レイ・ブラッドベリのレビュー一覧

  • 華氏451度

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    書籍を持つことが禁じられた世界。書籍の一切を焼き払う「焚書官」という仕事に就くモンバーグは、近所に越してきた不思議な少女クラリスと出会い、また書籍とともに命を落とす老婆の存在を目の当たりにし、本を忌むこの世界に疑問を持ち始める。

    思考すること・物事に疑問を持つことの重要性、思考の時間を奪われることの恐怖と弊害、さらには人間らしさとは何かを問う作品だと思う。
    耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビから、引っ切り無しに流れてくる情報の海。書籍から知識や思想を学び感じ取ることを禁じられ、物思いにふける時間すら悪とされる。
    徹底的に思考を管理された世界は、確かに人と衝突することなく一見平和かもしれない

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    2015年07月30日
  • 刺青の男

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    「今夜限り世界が」こんなに静かな終末ものを読んだことがない。遠い宇宙を夢見る心と、足元の地球をしっかり踏みしめて愛する心と、ブラッドベリにはその二つの心が難なく共存している。

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    2015年04月03日
  • 華氏451度

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    「火の色は愉しかった」
    この冒頭の一文に惹かれ、一気に読みました。自分から何も考えずただ刺激的な快楽を受け取るだけの未来は、もう現在のことになっている。壁一面のテレビはスマートフォンに、テレビ中の「家族たち」はSNSの繋がりに姿を変えて。

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    2014年09月26日
  • 太陽の黄金の林檎

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    素晴らしい。
    何という美しさ、何という陰鬱さ。

    収録作品の中でも圧倒的に知られていると思われる「霧笛」。声高に作品テーマを語ることのないブラッドベリにしては珍しい、込められた寓意を明確に文章で説明している、ある意味「わかりやすい」作品です。が、だからと言って物語が陳腐化しないのがブラッドベリの底力。最後まで静かな余韻を残す、短いけれど心に残る作品です。

    「サウンド・オブ・サンダー(雷のような音)」も印象的でしたね。フツーのSF作家であれば、タイム・パラドックスが起こった後にどう収拾を付けるのか?という点を前面に押し出して一大スペクタクル巨編を書くぞ!ぐらい考えてもおかしくはないのに、ブラッ

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    2012年12月12日
  • 刺青の男

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    ベラッドペリの短編集だが、ただの短編集ではない。
    ストーリー全体が男の刺青上で展開しているという構造を持つことで、奥行きが増す。かと思いきやそうでもない。各話のストーリーと、刺青上で展開することの関係性が希薄。
    要するに千夜一夜物語。

    別の本で読んだ話も(万華鏡)。

    あいかわらずの火星人登場率。そして、火の玉型火星人。

    怖い話も点在。

    グッとくるのは最後の話。叶わない夢を叶えようとする。実際に叶わないから、歪んだ形での叶え方になってしまうが、これこそ人情。これが人類の姿勢であって欲しい。
    って、ことですよね?ブラッドベリさん?

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    2012年10月19日
  • 太陽の黄金の林檎

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    奇抜な着想と幻想的な雰囲気と詩的な文体と主人公の心情や思惑がジワッと滲み出る会話や行動の記述が相まって読中読後にえも言われぬ感慨を与えてくれる作品が多かった。
    「霧笛」、「目に見えぬ少年」、「二度とみえない」、「発電所」、「日と影」、「草地」、「歓迎と別離」が特にジワジワと心に響いた。
    今後、何度も読み直す短編集がまたひとつ増えた。

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    2012年10月18日
  • メランコリイの妙薬

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    火竜(dragon )なんか、詩的に描写を重ねて世界と心情を作り上げていて、さすがレイブラッドベリだなーと思ったら、その描写自体をオチにするという、割と性格悪い話
    だけど、詩的な表現は一級。憎い

    綺麗な悪女、という本

    あと、ブラッドベリにとって火星とはなんなんだろう。はっきり意味があるのは間違いないがわからない

    白い服は秀逸。テンション高い

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    2012年04月03日
  • 刺青の男

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    ブラッドベリの短編集ではこれが一番好き。「万華鏡」をはじめて読んだ電車の中、涙と鼻水が溢れそうでやばかった。

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    2010年11月25日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    最初はなかなかシーンの映像が浮かばず、話に入り込めなかった。ただ、どの時点からかはわからないが、どんどん画が浮かぶようになって、どんどん読み進められた。
    読書を楽しめる幸せをより一層噛み締めた。

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    2025年11月10日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    1953に書かれたディストピア小説

    本を焼く仕事のファイアマン
    本を読むのは法律違反

    物事がどう起こるかではなく、なぜ起こるかを知りたがっていた。

    事実については話さない。事実の意味こそ話す。私はここに座っている。だから自分が生きているとわかるのだ。

    必要なものは、ひとつめは情報の本質。そしてふたつめは余暇、考える時間。3つめは、最初の二つの相互作用から学んだことにもとづいて行動を起こすための正当な理由。

    テレビは「現実」だ。即時性があり、広がりもある。こう考えろと指示してがなりたてる。あまりに早く結論に持ち込んでしまうので、反論する暇もない。
    テレビは人を望み通りの形に育てあげて

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    2025年11月10日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    ネタバレ

    「書物を燃やして、いろんな考えを制限する」という仕事に誇りを持っていた主人公の隣に引っ越してきた少女が、主人公の考えを変えさせていくというのが大まかな流れで、この少女の出現がこの小説のキーだと思っています。
     消火士ではなく、昇火士という名前でちょっと笑っちゃいました。思いっきりのディストピアの世界観の中でのストーリーで面白く読ませていただきました。1953年にこの小説が発表されて70年以上経ちますけど、昔からよくこういう考えを思いつくよなってつくづく感じます。

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    2025年10月21日
  • 何かが道をやってくる

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    初のレイ・ブラットベリ。
    幻想的な世界観。時期的にもハロウィーン近くでより楽しめた。
    読後の清涼感が心地良かった。

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    2025年10月19日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    ★4.5。
    書かれた時代はマッカーシズムの時代。
    ということは2025年の今、ある意味同じような状況になっていることからして、傑作が生まれ、人々の意識の偏りが何らかの形で是正されていくような。
    それくらいのインパクトのあるお話、そして焚書とかタイパとか、いつの時代・場所でもあまり人間の発想と問題意識はあんまり変わらないんだなぁとある意味感慨深くもあり。

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    2025年10月13日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    ネタバレ

    今から70年ほど前に書かれた未来の形なので、レトロな未来感はあるけど、それはおいといて面白い。中盤まではファイヤマンとしての生活、社会構造や価値観の掘り下げなので、現代の物語構成に慣れてる人からするとテンポが遅すぎるし、序盤に出てきた少女の後半の影響を期待してしまうかも、そして後半に出てきた老人達や本の記録についてのところは、斬新だし面白いけど、その設定も説明的で少々活かしきれてない気もする(あの結末としては重要ではある)。エンタメ性は低く全体的には退屈なのだけど、そんなこと別にいいや。というくらい哲学、思想、設定がとても面白い。あと、好き期待は分かれるあろうけど地の文の力は圧倒的にすごい。本

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    2025年10月09日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    初めてディストピア小説を読んだ。50年以上前の作品とは思えない斬新さがあった。でも暫くこういうのは読みたくないかも。

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    2025年09月22日
  • ウは宇宙船のウ ブラッドベリ自選傑作集

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    書店で見かけて、懐かしい…と思わず手にとりました
    ブラッドベリ、何年ぶりだろう
    改めて読んで 彼の詩的な文体に惹かれるんだと改めて実感しました

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    2025年09月21日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    タイトルの「451」がようやく覚えられました。
    ずっと「華氏ホニャララ度」と言ってたんです…

    今、読書が生活のメインになっていて、昔は読みにくいと思った文体でも、割とさらさら…これもその1冊。さらに、ハヤカワは、今フォントが大きく、加えて字体も見やすい…ヘビーな読書好きにはありがたいです。

    そして、話は、SFと言うには現実的な話で、でも、書かれた時期(70年以上前!)を考えると、レイ・ブラッドベリの凄さに感服してしまう。
    静脈認証的な表現のシーンもあったり。

    冒頭に近い部分での、妻の薬物過剰摂取による救急搬送シーンにも、軽く動揺してしまった。
    当時は戦後10年以内ですが、それにかかわらず

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    2025年09月04日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    本を所有することが禁止された世界で、本の取り締まりをしている主人公が反体制側に付くまでが書かれた内容。
    タイトルは紙が燃える温度らしいが、洒落ている。

    検閲やプロパガンダといった情報統制に関する内容で、現代にも通じるところがある内容に感じる。最近だとSNS規制みたいな話もちらほら出るので、こんな世界にはなってほしくないなと思った。

    言い回しがなかなか独特かつ長いので上滑りして認識しづらい。私には向いていない文章だと思った。

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    2025年08月30日
  • 華氏451度〔新訳版〕

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    話のテンポがあまりよくないのだけど、文章や表現がSFぽくない綺麗さで新鮮だった。設定が秀逸でした。現在はまさにこの本のディストピアな世界のようです。

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    2025年08月28日
  • 10月はたそがれの国

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    ネタバレ

    ブラッドベリのSFやホラーや幻想系の色んな短編が読めて大満足!毎日夜寝る前に1話ずつ読む楽しみにしてました。

    特に好きだったお話は『ある老女のはなし』と『集会』の2つ。

    『ある老女のはなし』
    歌って踊るのが大好きで、毎日を楽しく生きてるおばあさんは、「死」を受け入れることはけしてしない。それでも死の世界からお迎えがやってきて、うっかり寝てる間に魂がぬけて体が死体仮置場に持っていかれても諦めなかった。普通は起こり得ないからと諦めず、自分の信念に基づいて、強く逞しく生き返ってしまう元気おばあさんの話は勇気がもらえた。

    『集会』
    吸血鬼やコウモリ男、翼を持つおじさん、他人の意識に潜り込める少女

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    2025年08月28日