くぞ!ぐらい考えてもおかしくはないのに、ブラッ

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    2012年12月12日
  • 刺青の男

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    ベラッドペリの短編集だが、ただの短編集ではない。
    ストーリー全体が男の刺青上で展開しているという構造を持つことで、奥行きが増す。かと思いきやそうでもない。各話のストーリーと、刺青上で展開することの関係性が希薄。
    要するに千夜一夜物語。

    別の本で読んだ話も(万華鏡)。

    あいかわらずの火星人登場率。そして、火の玉型火星人。

    怖い話も点在。

    グッとくるのは最後の話。叶わない夢を叶えようとする。実際に叶わないから、歪んだ形での叶え方になってしまうが、これこそ人情。これが人類の姿勢であって欲しい。
    って、ことですよね?ブラッドベリさん?

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    2012年10月19日
  • 太陽の黄金の林檎

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    奇抜な着想と幻想的な雰囲気と詩的な文体と主人公の心情や思惑がジワッと滲み出る会話や行動の記述が相まって読中読後にえも言われぬ感慨を与えてくれる作品が多かった。
    「霧笛」、「目に見えぬ少年」、「二度とみえない」、「発電所」、「日と影」、「草地」、「歓迎と別離」が特にジワジワと心に響いた。
    今後、何度も読み直す短編集がまたひとつ増えた。

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    2012年10月18日
  • メランコリイの妙薬

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    火竜(dragon )なんか、詩的に描写を重ねて世界と心情を作り上げていて、さすがレイブラッドベリだなーと思ったら、その描写自体をオチにするという、割と性格悪い話
    だけど、詩的な表現は一級。憎い

    綺麗な悪女、という本

    あと、ブラッドベリにとって火星とはなんなんだろう。はっきり意味があるのは間違いないがわからない

    白い服は秀逸。テンション高い

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    2012年04月03日
  • 刺青の男

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    ブラッドベリの短編集ではこれが一番好き。「万華鏡」をはじめて読んだ電車の中、涙と鼻水が溢れそうでやばかった。

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    2010年11月25日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    ブラッドベリは若い頃に手に取った記憶はあるものの、多分挫折したのだろう。
    こんなに詩的な文章を書く人だとは知らなかった。
    冒頭のクラリスとの対峙シーンは映画のようで、またファンタジーな空気も感じて驚いた。
    それだけに、進むにつれて空気がだんだん変わっていき、クライマックスでは突拍子もなく感じて呆然とした。
    一度読んだだけでは理解できないので、感想を言える状況ではない。
    ただ、確かに色々考えさせられる作品だった。
    ブラッドベリはSF作家と呼ばれるのを嫌っていたようだけど、SFではなく別の何かに感じた。
    (敢えて例えない)
    SF的要素はガジェットや機械犬くらいだろうか。

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    2026年07月05日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    ネタバレ

    本の所有を禁止された世界で、本を燃やす昇火士であるモンターグは、本と共に燃える家に残った老女を見て、本に興味を持ちだす。
    社会派SFの傑作。1953年に作られた本だが、現代に片鱗が見えつつあるディストピアを怖いほどに言い当てている。冒頭に登場してすぐに消えてしまったクラリスという少女。この少女がモンターグに投げかける言葉がものすごく大きな意味を持っている。
    「昔はファイアマンは火を消す仕事だったんだよ」
    「叔父がハイウェイをゆっくり走ったら留置された」
    「あなた幸福?」
    この世界では、テレビは人々が見たくないものを映さないつるんとしたもの(毛穴がない)になっていて、一方的にテレビから話しかけら

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    2026年07月02日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ずっと気になっていなかったけど読めていなかったレイブラッドベリ。
    期待以上だった!
    次は華氏451度を読む予定。
    楽しみ

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    2026年06月22日
  • 塵よりよみがえり

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    一族の話は好きだけど、こういう一族ははじめまして。
    子供の頃、アダムスファミリーの映画を何度も見て好きだったけど、挿絵を書いていたとは知らなかった。
    短編の中では、十月の西が一番好きだった。今はおじいちゃんでもかつてはプレイボーイだったんだなぁ。そして、最後に14歳だったおばあちゃん出てくるところがいいなぁ。

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    2026年06月13日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    比喩が抽象的、主語がない、そもそもディストピア世界の話で小さな設定理解難しかったが、話の大筋は至ってシンプル

    華氏451で書物が引火し燃え始める
    書物は所詮媒体、媒体をいくら燃やそうと、どれだけ世界で多数派の波が大きかろうと、世の中にシラフの人間が存在する限り思想は紡がれる、的な
    なんか人間の強さもちゃんと提示されてる読後感スッキリ系のディストピアだった

    巻末の訳者解説がありがてえ。時代背景知れるのまじで解像度上がるから良い。
    文学系のディストピアSF基本読みづらいんだけど、読み終わると読んで良かったっていつもなるからもっと読みたい
    でも大変読みづらくて特に前半、イライラして『訳者xx 意

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    2026年05月26日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    なんとまあ難しい文章なのに本を捲る手が止まらないものか…。
    現代の風刺みたいなのに書かれたの1950年代ですって?????過去なのにSFだぁ…

    華氏451度は摂氏に治すと約230度。
    紙が自然発火する温度。
    自然発火とともに知識も言葉もお焚き上げされちゃうよ…

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    2026年05月26日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    ネタバレ

    本が違法となり見つかり次第焚書にされてしまう世界を舞台に、本を燃やす「昇火士」を主人公にした世界。てっきり活字賛美的な話かと思っていたが、そうではない。別に本ではなくて良いのだ。
    世界に触れること、そしてそれを人が覚えていたりいなかったりして、それで救えるものがあれば良いじゃないというセンスオブワンダー的なモチベーションを感じた。
    文章も詩人のようで極めて感覚的だった。火炎放射器から火を浴びせられる時、当人にはその火は花にも似て見える。
    最終章から花がひらくように、色、におい、感触が満ち満ちていた。

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    2026年05月13日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    まだテレビが始まったばかりくらいの時代において、この焚書が行われてるディストピアな世界を描いて、わかりやすく頭を使う必要のないメディアが溢れる日常のもたらす地獄を伝える、これが70年以上前に作られた作品なのか、と衝撃を受けた。

    今のレコメンドされるショート動画を消費し続ける世の中にこそ刺さる作品だと思った。

    大切なのは本それ自体ではなく、「自分の頭で考えること」なのだろうなと感じた。
    ただそれをしやすいインプットソースが、本であるんだろうなと。

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    2026年05月10日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    語り口が詩のようで、抒情詩人と呼ばれたレイ・ブラッドベリに思いを馳せた。
    スマホやしんどいSNSの様なもう何十年も前にこの考えに至ったということは、当時からそういう古典というものへのリスペクトが徐々に無くなっていたのかもしれない。
     そういう時代に本好きとして生まれた自分に思いを寄せてみる。野崎まどの「小説」を思い出す。
    「世界は集まって意味を増やしている。人の心も意味を増やしている。嘘をついたら意味を増やせる。意味を増やすための嘘。外に出した意味。外に出した嘘。それが”小説”なんだ。」

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    2026年04月12日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    ネタバレ

    文体がかなり難解だったけど、どの時代にも通じる普遍的なことが書かれていて読み応えがあった。この小説からは、人は進歩の代償に怠惰の習性を獲得していくことを知れた。何も考えないこと、何かを考えること、正反対に思えるそれぞれの過程は、どちらも確かに幸福に近づくための行為であるはず。社会や時代の流れには逆らえないが、選択をすることはできる。モンターグもその1人であったのだと思った。

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    2026年04月08日